名古屋市「新瑞橋」美容外科・美容皮膚科・形成外科・一般皮膚科

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酒さの治療について

鏡を見るたび、顔の赤みやほてりに悩んでいませんか?多くの方が一時的な「赤ら顔」と考えがちですが、その背景には「酒さ(しゅさ)」という、慢性的な皮膚疾患が隠れているかもしれません。酒さは、ただ赤いだけでなく、ピリピリとした不快感やかゆみを伴い、日常生活に大きな影響を与えることも少なくありません。

形成外科医・美容外科医(JSAPS)として多くの患者さんと向き合う中で、ご自身の症状が酒さなのかどうかを正しく見極め、適切な治療へと繋げることが、症状改善への大切な第一歩だと強く感じています。本記事では、酒さの具体的な症状や一般的な赤ら顔との違い、そして最新の外用薬からレーザー治療、さらに日々のスキンケアに至るまで、酒さを改善し、健やかな肌を取り戻すための多角的なアプローチを詳しくご紹介します。

酒さの症状と赤ら顔との違い

顔に赤みが出たり、ほてりを感じたりする症状は、多くの方が一度は経験するものです。このような状態を漠然と「赤ら顔」と呼ぶことはよくあります。しかし、その赤みの原因が「酒さ(しゅさ)」という慢性的な皮膚の病気であるケースも少なくありません。

酒さは、ただ顔が赤いだけでなく、かゆみやピリピリとした不快な感覚を伴うことがあり、見た目の問題も含めて、日常生活に大きな影響を与えることがあります。形成外科医、美容外科医(JSAPS)として多くの患者さんと向き合う中で、ご自身の症状が酒さなのか、それとも別の原因による赤ら顔なのかを正しく理解することは、適切な治療へとつながる大切な第一歩だと強く感じています。

酒さの治療法5選:外用薬からレーザーまで - 画像 1

酒さの主な症状と進行段階

酒さの症状は、患者さん一人ひとりでその現れ方が異なります。また、時間とともに変化し、いくつかのタイプに分類される特徴があります。国際的な分類では、主に4つのサブタイプが挙げられます。

  1. 紅斑毛細血管拡張型酒さ (Erythematotelangiectatic Rosacea: ETR)
    • 症状
      • 顔の中心部、特に頬や鼻、額、あごに持続的な赤み(紅斑)が見られます。
      • ほてりや熱感、ピリピリ感、チクチク感といった不快な感覚を伴うことが多いです。
      • 細い血管が拡張し、皮膚の表面に透けて見える毛細血管拡張も特徴的です。
    • 進行
      • 酒さの初期段階で多く見られるタイプです。
      • 症状が悪化すると、赤みが顔全体に広がり、常に顔が赤く見えるようになります。
      • 日常の些細な刺激でも顔がすぐに赤くなる傾向が強まります。
  2. 丘疹膿疱型酒さ (Papulopustular Rosacea: PPR)
    • 症状
      • 紅斑の上に、ニキビによく似た赤いブツブツ(丘疹)や膿を持ったブツブツ(膿疱)が現れます。
      • かゆみや痛みを伴うこともあります。
      • ニキビとは異なり、毛穴の詰まりである面皰(めんぽう)は通常見られません。
    • 進行
      • 紅斑毛細血管拡張型酒さの症状に加えて現れることが多く、炎症がより強くなるのが特徴です。
      • 症状が進行すると、見た目の変化がさらに顕著になり、美容的な悩みにつながることがあります。
  3. 瘤腫型・鼻瘤 (Phymatous Rosacea)
    • 症状
      • 主に鼻に起こることが多く、皮膚が厚く硬くなり、でこぼことした不規則な形状に変化します。
      • 鼻が大きく見える「鼻瘤」が代表的ですが、あごや額、耳など他の部位にも生じることがあります。
    • 進行
      • 長期間にわたる炎症が原因で皮膚組織が肥厚し、見た目の変化が固定化してしまう可能性があります。
      • 特に男性に比較的多く見られる傾向があります。形成外科の観点からも、見た目の変化が大きく、患者さんの精神的負担も大きいタイプです。
  4. 眼型酒さ (Ocular Rosacea)
    • 症状
      • 目の充血やまぶたの炎症(眼瞼炎)、異物感、乾燥感、かゆみ、光への過敏症など、目にさまざまな症状が現れます。
    • 進行
      • 皮膚の症状よりも先に目の症状が現れることもあります。
      • 重症化すると、角膜(黒目)に影響を及ぼし、視力低下などの重大な影響を及ぼす可能性もあるため注意が必要です。

これらのサブタイプは、一つだけでなく複数組み合わさって現れることも多く、個々の患者さんでその現れ方はさまざまです。酒さに関する研究(Tamara Searleらによる「Rosacea」)でも、これらのサブタイプが病態の理解や治療選択肢を考える上で重要であると述べられています。早期に専門医の診察を受け、適切な診断と治療を開始することが、症状の悪化を防ぎ、改善へと導く大切な一歩となります。

酒さと赤ら顔はどう違う?見分け方

「赤ら顔」は、顔が赤くなる状態全般を指す、幅広い意味を持つ言葉です。寒い場所から暖かい場所へ入ったときや、緊張したときなど、様々な原因で引き起こされます。一方で「酒さ」は、その赤ら顔の原因の一つであり、特定の病気として診断されるものです。形成外科医、美容外科医(JSAPS)として、この両者の違いを理解することは、適切な対処のために非常に重要だとお伝えしています。

 

酒さの主な特徴 酒さによる赤ら顔には、以下のような特徴が見られます。

  • 持続的な赤み
    • 顔の中心部、特に頬や鼻、額、あごに現れる赤みが長期間続きます。
    • 一時的なものではなく、常に顔に赤みがある状態が特徴です。
  • ほてりや刺激感
    • 赤みとともに、顔がカーッと熱くなるようなほてりや、ピリピリとした刺激感、かゆみを感じることが多くあります。
  • 毛細血管拡張
    • 細い血管が拡張して、皮膚の表面に赤く透けて見えることがあります。
    • 血管の網目が見えることもあります。
  • ニキビに似たブツブツ
    • 赤みの上に、赤い丘疹(きゅうしん)や膿を持った膿疱(のうほう)が現れることがあります。
    • ただし、思春期ニキビに見られるような毛穴の詰まり(面皰:めんぽう)は、酒さでは通常見られません。
  • 悪化要因
    • 紫外線や香辛料、アルコール、寒暖差、精神的ストレスなどで症状が悪化しやすい傾向があります。

酒さ以外の一般的な赤ら顔の原因 赤ら顔は酒さだけでなく、他の様々な皮膚疾患でも起こります。

  • ニキビ(尋常性痤瘡)
    • 毛穴の炎症が原因で、面皰(白ニキビ、黒ニキビ)や赤いブツブツ、膿疱が見られます。
    • 思春期に多く、Tゾーン(額から鼻にかけて)にできやすい傾向があります。
  • 脂漏性皮膚炎
    • 鼻の周りや眉間、頭皮など、皮脂の分泌が多い部分に赤みやフケのようなカサつきが見られます。
    • かゆみを伴うことが多いです。
  • 接触皮膚炎(かぶれ)
    • 化粧品や衣類、金属など、皮膚に触れたものが原因で起こる炎症です。
    • 接触した部分に境界がはっきりした赤みやブツブツ、かゆみが生じます。
  • アトピー性皮膚炎
    • 慢性的でかゆみを伴う湿疹が特徴で、顔面にも症状が出ることがあります。
    • 肘や膝の裏など、顔以外の部位にも特徴的な湿疹が見られることが多いです。
  • その他の疾患
    • 全身性エリテマトーデス(SLE)など、自己免疫疾患の一症状として顔に赤みが出ることがあります。

酒さは、これらの他の皮膚疾患と症状が似ているため、ご自身だけで判断することは非常に難しいものです。見た目の問題が気になる場合は、専門家である形成外科や皮膚科の専門医にご相談いただくことが大切です。正確な診断のもとで適切な治療方針を立てることが、改善への最も確実な道筋となります。

酒さの診断基準と検査方法

酒さの診断は、主に患者さんの症状と皮膚の状態を医師が目で見て確認すること(視診)によって行われます。特に形成外科や美容皮膚科では、皮膚の専門家が細かな症状を見極め、他の病気と区別することが重要です。

酒さ診断のポイント 「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」では、酒さの診断について以下の点が重視されています。このガイドラインは、日本皮膚科学会が策定した最新の標準的治療法を示すものです。

  1. 持続的な顔面の紅斑(赤み)
    • 顔の中心部に赤みが続き、特に頬や鼻、額、あごに現れることが特徴です。
    • 一時的なものではなく、常に赤みが認められることがポイントです。
  2. 酒さ特有の症状の有無
    • 丘疹や膿疱
      • ニキビのような赤いブツブツや膿を持つブツブツがあるかを確認します。
    • 毛細血管拡張
      • 拡張した細い血管が皮膚の表面に透けて見えるかを確認します。
    • ほてりやヒリヒリ感
      • 顔が熱くなったり、刺激を感じたりするかを問診で確認します。
    • 鼻瘤
      • 鼻の皮膚が厚くなり、でこぼこしているかを確認します。
    • 眼症状
      • 目の充血や異物感、まぶたの炎症などがあるかを確認します。 これらの症状の組み合わせや強さによって、酒さのタイプが判断されます。

酒さの治療法5選:外用薬からレーザーまで

酒さは、顔の赤みやほてり、ニキビに似たブツブツといった見た目の症状が、患者さんの大きなストレスにつながる皮膚の病気です。形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)として多くの患者さんと向き合う中で、酒さの症状に悩む方々が、どれほど精神的な負担を抱えているかを日々実感しています。しかし、ご安心ください。酒さは適切な治療を受けることで、症状を大きく改善し、肌の見た目をより穏やかにすることができます。

私たちのクリニックでは、患者さん一人ひとりの肌の状態やライフスタイルに合わせた最適な治療法をご提案できるよう、様々な選択肢をご用意しています。ご自身の肌にとって、どのような治療が合っているのかを知ることから始めていきましょう。

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外用薬による酒さ治療の効果と使い方(アゼライン酸・ロゼックスなど)

酒さの治療において、外用薬は非常に重要な役割を担います。特に、軽度から中等度の酒さや、炎症性の赤み、赤いブツブツ(丘疹)の改善に有効性が期待できます。外用薬は、症状が気になる部位に直接アプローチすることで、肌の炎症を鎮め、症状を和らげることを目指します。

代表的な外用薬とその特徴について詳しく見ていきましょう。

  • 0.75%メトロニダゾールゲル(ロゼックスゲル®)
    • 効果
      • この薬は、炎症を抑える作用や細菌の増殖を抑える作用を持ちます。
      • 特に、酒さによる赤いブツブツや膿を持ったブツブツ(膿疱)の改善に高い効果を発揮します。
      • 「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」でも、丘疹膿疱型酒さに対して「強く推奨(A)」されているほど、その効果は確立されています。
    • 使い方
      • 通常、1日に1回から2回、洗顔後に患部へ薄く塗布します。
      • 効果を実感するまでには、数週間かかることがありますので、根気強く続けることが大切です。
      • 効果の持続のためには、症状が落ち着いた後も維持療法として使用が推奨される場合があります。
  • アゼライン酸
    • 効果
      • アゼライン酸は、小麦や大麦などの穀物に含まれる天然由来の酸です。
      • 抗炎症作用や抗菌作用、さらには毛穴の詰まりを改善し、角質層を正常化する作用があります。
      • ニキビ治療薬としても有名ですが、酒さの赤みや炎症、ブツブツの改善にも効果が期待されています。
      • 海外では酒さ治療に広く用いられており、比較的肌への刺激が少ないとされています。
    • 使い方
      • 1日に1回から2回、洗顔後に肌に塗布していただきます。
      • ただし、日本ではアゼライン酸を含む外用薬は保険適用外の自由診療となります。
  • イベルメクチンクリーム(Soolantra®)
    • 効果
      • 酒さの発症には、「顔ダニ(Demodex folliculorum)」という非常に小さなダニの増殖が関与している可能性が指摘されています。
      • イベルメクチンクリームは、この顔ダニの増殖を抑える作用と、強力な抗炎症作用を併せ持ちます。
      • 特に、顔ダニが原因と考えられる炎症性の酒さに対して有効性が期待できます。

酒さを悪化させない!日常のスキンケアと予防策5つ

酒さによる顔の赤みやほてり、ぶつぶつとした症状は、多くの方にとって深刻な悩みとなります。形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)として、多くの患者さんと接する中で、この症状が日々の生活の質にどれほど影響を与えるかを痛感しています。つらい症状を和らげ、改善へと導くためには、専門的な治療はもちろん大切です。しかし、それと同じくらい、日々のスキンケアや生活習慣を見直すことにも大きな意味があります。

ご自身の肌と向き合い、適切なケアを継続することが、酒さの悪化を防ぎ、健やかな肌を維持するための重要な鍵となります。このセクションでは、酒さの症状をコントロールし、快適な毎日を送るための具体的な予防策を5つのポイントに分けて詳しくご説明いたします。

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酒さ悪化の原因となる「トリガー」を知る

酒さの症状は、さまざまな要因によって悪化することが知られています。これらの要因は「トリガー」と呼ばれ、患者さん一人ひとりでその影響の受け方には大きな個人差があります。ご自身のトリガーを正確に把握することは、症状をコントロールするための最初の、そして最も大切な一歩です。

酒さの病態は、遺伝的な体質と環境的な要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています(Ryan S Q Geng et al.の「Rosacea: Pathogenesis and Therapeutic Correlates」より)。そして、これらの誘因が肌の炎症を促進する経路を活性化させ、症状の重症度や多様性につながるのです。

具体的には、以下のようなものが酒さの一般的なトリガーとして報告されています。

  • 温度変化
    • 熱いお風呂やサウナ、激しい運動後の体温上昇、急激な寒暖差は、顔の血行を促進し、赤みやほてりを悪化させることがあります。
  • 紫外線
    • 日焼けは肌に大きなダメージを与え、酒さの症状を悪化させる主要な要因の一つです。
  • 食事
    • 辛い食べ物、熱い飲食物、アルコール、カフェインなどは、血管を拡張させ、顔のほてりを誘発しやすい傾向があります。
    • ただし、尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023では、特定の食べ物の一律制限は推奨されていません。
    • しかし、ご自身にとって症状が悪化すると感じる場合は、回避が重要です。
  • 精神的ストレス
    • 強いストレスや疲労は、自律神経の乱れを通じて、肌のバリア機能低下や炎症を引き起こす可能性があります。
  • 特定の化粧品・スキンケア用品
    • 香料やアルコールなど刺激の強い成分を含む製品や、肌をゴシゴシと擦るような摩擦は、酒さの肌には大きな負担となります。
  • 薬剤
    • ステロイド外用薬の不適切な長期使用は、ステロイド酒さという別の状態を引き起こし、症状を複雑化させる可能性があります。

「Rosacea (Tamara Searle et al.)」の報告でも、食事性および環境的トリガーの特定と回避が、酒さの治療戦略において非常に重要な柱であると強調されています。ご自身にとって何がトリガーになるのかを突き止めるために、症状が悪化した時の状況を記録する「酒さ日記」をつけてみることをお勧めします。例えば、その日に食べたもの、行った活動、使用した化粧品、天候などを細かく記録し、症状との関連性を見つけるように心がけてみてください。この記録が、あなただけのオーダーメイドの予防策を見つける手がかりとなります。

毎日の洗顔と保湿:正しいスキンケアの基本

酒さの肌は非常にデリケートであり、バリア機能が低下していることが少なくありません。そのため、毎日のスキンケアは、肌への負担を最小限に抑え、優しくいたわることが極めて重要です。日本皮膚科学会の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」でも、1日2回の適切な洗顔と低刺激性の基礎化粧品の使用が推奨されています(推奨度C1)。

肌に優しい正しい洗顔方法

  • ぬるま湯で優しく肌を潤す
    • 熱すぎるお湯は肌の乾燥を招き、刺激となるため、人肌程度のぬるま湯を使用してください。
    • 顔全体を優しく濡らし、肌の準備を整えます。
  • たっぷりの泡で包み込む
    • 洗顔料を直接肌につけるのは避けましょう。
    • 泡立てネットなどを使い、レモン1個分くらいのたっぷりの泡を作ります。
    • この泡で肌を包み込むように、指の腹で優しく転がしながら洗ってください。
    • ゴシゴシと擦るような洗顔は、肌のバリア機能をさらに傷つけ、酒さの悪化につながるため絶対に避けてください。
  • 丁寧に洗い残しがないようにすすぐ
    • 泡が残らないように、洗い残しがないよう丁寧にすすぎます。
    • 生え際やフェイスラインは特に洗顔料が残りやすいので、念入りに確認しましょう。
  • 清潔なタオルで軽く水分を拭き取る
    • 清潔で柔らかいタオルを使い、ポンポンと軽く押さえるように水分を拭き取ります。
    • ここでも肌を擦らないことが大切です。

肌を守る正しい保湿方法

洗顔後の肌は、水分が蒸発しやすく非常に乾燥しやすい状態です。そのため、洗顔後は間髪入れずにすぐに保湿することが重要です。

  • 低刺激性の保湿剤を選ぶ
    • 香料、着色料、アルコール、パラベンなどが含まれていない、敏感肌向けの製品を選びましょう。
    • 肌のバリア機能をサポートするセラミドや、水分を保持するヒアルロン酸などが配合されているものが特におすすめです。
    • ご自身で試してみて、刺激を感じないものを選ぶことが大切です。
  • 摩擦を避けて優しく塗布する
    • 化粧水や乳液、クリームなどを塗る際も、肌を擦らないように気をつけましょう。
    • 手のひらで優しく顔全体を包み込むように押さえながら、ゆっくりと肌に浸透させます。
    • 乾燥が気になる部分には、重ね付けするのも良い方法です。

毎日の積み重ねが肌の状態を大きく左右します。正しいスキンケアを習慣にすることで、酒さの症状が落ち着き、肌の安定につながります。

紫外線対策とメイクの注意点

紫外線は酒さの症状を悪化させる大きな要因の一つであり、その影響は軽視できません。適切な紫外線対策は、酒さの治療と予防において欠かせない要素です。日本皮膚科学会の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」でも、適切な遮光が酒さのスキンケア指導において推奨されています(推奨度C1)。紫外線は肌の炎症を誘発し、赤みやほてりを増強させるだけでなく、毛細血管の拡張を促す可能性も指摘されています。

効果的な紫外線対策

  • 肌に優しい日焼け止めを選ぶ
    • 紫外線吸収剤不使用(ノンケミカル処方)で、肌への刺激が少ない紫外線散乱剤(酸化亜鉛、酸化チタンなど)を主成分とするものを選びましょう。
    • SPF30~50、PA+++程度のものが日常使いには適しています。
    • 汗で流れやすい場合はウォータープルーフタイプを選び、こまめに塗り直すことが大切です。
    • 使用前には腕の内側などでパッチテストを行い、刺激がないか確認することも重要です。
  • 物理的な遮光を徹底する
    • 日焼け止めだけでなく、日傘や広いつばの帽子、UVカット効果のあるサングラスや衣類の着用も非常に効果的です。
    • 特に日差しの強い午前10時から午後2時の時間帯は、できるだけ外出を控えることも検討しましょう。
    • 建物の陰や木陰を利用するなど、直射日光を避ける工夫も有効です。

メイクの注意点

酒さによる赤みやぶつぶつをカバーしたいという気持ちは、多くの患者さんが抱える共通の思いです。しかし、メイクの選び方や方法によっては、肌に負担をかけ、症状を悪化させてしまう可能性もあります。

  • 低刺激性の化粧品を選ぶ
    • 敏感肌用のファンデーションやコンシーラーを選び、肌に優しい成分で構成されているか確認しましょう。
    • ミネラルファンデーションなども、肌への負担が少ない選択肢の一つです。
    • 試供品などで肌に合うかを確認してから購入することをお勧めします。
  • 厚塗りを避けて優しく塗る
    • 厚塗りは肌の呼吸を妨げ、毛穴を塞ぐことで症状を悪化させる可能性があります。
    • 気になる部分だけをポイントでカバーし、顔全体は薄くナチュラルに仕上げるのが理想的です。
    • 指やスポンジで優しく、ポンポンと叩き込むように塗布しましょう。
  • グリーンのコントロールカラーを活用する
    • 赤みを自然に補正するためには、グリーンのコントロールカラーを下地として使うと効果的です。
    • 厚塗りせずに、肌全体の色ムラを均一に近づけることができます。
  • 丁寧なクレンジングを心がける
    • メイクを落とす際は、肌への負担が少ないミルクタイプやジェルタイプ、あるいは石鹸で落とせるタイプのクレンジング剤を選びましょう。
    • ゴシゴシ擦らず、優しくなでるようにメイクを浮かせ、ぬるま湯で丁寧に洗い流してください。
    • メイクが肌に残ると、肌トラブルの原因になるため、完全に落とすことが大切です。

食事・生活習慣で酒さをコントロールする方法

酒さの症状は、日々の食事や生活習慣にも深く関係しています。体全体の健康状態が肌に反映されるため、内側からのケアも非常に重要です。日本皮膚科学会の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」では、特定の食べ物の一律制限は推奨されていません(推奨度C2)。これは、食べ物と酒さの関連性について、全ての人に共通する明確なエビデンスが不足しているためです。しかし、個々の患者さんにとって症状を悪化させる可能性のある要因を避けることは、症状のコントロールに有効だと考えられています。

食事のポイント

  • トリガー食品の回避を検討する
    • 辛いもの、熱すぎる飲食物、アルコール、カフェイン(コーヒーなど)は、顔の血行を促進し、ほてりや赤みを悪化させる可能性があります。
    • 「Rosacea (Tamara Searle et al.)」でも、食事性トリガーの回避が治療戦略の一つとして挙げられています。
    • これらの食品を摂取した際に症状が悪化すると感じる場合は、しばらく摂取を控えてみて、肌の状態に変化があるかを確認することをお勧めします。
    • 完全に避けるのではなく、少量ずつ試しながら、ご自身の許容量を知ることも大切です。
  • バランスの取れた食事を心がける
    • 体全体の健康を維持することは、肌の健康にも直結します。
    • ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富な野菜や果物、良質なタンパク質を積極的に摂り、バランスの取れた食事を心がけましょう。
    • 加工食品や高脂肪食の過剰摂取は、体内の炎症を促進する可能性も指摘されており、注意が必要です。

生活習慣のポイント

  • ストレス管理の重要性
    • ストレスは酒さの症状を悪化させる大きな要因の一つとして認識されています。
    • 心身の緊張は、自律神経のバランスを崩し、肌の炎症反応を強めることがあります。
    • 十分な睡眠時間を確保し、趣味の時間を作る、軽い運動を取り入れる、リラックスできる音楽を聴くなど、ご自身に合った方法でストレスを解消する工夫をしましょう。
    • 規則正しい生活リズムも、心身の安定には欠かせません。
  • 適度な運動を取り入れる
    • 血行促進に効果的な適度な運動は大切ですが、激しい運動で体温が上がりすぎると、顔のほてりが悪化することもあります。
    • ウォーキングやヨガなど、無理なく継続できる範囲で、ご自身に合った運動を見つけることが大切です。
    • 運動中や運動後に顔が赤くなる場合は、休憩を挟んだり、冷たいタオルで冷やしたりするなどの工夫も有効です。
  • 禁煙のメリット
    • 喫煙は肌の老化を早めるだけでなく、血管を収縮させたり、血行を悪くしたりすることで酒さの症状にも悪影響を及ぼす可能性があります。
    • 禁煙は、肌の健康だけでなく、全身の健康にとっても非常に有益な選択です。

専門医選びと長期的な治療計画の重要性

酒さは「治療法のない慢性炎症性疾患である」という認識が専門家の間では共有されています(Ryan S Q Geng et al.の「Rosacea: Pathogenesis and Therapeutic Correlates」より)。しかし、この事実を知ったからといって悲観する必要はありません。適切な診断と、患者さん一人ひとりに合わせた治療計画を立て、それを長期的に継続することで、症状を大きく改善し、肌の見た目をより穏やかに保つことが十分に可能です。

形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)として、私たちは肌の機能的な改善だけでなく、患者さんの抱える見た目の悩み、精神的な負担も考慮した総合的な治療を提供しています。酒さの治療には、患者さんの症状のタイプや重症度、ライフスタイルに合わせて、多様な選択肢があります。

酒さの主な治療選択肢

  • 外用薬による治療
    • 0.75%メトロニダゾールゲル(ロゼックスゲル®)
      • 炎症を抑え、酒さによる赤いブツブツや膿を持ったブツブツ(膿疱)の改善に高い効果を発揮します。
      • 日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」でも、丘疹膿疱型酒さに対して「強く推奨(A)」されています。
    • アゼライン酸

DRX AZAクリア

1980円(税込)

      • 抗炎症作用、抗菌作用、角質層の正常化作用を持ち、赤みや炎症、ブツブツの改善に効果が期待できます。
      • 海外では酒さ治療に広く用いられており、比較的肌への刺激が少ない天然由来の成分です。
      • 日本では保険適用外となりますが、当クリニックで処方可能です。
    • イベルメクチンクリーム(Soolantra®)
      • 酒さの原因の一つとされる「顔ダニ(Demodex folliculorum)」の増殖を抑え、強力な抗炎症作用を併せ持ちます。
      • 特に顔ダニが関与する炎症性の酒さに対して有効性が期待できます。
  • 内服薬による治療
    • ドキシサイクリン(ビブラマイシン®など)
      • 少量を長期的に服用することで、抗菌作用だけでなく、酒さの炎症を抑える効果が期待できます。
      • 「Rosacea (Tamara Searle et al.)」でも、難治性疾患には経口ドキシサイクリン40mg徐放性製剤が単独または他の治療法と組み合わせて使用されると述べられています。
  • レーザー・光治療

    • 赤みや毛細血管拡張には、光治療が非常に有効です。
    • 当クリニックでは、ステラM22という先進的な光治療機器を導入しており、酒さの赤みに対して高い効果が期待できます。
    • 特に、血管に特異的に反応するVascular filterを使用することで、拡張した毛細血管に効率的にアプローチし、赤みの改善に繋げることができます。
    • 日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」でも、紅斑毛細血管拡張型酒皶にはパルス色素レーザーなどが「選択肢の一つとして推奨(C1)」されています。

酒さの治療は、自己判断だけで市販薬を使用したり、症状が少し落ち着いたからといって治療を中断したりすると、症状が悪化したり再発したりするリスクがあります。定期的に専門医の診察を受け、現在の症状に適した治療法を継続することが大切です。私たちは、患者さんの肌の状態や経過を細かく診察し、その時々に最も適した治療プランを提案することで、酒さという慢性的な病気と上手に付き合い、より良い肌の状態を維持できるようサポートいたします。

Q&A

Q1: 酒さは一度治ると再発しないのでしょうか? A1: 残念ながら、酒さは慢性的な経過をたどることが多く、一度症状が落ち着いたとしても、体調や環境の変化、またはトリガーに触れることなどで再発する可能性があります。そのため、症状が安定した後も、日々のスキンケアや生活習慣の改善を継続し、必要に応じて維持療法を行うことが再発予防には非常に重要です。自己判断で治療を中断せず、定期的な専門医の診察と指導のもと、長期的に肌の状態を管理していくことが大切です。

Q2: 妊娠中や授乳中でも酒さの治療はできますか? A2: 妊娠中や授乳中の酒さ治療については、使用できる薬剤が限られる場合があります。例えば、内服薬の一部は胎児や乳児への影響を考慮し、使用が推奨されないことがあります。しかし、外用薬の中には比較的安全に使用できるものもあります。ご自身で判断せずに、必ず妊娠していること、または授乳中であることを医師に伝え、安全な治療法について相談してください。肌への負担を最小限に抑えながら、症状をコントロールする方法を一緒に考えていきましょう。

Q3: 酒さの赤みはメイクで隠しても大丈夫ですか? A3: 酒さによる赤みをメイクでカバーすることは可能です。しかし、肌への負担を考慮し、使用する化粧品の選び方とクレンジングの方法には細心の注意が必要です。刺激の少ない、敏感肌用の化粧品を選び、肌を擦らないように優しく塗布することが大切です。また、帰宅後はメイクが肌に残らないよう、早めに、そして丁寧にクレンジングを行いましょう。厚塗りや、毛穴を塞ぐような密閉性の高いメイクは、肌の呼吸を妨げ、症状を悪化させる可能性があるため避けるようにしてください。

最後に

酒さの治療は、患者さんお一人おひとりの症状の現れ方や、ライフスタイルに合わせたオーダーメイドの治療計画が成功の鍵となります。当クリニックでは、形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)として、最新の知見と治療法に基づき、患者さんの肌の状態を丁寧に診察し、最適な治療プランをご提案しています。

赤みやほてり、ぶつぶつといったお悩みを抱え、「どうすれば良いか分からない」と迷っている方は、ぜひ一度ご相談ください。私たちは、症状の改善だけでなく、患者さんが健やかな肌と自信を取り戻し、前向きな毎日を送れるよう、全力でお手伝いさせていただきます。お気軽にお問い合わせください。

まとめ

酒さは顔の赤みやほてり、ブツブツなど、見た目の症状が患者様にとって大きな精神的負担となる慢性的な皮膚疾患です。 しかし、ご安心ください。一人ひとりの症状やライフスタイルに合わせたオーダーメイドの治療計画と、日々の適切なスキンケアを継続することで、症状を大きく改善し、肌の状態を穏やかに保つことが十分に可能です。

自己判断で悩みを抱え込まず、専門医による正確な診断と適切な治療を受けることが、健やかな肌と自信を取り戻す大切な一歩となります。当クリニックでは、患者様に寄り添い、最適な治療プランをご提案いたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございます。

症状や治療について「これって相談していいのかな?」と迷われている方も、どうぞお気軽にご来院ください。

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参考文献

  1. Mirjana G Ivanic, Aislyn Oulee, Alexandra Norden, Sogol S Javadi, Michael H Gold, Jashin J Wu et al. Neurogenic Rosacea Treatment: A Literature Review.
  2. Tamara Searle et al. Rosacea.
  3. Ryan S Q Geng, Adrienn N Bourkas, Asfandyar Mufti, R Gary Sibbald, Ryan S Q Geng et al. Rosacea: Pathogenesis and Therapeutic Correlates.
  4. 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023.
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