名古屋市「新瑞橋」美容外科・美容皮膚科・形成外科・一般皮膚科

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顔の擦過創〜傷を残さず、綺麗に治すためには〜

顔に擦り傷ができてしまった時、「この傷、跡になったらどうしよう」と不安に感じるのは当然のことでしょう。特に人目につきやすい顔の傷は、その後の見た目や心に大きな影響を与えかねません。

かつては「消毒して乾燥させ、かさぶたにする」のが良いとされていましたが、現代の医療では「消毒は不要」という新たな常識が広まっています。形成外科専門医として、私たちは顔の擦り傷を跡に残さず綺麗に治すための最新の知識と技術を提供します。

この記事では、ご自宅でできる正しい応急処置から、傷跡を最小限に抑える湿潤療法の活用法、そして早く治すために避けるべきNG行動までを徹底解説。わずかな初期対応の差が、その後の結果を大きく左右します。あなたの顔の傷を、できる限り美しく治すための一歩を、ぜひここから踏み出しましょう。

顔の擦過創〜傷を残さず、綺麗に治すためには〜

顔にできた擦り傷は、見た目にも気になり、早く治したい、そして何よりも傷跡を残さずきれいに治したいと誰もが願うことでしょう。特に顔は露出する部分であり、人目につきやすいため、心にも大きな負担となることがあります。形成外科専門医、そして美容外科専門医として、患者さんのそうした不安に寄り添いながら、顔の擦り傷を適切にケアし、より良い結果を得るための大切な知識をお伝えします。

顔の擦過創でまず知るべき3つのこと:正しい応急処置と消毒の真実

顔の擦過創とは?定義と一般的な症状

顔の擦過創(さっかそう)とは、転倒や衝突、あるいは鋭利ではないものとの接触などによって、皮膚の表面が擦りむけた状態の傷のことです。医学的には、皮膚の最も外側にある「表皮」や、その下にある「真皮」の浅い部分が損傷した状態を指します。顔の皮膚は薄く、他の部位に比べて血管や神経が多いため、浅い擦過創であっても比較的出血しやすく、ヒリヒリとした痛みを感じやすい特徴があります。

また、顔の擦過創では、受傷時に土や砂、アスファルトの破片などの異物が傷に入り込みやすいのも特徴です。異物がそのまま傷に残ってしまうと、治癒後にその部分が黒っぽく残る「外傷性刺青(がいしょうせいしせい)」の原因となることがあり、見た目に大きな影響を及ぼすことがあります。

外傷性刺青 (a)治療前、(b)治療後

一般的な症状としては、次のようなものが挙げられます。

  • 出血
    • 浅い傷でも毛細血管が損傷するため、点状のにじむような出血が見られます。
  • 痛み
    • 皮膚の神経終末が露出するため、焼けるような、あるいはヒリヒリとした痛みが伴います。
  • 腫れ
    • 炎症反応として、傷の周囲が赤く腫れて熱を持つことがあります。
  • 滲出液(しんしゅつえき)
    • 傷を治すための細胞成分や水分を含む透明な液体が出てくることがあります。
  • 異物の混入
    • 受傷時に付着した泥や砂、小さなガラス片などが傷口に残ることがあります。

顔の傷は、傷跡が残ると非常に目立ちやすいため、初期の段階での適切な処置が、その後の治り方や傷跡の残り具合に大きく影響することをぜひ知っておいてください。

傷を悪化させない!自宅でできる正しい応急処置

もしも顔に擦り傷を負ってしまったら、まずは落ち着いて、次に紹介する応急処置を行いましょう。この初期対応が、傷の治り具合や、傷跡が残るかどうかを左右する重要なポイントとなります。

自宅でできる正しい応急処置の手順は以下のとおりです。

  1. 手を洗う
    • 傷に触れる前に、石けんと流水で手をしっかりと洗い、清潔に保つことが基本です。
    • 傷口への細菌の侵入を防ぐために、このステップは特に大切です。
  2. 洗浄
    • 清潔な水道の流水で、傷口の汚れや異物を優しく洗い流しましょう。
    • 日本皮膚科学会のガイドラインでも推奨されているように、生理食塩液、蒸留水、または管理された水道水を用いることが効果的です。
    • 特に顔の傷は、土や砂が入り込みやすいため、異物が残らないよう丁寧な洗浄が非常に大切です。
    • 無理にゴシゴシ擦らず、シャワーなどの水圧を利用して、傷の奥まで洗い流すイメージで行いましょう。
  3. 止血
    • 清潔なガーゼやハンカチなどで傷口を優しく、しかししっかりと押さえ、出血を止めます。
    • しばらく圧迫すれば、ほとんどの擦過創は止血できます。
    • 傷を触りすぎると、再度出血する可能性があるため、注意してください。
  4. 保護
    • 止血ができたら、清潔なガーゼや、可能であれば後述する創傷被覆材などで傷口を覆い、保護します。
    • この時点から、傷を乾燥させない「湿潤環境」を意識することが、きれいに治すための鍵となります。

破傷風の心配について 特に屋外で土や泥に触れた傷の場合、傷口から破傷風菌が侵入する可能性があります。破傷風は重篤な感染症であり、発症すると全身の筋肉のこわばりやけいれんを引き起こし、命に関わることもあります。過去10年以内に破傷風の予防接種を受けていない方や、接種歴が不明な方は、傷の深さに関わらず医療機関での相談を強くお勧めします。当院では、必要に応じて破傷風トキソイドの注射を行うことで、感染を予防する対策をとっています。

「消毒は不要」って本当?その理由と正しい洗浄方法

顔の擦り傷に対する応急処置として、「消毒液で殺菌する」というイメージをお持ちの方は多いかもしれません。しかし、現代の創傷治療においては、感染の兆候がなければ消毒は基本的に不要とされています。これは、形成外科や皮膚科の現場で広く採用されている考え方であり、日本皮膚科学会の「創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン(2023)」でも明確に推奨されています。

消毒が不要とされる主な理由は次のとおりです。

  • 健康な細胞へのダメージ
    • 多くの消毒薬は、傷口にいる細菌だけでなく、傷を治そうと活発に働いている健康な細胞(線維芽細胞や上皮細胞など)にもダメージを与えてしまいます。
    • これにより、傷の治りが遅れたり、かえって傷跡が残りやすくなったりする可能性があります。
  • 乾燥の促進
    • 消毒薬の成分によっては、傷口を乾燥させてしまうことがあります。
    • 傷は、適度な湿潤環境でこそ皮膚の細胞が活発に働き、早くきれいに治ることがわかっています。
    • 乾燥した環境では、細胞の動きが阻害され、かさぶたができやすくなり、治癒が妨げられます。

では、どのようにすれば傷口を清潔に保てるのでしょうか? 傷口を清潔に保つためには、消毒ではなく**「洗浄」**が最も重要です。

正しい洗浄方法:

  1. 生理食塩水または清潔な水道水を使用
    • 創傷ガイドラインでも推奨されているように、生理食塩水、蒸留水、または管理された水道水で、傷口を優しく洗い流します。
    • 異物が残らないよう丁寧に、しかし愛護的に(優しく)洗いましょう。
  2. 異物を徹底的に除去
    • 特に顔の擦過創は、砂や土、アスファルトの破片などが混入しやすいため、丁寧に洗浄し、異物を完全に除去することが大切です。
    • 異物が残ると、色素沈着(外傷性刺青)の原因になったり、感染リスクを高めたりします。
  3. 石けんの使用は傷口周囲に
    • 傷口の周りの皮膚は、刺激の少ない石けんを使って優しく洗いましょう。
    • ただし、石けんが直接傷口に入らないように注意が必要です。

もし、傷口が赤く腫れて熱を持っている、膿が出ているなど、感染が強く疑われる場合は、医師の判断で一時的に消毒薬が使用されることもあります。しかし、その際も、消毒後は洗浄によって消毒薬を十分に除去することが、健康な細胞への影響を最小限にするために非常に重要です。

受診の前に知るべき!やってはいけないNG行動3選

顔の擦り傷を早く、そしてきれいに治すためには、適切な処置だけでなく、「やってはいけないこと」を知っておくことも非常に重要です。自己判断で行ってしまうと、傷跡が残ったり、治りが遅くなったりする原因となる行動がいくつかあります。

やってはいけないNG行動3選

  1. 異物が残ったまま放置すること
    • 土や砂、アスファルトの破片などが傷に残ったままだと、治癒後にその部分が黒っぽい色素沈着として残ってしまうことがあります。
    • これは「外傷性刺青」と呼ばれ、一度できてしまうと治療が非常に難しくなります。
    • 受傷直後に流水でしっかり洗い流すことが重要ですが、ご自身での除去は限界があることがほとんどです。
    • 異物が取りきれないと感じる場合は、形成外科専門医による専門的な処置が必要です。顔の擦過創を綺麗に治すためには、異物を残さない丁寧な洗浄が最も重要であり、形成外科はまさにこの分野の専門科です。
  2. 傷口を乾燥させること
    • 「傷は乾かしてかさぶたにする」という古い考え方は、今は推奨されていません。
    • かさぶたは、実は傷の治癒を妨げるだけでなく、治癒後に傷跡を残りやすくする原因となります。
    • 傷は適度な湿潤環境でこそ、皮膚の細胞が活発に動き、早くきれいに治ることがわかっています(湿潤療法・モイストヒーリング)。
    • 消毒薬の使用も傷口を乾燥させる原因となるため避けましょう。
  3. 自己判断での軟膏や民間療法の使用
    • 傷の状態に合わない市販薬や、根拠のない民間療法を自己判断で使用することは避けましょう。
    • 例えば、傷のタイプによっては特定の成分が刺激になったり、アレルギー反応を引き起こしたりする可能性があります。
    • 中には傷を悪化させる成分が含まれていることもあります。
    • 特に顔の傷はデリケートなため、市販薬を使う場合でも、薬剤師や医師に相談して適切なものを選ぶことが大切です。

これらのNG行動は、傷の治癒を遅らせるだけでなく、色素沈着や目立つ傷跡の原因となることがあります。顔の傷は、傷跡を残さずに綺麗に治すためにも、形成外科専門医による専門的な治療が非常に重要です。ご自身の判断で心配な点があれば、すぐに当院のような形成外科専門医にご相談ください。適切な処置と管理を行うことで、より良い結果を目指すことができます。

傷跡を残さない!最適な創傷被覆材と湿潤療法の活用法

顔にできた擦り傷は、見た目に影響が出やすい場所だからこそ、「この傷跡が残ってしまったらどうしよう」と不安に感じるのは当然のことです。特に顔の傷は、その後の生活にも影響を与えかねないため、傷跡をできる限り残さず、きれいに治したいというお気持ちはよくわかります。形成外科専門医、そして美容外科専門医(JSAPS)として、私たちは皆さまのそうした不安に寄り添い、最善の治療法をご提案しています。傷跡をきれいに治すためには、傷の応急処置だけでなく、その後の適切なケアが非常に重要です。その中でも、特に効果的なのが「湿潤療法」と、それに適した「創傷被覆材」の活用です。異物を残さないように丁寧に洗浄し、創面の状態に合わせた適切なドレッシングを選ぶことが、傷跡を残さないための大切な第一歩となります。

なぜ湿潤療法(モイストヒーリング)が傷跡を残さないのか

湿潤療法とは、傷を乾燥させずに潤った状態を保ちながら治す方法で、「モイストヒーリング」とも呼ばれています。これまでの常識では「傷は消毒して乾燥させ、かさぶたにして治す」と考えられていましたが、最近の研究で、傷口が適度に湿っている方が、より早くきれいに治ることがわかってきました。

乾燥した環境では、傷口の表面に硬い「かさぶた」ができてしまいます。このかさぶたは、一見すると傷を保護しているように見えますが、実は傷を治そうと活発に動く皮膚の細胞(線維芽細胞や上皮細胞など)の移動や増殖を妨げてしまうのです。

一方、湿潤療法では、傷から出てくる滲出液(じゅくじゅくとした透明な液体)をうまく活用します。この滲出液には、傷を治すために必要な成長因子や細胞成分が豊富に含まれています。Zaidal Obagiらのレビューでも示されているように、創傷被覆材の主な目的の一つは、新しい皮膚が作られる「再上皮化」を最適化するために必要な水分を供給することです。

湿潤環境では、これらの有効成分が働きやすい状態が保たれ、細胞がスムーズに増殖・移動し、新しい皮膚が効率よく作られます。これにより、かさぶたができにくくなり、痛みも軽減されるとともに、治癒後の傷跡が目立ちにくくなるという大きなメリットがあります。形成外科の視点から見ても、この湿潤環境の維持こそが、傷跡を最小限に抑えるための極めて重要なポイントであると言えます。

傷の深さ・滲出液で選ぶ!主な創傷被覆材の種類と効果

創傷被覆材は、単に傷を覆うだけでなく、傷を保護し、治癒を促すための重要な役割を担っています。Zaidal Obagiらの研究が示すように、創傷被覆材の主な役割は、物理的なバリアを提供し、傷からの滲出液を吸収し、そして再上皮化に最適な湿潤環境を供給することです。適切な被覆材を選ぶことで、傷の治りを早め、痛みや感染のリスクを減らすことができます。

しかし、被覆材には様々な種類があり、Karen C Broussard, Jennifer Gloeckner Powersらが述べているように、その選択は、創傷の滲出液の量や深さといった創傷の特性に合わせて行う必要があります。形成外科専門医として、患者さんの傷の状態を正確に評価し、最適な被覆材を選ぶことが、最良の結果につながると考えています。Selma Maloumi氏も指摘するように、傷の重症度、深さ、部位、治療期間などを総合的に評価し、患者さんに最適な被覆材を選択することが、治癒率の向上と医療資源の節約にもつながります。

主な創傷被覆材の種類とそれぞれの特性、適応は以下の通りです。

  • ハイドロコロイド材
    • 効果: 傷の滲出液を吸収してゲル状になり、適度な湿潤環境を保ちます。
    • 薄いフィルム状で自己粘着性があり、防水性にも優れているのが特徴です。
    • 適応: 比較的浅い擦り傷や、軽度から中程度の滲出液がある傷に適しています。
    • 顔の擦過創にもよく用いられる、汎用性の高い被覆材です。
  • ハイドロゲル材
    • 効果: 傷に水分を供給し、乾燥した傷や壊死組織(死んだ組織)を軟らかくする効果があります。
    • Seyede Atefe Hosseiniらのレビューでも、ハイドロゲル被覆材が慢性創傷の治癒時間の短縮や閉鎖率の向上に貢献する可能性が示されています。
    • 適応: 乾燥して固くなった傷、あるいは痛みを伴う傷の緩和に有効です。
    • 顔の傷でも、乾燥が強い場合などに選択肢となります。
  • フォーム材
    • 効果: 優れた吸収力があり、中等度から多量の滲出液がある傷に適しています。
    • クッション性があり、外部からの刺激から傷を保護する効果も期待できます。
    • 適応: 深めの傷や、滲出液の量が多い傷に用いられます。
    • 顔の深い傷で滲出液が多い場合に検討されます。
  • アルギン酸塩材
    • 効果: 海藻由来の成分で、多量の滲出液を素早く吸収し、ゲル状になります。
    • 止血作用も期待できるため、出血を伴う傷にも有効です。
    • 適応: 出血を伴う傷や、滲出液が非常に多い傷に適しています。
    • 顔の傷で、特に受傷直後に出血が多い場合などに一時的に使用することがあります。

これらの被覆材の中から、患者さんの傷の状態に最も適したものを選ぶことが、形成外科医としての重要な役割です。

顔の擦過創に最適なハイドロコロイドの特性と使い方

顔の擦り傷は、比較的浅いものが多く、初期の滲出液の量もコントロールしやすい傾向にあります。そのため、多くの場合、ハイドロコロイド材が顔の擦過創の湿潤療法に非常に適しています。形成外科の現場でも、このハイドロコロイド材は頻繁に活用されています。

ハイドロコロイド材が顔の傷に特にメリットがある点は、以下の通りです。

  • 自己粘着性
    • 専用のテープが不要で、直接肌に貼ることができます。
    • 顔に使う場合でも剥がれにくく、見た目も比較的自然な点がメリットです。
  • 防水性
    • 水に強く、貼ったまま洗顔やシャワーが可能です。
    • 日常生活の制限を減らし、清潔を保ちやすいのは患者さんにとって大きな利点です。
  • 細菌バリア
    • 外部からの細菌や汚れの侵入を物理的に防ぎ、感染リスクを低減します。
  • 適度な湿潤環境の維持
    • 傷から出る滲出液を吸収してゲル状になり、最適な潤いを保ちます。
    • これにより、皮膚の細胞が活動しやすい環境が作られ、きれいに早く治ることを助けます。

ハイドロコロイド材の正しい使い方は以下の通りです。ご自宅で処置を行う際の参考にしてください。

  1. 洗浄: まず、傷口を水道水や生理食塩水で、異物(砂や土、アスファルト片など)が残らないように、きれいに丁寧に洗い流してください。特に顔の傷は、小さな異物でも傷跡として残りやすいため、この工程が最も重要です。形成外科医は、この異物除去を徹底することを非常に重視します。
  2. 乾燥: 傷口の周りの皮膚の水分を、清潔なタオルなどで優しく拭き取って乾燥させます。ただし、傷口自体は乾燥させないように注意してください。
  3. 貼付: ハイドロコロイド材は、傷口より一回り大きいサイズ(傷の縁から1cm以上余裕があるもの)を選びます。シワにならないように、指でゆっくりと伸ばすように貼付し、端が浮かないようにしっかりと密着させましょう。
  4. 交換時期: 滲出液を吸収してハイドロコロイド材が白く膨らんでくるのが見られたら、交換の目安です。通常は2~3日ごとですが、滲出液の量が多い場合は1日1回の交換が必要なこともあります。被覆材が剥がれてきたり、汚れたりした場合も早めに交換してください。

ハイドロコロイド材は非常に便利な被覆材ですが、形成外科専門医の指導のもと、適切に選択し使用することが、最良の結果を得るためには不可欠です。自己判断での使用に不安がある場合は、ぜひ一度ご相談ください。

被覆材使用中のトラブル対策と注意点

創傷被覆材を使って湿潤療法を行う際には、いくつかの注意点と、万が一のトラブルへの対策を知っておくことが大切です。

まず、最も重要なのは、被覆材を貼る前の傷口の清潔な洗浄です。形成外科の専門医として強くお伝えしたいのは、傷口に砂や土、汚れなどの異物が残ったまま被覆材を貼ってしまうと、それが感染の原因になったり、異物による刺青のように黒い傷跡(外傷性刺青)として残ってしまったりする可能性があるということです。Karen C Broussard, Jennifer Gloeckner Powersらが強調するように、被覆材を選択する前に、創傷の壊死(死んだ組織)と感染を適切に評価し対処する必要があります。この初期の対応こそが、傷跡をきれいに治すための土台となります。ご自宅での洗浄では不安な場合は、すぐに医療機関を受診してください。

次に、被覆材による肌荒れやかぶれ、かゆみが起こることがあります。これは被覆材の粘着成分や素材に対する肌の反応です。もし赤みやかゆみがひどい場合は、すぐに被覆材の使用を中止し、医師に相談してください。肌に優しいタイプの被覆材に変更したり、適切な処置を行ったりする必要があります。

また、被覆材の下で感染症が起こる可能性もゼロではありません。特に、被覆材を貼っている間は傷口が見えにくいため、感染の兆候を見逃さないように注意が必要です。以下の兆候が見られた場合は、すぐに医療機関を受診してください。

  • 傷口から悪臭がする
  • 傷口の周囲が赤く腫れて、熱を持っている
  • 痛みが強くなる、ズキズキとした拍動性の痛みがある
  • 発熱がある

これらの症状は、細菌感染のサインである可能性があります。Karen C Broussard, Jennifer Gloeckner Powersらのレビューにあるように、治癒の進行に伴って滲出液量や創傷の深さに応じて理想的な被覆材の種類が変化する可能性があるため、変化する治癒環境の認識も成功の鍵となります。自己判断で被覆材を使い続けると、症状が悪化する恐れがあります。

最後に、擦過創では、皮膚が破れた箇所から破傷風菌が侵入し、感染症を引き起こすリスクがあります。これは非常に危険な感染症であり、発症すると全身の筋肉のこわばりやけいれんを引き起こし、命に関わることもあります。特に屋外での受傷や土が触れた可能性がある場合は、破傷風トキソイドの注射による予防が強く推奨されます。最後に接種してから10年以上経過している方や、接種歴が不明な方は、ぜひ医師にご相談ください。

顔の傷は、一人で悩まず、ぜひ形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)にご相談ください。最適な治療とケアで、傷跡を最小限に抑え、きれいな回復を目指しましょう。当院では、患者さんの傷の状態を丁寧に診察し、一人ひとりに合わせた最適な治療計画をご提案しています。


Q&A:顔の擦過創と湿潤療法について

Q1:顔の擦り傷は、いつまで被覆材を貼っておけば良いですか? A1:新しい皮膚が完全に覆われるまで(上皮化が完了するまで)が目安です。傷の深さや大きさによって期間は異なりますが、一般的には数日から2週間程度です。傷の表面が乾いて、赤みが引いてきたら、被覆材を外しても良いタイミングかもしれません。ただし、自己判断が難しい場合は、必ず医師に相談してください。

Q2:被覆材を貼っている間に、傷から白い膿のようなものが出てきました。大丈夫でしょうか? A2:被覆材の下に溜まる白いゲル状のものは、滲出液が吸収されてできるハイドロコロイドのゲルであり、通常は膿ではありません。ただし、悪臭がする、傷の周囲が赤く腫れて熱を持っている、痛みが強くなるといった症状が伴う場合は、感染の可能性があります。すぐに被覆材を外し、医療機関を受診してください。

Q3:顔の擦り傷でも、最初から病院に行った方が良いケースはありますか? A3:はい、以下のような場合はすぐに医療機関を受診することをお勧めします。

  • 傷が深く、出血がなかなか止まらない場合。
  • 土や砂、アスファルトの破片などの異物が傷の奥に入り込んで、自分で取り除けない場合。
  • 傷の周りが大きく腫れている、あるいはひどく痛む場合。
  • 目の周りや唇など、重要な機能部位に近い傷の場合。
  • 破傷風の予防接種を受けていない、または接種歴が不明な場合。
  • 動物に噛まれた傷や、明らかに汚れたものによる傷の場合。

形成外科専門医は、顔の傷跡を残さずきれいに治すための専門家です。少しでも不安を感じたら、迷わず当院にご相談ください。

顔の擦過創を綺麗に治す!受診の目安とアフターケアの注意点

顔に擦り傷を負ってしまったとき、「この傷、跡が残ったらどうしよう」と不安に感じるのは当然のことです。特に顔の傷は人目につきやすく、その後の生活にも大きな影響を与えるため、できる限り綺麗に治したいと誰もが願うことでしょう。形成外科専門医、そして美容外科専門医(JSAPS)として、私たちは顔の擦過創を綺麗に治すためには、適切な初期対応はもちろん、専門家による治療と、治癒後までを見据えた丁寧なアフターケアが非常に大切であると考えています。皆さまのそうした不安に寄り添いながら、適切な情報を提供し、傷跡を残さず美しく治すためのサポートをいたします。

こんな時はすぐ受診!顔の擦過創における緊急性の目安

顔の擦過創は、軽度であればご自宅での応急処置で様子を見ることも可能です。しかし、状況によっては医療機関での専門的な処置が不可欠となるケースも少なくありません。特に顔の傷は、わずかな判断の遅れが傷跡の残りやすさに影響することもあります。次のような状態の場合は、できるだけ早く医療機関、特に形成外科を受診してください。

  • 出血が止まらないとき
    • 清潔なガーゼや布で直接圧迫しても、出血がなかなか止まらない場合。
    • 顔の血管は多いため、見た目以上に長く出血が続くことがあります。
  • 傷が深い、または広いとき
    • 皮膚の最も外側にある表皮だけでなく、その下の真皮層まで達している可能性がある傷。
    • 傷の範囲が広範囲にわたる場合も、医療機関での適切な処置が必要です。
  • 異物が入り込んでいるとき
    • 受傷時に砂利、土、アスファルトの破片、ガラス片などが傷の奥に入り込んでいる場合。
    • ご自身で無理に取り除こうとすると、かえって傷を悪化させたり、異物をさらに奥へ押し込んだりする可能性があります。異物が残ると「外傷性刺青」として色素沈着が残り、治療が困難になるため、専門医による徹底的な異物除去が非常に重要です。
  • 傷がひどく汚れているとき
    • 土や動物のフンなどで汚れていたり、動物による咬傷など、感染のリスクが高いと判断される傷。
    • 特に動物による咬傷は、破傷風だけでなく他の細菌感染のリスクも高まります。
  • 感染の兆候があるとき
    • 傷の周りが赤く腫れている、触ると熱を持っている、痛みが以前より増している、膿が出ているなどの症状が見られる場合。
    • これらの兆候は細菌感染を示唆しており、放置すると治りが悪くなったり、傷跡が目立ちやすくなったりします。
  • 顔の他の部位に影響があるとき
    • 目の近くの傷で視力に異常がある、まぶたの動きがおかしい、鼻や口の機能に影響が出ているなど、重要な機能部位に傷がある場合。
    • 機能障害を防ぐためにも、形成外科専門医による評価と治療が不可欠です。
  • 破傷風の予防が必要なとき
    • 屋外での受傷、土に触れた傷、動物による傷の場合、破傷風菌が侵入する可能性があります。
    • 過去に破傷風の予防接種を受けていない方や、最後の接種から10年以上経過している方は、傷の深さに関わらず医療機関での相談を強くお勧めします。破傷風は重篤な病気になる可能性があるため、破傷風トキソイドの注射などの処置を検討する必要があります。

皮膚科と形成外科、どちらを受診すべきか?選び方のポイント

顔の擦過創で病院を受診する際、「皮膚科と形成外科、どちらに行けば良いのだろう」と迷われる患者さんは少なくありません。それぞれの専門分野と、顔の傷跡治療における形成外科の役割についてご説明します。

  • 皮膚科
    • アトピー性皮膚炎、湿疹、ニキビ、水虫などの皮膚疾患全般の診断と治療を専門としています。
    • 皮膚の病気や一般的な外傷の治療は皮膚科で幅広く対応できます。
  • 形成外科
    • 体の表面にできた変形や欠損を、機能的にも形態的にも改善することを専門とする外科の一分野です。
    • 怪我による傷、やけど、生まれつきの体の異常、がんの手術後の再建など、幅広い治療を行います。
    • 特に「傷跡を綺麗に治すこと」に特化した知識と技術を持っています。

顔の擦過創の場合、傷の深さや状態にもよりますが、「傷跡を残したくない」「できるだけ綺麗に治したい」というご希望が強い場合は、形成外科を受診することをお勧めします。形成外科では、傷跡を目立たなくするための縫合技術はもちろん、異物を残さないための丁寧な洗浄、そして傷の治癒過程を最大限にサポートするための最適な創傷被覆材の選択についても専門的な知識と経験を持っています。

まとめ

顔に擦り傷ができてしまったら、誰もが「傷跡を残さずきれいに治したい」と強く願うことでしょう。そのためには、まず適切な応急処置、特に「丁寧な洗浄」で異物を残さないことが何よりも大切です。そして、傷を乾燥させず、潤った状態を保つ「湿潤療法」が、傷跡を目立たなくする鍵となります。

自己判断での消毒や乾燥は避け、ハイドロコロイド材などの適切な創傷被覆材を活用しましょう。もし、傷が深かったり、異物が取り除けなかったり、感染の兆候が見られたりする時は、迷わず形成外科専門医にご相談ください。早期の適切なケアが、顔の傷をより美しく、きれいに治すための第一歩となります。安心して元の生活に戻れるよう、私たちがお手伝いいたします。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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参考文献

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