子どもに多い水いぼ|伝染性軟属腫の見分け方と治療

お子様の肌に、小さなブツブツとしたできものを見つけて「これはいったい何だろう?」とご心配になる親御様は多いことと存じます。もしそれが水いぼ(伝染性軟属腫)だと診断された場合、治療の痛みや周りの人への感染リスク、プールでの過ごし方など、様々な不安が頭をよぎるかもしれません。
Molluscipoxウイルスが原因で起こる水いぼは、決して珍しい病気ではありません。この記事では、水いぼの基本的な知識、痛みを最小限に抑える治療法、そして感染拡大を防ぐための具体的な対策までを分かりやすくご紹介します。お子様の肌の健康を守り、ご家族が安心して対応できるよう、ぜひ最後までお読みください。
水いぼ(伝染性軟属腫)の基本知識5つ
お子様の肌に、小さなブツブツとしたできものを見つけて「これはいったい何だろう?」とご心配になる親御様は多いことと存じます。もしそれが水いぼだと診断された場合、その治療法や痛みに不安を感じたり、周りの人にうつしてしまうのではないかと心配になったりするかもしれません。水いぼは決して珍しい病気ではなく、適切な知識と対処法を知ることで、落ち着いて対応ができます。当院は皮膚科・形成外科として、お子様のデリケートな肌の状態を丁寧に診察し、痛みを最小限に抑え、傷跡が残りにくい治療を心がけております。ここでは、水いぼ(伝染性軟属腫)の基本的な情報から、親御様が知っておきたい大切なポイントまで、形成外科医の視点も交えながら分かりやすくご説明いたします。

水いぼの見た目と初期症状
水いぼ(伝染性軟属腫)は、Molluscipoxウイルス属のポックスウイルスによって引き起こされる皮膚の感染症です。お子様の皮膚にできると、特に親御様は見た目の変化に気づきやすいでしょう。典型的な水いぼは、直径2ミリから5ミリ程度の、光沢を帯びたドーム状の小さなできものです。その最も特徴的な点は、中心に小さなくぼみ(臍窩:さいか)があることです。このくぼみは、水いぼを見分けるための重要な手がかりとなります。
初期の段階では、皮膚と同じ色をしているか、わずかにピンクがかった色合いで、触ると少し硬く感じることもあります。体のどこにでも現れる可能性はありますが、摩擦が起こりやすい部分や、皮膚のバリア機能が低下している部分、例えば脇の下、胸、お腹、腕や足などによく見られます。時にかゆみを伴うことがあり、かきむしってしまうと、水いぼが破れて中のウイルスが周囲の皮膚に広がり、数が増えてしまう恐れがあります。
特に、皮膚の乾燥が気になるアトピー性皮膚炎のお子様は、皮膚のバリア機能が低下しているため、水いぼが広がりやすい傾向にあります。水いぼは「良性で自己限定的な発疹」であるとされていますが、気になる症状が見られたら、早めに皮膚科や小児科を受診し、適切な診断を受けることが大切です。形成外科医として、初期の段階で正しい診断と治療の方向性を定めることが、お子様の肌を守る上で非常に重要だと考えています。
水いぼの原因となるウイルスと主な感染経路
水いぼ(伝染性軟属腫)は、Molluscum contagiosum virus (MCV) というウイルスが原因で起こる皮膚の感染症です。このウイルスは、Poxviridae科のMolluscipoxvirus属に分類される「皮膚親和性ウイルス」です。この「皮膚親和性」とは、ウイルスがヒトの皮膚の表層にあるケラチノサイトという細胞に感染しやすい性質を持っていることを意味します。感染が成立してから、実際に皮膚に特徴的な丘疹(きゅうしん)として現れるまでには、2週間から6週間ほどの潜伏期間があるのが一般的です。
MCVはヒトにのみ感染し、体の中を巡る「ウイルス血症」は引き起こしません。しかし、ウイルスは巧妙なメカニズムを持っています。様々なシグナル伝達経路を通じて、宿主の免疫応答を回避するための複数の阻害タンパク質をコードしていることが分かっています。これにより、体の免疫システムからの攻撃をかわし、皮膚での感染が持続しやすくなると考えられています。
水いぼの主な感染経路は、「直接接触」と「間接接触」の二つです。
- 直接接触による感染 水いぼを持つ人との皮膚と皮膚の直接的な触れ合いによってウイルスがうつります。例えば、兄弟姉妹や友人との遊びの中で、手をつないだり、抱き合ったりする際に感染することがよくあります。特に、水いぼを掻きむしって中のウイルスが露出した状態の病変と、他の人の皮膚が触れることで感染のリスクが高まります。
- 間接接触による感染 タオル、バスタオル、衣服、水泳のビート板、おもちゃなど、水いぼのウイルスが付着した物を介して感染が広がることもあります。特にプール施設など、多くの人が共有する物品が多い場所では、間接接触による感染リスクがあるため注意が必要です。ご家庭でのタオルの共有を避けることや、お子様の肌に触れるものを清潔に保つことが、感染予防にはとても大切です。
大人にもうつる?性行為での感染リスク
水いぼは小さなお子様によく見られる皮膚の病気というイメージが強いかもしれません。しかし、実は大人も感染する可能性があります。Molluscum contagiosum virus (MCV)は年齢に関わらず感染するウイルスで、特に免疫力が低下している方や、皮膚のバリア機能が損なわれている方は感染しやすい傾向にあります。
水いぼの主な治療法と痛みを和らげる工夫
お子様の肌に水いぼを見つけた際、親御様は「どのように治療したら良いのだろう」「痛みはどれくらいあるのだろう」「跡は残らないだろうか」といった不安をお持ちになることと存じます。水いぼは決して珍しい皮膚の感染症ではありませんが、その治療法は多様であり、お子様の年齢や水いぼの数、できている部位、そして肌の状態によって最適な選択肢が異なります。当院は形成外科専門医として、お子様のデリケートな皮膚への負担を最小限に抑え、できる限り治療跡を残さないよう細心の注意を払っております。お子様一人ひとりの状態と親御様のご希望に合わせ、最も適した治療法を丁寧に提案いたします。

ピンセットで水いぼを除去する流れと注意点
ピンセットによる水いぼの除去は、特に水いぼの数が比較的少ない場合に推奨される、確実性の高い治療法の一つです。この方法は、水いぼの中に存在するウイルスを含んだ白い芯を直接取り除くことで、再発のリスクを効果的に減らすことが期待できます。当院では、お子様の肌に優しい治療を心がけております。
【除去の具体的な流れ】
- 麻酔テープの準備 治療の約30分から1時間ほど前に、水いぼの上に麻酔テープを貼ります。これにより、皮膚の感覚を鈍らせ、痛みを和らげます。
- 治療部位の消毒 治療を行う部位を丁寧に消毒し、清潔な状態に整えます。
- トラコーマ鑷子による摘除 先端がリング状になった「トラコーマ鑷子(せっし)」という特殊なピンセットを使用します。この専用のピンセットは、水いぼの白い芯を的確に包み込み、周囲の皮膚に余計な負担をかけないよう、一つひとつ丁寧に摘み取ることが可能です。
- 止血 摘除後は、ごく少量の出血が見られることがありますが、清潔なガーゼなどで軽く圧迫することで、通常はすぐに止まります。

【注意点】
- 早めの処置が重要 水いぼの数が少ないうちに処置を行うことで、お子様が感じる痛みを抑え、治療にかかる回数を減らすことができます。これが最も確実な治療法の一つと言えるでしょう。
- ご家庭での自己処置は厳禁 ご家庭で無理に水いぼを潰したり、一般的なピンセットで取り除こうとすると、感染や炎症を引き起こす恐れがあります。また、跡が残りやすくなるリスクも高まります。必ず医療機関を受診し、適切な処置を受けてください。
- 形成外科専門医の配慮 当院では、形成外科専門医として、治療跡が目立たないよう細心の注意を払いながら処置を行います。
麻酔テープの効果的な貼り方と使用上のポイント
水いぼの治療において、お子様の痛みを和らげるために非常に有効なのが麻酔テープです。特に「ペンレス」という麻酔テープは、水いぼの摘出時に痛みを軽減するために使用され、2012年からは保険適用で使えるようになりました。ただし、一度の治療につき2枚までという枚数制限がありますので、それ以上をご希望の場合は自費となることがあります。
【効果的な貼り方】
- 水いぼ全体を覆うように 水いぼの大きさに合わせてテープをカットし、水いぼ全体をしっかりと覆うように密着させます。テープが小さすぎると、十分な麻酔効果が得られない可能性があります。
- 皮膚にしっかり密着させる テープが皮膚から浮かないよう、しっかりと貼り付けてください。特に動きの多いお子様の場合、上から絆創膏や医療用テープで固定すると、剥がれにくく、効果を保ちやすくなります。
- 治療の前に貼る 治療の約30分から1時間前に貼ることで、十分な麻酔効果が期待できます。来院される前にご自宅で貼っていただくことも可能ですので、診察時にご相談ください。

【使用上のポイント】
- 効果には個人差があります 麻酔テープの効果には個人差があります。すべてのお子様が完全に痛みを感じなくなるわけではありませんが、痛みをかなり和らげることができます。
- 皮膚トラブルに注意 まれに、テープを貼った部分がかぶれたり、アレルギー反応が出たりすることがあります。もし、赤みやかゆみ、水ぶくれなどの症状が見られた場合は、すぐにテープを剥がし、医師に伝えてください。
- 清潔な皮膚に貼る テープを貼る前には、皮膚を清潔にして水分をよく拭き取っておきましょう。
- お子様への声かけ 「魔法のシールだよ」「これを貼ると痛くなくなるよ」などと優しく声をかけて、お子様の不安な気持ちを和らげてあげることも大切です。
痛みの少ない治療法と子供への負担を減らす方法
お子様の水いぼ治療では、何よりも痛みを少なくし、心身の負担を減らすことが大切です。最近では、麻酔テープの活用に加え、痛みを感じにくい新しい治療薬の登場も期待されています。
【カンタリジン外用薬(ワイキャンス)による治療】
2025年9月には、鳥居薬品から「ワイキャンス(一般名:カンタリジン)」という新しい外用薬が保険適用で登場しました。この薬は、Verrica Pharmaceuticals社によって開発され、米国では2023年7月に成人及び2歳以上の小児患者を対象とした伝染性軟属腫の適応症で製造販売承認を取得し、同年8月から米国で販売されています。海外の大規模臨床試験では、約半数の小児患者で伝染性軟属腫が完全に消失するという高い効果が示されました。同時に痛み、赤み、かゆみといった副反応も多く報告されていますが、ピンセットや液体窒素による処置と比較して、処置時の痛みは少ないという特徴があります。日本国内では、これらの海外データを国内で実施された臨床試験の成績を基に、2025年9月19日に鳥居薬品が製造販売承認を取得しました。日本国での臨床試験でも、プラセボに対する優越性が確認されています。水いぼ治療のゲームチェンジャーになり得る薬として期待されています。当院でもワイキャンスの処方を行っております。
水いぼの感染拡大を防ぐ日々の対策3選
お子様に水いぼが見つかると、ご家族は感染が広がらないか、他の子にうつしてしまわないかとご心配になることと存じます。水いぼ(伝染性軟属腫)は、Molluscipoxウイルス属のポックスウイルスが原因で起こる皮膚の感染症です。このウイルスは皮膚の表層に感染する性質を持ち、主に直接的な皮膚接触や、ウイルスが付着した物を介して広がります。形成外科専門医として、水いぼは良性の疾患ではありますが、見た目の問題や周囲への感染拡大を防ぐためにも、日々の生活の中で適切な対策を心がけることが大切だと考えています。ここでは、ご家庭でできる感染予防と、幼稚園・保育園・プールでの過ごし方、そしてもし再発してしまった場合の対応について詳しくご説明いたします。

幼稚園・保育園・プールはOK?登園・登校の目安
水いぼ(伝染性軟属腫)は、主に直接的な皮膚接触や、タオル・遊具といった汚染された物(これを「フォマイト」と呼びます)を介して広がります。そのため、幼稚園や保育園、学校、そしてプールなどで他のお子さんにうつしてしまうのではないかと心配になるのは当然のことでしょう。しかし、多くの場合、水いぼがあっても登園・登校やプールに入ることが可能です。
登園・登校・プールの判断基準 文部科学省の学校保健安全法施行規則では、伝染性軟属腫(水いぼ)は「学校において予防すべき感染症」には含まれていません。これは、通常の学校生活を送る上で、過度な制限を設ける必要はないという考えに基づいています。しかし、以下の点を考慮し、それぞれの施設と相談して判断することが大切です。
- 水いぼの数と範囲 数が少なく、露出していない部位にある場合は、感染リスクが低いと判断されることが多いです。
- 皮膚の状態 アトピー性皮膚炎などで皮膚が乾燥していたり、バリア機能が低下しているお子様は、水いぼが広がりやすいため、より注意が必要です。皮膚のバリア機能が低下していると、ウイルスが侵入しやすくなります。
- 患部の保護 水いぼをガーゼや絆創膏で覆い、直接的な接触を防ぐことができれば、感染拡大のリスクを減らせます。特にプールでは、水いぼがこすれたり、他の子に直接触れたりする機会が増えるため、防水性のある絆創膏などでしっかり覆うようにしてください。
プール利用時の注意点 水いぼの原因ウイルスは、プールの水を介して感染することはありません。しかし、ビート板や浮き輪などの共用具、タオル、そして肌と肌との直接接触によってうつることが考えられます。
まとめ
お子様の肌に水いぼを見つけ、ご心配されている親御様もいらっしゃるのではないでしょうか。水いぼは決して珍しい病気ではありませんが、感染拡大への不安や治療への心配はつきものですね。
当院では、形成外科医としてお子様のデリケートな肌を第一に考え、痛みを和らげる工夫や、傷跡を残しにくい治療を心がけております。ピンセットによる丁寧な除去や麻酔テープの活用など、お子様一人ひとりに合わせた最適な治療法をご提案いたします。
また、日々の生活での対策や登園・登校の目安を知ることで、感染拡大を防ぎながら安心して過ごせます。
もし、水いぼについてご不安なこと、ご不明な点がございましたら、どうぞお気軽に当院までご相談ください。お子様の健やかな成長をサポートできるよう、一緒に最善の道を考えていきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございます。
症状や治療について「これって相談していいのかな?」と迷われている方も、どうぞお気軽にご来院ください。
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参考文献
- Eichenfield LF, Siegfried E, Kwong P, McBride M, Rieger J, Glover D, Willson C, Davidson M, Burnett P, Olivadoti M. Pooled Results of Two Randomized Phase III Trials Evaluating VP-102, a Drug-Device Combination Product Containing Cantharidin 0.7% (w/v) for the Treatment of Molluscum Contagiosum.
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- Molluscum contagiosumガイドライン2023
- Epstein WL. Molluscum contagiosum.
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