名古屋市「新瑞橋」美容外科・美容皮膚科・形成外科・一般皮膚科

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写真でわかる化膿性汗腺炎の症状と危険サイン〜原因は?自分で治せる?市販薬は効くの?〜

「なかなか治らないおできがある」「繰り返し痛みのあるしこりができて困っている」。デリケートな場所の症状ゆえに、一人で抱え込んでいる方も多いのではないでしょうか。そのような症状は、単なるおできではなく「化膿性汗腺炎(かのうせいかんせんえん)」という、毛包の閉塞が発端となる慢性的な皮膚の病気の可能性があります。

この病気は、以前考えられていた汗腺の感染症とは異なり、体内で過剰な炎症が繰り返される「自己炎症に近い病態」です。日本では診断確定までに平均で約7年もの時間がかかると言われており、その遅れが症状の重症化や治療の長期化を招いています。この記事では、化膿性汗腺炎の正しい理解と、一人で悩まず適切なケアを始めるための情報を提供します。

化膿性汗腺炎とは?初期症状と危険なサイン

「なかなか治らないおできがある」「繰り返し痛みのあるしこりができて困っている」といったお悩みを抱えていませんか?デリケートな場所に症状が出ることが多いため、「誰にも相談できない」「恥ずかしい」と一人で抱え込んでしまう方もいらっしゃるかもしれません。そのような症状は「化膿性汗腺炎(かのうせいかんせんえん)」という病気の可能性があります。

この病気について正しく理解し、適切なケアを始めることが、つらい症状を改善し、快適な毎日を取り戻すための大切な一歩となります。当院では、形成外科専門医として、患者さんのデリケートなお悩みに真摯に寄り添い、丁寧な診断と最適な治療をご提案しています。

化膿性汗腺炎とは?初期症状と危険なサイン
化膿性汗腺炎とは?初期症状と危険なサイン

化膿性汗腺炎の定義と発症メカニズム

化膿性汗腺炎は、皮膚の深い部分で炎症が起きる、慢性的な皮膚の病気です。痛みのあるしこり、膿が溜まったおでき、皮膚の下にできたトンネル状の通路(瘻孔:ろうこう)、そして傷跡(瘢痕)などを繰り返し形成するのが特徴です。

以前は「汗腺の病気」だと考えられていましたが、近年の研究で、毛包(毛の根元を包む部分)の閉塞が発端となる「自己炎症に近い病態」であることが明らかになっています。これは、細菌感染が直接の原因となる一般的な「おでき」とは根本的に異なる点です。つまり、体の中で自然な免疫の仕組みが過剰に反応し、勝手に炎症が起きてしまう病気なのです。

毛包が詰まることで、皮膚の免疫システムが過剰に反応し、体内で炎症を引き起こす物質(専門的にはサイトカインと呼ばれ、TNF-αなどがその代表です)が過剰に作られ始めます。この過剰な反応が炎症を悪化させ、症状が何度も繰り返される原因となります。

また、喫煙や肥満は病気を悪化させる大きな要因となります。摩擦や圧迫といった物理的な刺激も症状を悪化させることが知られています。遺伝的な要因が関与するケースもごく一部で報告されていますが、日本では家族歴がある患者さんは2〜3%と、欧米に比べて少ない傾向にあります。化膿性汗腺炎は、このような体の内側から起こる炎症によって、患者さんの日常生活に大きな影響を及ぼす全身性の病気としても捉えられています。

写真でわかる化膿性汗腺炎の初期症状と好発部位

化膿性汗腺炎の初期症状は、皮膚の下にできる小さな硬いしこりや、赤く腫れて痛みを伴う「おでき」のようなものです。この段階では、単なるおできと区別がつきにくいことも少なくありません。

しかし、このしこりや腫れは時間とともに大きくなり、内部に膿が溜まった「膿瘍(のうよう)」へと進行することがあります。膿瘍が破裂すると、悪臭を伴う膿が出てきます。さらに、皮膚の下にトンネル状の通路である「瘻孔(ろうこう)」が形成されたり、炎症が治まった後も硬い傷跡が残ったりすることが、化膿性汗腺炎の特徴的な経過です。これらの症状が繰り返し現れることで、徐々に皮膚の組織が破壊されていきます。
Hurleyのstage分類

この病気ができやすい部位には特徴があります。思春期以降に、わきの下(腋窩)、股の付け根(鼠径部)、おしり(臀部)、性器の周りなど、毛が濃く、皮膚が擦れやすい場所に症状が集中する傾向があります。特に日本では、約半数の患者さんで「おしり」に症状が見られるという報告があります。

これらの部位に「繰り返し痛みのあるしこりや膿が出る」といった症状がある場合は、化膿性汗腺炎を疑う重要なサインかもしれません。ご自身の症状が気になるようでしたら、インターネット上の専門サイトなどで、実際の写真をご確認いただくことも病状理解の助けとなります。

自己流ケアはNG!危険なサインと悪化しやすい習慣

化膿性汗腺炎の症状として膿が出たり、しこりができたりすると、「自分で膿を出してしまおう」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これは絶対に避けていただきたい行為です。ご自身で膿を出そうとすると、かえって細菌感染を招き、炎症がさらに悪化してしまうリスクが高まります。また、新たな瘻孔が形成されたり、よりひどい傷跡が残ったりする可能性も十分にあります。化膿性汗腺炎自体は感染症ではありませんが、症状が悪化すると、そこに細菌が入り込んで二次的な感染を起こすことがあるため注意が必要です。

また、いくつかの生活習慣が化膿性汗腺炎の症状を悪化させやすいことが分かっています。

  • 喫煙: タバコを吸うことは、化膿性汗腺炎の発症や悪化に強く関係していると報告されています。喫煙者における発症リスクは、非喫煙者の実に10倍以上にもなるとのデータもあります。
  • 肥満: 体重が増えすぎている「肥満」も、病状を進行させる大きな要因の一つです。肥満により皮膚が擦れやすくなることや、全身の炎症反応が高まることが関係していると考えられています。
  • 患部への摩擦や圧迫: 締め付けの強い衣類や、長時間座り続けることによる患部への摩擦や圧迫も刺激となり、症状を悪化させる可能性があります。

もし、以下のような「危険なサイン」が見られた場合は、すぐに専門医にご相談ください。

  • 痛みや腫れが急速にひどくなってきた
  • 発熱を伴うようになった
  • 膿が出る頻度が増えたり、皮膚の下のトンネル(瘻孔)が大きくなったりした
  • 病変が広範囲に広がってきた

おでき・ニキビ・粉瘤・蜂窩織炎との違いと見分け方

化膿性汗腺炎は、おでき、ニキビ、粉瘤(ふんりゅう)、蜂窩織炎(ほうかしきえん)といった他の皮膚の病気と症状が似ているため、ご自身で判断することは非常に難しいものです。そのため、診断が遅れてしまうことも少なくありません。それぞれの病気との違いを知り、正しく見分けることが適切な治療への第一歩となります。

  • おでき(癤:せつ)
    • 皮膚の毛穴に細菌が入り込んで起こる急性の炎症です。
    • 通常は単発ででき、数日で治まることが多いのが特徴です。
    • 化膿性汗腺炎は慢性的に繰り返し、複数箇所にできる傾向があります。
  • ニキビ(尋常性ざ瘡)
    • 主に顔、胸、背中などにできる毛穴の炎症です。
    • 化膿性汗腺炎は、わきの下や股の付け根など、特定の部位に深く炎症が起こるのが特徴です。
  • 粉瘤(ふんりゅう)
    • 皮膚の下にできる袋状の良性腫瘍で、中に老廃物が溜まります。
    • 炎症を起こすと赤く腫れて痛むこともありますが、化膿性汗腺炎のように瘻孔や広範囲の瘢痕を形成することは稀です。
    • 粉瘤は袋状の構造を切除することで完治しますが、化膿性汗腺炎は広範囲な炎症のため、治療アプローチが異なります。
  • 蜂窩織炎(ほうかしきえん)
    • 皮膚の深い部分から脂肪組織にかけて細菌が感染する病気です。
    • 急な発赤、腫れ、熱感を伴い、発熱などの全身症状が出ることが多いです。
    • 化膿性汗腺炎は慢性的で、蜂窩織炎のような急速な広がり方は通常しません

化膿性汗腺炎の確定診断には、以下の3つの項目を満たすことが求められます。

  • 典型的な皮疹(しこり、膿瘍、瘻孔、瘢痕など)があること
  • 複数の解剖学的部位に1個以上の皮疹があること
  • 慢性的で、再発を繰り返す経過であること

ご自身の判断で「ただのおできだろう」と決めつけず、必ず皮膚科や形成外科の専門医にご相談ください。

すぐに病院へ!受診すべきタイミングと適切な診療科

「デリケートな場所だから診てもらうのが恥ずかしい」「どうせ治らないだろう」と考えて、病院への受診をためらってしまう方は少なくありません。しかし、化膿性汗腺炎は放置すると、症状がどんどん悪化し、日常生活にも大きな支障をきたす可能性のある病気です。痛みや膿の排出により、仕事や学校、人との交流が困難になることもあります。

日本では、化膿性汗腺炎の診断が確定するまでに平均で約7年もの時間がかかると言われています。この診断の遅れが、症状の重症化や治療の長期化につながる大きな原因となっています。早期に適切な診断と治療を受けることが、つらい症状の改善と、将来的な合併症(糖尿病、うつ、心血管疾患、さらには皮膚がんの一種である有棘細胞癌など)を防ぐために非常に重要です。

以下のような場合は、すぐに病院を受診しましょう。

  • 痛みや腫れがひどくなってきた。
  • 膿が繰り返し出るようになったり、皮膚の下にトンネル状の瘻孔ができてしまった。
  • 発熱などの全身の症状がある。
  • 同じ場所に何度も炎症が起きる。
  • 症状が広範囲に広がっている。
  • 日常生活(座る、腕を上げるなど)に支障が出ている。
  • ご自身でのケアや市販薬を使っても症状が改善しない、または悪化してしまった。

適切な診療科は、皮膚科、または形成外科です。特に形成外科は、膿瘍の切開や瘻孔の切除といった外科的な治療だけでなく、炎症が落ち着いた後に残ってしまった傷跡(瘢痕)の治療など、見た目の改善や機能の維持にも専門的に取り組んでいます。当院では、形成外科専門医として、患者さんのデリケートな悩みに寄り添い、丁寧な診断と、一人ひとりの状態に合わせた最適な治療法をご提案しています。お一人で悩まず、どうぞお気軽にご相談ください。


Q&A

Q1: 化膿性汗腺炎は人にうつりますか? A1: いいえ、化膿性汗腺炎は毛包の炎症が原因となる「自己炎症に近い病態」であり、「感染症」ではありません。そのため、人から人へうつることはありません。ご家族やパートナーの方も安心して日常生活を送ることができます。

Q2: 化膿性汗腺炎は遺伝しますか? A2: 化膿性汗腺炎の発症には、様々な要因が関係しています。ごく一部の方では遺伝的な要因が関与しているケースも報告されていますが、必ずしも遺伝するわけではありません。日本では家族歴のある患者さんは比較的少ない傾向にあります。ご心配な場合は、医師にご相談ください。

Q3: どのような場合に手術が必要になりますか? A3: 化膿性汗腺炎の治療は、症状の程度によって様々です。膿瘍ができて痛みが強い場合や、お薬だけでは改善が見られない場合、また皮膚の下に瘻孔が形成されてしまった場合などには、外科的な処置や手術が選択肢となります。手術は炎症を抑えるだけでなく、根本的な治療や、見た目の改善、機能の維持にもつながることがあります。どのような治療が最適かは、患者さんの状態を詳しく診察した上で医師が判断しますので、まずは形成外科や皮膚科の専門医にご相談ください。

化膿性汗腺炎は自分で治せる?市販薬と正しい対処法

「長年、デリケートな場所に繰り返しできるおできのようなものに悩んでいるけれど、どうすれば良いか分からない。」

このようなお悩みを抱えていらっしゃる方は、決して少なくありません。化膿性汗腺炎は、皮膚の深い部分で炎症が繰り返し起こり、痛みや膿、そして傷跡を残すつらい病気です。

多くの方が「もしかして自分で治せるのでは?」「市販薬で何とかできないだろうか」とお考えになるかもしれませんが、この病気は一般的な「おでき」や「ニキビ」とは性質が大きく異なります。そのため、自己判断での対処はかえって症状を悪化させたり、治るのを遅らせたりする可能性があります。形成外科医の視点からも、皮膚の病態を正しく理解し、適切な方法でケアすることが大切です。

一人で抱え込まず、安心して専門家にご相談ください。

化膿性汗腺炎は自分で治せる?市販薬と正しい対処法
化膿性汗腺炎は自分で治せる?市販薬と正しい対処法

市販薬は効果がある?購入前に知るべきこと

化膿性汗腺炎は、毛穴の深い部分で炎症が起きる慢性的な病気です。近年の研究では、汗腺の感染症というよりは、毛包を中心とした「自己炎症に近い病態」であることが明らかになっています。これは、体の中で自然な免疫システムが過剰に反応し、炎症を引き起こす物質(サイトカインなど)が過剰に作られることで、症状が繰り返される病態です。

そのため、市販されている抗菌薬や抗炎症薬の多くは、表面的な細菌感染を抑える目的で作られています。化膿性汗腺炎の根本的な炎症を抑える効果は期待しにくいといえるでしょう。

  • 市販薬の作用
    • 一時的に痛みを和らげたり、炎症を少し抑えたりする効果が期待できます。
    • しかし、病気の進行を止めたり、再発を防いだりすることは難しいです。

例えば、一般的なおできやニキビに効く薬を使っても、化膿性汗腺炎の症状は改善しないことがほとんどです。化膿性汗腺炎は、肺炎桿菌による化膿性肝膿瘍や、細菌感染が主な原因となる脊髄硬膜外膿瘍、肛門周囲膿瘍とは根本的に異なる病態です。

ご自身の判断で市販薬を使い続けると、かえって症状が悪化する危険性もあります。化膿性汗腺炎は、専門医による正確な診断と、病態に合わせた治療が不可欠です。適切な診断なしに市販薬を使用し続けることは、症状が慢性化し、皮膚組織の損傷や瘢痕(傷跡)が悪化するリスクを高めてしまいます。形成外科の専門医として、そのような状況は避けたいと考えます。

自分で膿を出すのは危険!正しいケアとやってはいけないこと

「この膿を自分で出してしまえば、楽になるのでは?」と感じるかもしれません。しかし、化膿性汗腺炎でできた膿を自分で無理に出そうとすることは、非常に危険な行為です。

無理に膿を出すことで、次のようなリスクが高まります。

  • 炎症の悪化と感染の拡大
    • 皮膚を傷つけ、内部に存在する細菌がさらに深く入り込む可能性があります。
    • 周囲の健康な皮膚に炎症が広がってしまうことも考えられます。
    • レンサ球菌などの細菌による二次感染が起こると、さらに症状が悪化する恐れがあります。
  • 強い痛みや出血
    • ご自身で不適切な方法や器具を使うと、想像以上の痛みを感じたり、出血が止まらなくなったりすることがあります。
  • 傷跡(瘢痕)の悪化
    • 化膿性汗腺炎は、病変が治った後に深い傷跡を残しやすい病気です。
    • 無理な圧迫や刺激を加えることで、さらに目立つ傷跡や硬いしこりになってしまう可能性があります。
    • 一度できてしまった瘢痕は、形成外科医にとっても完全に消すことが難しい場合が多いです。
  • 治癒の遅延
    • 自己流の処置は、結局のところ症状を長引かせ、適切な治療の開始を遅らせることにつながります。

膿瘍の治療は、専門家による「外科的ドレナージ」が基本です。これは、清潔な環境で専門医が適切に行うべき処置です。肛門周囲膿瘍の治療に関する文献でも、迅速な外科的ドレナージが推奨されています。ご自身で膿を出そうとせず、必ず医療機関を受診してください。

痛みを和らげる日常生活のセルフケア3選

化膿性汗腺炎のつらい痛みは、日常生活に大きな影響を与えます。専門的な治療と並行して、ご自宅でできるセルフケアで痛みを和らげ、少しでも快適に過ごすことが大切です。欧州S1ガイドラインでも、疼痛管理は補助的な措置として推奨されています。

ただし、これらのケアはあくまで症状を和らげるための対症療法です。病気を根本的に治すものではないことを理解しておきましょう。

  1. 患部を清潔に保ち、摩擦を避ける
    • 優しく洗浄する:
      • 入浴やシャワーの際は、患部を刺激の少ない石鹸で優しく洗いましょう。
      • ゴシゴシこすらず、清潔を保つことが大切です。
      • 清潔に保つことで、二次的な細菌感染のリスクを減らすことができます。
    • ゆったりとした服装:
      • 患部を締め付けない、ゆったりとした綿素材などの衣類を選びましょう。
      • 摩擦による刺激を避けることが、炎症の悪化を防ぐために重要です。
      • 下着も同様に、通気性の良いものを選び、常に清潔に保つことが肝心です。
      • デリケートな部位の摩擦は、症状の悪化に直結するため注意が必要です。
  2. 温湿布や冷却で痛みを緩和する
    • 温湿布:
      • 患部が慢性的に硬く、痛む場合は、温かい湿布や蒸しタオルで優しく温めてみましょう。
      • 血行が促進され、痛みが和らぐことがあります。
      • ただし、炎症が強く、熱を持っている場合は避けてください。
    • 冷却:
      • 炎症が強く、熱感や腫れがある場合は、清潔なタオルで包んだ保冷剤などで優しく冷やすと良いでしょう。
      • 局所的な冷却は、炎症反応を抑え、痛みを軽減する効果が期待できます。
  3. 痛み止めを適切に活用する
    • 市販の痛み止め:
      • 薬剤師に相談して、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの市販の痛み止めを一時的に使用することもできます。
      • 一時的な痛みの軽減には有効な場合があります。
    • 医師への相談:
      • 痛みが強い場合や、市販薬で改善しない場合は、遠慮なく主治医に相談してください。
      • より効果的な処方薬(鎮痛剤など)が検討されることがあります。
      • 長期にわたる痛みは、生活の質を著しく低下させるため、我慢せずに専門医に相談することが重要です。

再発を防ぐための生活習慣の改善ポイント

化膿性汗腺炎は再発を繰り返しやすい病気です。欧州S1ガイドラインや日本の「化膿性汗腺炎診療の手引き2020」にも記載があるように、生活習慣の改善は、再発を予防し、症状の悪化を防ぐために非常に重要な補助療法とされています。特に、以下の2つの点に注目し、できることから見直していきましょう。

  • 禁煙
    • 喫煙は、化膿性汗腺炎の最も強いリスク因子の一つです。
    • 喫煙者における発症リスクは、非喫煙者の実に10倍以上(約12.5倍というデータもあります)にもなると報告されています。
    • タバコに含まれる成分が炎症を促進し、毛穴の詰まりを悪化させると考えられています。
    • 禁煙は、病気の進行を遅らせ、再発を減らすために非常に効果的な対策です。
    • 禁煙は難しいことですが、ご家族や専門機関(禁煙外来など)のサポートも活用しながら、ぜひ取り組んでみてください。
  • 減量(肥満解消)
    • 肥満もまた、化膿性汗腺炎の発症や悪化、再発に強く関連するリスク因子です。
    • BMI(体格指数)が増加するほど、発症率が高まる傾向があります。
    • 肥満は、皮膚の摩擦が増えることや、全身の慢性的な炎症状態を引き起こすことなどが原因と考えられています。
    • バランスの取れた食事と適度な運動を取り入れ、無理のない範囲で体重を管理することが重要です。
    • 体重を減らすことで、皮膚が擦れ合う部位の摩擦が減り、炎症の軽減につながることが期待できます。

その他にも、ストレスをため込まない、睡眠をしっかりと取る、機械的刺激(締め付けの強い衣類による摩擦や長時間の圧迫など)を避けるといった健康的な生活習慣を心がけることが、再発予防につながります。ご自身の体と向き合い、できる範囲で生活を見直してみましょう。

清潔を保つための適切な包帯・ドレッシング剤の選び方

化膿性汗腺炎の病変から滲出液が出たり、出血したりする場合、清潔を保つことと、衣類への汚れを防ぐために包帯やドレッシング剤の使用が必要になります。適切な製品を選ぶことで、患部を保護し、快適さを保つことができます。欧州のガイドラインでも、適切なドレッシングの使用が補助療法として推奨されています。

適切な包帯・ドレッシング剤を選ぶ際のポイントは次のとおりです。

  • 吸収性
    • 滲出液が多い場合は、高い吸収性を持つドレッシング剤を選びましょう。
    • 交換頻度を減らし、周囲の皮膚が浸軟(しんなん:ふやけてしまうこと)するのを防ぎます。
  • 通気性
    • 患部が蒸れると、皮膚の環境が悪化し、二次感染のリスクが高まります。
    • 通気性の良い素材を選び、常に乾燥した状態を保つように心がけましょう。
    • 皮膚が呼吸できる状態を保つことが、治癒を促進します。
  • 低刺激性
    • 皮膚は炎症を起こしているため、非常にデリケートです。
    • 肌に優しい素材で、粘着力が強すぎないものを選びましょう。
    • 剥がす際に皮膚を傷つけないように注意が必要です。敏感肌用のドレッシング剤も市販されています。
  • クッション性
    • 痛みのある患部を外部からの刺激や摩擦から保護するために、ある程度のクッション性があるものが良いでしょう。
    • 特に、椅子に座る際やお風呂に入る際など、日常生活での刺激から患部を守ることに役立ちます。
  • 交換の頻度
    • 滲出液の量に合わせて、こまめに交換し、常に清潔な状態を保つことが大切です。
    • 交換の際には、患部を優しく洗浄し、乾燥させてから新しいドレッシング剤を貼り付けましょう。
    • 清潔な環境を保つことは、病変の悪化を防ぎ、快適に過ごすために非常に重要です。

適切な製品の選び方や使用方法に迷う場合は、自己判断せず、必ず医療機関で相談し、指導を受けることをお勧めします。特に形成外科では、傷跡の残存を最小限に抑えるためにも、適切な創傷管理が重要であると考えています。

Q&A:患者さんからのよくあるご質問

Q1: 化膿性汗腺炎の痛みは、いつまで続きますか? A1: 化膿性汗腺炎の痛みは、炎症の程度や病変の活動性、治療状況によって大きく異なります。適切な治療とセルフケアを継続することで痛みを和らげることができますが、症状が慢性的に続き、痛みが繰り返し生じることもあります。痛みを感じたら、決して我慢せず、早めに医師に相談して適切な疼痛管理を行うことが大切です。形成外科専門医として、患者さんの痛みを軽減し、日常生活の質を保つためのサポートをいたします。

Q2: 化膿性汗腺炎は「完治」するものなのでしょうか? A2: 化膿性汗腺炎は慢性的な経過をたどる病気であり、完全に「完治」というよりは、症状をコントロールし、再発をいかに防ぐかが治療の重要な目標となります。病状が改善しても、自己判断で治療を中断せず、医師の指示に従って長期的に治療を続けることで、症状のない状態を維持できる可能性が高まります。早期診断・早期治療が、症状の重症化を防ぎ、より良い状態を長く保つ鍵となります。

Q3: 日常生活で特に気を付けることはありますか? A3: 日常生活では、いくつかの点に注意することで症状の悪化や再発を防ぐことができます。

  • 禁煙: 喫煙は最大の悪化因子の一つですので、禁煙は非常に重要です。
  • 体重管理: 適度な体重を保つことも、肥満が症状を悪化させるリスクを減らします。
  • 摩擦・圧迫の回避: 患部への締め付けや擦れを避けるため、ゆったりとした服装を心がけましょう。
  • 清潔保持: 患部を清潔に保ち、適切な包帯やドレッシング剤を使用してください。
  • ストレス管理: ストレスを溜め込まないようにし、十分な睡眠をとるなど、心身の健康を保つことも症状の安定に役立ちます。

一人で悩まず、専門医にご相談を

化膿性汗腺炎は、デリケートな部位にできることが多く、「誰にも相談できない」「恥ずかしい」と一人で抱え込んでしまいがちな病気です。しかし、放置すると症状が悪化し、広範囲にわたる瘢痕(傷跡)や瘻孔(皮膚の下のトンネル)を形成してしまうことがあります。また、痛みや見た目の問題から、社会生活や人間関係にも大きな影響を及ぼす可能性があります。

日本では、診断が確定するまでに平均で約7年もの時間がかかると言われており、この診断の遅れが重症化の一因となっています。

当院では、形成外科専門医として、化膿性汗腺炎の診断から治療、そして炎症が落ち着いた後の瘢痕ケアに至るまで、患者さんのデリケートなお悩みに真摯に寄り添い、丁寧なサポートを提供しています。

つらい症状でお悩みでしたら、どうぞお気軽にご相談ください。早期に適切な治療を開始し、症状をコントロールすることで、より快適な日常生活を取り戻すことができます。

一人で悩まず、専門医にご相談を
一人で悩まず、専門医にご相談を

医師が行う化膿性汗腺炎の専門治療と再発予防

化膿性汗腺炎は、皮膚の奥深くで炎症が繰り返し起こり、痛みや膿、そして見た目の変化に悩まされる、とてもつらい病気です。この慢性的な症状は、日々の生活に大きな影響を与え、患者さんの精神的な負担も大きいものです。しかし、この病気は適切な専門治療を受けることで、症状を大きく改善し、再発を予防することが十分に可能です。形成外科専門医である私たちは、患者さん一人ひとりの状態を丁寧に診察し、病気の根本的な解決だけでなく、治療後の見た目の美しさや機能の維持にも最大限配慮した最適な治療プランをご提案しています。つらい症状に諦めることなく、ぜひ私たち専門医にご相談ください。

正しい診断のために必要な検査とHurley分類

化膿性汗腺炎の診断は、初期段階では他の皮膚疾患と区別が難しく、診断が遅れてしまうケースが少なくありません。スイスの専門家コンセンサスでも、化膿性汗腺炎が患者さんの生活の質に大きな影響を与えながらも、診断に長い時間がかかることが問題だと指摘されています。そのため、正確な診断のためには、まず経験豊富な医師による丁寧な問診と、患部の注意深い視診が不可欠です。

日本皮膚科学会が作成した「化膿性汗腺炎診療の手引き2020」では、この病気の診断基準として次の3つの項目が挙げられています。

  • 典型的な皮膚症状:
    • 皮膚の深い部分にできる、痛みを伴うしこりや、膿が溜まったおできのような「膿瘍(のうよう)」が見られます。
    • これらが複雑につながった「瘻孔(ろうこう)」というトンネル状の通路や、治った後に残る「瘢痕(はんこん)」という傷跡も特徴的です。
  • 複数の解剖学的部位に発生:
    • わきの下、股の付け根、おしりなど、特定の場所に複数の病変が、ひとつ以上見られることが特徴です。
  • 慢性的な経過と再発を繰り返す:
    • 症状が一度治まっても、再び悪くなったり、良くなったりを繰り返す慢性の経過をたどります。

これらの項目を医師が総合的に判断することで、化膿性汗腺炎と確定診断されます。

診断が難しい場合や、皮膚の奥の炎症の広がりを正確に把握するためには、画像検査が非常に有用です。

  • 超音波検査:
    • 皮膚の表面からは見えない、深い部分の膿瘍や瘻孔の広がりを確認できます。
    • 炎症の活動性や周囲組織への影響も評価することが可能です。
  • MRI検査:
    • 特に病変が広範囲に及んでいる場合や、瘻孔が複雑に絡み合っている場合に、詳細な解剖学的情報を提供します。
    • 脳膿瘍と悪性病変の鑑別にもDWIとADCパラメータが有用であると報告されていますが、化膿性汗腺炎においても、炎症の深部への広がりや他の病気との鑑別に役立ちます。

また、化膿性汗腺炎の重症度を客観的に評価するために、「Hurley(ハーレイ)分類」という国際的な基準が広く用いられています。この分類は、病気の進行度合いによって治療方針が大きく変わるため、非常に重要です。

  • Hurley分類I度(軽症):
    • しこりや膿のたまり(膿瘍)が一つまたは複数ある段階です。
    • 瘻孔や大きな傷跡はまだ見られません。
    • この段階では、外用薬や内服薬での治療が中心となります。
  • Hurley分類II度(中等症):
    • 複数のしこりや膿のたまりがあり、それらが部分的に瘻孔を形成していることがあります。
    • 病変の広がりは限られていますが、繰り返し炎症を起こすことで、患者さんの日常生活に影響が出始めます。
    • 薬物療法に加えて、外科的処置が検討されることがあります。
  • Hurley分類III度(重症):
    • 広範囲にわたってしこり、膿のたまり、瘻孔が複雑に絡み合い、広範囲にわたる傷跡が形成されています。
    • 日常生活に大きな支障をきたし、持続的な痛みや膿の排出が特徴です。
    • 生物学的製剤や広範囲切除術などの、より積極的な治療が必要となります。

このHurley分類によって、一人ひとりの患者さんに最適な治療計画を立て、効果的な治療へとつなげることができます。

内服薬・外用薬・ステロイド注射などの薬物療法

化膿性汗腺炎の治療では、炎症を抑え、つらい症状を和らげるために、さまざまな薬物療法が段階的に行われます。欧州のガイドラインにもとづいた治療法では、軽症から重症まで、それぞれの段階に合わせたアプローチが推奨されています。

まず、Hurley分類I度のような軽症の場合には、患部に直接塗る外用薬が治療の第一選択肢となることが多いです。

  • クリンダマイシンを主成分とする外用薬:
    • 約12週間の使用が推奨され、炎症を抑える効果が期待できます。
    • 毛穴の詰まりを改善し、細菌の増殖を抑える作用もあります。

炎症がもう少し広い範囲に及んでいる中等症の場合や、外用薬だけでは十分な効果が得られない場合には、飲み薬である内服薬が処方されます。

  • テトラサイクリン系の抗菌薬:
    • 約4ヶ月間の服用が推奨されることがあります。
    • 化膿性汗腺炎は「感染症」そのものではありませんが、テトラサイクリン系抗菌薬は、細菌を抑える作用だけでなく、炎症を鎮める働きも持つため、この病気の治療に有効です。
    • 特に、毛包周囲の慢性的な炎症を抑えることを目的として使用されます。
  • クリンダマイシンとリファンピシンの併用療法:
    • より重い中等症や、他の治療法で改善が見られない場合に、約10週間の併用療法が検討されます。
    • これらの抗菌薬を組み合わせることで、炎症を強力に抑制し、症状の改善を目指します。
    • 脊髄硬膜外膿瘍のように細菌感染が直接の原因となる病気とは異なり、化膿性汗腺炎では自己炎症のメカニズムも関与するため、抗菌薬の選択には専門的な判断が必要です。

また、炎症が強く、痛みもひどいしこりや膿のたまりに対しては、ステロイドの局所注射を行うことがあります。

  • 炎症を直接抑える効果:
    • 病変部に直接ステロイドを注入することで、炎症を速やかに抑え、痛みや腫れを和らげる効果が期待できます。
    • この処置は一時的な症状の緩和には有効ですが、化膿性汗腺炎の根本的な原因を取り除く治療ではありません。
    • そのため、再発を完全に防ぐことは難しい場合があります。

すべての薬物療法において、患者さんのつらい痛みを和らげることは非常に重要です。必要に応じて、**痛み止めの薬(鎮痛剤)**も併用し、患者さんの日常生活の質が保たれるよう配慮いたします。治療期間や薬の種類は、患者さんの病状や薬への反応を慎重に見極めながら、形成外科医が判断して決めていきます。副作用についても詳しくご説明し、気になる症状があればすぐに相談できる体制を整えています。

生物学的製剤アダリムマブの効果と治療期間

従来の薬物療法や手術だけでは十分な効果が得られない、中等度から重度の化膿性汗腺炎の患者さんにとって、近年、画期的な治療薬として**生物学的製剤「アダリムマブ(商品名:ヒュミラ)」**が大きな希望となっています。アダリムマブは、現在のところ、日本において中等度から重度の化膿性汗腺炎の治療薬として、国の機関によって承認されている唯一の生物学的製剤です。

この薬は、化膿性汗腺炎の病態形成に深く関わっていると考えられている「TNF-α(ティーエヌエフアルファ)」という炎症性サイトカインの働きをピンポイントで抑えることで効果を発揮します。TNF-αは、体の中で炎症を引き起こす主要な物質の一つであり、これをブロックすることで、過剰な炎症の連鎖を断ち切り、症状の改善につながるのです。まるで炎症の火種を根本から消すようなイメージです。

アダリムマブによる治療は、複数の臨床研究でその有効性と安全性が確認されています。

  • 炎症の改善:
    • 活動性の炎症性病変に対して、12週間の治療で症状の顕著な改善が期待できます。
    • 日本の治験においても、高いHiSCR(化膿性汗腺炎臨床反応)達成率が示されており、欧米での研究でもアダリムマブを週1回投与することで、他の治療法と比較してより大きな治療効果が見られました。
  • 疼痛の軽減:
    • 中等度から重度の化膿性汗腺炎の女性患者さんを対象とした研究では、アダリムマブを週1回投与することで、プラセボ(偽薬)と比較して統計的に有意な疼痛の軽減効果が示されています。
    • これにより、患者さんの日々の苦痛が大きく和らぐことが期待されます。
  • 生活の質の向上:
    • 痛みや膿の排出、見た目の問題など、化膿性汗腺炎は患者さんの生活の質(QOL)に深刻な影響を与えます。
    • アダリムマブによって症状が改善することで、日常生活がより快適になり、精神的な負担も軽減されることが期待されます。

アダリムマブの投与方法は、通常、ご自宅でご自身で皮下注射していただきます。

  • 初回投与:
    • 最初に160mgを皮下注射します。
  • 2週目:
    • 80mgを皮下注射します。
  • それ以降:
    • 週に1回40mgを皮下注射で継続します。

効果が現れるまでには、通常2週間ほどの時間を要することが多いですが、その後も週1回の投与を継続することが、中期的にも安定した効果を維持するために最適だとされています。治療期間は患者さんの状態によって異なりますが、症状の改善が見られた後も、再発を防ぐために長期間継続することが推奨される場合があります。

アダリムマブは非常に効果的な治療法ですが、すべての方に適応されるわけではありません。また、免疫を抑える作用があるため、感染症への注意など、いくつか注意すべき点もあります。治療開始前には、詳しく検査を行い、患者さんの状態を慎重に評価した上で、メリットとデメリットを十分に説明し、ご理解いただいた上で治療を進めていきます。形成外科医として、生物学的製剤と外科的治療を適切に組み合わせることで、より良い治療結果を目指すことができます。

根本治療を目指す手術の種類と注意点

化膿性汗腺炎の治療において、薬物療法で炎症を抑えるとともに、病変を根本的に取り除く手術は非常に重要な選択肢となります。形成外科専門医の視点から見ると、手術の主な目的は、炎症を起こしている部位を完全に除去することで、症状の緩和、再発の予防、そして何よりも患者さんの見た目の改善と、その部位の機能(腕の動き、座るなど)の維持を図ることです。

手術の種類は、病変の広がりや重症度(Hurley分類)によって、いくつかの方法があります。

  1. 切開排膿(せっかいはいのう):
    • 皮膚の下に溜まった膿を切開して外に出す、比較的シンプルな処置です。
    • これは一時的に痛みや腫れを和らげる効果がありますが、炎症の根本原因を取り除くものではないため、再発する可能性があります。
    • 化膿性肝膿瘍や肛門周囲膿瘍の治療と同様に、緊急的に膿を出す目的で行われることが多いです。
  2. デルーフィング(Derma Abrasion: 病変屋根開け術):
    • 病変の「屋根」を開ける手術とも呼ばれ、皮膚表面に現れている炎症部分を切開し、内部の膿の管(瘻孔)や炎症を起こした組織を掻き出す方法です。
    • これにより、病変が開放され、清潔に保ちやすくなります。
    • しかし、病変が深い場合には、残った組織から再発することがあります。
  3. 広範囲切除(こうはんいせつじょ):
    • 化膿性汗腺炎の根本治療として、最も効果が高いとされる手術です。
    • Hurley分類II度やIII度といった中等度から重度の病変に対して行われます。
    • 炎症を起こしている皮膚や皮下組織、複雑な瘻孔などを、健康な組織を含めて広範囲に切除します。
    • 病変を完全に切除することで、再発のリスクを大幅に減らすことができます。
    • 切除した後の大きな傷は、以下のような方法で閉じます。
      • 縫い合わせる: 小さな傷の場合や、皮膚の余裕がある場合に行います。
      • 他の部位から皮膚を移植する(植皮術): 広範囲に切除した場合に、別の場所(太ももなど)から皮膚を採取して移植します。
      • 傷が自然に治るのを待つ(開放創): 特定の部位や状況によっては、あえて縫い合わせずに傷が自然に治るのを待つこともあります。

手術を行うタイミングも非常に重要です。炎症が強い時期に無理に手術を行うと、傷の治りが悪くなったり、術後の合併症のリスクが高まったりすることがあります。そのため、生物学的製剤などの薬物療法で炎症を落ち着かせた後に、広範囲切除を行うことが推奨されています。孤立した病変には外科的切除後に生物学的製剤で再発を抑えることも考慮されます。

形成外科医として、手術を行う際には、ただ病変を取り除くだけでなく、手術後の機能的な問題(腕を上げにくい、座ると痛いなど)や、見た目の問題(傷跡の残り方など)にも最大限配慮いたします。特に、傷跡が目立ちにくいように切開線を選んだり、必要に応じて術後に傷跡をきれいにする治療(瘢痕形成術)をご提案したりすることもあります。

注意すべき点として、特に男性で臀部(おしり)の広範囲にわたる病変が長期間続いている場合、稀ですが皮膚がんの一種である**有棘細胞癌(ゆうきょくさいぼうがん)**が発生するリスクがあることが指摘されています。このようなリスクを低減するためにも、定期的な診察と、必要に応じた早期の手術的治療が非常に重要です。私たちは、患者さんの長期的な健康と生活の質を守るために、最善の治療法を選択してまいります。

治療費用と保険適用、専門医への相談の重要性

化膿性汗腺炎の治療は、その症状の程度や選択される治療法によって、費用が大きく異なります。患者さんが安心して治療に専念できるよう、治療費用と保険適用についてしっかりと理解しておくことは、非常に大切です。

薬物療法の場合

  • 外用薬や一般的な内服薬:
    • これらは通常の保険診療の対象となり、自己負担割合に応じて費用が発生します。
    • 年齢や収入によって、1割、2割、3割のいずれかの負担となります。
  • 生物学的製剤(アダリムマブ):
    • 中等度から重度の化膿性汗腺炎に保険適用があり、高額な薬剤です。
    • しかし、高額療養費制度を利用することができます。この制度は、1ヶ月の医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、その超えた部分が国から支給されるものです。
    • これにより、経済的な負担を大きく軽減することが可能です。
    • ただし、日本国内では、化膿性汗腺炎に対するすべての薬剤が保険適用となっているわけではない点には注意が必要です。

手術の場合

  • 手術の種類や規模によって費用は変わりますが、ほとんどの場合、健康保険が適用されます。
  • 広範囲切除などの大きな手術では費用が高額になることもありますが、こちらも高額療養費制度の対象となりますので、ご安心ください。

治療費用の目安

患者さんの状態によって大きく異なるため、一概に具体的な金額をお伝えすることは難しいです。治療を開始する前に、概算の費用について担当の医師や、当院の医療事務スタッフに遠慮なく相談し、事前に確認しておくことをお勧めします。

専門医への相談の重要性

化膿性汗腺炎は、その診断が難しく、また日本ではまだ知名度が低い病気です。そのため、「化膿性汗腺炎診療の手引き2020」によると、この病気だと診断が確定するまでに平均で約7年もの時間がかかると言われています。この長い遅延は、症状の悪化や、患者さんの生活の質の著しい低下につながりかねません。スイスの診療推奨事項でも、化膿性汗腺炎が患者さんのQOLに深刻な影響を与えることが指摘されています。

そのため、化膿性汗腺炎が疑われる症状がある場合は、できるだけ早く専門医に相談することが非常に重要です。皮膚科医や、特に形成外科医といった専門知識を持つ医師であれば、正確な診断を行い、患者さんの状態に合わせた最適な治療計画を立てることができます。

  • 形成外科医の強み:
    • 病変の外科的切除を専門とし、再発をできるだけ抑える手術を行うことができます。
    • 手術後の傷跡のケアや、見た目の改善、そして機能の維持まで含めた総合的な治療を提案できることが大きな特徴です。
    • デリケートな部位の治療において、患者さんのプライバシーと尊厳を尊重し、丁寧なケアを提供します。

当院では、化膿性汗腺炎の治療経験が豊富な形成外科専門医が、患者さん一人ひとりの症状と真摯に向き合い、最新の知見に基づいた治療を提供しています。もし、化膿性汗腺炎でお悩みでしたら、一人で抱え込まず、ぜひ一度ご相談ください。私たちは、患者さんが快適な日常生活を取り戻せるよう、全力でサポートさせていただきます。

Q&A:専門医からのよくある質問

Q1: 化膿性汗腺炎の治療で「完治」は目指せるのでしょうか? A1: 化膿性汗腺炎は慢性的な経過をたどる病気であり、完全に「完治」というよりも、症状をしっかりとコントロールし、再発をいかに防ぐかが治療の重要な目標となります。治療によって症状が落ち着いたとしても、自己判断で治療を中断せず、医師の指示に従って長期的に治療を続けることで、症状のない安定した状態を長く維持できる可能性が高まります。早期に診断を受け、治療を開始することが、症状の重症化を防ぎ、より良い状態を長く保つための鍵となります。

Q2: 手術の痛みが心配です。どのくらい痛むのでしょうか? A2: 手術中の痛みについては、局所麻酔や全身麻酔を適切に行うため、心配はいりません。手術後には、麻酔の効果が切れるとともに痛みが現れることがありますが、処方される痛み止めの薬で十分にコントロールすることが可能です。形成外科医は、手術後の痛みを最小限に抑え、患者さんが快適に過ごせるよう、適切な疼痛管理を行います。万が一、痛みが続く場合や、処方された薬で効果がない場合は、遠慮なくご相談ください。

Q3: 治療後の再発予防のために、特に気を付けるべきことは何ですか? A3: 化膿性汗腺炎の再発予防には、日常生活の改善が非常に重要です。特に以下の点に注意してください。

  • 禁煙: 喫煙は病気を悪化させる最大の要因の一つとされていますので、禁煙は非常に強くお勧めします。
  • 体重管理: 適正な体重を維持することも大切です。肥満は皮膚の摩擦を増やし、症状を悪化させるリスクを高めます。
  • 患部の清潔と摩擦の回避: 患部を清潔に保ち、締め付けの強い衣類や長時間の圧迫を避けることで、刺激を減らしましょう。
  • ストレス管理: ストレスを溜め込まないようにし、十分な睡眠をとることも、心身の健康を保ち、症状の安定につながります。 これらを日々の生活に取り入れることで、再発のリスクを減らし、より良い状態を維持することを目指しましょう。

一人で悩まず、形成外科専門医にご相談を

化膿性汗腺炎は、デリケートな部位にできることが多く、「誰にも相談できない」「恥ずかしい」と一人で抱え込んでしまいがちな病気です。しかし、放置すると症状が悪化し、広範囲にわたる瘢痕(傷跡)や瘻孔(皮膚の下のトンネル)を形成してしまうことがあります。また、痛みや見た目の問題から、社会生活や人間関係にも大きな影響を及ぼす可能性があります。

日本では、化膿性汗腺炎の診断が確定するまでに平均で約7年もの時間がかかると言われており、この診断の遅れが重症化の一因となっています。

当院では、形成外科専門医として、化膿性汗腺炎の診断から治療、そして炎症が落ち着いた後の瘢痕ケアに至るまで、患者さんのデリケートなお悩みに真摯に寄り添い、丁寧なサポートを提供しています。特に、**美容外科専門医(JSAPS)**としての知見も活かし、治療後の見た目の改善にも最大限配慮した治療計画をご提案できることが当院の強みです。

つらい症状でお悩みでしたら、どうぞお気軽にご相談ください。早期に適切な治療を開始し、症状をコントロールすることで、より快適な日常生活を取り戻すことができます。私たちは、あなたの「もっと早く相談すればよかった」という後悔をなくし、「相談してよかった」と思っていただけるよう、全力を尽くします。お一人で悩まず、ぜひ当院へ足をお運びください。

まとめ

「なかなか治らないおできがある」「繰り返し痛みのあるしこりができて困っている」といったお悩み、もしかしたら化膿性汗腺炎かもしれません。この病気はデリケートな部位にできやすく、自己判断でのケアや市販薬では根本的な改善が難しいのが特徴です。放置すると症状が悪化し、日常生活に大きな影響を与えてしまうこともあります。

日本ではまだ診断が遅れがちな化膿性汗腺炎ですが、早期に適切な治療を始めることが大切です。当院の形成外科専門医が、患者様のお悩みに真摯に寄り添い、丁寧な診断と最適な治療をご提案します。一人で抱え込まず、どうぞお気軽にご相談ください。快適な毎日を取り戻すために、私たちがお手伝いいたします。

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参考文献

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  2. Budiman L, Abetz JW, Mitra B. “Clinical Characteristics of Patients With Spinal Epidural Abscess: A Systematic Review and Meta-Analysis.” Emergency medicine Australasia : EMA 38, no. 1 (2026): e70204.
  3. Hasan GM, Mohammad T, Zaidi S, Shamsi A, Sohal SS, Hassan MI. “Klebsiella pneumoniae and pyogenic liver abscess: Emerging clinical threats, virulence mechanisms and therapeutic strategies (Review).” Molecular medicine reports 33, no. 3 (2026): .
  4. Gandhi ND, Alibo EO, Gipe JH. “Anal Abscess and Fistula.” The Surgical clinics of North America 106, no. 1 (2026): 51-63.
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  6. 化膿性汗腺炎診療の手引き 2020.

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