二重埋没法で失敗しないためには

本記事では、多くの症例に携わってきた美容外科専門医が、具体的な失敗パターンから後悔しないためのクリニック選びの鉄則、そして万が一の際の修正方法まで、その全てを徹底解説します。あなたの理想を確かなものにするために、施術を決める前に必ず知っておいてほしいことがあります。
二重埋没法のよくある失敗・後悔パターン7選
二重埋没法は、メスを使わずに二重まぶたを形成できるため、美容医療の中でも人気の高い施術の一つです。しかし、「手軽にできる」というイメージだけで施術を受けると、思い描いていた理想と異なり、「こんなはずではなかった」と後悔につながるケースも少なくありません。
形成外科専門医、そして美容外科専門医(JSAPS※)として多くの症例に携わってきた立場から、二重埋没法で起こり得る代表的な失敗・後悔のパターンを具体的に解説します。施術を受ける前にリスクを正しく理解することが、後悔しないための最も重要なステップです。ご自身の希望と照らし合わせながら、一つひとつ確認していきましょう。
※JSAPS:日本美容外科学会(Japan Society of Aesthetic Plastic Surgery)のこと。日本の美容外科領域において、質の高い医療の提供と発展を目的とする学術組織です。
希望と違う仕上がり(左右差・ハム目・不自然な食い込み)
見た目の仕上がりに関する「希望とのズレ」は、施術後の満足度を大きく左右し、後悔に直結しやすい問題です。カウンセリングで時間をかけてシミュレーションを行っても、残念ながら100%理想通りになるとは限らないのが現状です。
- 左右差が生じるもともと人間の顔は完全な左右対称ではありません。しかし、施術によってその差がより強調されてしまうことがあります。原因は、もとの目の形や骨格の違い、医師のデザインや糸をかける位置のミリ単位のズレ、術後の腫れの引き方の個人差など、複数の要因が考えられます。
- ハム目になる二重ラインの下の皮膚がぷっくりと厚ぼったく見え、食い込みが不自然に強調された状態です。ご自身のまぶたの厚みに対して二重の幅を広く設定しすぎた場合や、糸の結び方が強すぎる場合に起こりやすくなります。眠そうに見えたり、整形したことが分かりやすい印象になったりすることがあります。
- 食い込みが不自然になる目を閉じていても二重の線がくっきりと残り、まぶたにシワが寄ったように見える状態です。糸を結ぶ力が強すぎることや、皮膚が非常に薄い方の場合に、皮膚が糸に強く引き込まれてしまうことで起こります。
これらの仕上がりの問題は、医師が患者様一人ひとりのまぶたの解剖(皮膚の厚み、脂肪の量、筋肉の働き)を正確に診断し、無理のないデザインを提案できるかどうかにかかっています。
糸に関するトラブル(結び目の露出・糸の透け・感染)
埋没法は医療用の細い糸を使って二重の構造を作るため、その「糸」が原因となるトラブルも起こり得ます。
- 糸の結び目が目立つ・透けるまぶたの表面に、糸の結び目が小さな膨らみとして見えたり、皮膚の薄い方では糸の色が透けて青黒く見えたりすることがあります。糸の結び目が皮膚の浅い層に位置する場合に起こりやすいトラブルです。メイクで隠すことが難しく、見た目のストレスになる可能性があります。
- 感染を起こす頻度は高くありませんが、糸を埋め込んだ部分から細菌が侵入し、感染を起こすことがあります。まぶたの赤み、強い腫れ、痛み、膿が出るなどの症状が現れます。術後のケアが不十分であったり、不衛生な手で目元を触ったりすることが原因となることもあります。感染が起きた場合は、抗生物質による治療や、原因となっている糸を取り除く処置(抜糸)が必要になります。
- 糸がまぶたから露出する糸の結び目だけでなく、糸そのものがまぶたの裏側(結膜)や皮膚表面から出てきてしまうことがあります。特にまぶたの裏側から糸が露出すると、眼球の表面(角膜)を傷つける危険性があり、目のゴロゴロ感や激しい痛みの原因となります。放置すると視力に影響が出る可能性もあるため、非常に危険な状態です。
これらの糸に関するトラブルは、医師の繊細な技術力や経験、そして術後の適切なケアによってリスクを低減させることが可能です。
時間の経過による変化(ラインの消失・ゆるみ・三重まぶた)
施術直後は理想的な二重でも、数ヶ月から数年という時間の経過とともに状態が変化し、新たな悩みにつながることがあります。
- 二重のラインが消える・ゆるむ埋没法の糸がゆるんだり外れたりして、二重のラインが薄くなる、あるいは完全にもとの状態に戻ってしまうケースです。これは埋没法で最も起こりやすい変化の一つです。目を強くこする癖、まぶたの脂肪が厚い、もともとまぶたがむくみやすいといった要因が関係します。多くのクリニックでは保証制度を設けているため、事前の確認が重要です。
- 三重(みつえ)まぶたになる希望した二重ラインの上や下に、別の薄い線が複数入ってしまう状態です。加齢によってまぶたの皮膚がたるんだり、脂肪が減少して目がくぼんだりすることが主な原因です。また、埋没法の糸がゆるむ過程で、意図しない場所に新たなクセがついてしまうこともあります。ラインが安定しないため、アイメイクがしにくいといった悩みにつながります。
これらの経年変化はある程度避けられない部分もあります。しかし、術式(糸をかける位置や点数など)の工夫やまぶたの状態に合った方法の選択で、二重ラインを長持ちさせることは可能です。
身体的な不快症状(目のゴロゴロ感・つっぱり感・頭痛)
見た目の問題だけでなく、身体に現れる不快な症状が続いてしまうことも、後悔につながる重要なパターンです。
- 目のゴロゴロ感・異物感術後の腫れが引いても目のゴロゴロ感が続く場合、まぶたの裏側に埋めた糸の結び目が粘膜から突出している可能性があります。この状態は、まばたきをするたびに糸が角膜をこすっているのと同じです。放置すると角膜に傷がつき、視力低下や感染症のリスクを高めるため、症状があればすぐに医師の診察を受ける必要があります。
- つっぱり感・引きつれ感目を開けたときに、まぶたが強く引っ張られるような感覚が続く状態です。術後の腫れによる一時的な症状である場合がほとんどですが、二重幅が広すぎる、糸を強く結びすぎている、といった場合に症状が長引くことがあります。
- 頭痛・肩こり・眼精疲労つっぱり感やまぶたの重さから、無意識に眉毛を上げて目を開ける癖がついてしまうことがあります。これにより、おでこや頭、肩の筋肉が常に緊張状態となり、慢性的な頭痛や肩こり、眼精疲労を引き起こします。これは「医原性(いげんせい)の眼瞼下垂様症状」とも呼ばれ、生活の質を大きく下げる原因となり得ます。
これらの症状は、デザインの不適合や手技的な問題が原因となっている可能性があります。我慢せずに、まずは施術を受けたクリニックに速やかに相談することが大切です。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 埋没法で失敗したら、元に戻せますか?
A1. はい、埋没法の大きな利点の一つは、やり直しが可能である点です。糸を取り除く(抜糸する)ことで、基本的には元のまぶたの状態に戻すことができます。ただし、施術から時間が経過していると糸が組織に癒着し、抜糸が難しくなる場合があります。修正を希望される場合は、早めに医師にご相談ください。
Q2. ハム目になってしまったら、治せますか?
A2. 修正は可能です。現在の二重ラインを作っている糸を抜糸し、まぶたの厚みや希望に合わせて、より自然で適切な幅の二重ラインを再設定します。場合によっては、まぶたの脂肪を除去する施術を併用することもあります。
Q3. 術後の感染症を防ぐために、自分でできることはありますか?
A3. はい、ご自身でのケアも非常に重要です。クリニックから処方された抗生物質の点眼薬や内服薬を指示通りに使用してください。また、術後1週間程度は、傷口が安定するまで目元を清潔に保ち、不必要に手で触ったり、こすったりしないように心がけてください。
二重埋没法は、多くのメリットがある一方で、今回解説したようなリスクも存在します。大切なのは、これらのリスクを正しく理解し、信頼できる医師のもとで施術を受けることです。もし少しでも不安な点や疑問があれば、カウンセリングで遠慮なくご質問ください。当院では、お一人おひとりのまぶたの状態を丁寧に診察し、最適な治療法をご提案いたします。まずはお気軽にご相談ください。
後悔しないためのクリニック・医師選び5つの鉄則
二重埋没法は、美容医療の中でも広く知られている施術です。しかし、その手軽さのイメージとは裏腹に、担当する医師の技術や知識によって結果が大きく左右される、非常に繊細な手術です。あなたの印象を決定づける大切な目元のことだからこそ、クリニック選びは慎重に行わなければなりません。
形成外科専門医、そして美容外科専門医(JSAPS)として、数多くのまぶたの手術に携わってきた経験から断言できるのは、「良い結果は、良いクリニック・医師選びから始まる」ということです。ここでは後悔しないために、施術を受ける前に必ず押さえておきたい5つの鉄則を、専門家の視点から詳しく解説します。

カウンセリングで必ず確認すべき質問リスト
カウンセリングは、単に施術の説明を受ける場ではありません。あなたの理想を医師と共有し、同時に医師の技術力、知識、そして人柄を見極めるための最も重要な機会です。
緊張するかもしれませんが、「こんなことまで聞いていいのかな」と遠慮する必要は全くありません。むしろ、細かく質問することで、あなたの真剣さが伝わり、医師もより丁寧に対応してくれるはずです。事前に質問リストを準備し、疑問や不安をすべて解消しましょう。
【カウンセリング質問チェックリスト】
1. デザイン・シミュレーションについて - 私のまぶたの厚み、骨格、蒙古襞(もうこひだ※)の特徴を踏まえた上で、最も似合う二重デザイン(末広型、平行型など)はどれでしょうか? - 希望している二重の幅(例:〇mm)は、私の目にとって医学的に見て自然な範囲内ですか?無理のあるデザインではないでしょうか? - ブジーという器具を使って、複数のパターンの二重を丁寧にシミュレーションしてもらえますか? - 開眼時だけでなく、目を閉じた時や伏し目になった時の見え方も確認したいです。
※蒙古襞:目頭部分にある、上まぶたから下のまぶたにかけて覆いかぶさっている皮膚のこと。
2. 施術方法とリスクについて - 私のまぶたには、どの術式(糸の点数、結び方など)が最も適していると考えますか?その理由も具体的に教えてください。 - 起こりうる合併症(左右差、ハム目、感染、糸の露出など)について、それぞれの発生頻度や具体的な症状を詳しく説明してください。 - ダウンタイム(腫れや内出血)のピークはいつ頃で、完全に落ち着くまでの期間は、平均的にどのくらいを想定すればよいですか?
3. 術後の経過とケアについて - 術後の生活(洗顔、メイク、コンタクトレンズの使用、運動など)で、特に注意すべき点を教えてください。 - 万が一、夜間やクリニックの休診日に強い痛みや腫れが出た場合、どのような連絡・対応体制になっていますか? - 定期的な術後検診はありますか?その際の診察料は費用に含まれていますか?
4. 費用と保証について - 提示された見積もりに含まれる料金の全内訳(施術料、麻酔代、薬代など)を教えてください。 - この見積書以外に、後から追加で費用が発生する可能性は一切ありませんか? - 保証制度の詳しい内容(保証期間、再施術が無料になる具体的な条件など)を書面でいただけますか?
医師の経歴・資格・症例写真の正しい見極め方
施術を担当する医師の技量は、あなたの二重の仕上がりと安全性に直結します。ウェブサイトの華やかな経歴やSNSの印象だけで判断せず、客観的な事実に基づいた実績を正しく見極めることが不可欠です。
まず、医師の専門資格に注目してください。特に重要なのが以下の2つです。
- 日本形成外科学会認定 形成外科専門医 - 体の表面のあらゆる変形や欠損を正常な状態に修復する訓練を積んだ、いわば「体の表面の外科のプロフェッショナル」です。まぶたの複雑な解剖(皮膚、筋肉、脂肪、神経、血管)を熟知しているため、審美的な美しさだけでなく、機能面も考慮した安全性の高い施術が期待できます。
- 日本美容外科学会(JSAPS)専門医 - 形成外科専門医の資格を持った上で、さらに厳しい基準をクリアした医師のみに与えられる資格です。高度な美容外科手術の知識と技術を持っていることの証明になります。
次に、症例写真をチェックする際は、ただ綺麗かどうかを見るだけでなく、以下のポイントを意識して「分析」するように見ましょう。
- 症例数の多さ:多くの症例は経験の豊富さを示しますが、数だけでなく質も重要です。
- デザインの多様性:あなた自身のまぶたと似たタイプの症例や、あなたの理想に近い仕上がりの症例があるかを確認しましょう。特定のデザインばかりでないかもポイントです。
- 写真の信頼性:術前後の写真だけでなく、腫れが残っているダウンタイム中の経過写真も公開しているクリニックは信頼できます。また、過度な画像加工がなく、様々な角度や表情(閉眼時など)の写真が掲載されているかを確認しましょう。
見積書でチェックすべき項目(追加料金・保証制度)
カウンセリングで提示される見積書は、後々の金銭トラブルを防ぐための非常に重要な書類です。その場で契約を迫られても即決せず、必ず一度持ち帰って冷静に内容を検討することをおすすめします。
【見積書チェックリスト】
- 総額だけでなく内訳を確認する - 「施術料一式」という記載は要注意です。麻酔代、処方される薬代、術後の検診代などがすべて含まれているか、項目ごとに明確に記載されているかを確認してください。
- 追加料金の有無を明確にする - カウンセリング中に「痛みを軽減するためにより細い針を」「取れにくい特殊な糸を」といったオプションを勧められた場合、その料金が見積もりに含まれているか確認しましょう。「後から追加料金は発生しません」という言質を書面に残してもらうと、より安心です。
- 保証制度の詳細を書面で確認する - 口頭での説明だけでなく、保証内容が明記された規約や同意書をもらいましょう。特に「永久保証」という言葉は、適用条件が厳しく設定されている場合があるため注意が必要です。
| 確認項目 | チェックポイント |
|---|---|
| 保証期間 | 「1年間」「5年間」「永久」など、具体的な期間を確認する。 |
| 保証内容 | 糸が取れた・緩んだ場合の再施術は無料か。左右差の調整やデザイン変更は対象か。 |
| 適用条件 | 体重の大幅な増減、自己都合によるデザイン変更など、保証が適用されないケースを必ず確認する。 |
二重埋没法の料金相場はクリニックによって様々ですが、極端に安い広告には注意が必要です。総額と保証内容を総合的に判断し、納得できるクリニックを選びましょう。
「修正手術」の実績が豊富なクリニックを選ぶべき理由
初めての施術で満足のいく結果を得ることがもちろん理想ですが、万が一の可能性を考えておくことも、後悔しないためには重要です。そこでぜひ注目していただきたいのが、そのクリニックが「修正手術」にどれだけ力を入れているか、という点です。
修正手術は、初回の施術に比べて格段に難易度が高くなります。一度メスを入れたり糸を入れたりしたまぶたの内部は、組織が硬くなったり(瘢痕化)、本来の位置からずれて癒着したりしているため、解剖学的な深い知識と極めて繊細な技術が要求されます。
他院で行われた施術の修正を積極的に受け入れているクリニックは、それだけ医師の技術力に自信があることの裏返しと言えます。
- 高い技術力が期待できる - 複雑な状態のまぶたを修正できる医師は、初回の施術においても、より安全で正確な手術を行う能力が高いと考えられます。
- 万が一の際の安心感 - もし仕上がりに不満が残った場合でも、「ここでなら的確に修正してもらえる」という安心感は何物にも代えがたいものです。
- 原因分析が的確 - 多くの修正症例を経験している医師は、「なぜ希望通りにならなかったのか」という原因を的確に分析し、あなたにとって最善の解決策を提案してくれます。
クリニックのウェブサイトに「他院修正」の専門ページがあるか、修正手術の症例写真が豊富に掲載されているかなどを確認してみることをお勧めします。
SNSの口コミや広告に惑わされないための情報収集術
近年、SNSやインターネットの普及により、美容医療に関する情報を手軽に入手できるようになりました。しかし、その情報のすべてが正確で中立的とは限りません。魅力的な口コミや広告に惑わされず、情報を賢く取捨選択するリテラシーが求められます。
【情報収集のポイント】
- 複数の情報源を比較検討する - 一つの情報だけを鵜呑みにするのは非常に危険です。クリニックの公式サイト(良い点)、第三者が運営する口コミサイト(悪い点も含む)、医師個人のSNS(人柄や考え方)など、複数の媒体を比較し、多角的に情報を集めましょう。
- 口コミの「質」を見極める - 「最高でした!」といった抽象的な感想よりも、「カウンセリングで〇〇について詳しく説明してくれた」「ダウンタイム〇日目の腫れはこのくらいだった」など、具体的な記述がある口コミは信頼性が高いと言えます。逆に、良い点ばかりを過度に強調する投稿には注意が必要です。
- 広告の裏側を読み解く - 「モニター価格〇円!」といった極端に安い広告は、顔写真の提供が必須であったり、実際には様々なオプションが追加され高額になったりするケースが少なくありません。価格だけでなく、適用条件や総額を必ず確認しましょう。
最終的に最も重要なのは、インターネットの情報を参考にしつつも、必ずご自身の足で複数のクリニックのカウンセリングに赴き、医師と直接話し、クリニックの雰囲気をご自身の五感で確かめることです。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. カウンセリングは無料ですか? A1. クリニックによって異なります。無料カウンセリングを行っているところもあれば、初診料として費用がかかる場合もあります。事前にウェブサイトや電話で確認することをおすすめします。当院では、専門医によるカウンセリングを無料で実施しております。
Q2. 埋没法は何回くらい繰り返せますか? A2. 理論上、回数に明確な上限はありません。しかし、何度も繰り返すとまぶたの組織が硬くなり、糸が留まりにくくなったり、不自然なラインになったりするリスクが高まります。通常は2~3回程度までが一つの目安とされています。
Q3. 痛みに弱いのですが、施術は耐えられますか? A3. 施術前に点眼麻酔と局所麻酔の注射を行いますので、施術中の痛みはほとんどありません。麻酔の注射時にチクッとした痛みを感じる程度です。痛みが不安な方には、笑気麻酔などのオプションを用意しているクリニックもありますので、カウンセリングでご相談ください。
二重埋没法は、あなたの人生をより豊かにする可能性を秘めた素晴らしい施術です。しかし、そのためには正しい知識を持ち、信頼できる医師を選ぶことが何よりも大切です。もし、あなたが二重のことで悩んでいるなら、まずは専門医に相談することから始めてみませんか。当院では、お一人おひとりのご希望とまぶたの状態を丁寧に診察し、あなたにとって最適な方法をご提案いたします。どうぞお気軽にご相談ください。
もし失敗してしまったら?修正手術とアフターケアの全知識
二重埋没法を受けた後、期待していた結果と違う仕上がりになり、鏡を見るたびに不安や後悔の気持ちでいっぱいになっていらっしゃるかもしれません。
しかし、どうか一人で思い悩まないでください。二重埋没法の大きな利点の一つは、多くの場合、糸を取り外したり、かけ直したりすることで修正が可能である点です。
大切なのは、焦って自己判断をせず、まずはまぶたの状態が落ち着くのを待つことです。そして、信頼できる医師に相談し、ご自身の状態に合った適切な対処法を知ることが、理想の目元を取り戻すための最も確実な第一歩となります。
ここでは修正手術やアフターケアについて、形成外科専門医・美容外科専門医(JSAPS)の立場から、医学的根拠に基づいて詳しく解説します。

修正手術に最適なタイミングと期間はいつか
修正手術を考える上で最も重要なのは、「焦らずに適切なタイミングを見極める」ことです。術後すぐは、腫れや内出血によって完成形とは異なる状態に見えます。この時期に「失敗だ」と判断を下すのは早計です。
まぶたの内部では、手術によるダメージが治癒する過程にあります。この組織が落ち着き、二重のラインが本当の意味で安定するまでには、一定の期間が必要です。
| 状態 | 待つべき期間の目安 | 医師の視点からの理由 |
|---|---|---|
| デザインの不満 (幅が広すぎる・狭い、左右差など) |
術後1ヶ月〜3ヶ月 | 術後の腫れが完全に引き、最終的な二重の幅や形が確定するのを待つためです。腫れている段階で再手術をすると、正確なデザインができません。 |
| ラインの消失・ゆるみ | 術後1ヶ月以降 | 腫れが引いた後の状態で、ラインが維持できているかを正確に判断する必要があります。腫れによる一時的なラインの変化ではないかを見極めます。 |
| 明らかな異常 (強い痛み、感染、糸の露出) |
すぐに受診 | 感染や糸の露出は、放置すると角膜を傷つけたり、症状が悪化したりする危険性があります。時間をおかずに、速やかに施術を受けたクリニックに連絡してください。 |
特に、現在の二重の幅を「狭くしたい」場合は、より慎重なタイミングが求められます。この修正では、まず埋没した糸を取り除く「抜糸」が必要です。
抜糸を行うと、まぶたに小さな傷ができ、再び腫れが生じます。この腫れが完全に治まってからでなければ、正確なデザインで再手術を行うことは困難です。そのため、抜糸から少なくとも2週間以上、できれば1ヶ月ほど期間を空けてから、再度埋没法を行うのが一般的です。
抜糸は必要?まぶたの状態別の修正方法と流れ
修正手術の際に抜糸が必要かどうかは、「どのような二重に修正したいか」という、あなたの希望によって決まります。まぶたの状態に合わせた代表的な修正方法を知っておきましょう。
【ケース1:二重の幅を広くしたい・ラインが取れてしまった場合】
- 抜糸の必要性
- 原則として不要です。
- 修正方法
- 現在の二重ラインよりも広い位置に、新しく糸を埋没させます。最初の埋没法とほぼ同じ流れで施術を行うことができます。ただし、以前の糸が新しいラインの形成に影響すると医師が判断した場合は、抜糸を提案することもあります。
【ケース2:二重の幅を狭くしたい・デザインを大きく変えたい場合】
- 抜糸の必要性
- 必須です。
- 修正方法
- 以前の糸を残したまま狭い幅でラインを作ろうとすると、非常に厄介なことが起こります。元のラインの癒着と新しいラインが干渉して、三重(みつえ)になったり、不自然なシワができたりする原因となるのです。
- そのため、まず埋没されている糸をすべて抜去し、まぶたを一度リセットした状態にしてから、改めて希望の幅で埋没法を行います。
▼抜糸の基本的な流れ
抜糸は局所麻酔下で行う、比較的短時間の処置です。
- 麻酔
- 点眼麻酔で目の表面の感覚を和らげ、まぶたの表面に局所麻酔の注射を行います。これにより、処置中の痛みはほとんど感じません。
- 小切開
- 糸の結び目があると推測される部分の皮膚を、医療用のメスで1mm程度ごく小さく切開します。
- 糸の探索・抜去
- 専用の細いピンセット(摂子)を使い、皮膚の下にある糸を探し出し、切って丁寧に取り除きます。施術から時間が経過していると、糸が組織に癒着して見つけにくくなることがあります。
- 終了
- 切開創は非常に小さいため、通常、縫合は必要ありません。自然に傷がふさがります。
施術時間は糸の見つけやすさにもよりますが、15分〜60分程度が目安です。
修正手術の費用相場と保険適用の可否
修正手術にかかる費用や、公的な健康保険が使えるのかどうかは、多くの方が気になる点だと思います。安心して治療に臨むためにも、費用の仕組みを正しく理解しておきましょう。
【費用相場】
修正手術の費用は、施術内容やクリニックの方針によって大きく異なります。
- 抜糸のみ
- 2万円~5万円程度
- 再手術(埋没法)
- 5万円~15万円程度(初回の施術と同程度のことが多いです)
- 他院修正の場合
- 上記の料金に加えて、追加料金(2万円~10万円程度)がかかることが一般的です。これは、他院での施術はまぶた内部の組織の状態が不明で、手術の難易度が格段に上がるためです。
【保険適用の可否】
- 原則、保険適用外です
- 「二重の幅や形を変えたい」といった、見た目の改善を目的とする美容医療は自費診療となり、健康保険は適用されません。
- 保険適用される例外的なケース
- 埋没法の施術が原因で、まぶたの機能に明らかな問題が生じた場合は、その治療に対して保険が適用される可能性があります。
症状の例 状態 医原性眼瞼下垂(いげんせいがんけんかすい) 施術が原因でまぶたが重く、上がりにくくなった状態。 感染 埋め込んだ糸が原因で細菌感染を起こし、赤く腫れて膿が溜まっている状態。 角膜障害 まぶたの裏側に出た糸が眼球の表面(角膜)を傷つけ、痛みや異物感が続く状態。
これらの症状がある場合は、美容外科だけでなく、形成外科や眼科での専門的な治療が必要になることもあります。まずは医師の診断を受け、適切な治療法を相談しましょう。
他院修正を受け入れてくれるクリニックの探し方
最初のクリニックで満足のいく結果が得られなかった場合や、担当医への不信感がある場合、他のクリニックでの修正(他院修正)を検討することになります。
他院修正は、初回のまっさらな状態のまぶたを手術するのとは訳が違います。内部の組織が硬くなっていたり、癒着していたりするため、初回の手術よりも格段に難易度が高くなります。だからこそ、クリニック選びはより一層慎重に行う必要があります。
以下のチェックリストを参考に、あなたの悩みを解決できる、信頼できるクリニックを探しましょう。
【クリニック選びの5つのチェックリスト】
- ☐ 「他院修正」の実績を公表しているか?
- 公式サイトなどで、他院修正を積極的に受け入れていることや、その症例写真を豊富に掲載しているクリニックは、経験と技術に自信がある証拠と言えます。
- ☐ 医師はまぶたの解剖を熟知した専門家か?
- 形成外科専門医や**日本美容外科学会専門医(JSAPS)**などの資格を持つ医師は、まぶたの複雑な構造を深く理解しています。難易度の高い修正手術にも的確に対応できる可能性が高いです。
- ☐ カウンセリングは丁寧で、リスク説明も十分か?
- なぜ前回の施術がうまくいかなかったのか、原因を医学的に分析してくれるか。そして、今回の修正で可能になることだけでなく、限界やリスクについても正直に話してくれる誠実な医師を選びましょう。
- ☐ 修正方法の選択肢を複数提案してくれるか?
- あなたのまぶたの状態や希望に合わせて、埋没法の再手術だけでなく、場合によっては切開法なども含めた複数の選択肢を提示し、それぞれのメリット・デメリットを説明してくれるクリニックが望ましいです。
- ☐ 見積もりは明確で、追加料金の説明はあるか?
- 費用体系が分かりやすく、カウンセリング時に提示された見積もり以外に、後から追加料金が発生しないかを必ず確認しましょう。「他院修正料」などの項目も明確に記載されているかチェックが必要です。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 修正手術も痛いですか?
A1. 初回の手術と同様に、点眼麻酔と局所麻酔の注射をしっかり行いますので、施術中の痛みはほとんどありません。麻酔の注射の際にチクッとした痛みを感じる程度です。痛みがご不安な場合は、遠慮なく医師にお伝えください。
Q2. 抜糸をすれば、必ず元のまぶたに戻りますか?
A2. 糸を抜去すれば二重の固定は解除されますが、埋没法によって作られた二重のクセ(癒着)が残ることがあります。特に、施術から長期間が経過している場合や、もともと二重のラインができやすい方の場合は、完全に元の一重まぶたには戻らない可能性もあります。
Q3. 他院修正をお願いする場合、前のクリニックの情報は必要ですか?
A3. もし可能であれば、どのような術式(何点留めか、糸の結び方など)で施術を受けたかの情報があると、修正手術がスムーズに進む場合があります。しかし、情報がなくても経験豊富な医師であれば、診察によってまぶたの状態を把握し、適切な修正方法を判断できますのでご安心ください。
もし他院での施術結果にお悩みでしたら、一人で抱え込まず、まずは専門医にご相談ください。当院では、形成外科・美容外科の専門医が、お一人おひとりの状態を丁寧に診察し、なぜうまくいかなかったのかを分析した上で、あなたにとって最適な修正方法を一緒に考えさせていただきます。
まとめ
今回は、二重埋没法で後悔しないためのポイントを、失敗例からクリニック選び、万が一の修正方法まで詳しく解説しました。
手軽なイメージがある施術ですが、あなたの印象を左右する大切な目元のことだからこそ、リスクを正しく理解し、信頼できる医師を慎重に選ぶことが何よりも重要です。カウンセリングでは遠慮せず、あなたの不安や疑問をすべて解消し、心から納得できるクリニックを見つけてください。
そして、万が一思い通りの結果にならなくても、修正という道があることも忘れないでください。この記事が、あなたが後悔のない選択をし、理想の自分に近づくための一助となれば幸いです。まずは勇気を出して、専門医への相談から始めてみませんか。