名古屋市「新瑞橋」美容外科・美容皮膚科・形成外科・一般皮膚科

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伝染性膿痂疹(とびひ)にキズパワーパッドはNG?対処法を解説

大切なお子様、あるいはご自身の皮膚に、赤みや水ぶくれ、じゅくじゅくとした症状が現れていませんか?それは「とびひ(伝染性膿痂疹)」かもしれません。世界中で1億4千万人以上が罹患し、特に小さなお子様の間で「飛び火」のようにあっという間に広がる感染症です。

そんな身近な病気だからこそ、「早く治してあげたい」と思うのは当然でしょう。しかし、一般的な擦り傷に使う「キズパワーパッド」が、とびひには逆効果になることをご存知でしょうか?実は、誤ったケアは症状を悪化させ、治りを遅らせる原因にもなりかねません。

この記事では、形成外科専門医の視点から、とびひの正しい知識から、やってはいけないNG行為、そして美しくきれいに治すための適切な治療法と自宅ケアまでを詳しく解説。大切な皮膚を感染から守り、健やかな状態を取り戻すために、ぜひ最後までお読みください。

とびひの基礎知識を徹底解説!主な症状と原因

大切なお子様、あるいはご自身の皮膚に、赤みや水ぶくれ、じゅくじゅくとした症状が現れた場合、それは「とびひ」の可能性があります。とびひは非常に身近な皮膚の感染症ですが、その感染力の強さから、あっという間に体のあちこちに広がってしまうことが特徴です。私のような形成外科専門医の立場から見ると、単に病気を治すだけでなく、その後の皮膚の状態、つまり「きれいに治るか、跡を残さないか」という点も非常に重要だと考えています。この章では、とびひという病気が一体どのようなものなのか、その名前の由来や感染経路、そして主な症状や原因について、詳しく解説してまいります。適切な知識を持ち、早期に適切な対処を行うことが、症状を早く改善させ、美しい皮膚を取り戻すために極めて重要です。

とびひ(伝染性膿痂疹)とは?名前の由来と感染経路

とびひは、正式名称を「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」という、皮膚の浅い部分で発生する細菌感染症です。この病気は非常に強い感染力を持ち、特に小さなお子様の間で広がりやすい傾向にあります。世界保健機関(WHO)が示す情報からも、とびひは世界中で1億4千万人以上が罹患している一般的な表在性細菌性皮膚感染症であり、小児に多く見られることが報告されています。

「とびひ」という名称は、「飛び火」が語源となっています。これは、まるで火の粉が飛び散るように、症状が体のさまざまな場所に次々と広がる様子に由来しています。家族内で一人感染者が出ると、あっという間に他の家族にうつってしまうケースも珍しくありません。

とびひの主な感染経路は、以下の二つが挙げられます。

  • 接触感染
    • 患部を直接触れた手や、細菌が付着したタオル、衣類、おもちゃなどを介して、別の人の皮膚へと細菌がうつってしまうことです。
    • 集団生活を送る保育園や幼稚園、学校などでは、特に感染拡大に注意が必要です。
  • 自己感染
    • 自分のとびひの患部をかきむしった手で、体の別の部位に触れてしまうことで、新たな場所に感染が広がってしまう現象です。
    • 皮膚のバリア機能が未熟なお子様は、わずかな傷からでも細菌が侵入しやすいため、感染が拡大しやすい傾向が見られます。

とびひの主な症状3パターンと見た目の特徴

とびひは、大きく分けて二つの主要なタイプに分類されます。それぞれのタイプによって、症状の現れ方や皮膚の見た目の特徴が異なります。

  1. 水ぶくれができるタイプ(水疱性膿痂疹:すいほうせいのうかしん)

    • 症状
      • まず、小さく柔らかい水ぶくれが皮膚に現れることが特徴です。
      • かゆみや痛みは比較的軽い場合が多い傾向にあります。
      • 水ぶくれは非常に破れやすく、破れた後の下には赤くただれた状態(びらん)が残ります。
    • 見た目
      • 破れた水ぶくれからは透明な体液(滲出液)が流れ出し、皮膚がじゅくじゅくとした状態になります。
      • その後、薄いかさぶたが形成され、徐々に回復へと向かいます。
      • 顔や手足、わきの下など、汗をかきやすく皮膚が湿りやすい場所に発生しやすいです。
  2. かさぶたができるタイプ(痂皮性膿痂疹:かひせいのうかしん、または非水疱性膿痂疹:ひすいほうせいのうかしん)

    • 症状
      • 最初は小さな赤いプツプツから始まり、やがて膿を含んだ水ぶくれ(膿疱:のうほう)へと変化します。
      • このタイプは、強いかゆみや痛みを伴うことが多いのが特徴です。
    • 見た目
      • 膿疱が破れると、その部位は皮膚の深い部分までただれることがあります。
      • 独特の「はちみつ色」をした、厚いかさぶたが形成されます。
      • 虫刺されや湿疹、小さな傷を掻き壊した部位にできやすい傾向があります。

特に、はちみつ色の厚いかさぶたができるタイプは、炎症が強く、患部を掻くことで細菌がさらに広がる可能性があります。治療が遅れて炎症が長引くと、治癒後に一時的な色素沈着が残りやすくなるため、形成外科専門医としては早期の対処が望ましいと考えます。

キズパワーパッドはなぜNG?とびひの正しい治療法と対処

大切なお子様の皮膚に、あるいはご自身の皮膚に現れたじゅくじゅくとした発疹やかゆみは、見ていて非常につらいものです。形成外科専門医として、患者様が「早く治してあげたい」「何とかしたい」というお気持ちになるのは当然だと深く共感いたします。ご家庭にある身近な絆創膏などで何とかしようとお考えになる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、とびひという細菌感染症に対しては、誤った対処法がかえって症状を悪化させてしまう可能性があります。とびひを適切に治療し、美しく早く治すためには、病気の特性を理解した正しいケアが不可欠です。

キズパワーパッドやデュオアクティブがとびひにNGな理由

キズパワーパッドやデュオアクティブといったハイドロコロイド素材の絆創膏は、一般的な擦り傷や切り傷に対して、傷を早くきれいに治すための優れた医療機器として広く認識されています。これらの製品は、傷口から出る滲出液(じゅくじゅくとした液体)を閉じ込めて、傷を乾燥させずに治す「湿潤療法」という治療法に基づいています。湿潤環境を保つことで、傷の治りが早まり、痛みが軽減され、結果としてきれいに治癒すると考えられています。

しかし、この湿潤環境が、細菌感染症であるとびひ(伝染性膿痂疹)にとっては、むしろ悪影響を及ぼしてしまうのです。学術的なレビュー論文でも示されているように、創傷被覆材(ドレッシング)の主な目的は、物理的なバリアを形成し、傷からの滲出液を吸収し、再上皮化を最適化する湿潤環境を提供することです。しかし、被覆材の選択は、その傷の「解剖学的および病態生理学的特性」に大きく依存するとされています。とびひの場合、その病態生理学的特性は、黄色ブドウ球菌や溶連菌といった細菌による活発な感染です。

このような細菌感染が起きている状況で湿潤環境を作ってしまうと、細菌が非常に繁殖しやすい温床となってしまいます。特に、とびひの患部から出る滲出液には、とびひの原因となる細菌が大量に含まれています。これをハイドロコロイドの絆創膏で密閉してしまうことは、まるで「細菌を培養しているような状態」を作り出すことになりかねません。結果として、細菌の増殖が加速され、とびひの症状が広範囲に悪化したり、治癒が長引いたりするリスクが高まります。形成外科専門医の立場からは、傷の状況を正確に判断せずに自己判断でこれらの製品を使用することは、症状を不必要に悪化させる原因となり得るため、適切な医療機関での診断と、それに合わせた専門的な処置が不可欠であることを強くお伝えしたいです。

キズパワーパッドを使ってしまった場合の応急処置

もしも、とびひの患部に誤ってキズパワーパッドやデュオアクティブなどの湿潤療法用絆創膏を貼ってしまった場合は、以下の応急処置を速やかに行い、できるだけ早く医療機関を受診することが非常に重要です。

  1. 絆創膏を優しく剥がす
    • 無理に一気に剥がしてしまうと、皮膚にさらなるダメージを与えたり、
    • 症状を悪化させたりする可能性があります。
    • ぬるま湯で絆創膏の周囲を十分に湿らせながら、
    • 皮膚をいたわるようにゆっくりと丁寧に剥がしてください。
  2. 患部を丁寧に洗浄する
    • 剥がした後は、刺激の少ない石鹸をよく泡立てて、患部を優しく洗い流します。
    • 洗浄の目的は、細菌や滲出液を洗い流し、清潔な状態に戻すことです。
    • 石鹸成分が残らないように、清潔な流水でしっかりとすすぎましょう。
    • 清潔なタオルで軽く押さえるようにして水分を拭き取ってください。
    • この時、ゴシゴシと強く擦るのは避けてください。
  3. 清潔なガーゼで保護する
    • 患部を清潔にした後は、吸湿性の高いガーゼで優しく覆うことが大切です。できれば傷に固着しないよう、傷に当たる面にフィルムが貼られたメロリンガーゼのような被覆材が良いです。
    • ガーゼは細菌の増殖を促す湿潤環境を作らず、患部が衣類や
    • 他のものと擦れて刺激されるのを防ぐ役割があります。
    • 蒸れを防ぐため、ぴったりと密閉するのではなく、
    • 空気の通り道ができるように軽く覆う程度にしてください。
  4. すぐに医療機関を受診する
    • 自己判断で市販薬を塗ることはせず、できるだけ早く皮膚科や小児科を受診しましょう。
    • 湿潤療法用絆創膏を感染のある傷に使用していた場合、
    • とびひの症状が悪化している可能性が考えられます。
    • 速やかに専門医の診察を受け、適切な治療を開始することがきれいに治すためには不可欠です。

キズパワーパッドは本来、傷を早く治すための画期的な製品ですが、とびひのような細菌感染症には不向きであることを覚えておいてください。

とびひの治療法3選!処方される薬の種類と使用上の注意

とびひは細菌感染症であるため、その治療の中心は原因となる細菌を効果的に抑えることです。形成外科専門医として、患者様の症状の広がりや重症度、年齢などを総合的に判断し、最適な治療法を選択します。主に以下の3つの治療法が用いられます。

  1. 抗菌薬の内服(飲み薬)

    • 目的
      • 広範囲にとびひが広がっている場合や、症状が重い場合に処方されます。
      • 体の中から細菌を退治し、全身への感染拡大を防ぎます。
      • とびひは感染力が強いため、内服薬でしっかり抑え込むことが重要です。
    • 処方される薬の種類
      • セフェム系抗菌薬(例:セフジニル、セファクロル)
      • ペニシリン系抗菌薬(例:アモキシシリン)
      • マクロライド系抗菌薬(例:クラリスロマイシン)など
      • 原因菌の種類に応じて、適切な抗菌薬が選択されます。
      • MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)が原因の場合は、ホスホマイシンやミノマイシンが用いられることが多いです。
    • 使用上の注意
      • 医師から指示された量を、決められた期間、必ず最後まで飲み切ることが非常に重要です。
      • 症状が良くなったと感じても、途中で服用をやめてしまうと、
      • 原因菌が完全に死滅せず、再発につながったり、
      • 薬が効きにくい耐性菌(薬剤耐性菌)が発生したりする可能性があります。
      • 副作用として胃腸症状などが稀に現れることもありますが、
      • 自己判断で中断せずに、すぐに医師へご相談ください。
  2. 抗菌薬の塗り薬(外用薬)

    • 目的
      • 患部に直接塗ることで、細菌の増殖を局所的に抑え、症状を改善します。
      • 軽症の場合や、内服薬と併用して使われることが一般的です。
      • 外用薬は、皮膚の表面にいる細菌に直接アプローチします。
    • 処方される薬の種類
      • フシジン酸ナトリウム
      • ゲンタマイシン
      • ナジフロキサシン など
      • これらは、とびひの主要な原因菌である黄色ブドウ球菌などに有効です。
    • 使用上の注意
      • 清潔な指や綿棒を使い、薄く均一に患部に塗り広げることが大切です。
      • 塗布後は、清潔なガーゼで患部を覆いましょう。
      • これは、他の場所への自己感染や他人への接触感染を防ぐためと、
      • 薬が乾燥しすぎずに効果を保つためでもあります。
      • 入浴後など、皮膚が清潔な状態で塗布すると、より薬が浸透しやすくなります。
  3. ステロイド外用薬(抗菌薬との併用)

    • 目的
      • とびひは強いかゆみや炎症を伴うことが多く、
      • 患者様にとって非常につらい症状となることがあります。
      • このような場合に、抗菌薬と併用して炎症やかゆみを強力に抑えるために使われます。
      • 炎症を鎮めることで、患者様の苦痛を和らげ、掻き壊しによる悪化を防ぎます。
    • 使用上の注意
      • ステロイド単独で細菌感染症であるとびひを治療すると、
      • 細菌の増殖を抑える力がなく、かえって感染を悪化させる可能性があります。
      • そのため、必ず抗菌薬と同時に、医師の指示のもとで使用します。
      • 医師から指示された量と期間を厳守し、自己判断で量を増やしたり、
      • 期間を延長したりすることは避けてください。

これらの治療法は、患者さんの症状や重症度、基礎疾患の有無などを考慮して医師が判断し、処方するものです。特に、アトピー性皮膚炎など皮膚のバリア機能が低下している患者様の場合、とびひが重症化しやすいため、より慎重な治療計画が必要となります。

とびひの治療期間と回復までの目安

とびひの治療期間は、症状の程度、とびひの種類(水疱性か痂皮性か)、そして治療を開始するタイミングによって大きく異なります。形成外科医としては、ただ病気を治すだけでなく、「きれいに治るか、跡を残さないか」という点も非常に重要視しています。

  • 一般的な治療期間の目安

    • 軽症の場合
      • 適切な抗菌薬の内服や塗り薬を使い始めれば、
      • 数日から1週間程度で症状の改善が見られることが多いです。
      • 患部のじゅくじゅくが止まり、赤みが引き、かさぶたへと変化していきます。
    • 中等度から重症の場合
      • 広範囲に広がっていたり、皮膚の深い部分まで炎症が及んでいる場合は、
      • 1〜2週間、またはそれ以上の治療期間が必要となることもあります。
      • 特に、アトピー性皮膚炎などの基礎疾患がある場合は、
      • 皮膚のバリア機能が弱いため、治癒に時間がかかる傾向があります。
  • 回復までの具体的な目安

    • 薬をきちんと使用することで、通常は数日で新しい水ぶくれや赤みが出なくなります。
    • 患部が乾燥して、かさぶたになり、かゆみが落ち着いてくるのが回復の明確なサインです。
    • かさぶたが自然に剥がれて、その下に新しい皮膚が再生すれば治癒となります。
    • この際、無理にかさぶたを剥がすことは、新しい皮膚を傷つけたり、
    • 色素沈着の原因になったりするため、絶対に避けてください。
    • 跡について
      • とびひは通常、皮膚の表面に近い部分の感染症であるため、
      • きちんと治療すれば、ほとんどの場合、跡に残ることはありません。
      • しかし、強いかゆみで患部を強く掻き壊してしまい、
      • 皮膚が深く傷ついたり、重症化して皮膚の深い層まで炎症が及んだりした場合、
      • 一時的な色素沈着(皮膚の色が濃くなること)が残ることがあります。
      • ごく稀に、真皮にまで及ぶ深い傷となった場合には、
      • 瘢痕(いわゆる傷跡)が残ってしまう可能性もゼロではありません。
      • 美しい皮膚を取り戻すためには、掻きむしらない工夫と、
      • 早期からの適切な治療が非常に大切になります。
  • 登園・登校の目安

    • 一般的には、患部が乾燥し、新しい発疹が見られなくなり、
    • 他の人への感染拡大の心配がなくなれば、登園・登校が可能とされています。
    • 具体的には、患部を清潔なガーゼや衣服でしっかり覆い、露出させない状態が目安となります。
    • 最終的な判断は、必ず担当の医師にご確認ください。
    • また、通っている保育園・幼稚園・学校の規定にも従う必要があります。
    • しっかりと治し、安心して日常生活に戻れるようにしましょう。

とびひに関するQ&A

Q1:とびひは自然に治ることはありますか? A1:ごく軽症の場合、自然に治まることもありますが、とびひは感染力が非常に強く、放置するとあっという間に全身に広がったり、重症化したりするリスクがあります。また、ご自身だけでなく、ご家族や周囲の人に感染させてしまう可能性もあります。早期に適切な治療を開始することが、早くきれいに治すための最も重要なステップです。自己判断せずに、皮膚科や小児科を受診してください。

Q2:お風呂に入っても大丈夫ですか? A2:はい、お風呂に入って患部を清潔に保つことは、とびひの治療において非常に大切です。ただし、以下の点に注意してください。

  • 石鹸をよく泡立てて、患部を優しく洗い流しましょう。ゴシゴシと強く擦るのは避けてください。
  • 石鹸成分が残らないように、清潔な水でしっかりと洗い流しましょう。
  • 湯船に浸かることは、他の部位への自己感染や、同居する家族への感染を広げる可能性があるため、シャワーで済ませることをおすすめします。
  • 患部を洗い終わったら、清潔なタオルで他の部位とは別に、優しく水気を拭き取ってください。

Q3:とびひの跡は残りますか? A3:ほとんどの場合、とびひは皮膚の浅い部分の感染症であるため、適切な治療を受ければ跡に残ることは稀です。しかし、かゆみを我慢できずに強く掻き壊してしまったり、治療が遅れて炎症が皮膚の深い部分まで及んだりすると、一時的な色素沈着(茶色っぽくなる)が残ることがあります。ごく稀に、瘢痕(いわゆる傷跡)になる可能性もゼロではありません。特に、皮膚のバリア機能が弱いお子様やアトピー性皮膚炎をお持ちの方は、跡が残りやすい傾向があります。形成外科専門医としては、きれいな皮膚を取り戻すために、早期治療とかかない工夫を強く推奨します。


とびひは、早期に適切な治療を開始すれば、比較的早く改善し、きれいに治る病気です。少しでも気になる症状があれば、放置せずに医療機関を受診しましょう。当クリニックでは、形成外科専門医(美容外科専門医JSAPS)として、患者様の皮膚の状態を丁寧に診察し、一人ひとりに合った最適な治療法をご提案いたします。特に、お子様の皮膚のトラブルや、きれいに治したいというご希望にも寄り添い、丁寧なケアを心がけておりますので、どうぞご安心ください。皮膚のお悩みは、私たち専門医にご相談ください。

とびひの感染を防ぐ!自宅でのケアと予防のポイント

大切なお子様、あるいはご自身の皮膚に現れるとびひは、その強い感染力からご本人やご家族にとって大きな心配事となります。医療機関での適切な治療はもちろん重要ですが、ご自宅での日々のケアや予防策を正しく理解し、実践することが症状の悪化を防ぎ、早くきれいに治すために非常に大切です。形成外科専門医の立場からは、単に病気を治すだけでなく、その後の皮膚の状態、すなわち「きれいに治るか、跡を残さないか」という点も重視しています。ここでは、とびひの感染拡大を食い止め、健康な皮膚を保つための具体的なケアと予防のポイントを詳しく解説いたします。

患部を清潔に保つ!自宅でできるとびひケアの基本

とびひは、皮膚に付着した細菌が増殖することで発症する感染症です。この原因菌を増やさないためには、患部を清潔に保つことが非常に重要です。しかし、洗い方が不適切だと皮膚を傷つけ、かえって症状を悪化させてしまう可能性もあります。正しいケアのポイントを押さえて、皮膚をいたわりながら清潔を保ちましょう。

  • 優しく丁寧に洗浄する

    • シャワーを使い、刺激の少ない石鹸をたっぷりと泡立てて、患部を優しく洗い流してください。
    • タオルやスポンジでゴシゴシと強くこするのは避け、手のひらでなでるように洗うことが大切です。
    • 強い摩擦は皮膚のバリア機能をさらに低下させ、細菌の侵入を助けてしまう恐れがあります。
  • 石鹸成分をしっかりと洗い流す

    • 洗い終わったら、石鹸成分が皮膚に残らないよう、ぬるま湯で丁寧にすすぎ流しましょう。
    • 石鹸成分が残ると、皮膚への刺激となり、かゆみや炎症を引き起こす場合があります。
  • 清潔なタオルを使い分ける

    • 入浴後やシャワーの後は、清潔で柔らかいタオルで水分を優しく押さえるように拭き取ります。
    • とびひの患部を拭くタオルは、他の部位を拭くタオルやご家族と共用せず、必ず分けて使用してください。
    • 使用済みのタオルはすぐに洗濯し、清潔な状態を保つことが感染拡大防止につながります。
  • 患部を保護し密閉しない

    • 洗浄後は、医師から処方された薬を指示通りに塗布し、清潔なガーゼや包帯で患部を優しく覆いましょう。
    • 患部を覆うことは、とびひの原因となる細菌が他の部位に広がる「自己感染」や、周囲の人への「接触感染」を防ぐ上で非常に効果的です。
    • 特に、とびひの局所治療においては、既存の抗菌薬に対する薬剤耐性(AMR)の増加が報告されています。そのため、患部から細菌が広がるのを防ぎ、処方された薬の効果を最大限に引き出すためにも、清潔に保ち、他の部位や人に直接触れないように保護することが極めて重要となります。密閉しすぎず、通気性を保つように工夫してください。

他の人にうつさないために!保育園・学校の登園登校基準

とびひは「伝染性膿痂疹」という正式名称が示す通り、非常に強い感染力を持つ病気です。特に、小さなお子様が多く集まる保育園や幼稚園、学校などの集団生活の場では、感染が急速に広がるリスクが高まります。周囲への感染を防ぐためにも、登園・登校に関する基準を理解し、適切に対応することが大切です。世界保健機関(WHO)の報告によれば、とびひは世界中で1億4千万人以上が罹患している一般的な表在性細菌性皮膚感染症であり、特に小児に多く見られることが示されています。このような広がりやすさがあるため、集団生活ではより慎重な対応が求められます。

一般的に、とびひのお子様が登園・登校できるようになる目安は、以下の状態が挙げられます。

  • 新しい発疹や水ぶくれが出ない状態

    • 患部に新たな水ぶくれや赤みができなくなり、とびひの勢いが落ち着いていることが確認される必要があります。
    • これは、細菌の活動が低下し、感染力が弱まっているサインとなります。
  • 患部が乾燥してかさぶたになっている状態

    • とびひの患部から滲出液(じゅくじゅくとした液体)が出なくなり、乾燥したかさぶたが形成されていると、他者への感染リスクはかなり低下します。
    • かさぶたが完全に剥がれるまでは、注意が必要です。
  • 患部が適切に覆われている状態

    • 清潔なガーゼや衣服などで患部がしっかりと覆われており、露出していない状態であれば、他の園児や生徒との接触による感染のリスクを減らすことができます。

これらの基準は、学校保健安全法で明確に定められているものではありませんが、多くの教育・保育施設で感染予防のために推奨されています。最終的な判断は、必ず担当の医師に確認し、通っている園や学校の規定にも従ってください。場合によっては、医師の診断書が必要となることもありますので、事前に準備しておきましょう。また、ご家庭内でも、タオルの共有を避け、こまめな手洗いを励行するなど、日頃からの衛生習慣を徹底することが感染拡大防止には不可欠です。

とびひを悪化させない生活習慣と避けるべき行動

とびひを早く、そしてきれいに治すためには、医療機関での治療に加え、日々の生活の中で症状を悪化させない工夫と、避けるべき行動を理解しておくことが非常に重要です。とびひは強いかゆみを伴うことが多く、特に小さなお子様は我慢できずに掻きむしってしまいがちです。しかし、掻き壊しはとびひを広げたり、治りを遅らせたり、さらには治療後の色素沈着や傷跡のリスクを高める原因となります。形成外科専門医としては、このような二次的な皮膚トラブルを防ぐためにも、以下の点に注意していただくようお伝えしたいです。

  • 掻かない工夫を徹底する

    • 患部がかゆくても、可能な限り掻かないようにすることが最も大切です。
    • お子様の場合、爪を短く切る、寝る時に手袋をさせる、掻いてしまう部分を衣類で覆うなどの対策が有効です。
    • 掻くことで患部から細菌が広がり、とびひが体の別の場所へ自己感染したり、他の人にうつしたりする原因となります。
  • 衣類の摩擦を避ける

    • とびひの患部が衣類と擦れると、刺激となって炎症が悪化することがあります。
    • ゆったりとした、肌触りの良い綿素材などの衣服を選び、患部への刺激を最小限に抑えましょう。
  • プールや海水浴は控える

    • とびひの症状が完全に治癒するまでは、プールや海水浴は避けてください。
    • 水中にはさまざまな細菌が存在し、患部が水に浸かることで、とびひが悪化したり、他の人に感染させてしまったりするリスクが高まります。
  • 清潔な居住環境を保つ

    • 寝具や衣類はこまめに洗濯し、清潔な状態を保ちましょう。
    • とびひの主要な病原体である黄色ブドウ球菌や化膿レンサ球菌といった細菌は、普段から私たちの皮膚や生活環境に存在することがあります。
    • 清潔な環境を維持することは、これらの細菌の繁殖を防ぎ、感染拡大を抑える上で非常に重要です。
    • 特に、皮膚の小さな傷からこれらの細菌が侵入してとびひを引き起こすため、皮膚に傷がある場合は特に注意し、清潔に保つことを心がけてください。

とびひの再発を防ぐ!皮膚のバリア機能を高める対策

一度とびひにかかって治癒した後も、「また繰り返すのではないか」と心配される患者様は少なくありません。特に、アトピー性皮膚炎などの基礎疾患があり、もともと皮膚のバリア機能が低下している方は、とびひが再発しやすい傾向にあります。形成外科専門医の視点から言えば、治療によって症状を抑えるだけでなく、再発を予防し、健やかで美しい皮膚を維持することが長期的な目標です。再発を防ぐためには、日頃から皮膚のバリア機能を高めるためのケアを心がけることが極めて重要になります。

  • 毎日の丁寧な保湿ケア

    • 入浴後やシャワーの後には、必ず全身に保湿剤を塗りましょう。
    • 乾燥した皮膚はバリア機能が低下し、外部からの刺激や細菌の侵入に対する防御力が弱まります。
    • 市販の保湿クリームやローションで構いませんので、毎日欠かさず、優しく塗り込むことが大切です。
    • 皮膚が潤いを保つことで、細菌が皮膚に定着しにくくなります。
  • 適切な入浴方法の実践

    • 熱すぎるお湯は皮膚の天然の潤い成分を奪い、乾燥を招いてしまいます。
    • ぬるめのお湯(38℃前後)で短時間に入浴し、刺激の少ない弱酸性の石鹸を使用してください。
    • 入浴後すぐに保湿を行うことで、皮膚の乾燥を防ぎ、バリア機能をサポートします。
  • バランスの取れた食生活

    • 健康な皮膚細胞を作るためには、タンパク質、ビタミン(特にA, B群, C, E)、ミネラル(亜鉛など)を豊富に含むバランスの取れた食事が不可欠です。
    • 特定の栄養素に偏らず、様々な食品を摂ることで、皮膚の再生能力や免疫機能を高めることができます。
  • 十分な睡眠とストレス管理

    • 睡眠不足や過度なストレスは、免疫力を低下させ、皮膚のターンオーバー(新陳代謝)を乱す原因となります。
    • これにより、皮膚のバリア機能が低下し、とびひを含む皮膚トラブルが起こりやすくなります。
    • 規則正しい生活を心がけ、十分な睡眠時間を確保し、リラックスできる時間を作るなど、ストレスを軽減する工夫を取り入れましょう。

現在のとびひ治療では、既存の局所抗生物質に対する薬剤耐性(AMR)の増加が課題とされています。そのため、薬だけに頼るのではなく、患者様ご自身の皮膚が本来持っている防御力、つまりバリア機能を高めることで、とびひの原因となる細菌の侵入を防ぎ、再発を予防するアプローチがますます重要になってきています。日頃からの地道なケアこそが、健康で美しい皮膚を保つための第一歩となるのです。

とびひに関するQ&A

Q1:とびひの患部を清潔に保つ上で、特に注意すべき点は何ですか? A1:患部を清潔に保つことは重要ですが、強く擦りすぎると皮膚を傷つけ、かえって症状が悪化する可能性があります。刺激の少ない石鹸をよく泡立てて、手のひらで優しく洗いましょう。石鹸成分が残らないよう、流水でしっかりと洗い流すことも大切です。また、入浴後は他の部位とは別の清潔なタオルで優しく水分を拭き取り、使用したタオルはすぐに洗濯してください。特に、患部を密閉するような絆創膏は避け、通気性の良いガーゼで保護することをおすすめします。

Q2:とびひにかかっている間、食事で気を付けることはありますか? A2:とびひの治療中に特定の食品を避けるといった厳格な食事制限は通常ありません。しかし、皮膚の健康を保ち、免疫力を高めるためには、バランスの取れた食事が非常に重要です。ビタミンやミネラルを豊富に含む野菜、果物、タンパク質源となる肉や魚などを積極的に摂りましょう。皮膚の回復を助ける栄養素を意識することで、治癒をサポートできます。

Q3:とびひが治った後も、皮膚のケアで特に意識することはありますか? A3:とびひが治癒した後も、再発を防ぎ、皮膚を健康な状態に保つためのケアを続けることが大切です。特に、毎日の保湿ケアは欠かさないようにしましょう。皮膚の乾燥はバリア機能の低下を招き、新たな細菌感染のリスクを高めます。また、もしアトピー性皮膚炎などの基礎疾患をお持ちの場合は、その治療も継続し、皮膚の状態を良好に保つことが重要です。健康な皮膚を維持することで、細菌の侵入を防ぎやすくなります。

とびひは、適切な知識とご自宅での丁寧なケア、そして医療機関での治療によって、比較的早く改善し、きれいに治すことが可能です。もし、とびひの症状がなかなか改善しない、あるいはご自宅でのケアについて不安な点がある場合は、どうぞ一人で抱え込まず、私たち専門医にご相談ください。当クリニックでは、形成外科専門医(美容外科専門医JSAPS)として、患者様の皮膚の状態を丁寧に診察し、一人ひとりに合った最適な治療計画と、きれいに治るためのアドバイスをきめ細やかに行っています。特にお子様の皮膚のトラブルや、治療後の皮膚の状態に不安をお感じの際には、どうぞご安心してお気軽にご来院ください。健やかな皮膚を取り戻すために、私たちがお力になります。

まとめ

とびひは、飛び火のように症状が広がる強い感染力を持つ皮膚の細菌感染症です。とびひの患部に「キズパワーパッド」のような湿潤療法用絆創膏を使うと、かえって細菌を繁殖させて症状を悪化させる原因となるため、絶対に避けてください。もし誤って使用した場合は、優しく剥がし、患部を清潔にしてから、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。

とびひを早くきれいに治すためには、適切な抗菌薬による治療に加え、ご自宅での丁寧な洗浄や保湿ケア、そして何よりも患部を掻き壊さない工夫が大切です。もしお子様の皮膚に気になる症状が現れたり、ご自身がとびひかもしれないと感じたりした際は、自己判断せずに、すぐに皮膚科や小児科などの専門医にご相談ください。早期に正しいケアを始めることが、健やかな皮膚を取り戻すための最も大切な一歩となります。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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参考文献

  1. Schachner LA, Lynde CW, Kircik LH, Torrelo A, Hohl D, Kwong P, Oza V, Andriessen A, Hebert AA. Treatment of Impetigo and Antimicrobial Resistance.
  2. Pagnamenta F. Evidence generation for wound care dressing selection: reviewing the issues.
  3. Nardi NM, Schaefer TJ, Espil MO. Impetigo (Nursing) – PubMed.
  4. Obagi Z, Damiani G, Grada A, Falanga V. Principles of Wound Dressings: A Review.
  5. Johnson MK. Impetigo – PubMed

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