名古屋市「新瑞橋」美容外科・美容皮膚科・形成外科・一般皮膚科

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慢性膿皮症とは|原因・症状・治療法を図解で完全解説

治ったと思っても繰り返す、痛みを伴うおでき。「なぜ自分だけが…」と、慢性膿皮症の終わりの見えない症状に心を痛めていませんか。「不潔にしているからだ」とご自身を責めているとしたら、それは大きな誤解かもしれません。

近年の研究で、この病気の原因は単なる細菌感染ではなく、毛穴の異常をきっかけとした「免疫システムの暴走」であることが解明されつつあります。発症から診断までに平均7年を要するという報告もあり、多くの方が正しい情報にたどり着けず一人で悩んでいるのが現状です。

この記事では、最新医学が突き止めた本当の原因から、希望となる新しい治療法、そして放置した場合のがん化のリスクまで、専門医が徹底解説します。諦める前に、ぜひご自身の状況と照らし合わせてみてください。

最新医学で解明された慢性膿皮症の本当の正体

「慢性膿皮症」と診断され、痛みを伴うおできや膿に長年悩まされている方は少なくありません。 治ったと思っても繰り返す症状に、「なぜ自分だけがこんな思いを」と心を痛めているかもしれません。

しかし、近年の研究により、この病気の本当の姿が少しずつ明らかになってきました。 これまで考えられていたような、単なる「細菌感染症」ではないということが分かってきたのです。 ここでは、慢性膿皮症の根本的な原因について、研究で解明されつつある新しい考え方をご紹介します。

慢性膿皮症は感染症ではない?毛包の異常が引き起こす免疫システムの暴走

多くの方が「膿(うみ)が出るから細菌のせいだ」とか「不潔にしているからだ」と思いがちです。 しかし、それは誤解です。 慢性膿皮症の根本的な原因は、細菌感染ではなく、髪の毛や体毛の根元にある「毛包」という部分の異常な詰まりから始まると考えられています。

何らかの原因で毛包の出口が角質などで塞がれると、それを異物と勘違いした体の免疫システムが過剰に反応してしまいます。 この免疫システムの暴走が強い炎症を引き起こし、結果として痛みや腫れ、膿が生じるのです。

慢性膿皮症の発生メカニズム

  1. 毛包の閉塞  毛穴の出口が角質などで詰まります。

  2. 免疫システムの暴走  詰まった毛包を異物と認識し、体の防御システムが過剰に攻撃を開始します。

  3. 炎症の発生  TNF-αなどの炎症を引き起こす物質が大量に放出され、赤み、腫れ、熱、痛み、膿が生じます。

  4. 二次的な細菌感染  炎症が起きた場所に、皮膚の常在菌であるブドウ球菌などが入り込み、症状をさらに悪化させることがあります。

つまり、細菌はあくまで炎症の結果として増殖することがあるだけで、病気の最初の引き金ではありません。 ですから、慢性膿皮症は他人にうつる「感染症」ではないのです。

遺伝子研究が示すPSTPIP1経路の異常と自己炎症性疾患との関連

「なぜ自分の免疫は暴走してしまうのだろう?」と疑問に思う方もいるでしょう。 その答えの一つが、遺伝子の研究によって見えてきました。 一部の慢性膿皮症の患者さんでは、免疫システムの働きを調整する遺伝子に特定の変異があることが分かっています。

特に注目されているのが、「PSTPIP1」という遺伝子です。 この遺伝子は、炎症反応のブレーキ役を担っています。 しかし、この遺伝子に変異があるとブレーキが効きにくくなり、些細な刺激でも過剰な炎症が続いてしまうのです。 このように、外からの敵がいないのに免疫システムが暴走してしまう病気を「自己炎症性疾患」と呼びます。

慢性膿皮症と似た症状を持つ、壊疽性膿皮症(えそせいのうひしょう)や、炎症性腸疾患(クローン病など)といった病気でも、このPSTPIP1経路の異常が関わっている可能性が指摘されています。 また、ごく稀ですが、家族内で発症するタイプの慢性膿皮症では「γ(ガンマ)セクレターゼ」という別の遺伝子の異常が原因であることも報告されています。 このように、生まれ持った体質が、病気の発症しやすさに関わっている場合があるのです。

腸内環境や腎臓の不調が引き金に?見過ごされがちな全身疾患との関係性

慢性膿皮症は、単に皮膚だけの問題ではなく、体全体の健康状態と深く関わっていることが分かってきました。 特に、他の全身性の病気と一緒に発症(合併)することが少なくありません。

例えば、以下のような病気との関連が指摘されています。

関連が指摘される病気特徴
炎症性腸疾患
(クローン病、潰瘍性大腸炎)
腸で慢性的な炎症が起こる病気です。
皮膚と腸の免疫は密接に関連しています。
慢性腎臓病慢性膿皮症の患者さんは腎臓病を発症しやすく、逆に腎臓病の患者さんも慢性膿皮症を発症しやすいという双方向の関係性が報告されています。
関節リウマチなどの関節炎関節に炎症が起こる病気です。
免疫システムの異常という共通点があります。
糖尿病・メタボリックシンドローム血糖値が高い状態や内臓脂肪の蓄積が、全身の炎症を悪化させる可能性があります。

これらの病気は、慢性膿皮症と同じく「炎症」が病気の中心にあります。 そのため、皮膚の症状を治療するだけでなく、背景に隠れている他の病気がないかを確認することが重要です。 必要であれば同時に治療を進めることが、根本的な改善への近道となります。

なぜ男性や臀部に多い?日本人の疫学的特徴と人種差

慢性膿皮症の症状の出方には、人種や性別によって違いがあることが知られています。 この違いを知ることは、ご自身の状況を客観的に理解する助けになります。

欧米と日本の特徴の違い

  • 欧米の患者さん  女性に多く、症状は脇の下や胸、乳房の下などに出やすい傾向があります。

  • 日本の患者さん  男性に多く(約7割)、症状はおしりに出やすい(約6割)と報告されています。  また、家族内で発症するケースは欧米に比べて非常に少ない(2〜3%)のも特徴です。

なぜこのような違いが生まれるのか、はっきりとした理由はまだ解明されていません。 しかし、遺伝的な背景の違い(人種差)や、生活習慣の違いが影響していると考えられています。 例えば、日本人男性はおしりに症状が出やすいことから、長時間座る生活習慣が毛包への刺激となり、発症のきっかけの一つになっている可能性も考えられます。 ご自身の性別や症状の出やすい場所が統計的な特徴と一致することで、「自分だけではない」と少しでも安心につながれば幸いです。

よくあるご質問

Q1: 慢性膿皮症は他の人にうつりますか?A1: うつりません。慢性膿皮症は、細菌感染が主な原因ではなく、ご自身の毛穴の詰まりと免疫システムの過剰な反応によって起こる病気です。そのため、他の人に感染させる心配はありません。

Q2: 不潔にしていることが原因なのでしょうか?A2:いえ、不潔にしていることが直接的な原因ではありません。もちろん、皮膚を清潔に保つことは大切ですが、この病気は体質的な要因や免疫の問題が大きく関わっています。ご自身を責める必要はまったくありません。

Q3: 遺伝する可能性はありますか?A3: 日本では家族内で発症するケースは2〜3%と非常に稀です。しかし、一部には遺伝的な要因が関わっている可能性も指摘されています。病気になりやすい体質が受け継がれる可能性はゼロではありませんが、過度に心配する必要はないでしょう。

慢性膿皮症は複雑な病気であり、その原因も一つではありません。 しかし、研究の進歩により、その正体は着実に解明されつつあります。 一人で悩まず、まずは専門の医師にご相談ください。 形成外科専門医、美容外科専門医として、症状の改善はもちろん、治療後の傷跡など、見た目のお悩みにも配慮した治療をご提案します。

【専門医解説】国内外の最先端治療とこれからの選択肢

慢性膿皮症は、繰り返し起こる辛い症状から「もう治らないのではないか」と、心をすり減らしている方が少なくありません。 しかし、病気の仕組みの解明が進んだことで、治療法はここ数年で大きく進歩しています。 これまでの治療で十分な効果を感じられなかった方にも、新たな希望となる選択肢が次々と登場しています。

ここでは、形成外科専門医・美容外科専門医の視点から、現在の治療法を分かりやすく解説します。 諦めずに、ご自身に合った治療法を見つけるための一歩としましょう。

標準治療を変える生物学的製剤「アダリムマブ」の有効性と安全性

中等症から重症の慢性膿皮症の治療で、中心的な役割を担うのが生物学的製剤です。 「アダリムマブ(製品名:ヒュミラ)」という注射薬が、日本で保険適用となっています。 この薬は、慢性膿皮症の炎症を引き起こす中心物質「TNF-α」の働きを、ピンポイントで抑えます。

アダリムマブの働きと効果 アダリムマブは、慢性膿皮症(化膿性汗腺炎)に対して日本で承認されている生物学的製剤です。 その効果は、国内外の臨床試験でしっかりと確認されています。

  • 高い改善効果  日本で行われた第III相臨床試験では、驚くべき結果が示されました。  アダリムマブを使い始めて12週目の時点で、86.7%の患者さんで炎症性のしこりや膿瘍の数が半分以下に減りました。

  • 長期的な安定性  長期間(海外では168週)の使用でも効果が続き、新たな安全上の懸念は報告されていません。

使い方と注意点 アダリムマブは、基本的に患者さんご自身が自宅で皮下注射を行います。

  • 投与スケジュール

    1. 初回:160mgを投与
    2. 2週後:80mgを投与
    3. 4週後から:毎週40mgを継続
  • 注意すべき点  体の免疫の働きを抑えるため、感染症にかかりやすくなる可能性があります。  特に、治療を始める前には結核などの感染症がないかを必ず検査します。

薬で炎症を強力にコントロールすることで、辛い痛みを和らげることができます。 また、外科的治療が必要な場合でも、より良い結果につなげることが可能です。

海外で注目される新規治療薬(低用量ナルトレキソン・Eltrekibart)の可能性

現在のアダリムマブに続く、新しい治療薬の研究も世界中で進んでいます。 将来、さらに治療の選択肢が増えることが期待されています。 ここでは海外で注目されている2つの薬剤を紹介します。

  • 低用量ナルトレキソン(LDN)  もともとは別の目的で使われる薬を、ごく少量で使う治療法です。  少量で使うことで、体内のオピオイド受容体という部分に働きかけます。  その結果、炎症やかゆみを抑える効果があることが分かってきました。  副作用が比較的少ないことも特徴で、今後の研究が期待される治療法です。

  • Eltrekibart(エルトレキバート)  炎症を引き起こす細胞が集まるのを促す、「CXCR1/2リガンド」という物質の働きを邪魔する薬です。  これは、新しいタイプのモノクローナル抗体という種類の薬になります。  海外の第2相臨床試験では、中等症から重症の患者さんの症状を改善させる可能性が示されました。  アダリムマブとは異なる仕組みで炎症を抑えるため、新たな治療の柱となる可能性があります。

重症度で変わる治療戦略|日本皮膚科学会の治療アルゴリズムを解説

慢性膿皮症の治療は、症状の重さに応じて段階的に選択することが極めて重要です。 その指標として、世界的に「Hurley(ハーリー)病期分類」が用いられています。

Hurley病期分類症状の特徴主な治療方針
I期(軽症)しこりや膿瘍が単発、または複数あっても、互いにつながるトンネル(瘻孔)や傷跡(瘢痕)はない状態。基本: 生活習慣の改善(禁煙・減量)
薬物療法: 抗菌薬の塗り薬・飲み薬
II期(中等症)しこりや膿瘍が繰り返しでき、膿の通り道であるトンネルや傷跡が形成されている状態。I期の治療に加え、薬物療法(抗菌薬の併用、生物学的製剤)、外科的治療(デルーフィングなど)を検討。
III期(重症)広範囲にわたって病変がつながり、膿瘍、トンネル、傷跡が複雑に広がっている状態。薬物療法(生物学的製剤)と、根治を目指した広範囲の外科的切除を積極的に組み合わせる。

「デルーフィング(Deroofing)」とは、瘻孔(ろうこう:トンネル状の穴)の天井部分を外科的に切除する治療法

日本皮膚科学会の「化膿性汗腺炎診療の手引き」でも、この分類に基づいた治療が推奨されています。 まずはご自身の症状がどの段階にあるかを正確に診断し、最適な治療計画を立てることが改善への近道です。

手術はいつ必要?薬物療法と外科的治療の最適な組み合わせ

薬物療法は炎症を抑える上で非常に重要ですが、限界もあります。 すでに膿の通り道(瘻孔)ができてしまったり、皮膚が硬い傷跡(瘢痕組織)になったりした場合です。 このようなケースでは、薬だけでの根本的な解決は難しく、手術が有効な選択肢となります。

手術の目的と種類

  • 切開排膿  急な痛みや腫れを和らげるため、膿を外に出す応急処置です。  根本的な原因は残るため、再発しやすいという欠点があります。

  • デルーフィング(deroofing)  瘻孔の「屋根」にあたる皮膚を取り除き、トンネル状の病変を開放します。  これにより、傷が下から盛り上がって治るのを促す、再発率が比較的低い方法です。

  • 広範囲切除  症状が重い場合に、病変部の皮膚組織を大きく切除します。  切除後は、植皮や周囲の皮膚を移動させる皮弁術を用いて傷を閉じます。

形成外科専門医が行う治療の強み 形成外科では、ただ病変を切除するだけではありません。 傷跡がなるべく目立たず、機能的にも問題がないように治す「再建」までを専門としています。 特に、アダリムマブなどの薬で十分に炎症を抑えてから手術を行うことで、手術範囲を最小限にできます。 これにより、再発リスクを低減させ、よりきれいな仕上がりを目指すことが可能です。

薬物療法と外科的治療の最適なタイミングを見極め、両者を組み合わせる「集学的治療」が、この病気の治療では極めて重要になります。


よくあるご質問

Q1. 手術をすれば、もう薬は飲まなくてよくなりますか?A1. 手術で主な病変を取り除いても、慢性膿皮症は体質的な炎症が背景にあるため、再発の可能性があります。手術後も症状に応じて薬物療法を続けたり、生活習慣の改善を継続したりすることが、良い状態を保つために重要です。

Q2. アダリムマブの自己注射が怖いです。自分でもできますか?A2. 最初は誰でも不安に感じると思いますが、ペン型の注射器で操作も簡単なため、ほとんどの方がご自身で問題なく注射できています。初回は必ず医療機関で看護師が丁寧に指導しますし、慣れるまでしっかりとサポートしますのでご安心ください。

Q3. 形成外科での手術は、皮膚科の手術と何が違いますか?A3. 形成外科は、皮膚の切除だけでなく、その後の傷を機能的・整容的(見た目)により良く治すことを専門としています。特に広範囲の切除が必要な場合、植皮や皮弁術といった高度な技術を用いて、ひきつれや目立つ傷跡を最小限に抑える治療計画を立てられるのが大きな強みです。

当院では、形成外科専門医・美容外科専門医が、診断から薬物療法、外科的治療、そして術後のケアまでを一貫して担当します。 長引く症状にお悩みの方は、諦めずにぜひ一度ご相談ください。

放置は危険!重症化とがん化のリスクを回避する長期的管理

「ただのおでき」「ニキビが悪化したもの」そう考えて、慢性膿皮症の症状を放置していませんか。 この病気は、単なる皮膚のできものではありません。 治療せずにいると症状が広がり、日常生活に大きな支障をきたすだけでなく、深刻な合併症を引き起こす可能性があります。

慢性膿皮症は、感染症ではなく、毛包の異常から始まる自己炎症に近い病態です。 そのため、根本的な原因にアプローチし、長期的な視点で病気と向き合っていくことが、健やかな毎日を取り戻すための鍵となります。 発症から診断まで平均で約7年かかるという報告もあり、多くの方が一人で悩んでいるのが現状です。

瘢痕性脱毛や敗血症を防ぐために知っておくべき重症化のサイン

慢性膿皮症の炎症が長引くと、皮膚の深い部分の組織が破壊されてしまいます。 その結果、元に戻らない硬い傷跡(瘢痕)が残ることがあります。 特に頭皮にできた場合、毛根がダメージを受け、髪の毛が永久に生えてこなくなる「瘢痕性脱毛」に至るケースも少なくありません。

さらに注意したいのが、感染症の合併です。 慢性膿皮症の患者さんは、皮膚のバリア機能が低下しているため、細菌だけでなくウイルス感染も起こしやすい状態にあります。 傷口から細菌が血液中に入り込み、全身に広がると「敗血症」という命に関わる状態になる危険性もあります。 以下のようなサインが見られたら、重症化のサインかもしれません。すぐに専門医に相談しましょう。

【重症化のチェックリスト】

  • 痛みの変化  痛みが急に強くなった、または痛む範囲が広がった
  • 見た目の変化  患部が赤黒く腫れあがり、強い熱を持っている
  • 膿の変化  膿の量が増え、これまでと違う悪臭がする
  • 全身症状  高熱が出たり、体全体がだるく感じたりする
  • しこりの広がり  皮膚の下でしこりがトンネル状につながり、広範囲に硬くなっている

長引く臀部の病変は要注意!有棘細胞癌への移行リスク

慢性膿皮症で最も注意すべき合併症の一つが、皮膚がんの一種である「有棘細胞癌(ゆうきょくさいぼうがん)」の発生です。 特に、お尻(臀部)にできた病変が長期間にわたって炎症と治癒を繰り返している場合に、がん化するリスクがあることが報告されています。

ある報告では、慢性膿皮症の発症からがん化までの期間は平均で25年とされています。 がん化の確率は0.5〜4.6%と高くはありませんが、ゼロではありません。 日本のデータでは、慢性膿皮症は男性に多く、お尻に症状が出やすい特徴があります。 そのため、日本人にとっては特に注意が必要な合併症といえます。

大切なのは、がん化の兆候を見逃さないことです。 定期的な診察は、こうした危険なサインを早期に発見し、適切な治療につなげるために非常に重要です。

【がん化を疑う皮膚の変化】

  • いつまでも治らない潰瘍(皮膚のただれ)ができた
  • しこりがキノコのように盛り上がってきた
  • 病変の形がいびつになり、簡単に出血するようになった

これらの変化に気づいた場合は、すぐに受診してください。 形成外科専門医は、このような変化を正確に見極め、必要に応じて組織検査を行うことができます。

併存するメタボリックシンドロームや糖尿病の管理が重要な理由

慢性膿皮症は、皮膚だけの問題ではなく、全身の健康状態と深く関わっています。 近年の研究では、肥満、高血圧、脂質異常症、高血糖などが組み合わさった「メタボリックシンドローム」や「糖尿病」を合併している患者さんが多いことがわかってきました。

これらの病気の背景には、「インスリン抵抗性」という状態が隠れていることがあります。 これは、血糖値を下げるインスリンというホルモンが効きにくくなる状態で、体内で過剰な炎症を引き起こす原因となります。 この慢性的な炎症が、慢性膿皮症の発症や悪化に深く関わっていると考えられています。

そのため、皮膚の治療と並行して、生活習慣を見直し、併存疾患をしっかり管理することが、症状改善の近道となります。 実際に、BMI(肥満度指数)が高いほど、慢性膿皮症の重症度も高くなることが報告されています。

併存疾患管理のポイント
肥満バランスの良い食事と適度な運動で、体重をコントロールします。減量は皮膚への摩擦を減らす効果も期待できます。
糖尿病血糖値の安定を心がけ、医師の指導のもと治療を継続します。高血糖は全身の炎症を悪化させます。
高血圧減塩を意識し、定期的に血圧を測定します。
脂質異常症動物性脂肪を控え、青魚や野菜を積極的に摂るように心がけます。

全身の健康状態を整えることが、皮膚の炎症を抑え、再発しにくい体質づくりにつながります。

QOLを維持する新常識|角化細胞の機能に着目した次世代アプローチ

なぜ慢性膿皮症は繰り返し、治りにくいのでしょうか。 最新の研究により、その根本的な原因の一つが、毛穴の奥にある「角化細胞(かくかさいぼう)」という細胞の機能異常にあることがわかってきました。

本来、角化細胞は皮膚のターンオーバーを正常に保つ役割を担っています。 しかし、慢性膿皮症の患者さんでは、この細胞に異常が生じ、毛穴の出口が角質で塞がれてしまいます(毛包閉塞)。 その結果、毛穴の中に皮脂や老廃物がたまって袋状に膨らみ、やがて破裂して周囲に強い炎症を引き起こすのです。

この病気がもたらす影響は、皮膚症状だけにとどまりません。 患者さんのQOL(生活の質)を著しく低下させることが大きな問題です。 ある調査では、他の皮膚疾患と比べてもQOLの低下が顕著で、特に「痛み」が最も深刻な問題であることが示されています。 また、4割以上の患者さんがうつ状態を経験するなど、精神的な負担も大きいことがわかっています。

しかし、角化細胞の異常という根本原因が解明されたことで、治療法は大きく進歩しました。 炎症の引き金に直接アプローチする新しい治療薬が登場し、痛みや膿を根本からコントロールし、より良い状態を維持することが可能になってきています。


よくあるご質問

Q1. 慢性膿皮症はがんになることがあると聞いて不安です。A1. すべての方ががんになるわけではありません。しかし、特に臀部などに長期間、炎症を繰り返す病変がある場合、まれに皮膚がん(有棘細胞癌)が発生するリスクがあることが知られています。大切なのは、ご自身の皮膚の状態をよく観察し、何か変化があればすぐに専門医に相談することです。形成外科専門医による定期的な診察を受けていれば、万が一の変化も早期に発見し、適切に対応できますのでご安心ください。

Q2. 生活習慣の改善も大切とのことですが、何から始めればよいですか?A2. まずは、禁煙と体重管理から始めることを強くお勧めします。喫煙は炎症を悪化させ、重症度と関連することが報告されています。肥満は皮膚の摩擦や蒸れを引き起こすだけでなく、メタボリックシンドロームを介して全身の炎症を助長します。当院では、皮膚の治療と同時に、必要に応じて生活全般に関するアドバイスも行っておりますので、一人で悩まずご相談ください。

Q3.の病気の痛みは、どのくらい辛いものなのでしょうか?A3. 慢性膿皮症の痛みは、他の皮膚疾患と比べても特に強いことがデータで示されています。痛みのために学業や仕事、日常生活に支障が出たり、精神的に落ち込んだりする方も少なくありません。痛みを我慢する必要はありません。新しい治療法で痛みをコントロールすることも可能ですので、諦めずに専門医にご相談ください。

慢性膿皮症は、診断、治療、そして心のケアまで、長期的な視点での管理が不可欠な病気です。 当院では、形成外科専門医・美容外科専門医が、薬物療法から根治を目指す外科治療、そして治療後の傷跡のケアまで、一貫してサポートいたします。 長引く症状に一人で悩まず、ぜひ一度ご相談ください。

まとめ

今回は、慢性膿皮症の原因から最新の治療法、そして放置するリスクについて詳しく解説しました。

この病気は、単なるおできではなく、毛包の異常から始まる免疫システムの病気です。近年の研究でその仕組みが解明され、生物学的製剤や外科的治療など、治療法は大きく進歩しています。

「治らない」と諦めていた方も、もう一人で悩む必要はありません。放置すると痛みやQOLの低下だけでなく、がん化のリスクも伴います。大切なのは、ご自身の症状を正しく理解し、専門医のもとで適切な治療を始めることです。

長引く痛みやしこりにお悩みの方は、ぜひ一度、形成外科専門医にご相談ください。

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参考文献

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