皮膚科で処方されるニキビ塗り薬を専門医が全解説

ニキビは多くの方が経験する身近な皮膚トラブルです。しかし、鏡を見るたびに憂鬱になったり、人に会うのが億劫になったりするほど、見た目だけでなく心の健康にも影響を及ぼすことがあります。
「単なる肌荒れ」と自己流のケアで済ませていませんか?日本の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」でも90%以上が経験するとされるニキビは、放置するとQOL(生活の質)の低下や、一生消えない可能性のあるニキビ跡(瘢痕)を残してしまう「病気」です。
本記事では、形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)が、ニキビを根本から改善し、再発を防ぐための皮膚科で処方される代表的な塗り薬について、種類、効果、使い方、注意点まで詳しく解説します。
皮膚科で処方される代表的なニキビ塗り薬5選
ニキビは、多くの方が一度は経験する身近な皮膚のトラブルです。思春期だけでなく、大人になってからもできる「大人ニキビ」に悩む方も少なくありません。鏡を見るたびに憂鬱な気持ちになったり、人に会うのが億劫になったりすることもあるでしょう。
しかし、ニキビは適切な治療を皮膚科で受けることで、その症状を改善できる病気です。形成外科専門医、そして美容外科専門医(JSAPS)として、患者さんの肌の状態やニキビの種類、重症度をしっかりと見極め、科学的根拠に基づいた最適な塗り薬を処方しています。ここでは、特に効果の高い代表的なニキビ治療薬について、詳しく解説いたします。

ディフェリンゲル:毛穴詰まりを改善するレチノイド外用薬
ディフェリンゲルの主成分は「アダパレン」という薬剤です。これは「レチノイド」と呼ばれるビタミンAに似た成分の一種です。このお薬の主な働きは、ニキビの始まりである「面皰(めんぽう)」の形成を抑えることです。面皰とは、毛穴の出口が古い角質で詰まり、皮脂が溜まってしまう状態を指します。いわゆる白ニキビや黒ニキビとして現れるのが面皰です。
ディフェリンゲルは、毛穴の詰まりを改善し、さらに新しいニキビができにくい肌へと導く効果が期待できます。日本の最新のガイドライン「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」でも、面皰の治療とニキビの維持療法において「強く推奨(A)」されています。
- 成分と働き
- アダパレン
- 毛穴の角質が異常に厚くなるのを防ぎます。
- 詰まってしまった毛穴を広げ、皮脂の排出を促します。
- これにより、ニキビの元となる面皰の発生を抑制します。
- すでにできている面皰も改善へと導きます。
- アダパレン
- 期待できる効果
- 白ニキビ(閉鎖面皰)や黒ニキビ(開放面皰)の改善に有効です。
- これからできるニキビの予防にもつながります。
- 注意点
- 使い始めの約2週間は、乾燥、赤み、かゆみ、ヒリヒリ感などの刺激症状が出ることがあります。
- これらの症状は多くの場合、使い続けるうちに落ち着いてきますのでご安心ください。
- 日中の使用は可能ですが、紫外線対策をしっかり行うことが大切です。
- 妊娠中の方、または妊娠の可能性のある方は使用できません。必ず医師にご相談ください。
Q&A: ディフェリンゲルはどのくらいで効果が出ますか? ディフェリンゲルは、ニキビの「種」である面皰から改善していくため、効果を実感するまでに少し時間がかかります。通常、効果が現れ始めるまでに数週間から1ヶ月程度を要することが多いです。焦らず、根気強く継続して使用することが重要です。
ベピオゲル:ニキビ菌を殺菌する過酸化ベンゾイル
ベピオゲルの主成分は「過酸化ベンゾイル(BPO)」です。このお薬の大きな特徴は、ニキビの原因となる「アクネ菌」を強力に殺菌する作用と、毛穴の詰まりを改善するピーリング作用を併せ持っている点です。アクネ菌は、毛穴に詰まった皮脂を栄養源として増殖し、炎症を引き起こして赤ニキビの原因となります。
ベピオゲルは、アクネ菌を直接殺菌するため、赤ニキビの改善に非常に効果的です。また、抗生物質とは異なる機序で作用するため、アクネ菌に薬剤耐性(薬が効かなくなること)がつきにくいという大きなメリットがあります。これにより、長期的な使用にも適しています。「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」でも、面皰と炎症性皮疹の両方に対して「強く推奨(A)」されています。
- 成分と働き
- 過酸化ベンゾイル(BPO)
- アクネ菌を直接殺菌し、ニキビの炎症を抑えます。
- 古くなった角質を剥がれやすくすることで、毛穴の詰まりも改善します。
- 過酸化ベンゾイル(BPO)
- 期待できる効果
- 赤ニキビ(炎症性皮疹)の改善に特に効果を発揮します。
- 白ニキビや黒ニキビの改善も期待できます。
- ニキビの再発予防にも役立ちます。
- 注意点
- 使い始めに、乾燥、赤み、かゆみ、刺激感などが出ることがあります。これらの症状は使い続けるうちに軽減することがほとんどです。
- 衣服や寝具に付着すると、その部分が脱色してしまうことがあります。塗布後はしっかりと乾かすか、寝具などを汚さないよう注意してください。
Q&A: ベピオゲルはなぜ耐性がつきにくいのですか? ベピオゲルに含まれる過酸化ベンゾイル(BPO)は、アクネ菌を酸化させることで殺菌します。これは菌の生命活動に不可欠な様々な要素に影響を与えるため、特定の遺伝子変異によって薬が効かなくなる「薬剤耐性」が非常に生じにくいと考えられています。抗生物質とは異なる作用機序であるため、耐性菌の心配なく使用できるのが大きな利点です。
デュアック配合ゲル:殺菌と毛穴詰まり改善の複合作用
デュアック配合ゲルは、「クリンダマイシン(抗生物質)」と「過酸化ベンゾイル(BPO)」という2つの有効成分を組み合わせた塗り薬です。この2つの成分が異なるアプローチでニキビに働きかけるため、特に炎症を起こしている赤ニキビに対して非常に強力な効果を発揮します。クリンダマイシンがアクネ菌の増殖を抑え殺菌し、過酸化ベンゾイルがさらにアクネ菌を殺菌するとともに毛穴の詰まりを改善します。
特に重要なのは、過酸化ベンゾイルが配合されていることで、抗生物質単独で使用した場合に懸念される、アクネ菌の薬剤耐性獲得リスクを低減できる点です。これは、抗生物質の効果を長く保つために非常に有効な戦略です。日本の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」でも、急性炎症期の炎症性皮疹に対して「強く推奨(A)」されています。
- 成分と働き
- クリンダマイシン
- アクネ菌の増殖を効果的に抑え、殺菌します。
- 過酸化ベンゾイル(BPO)
- アクネ菌を殺菌する作用に加え、毛穴の詰まりを改善します。
- BPOとの併用により、クリンダマイシン耐性菌の発生を抑える効果が期待できます。
- クリンダマイシン
- 期待できる効果
- 特に炎症が強く、赤く腫れたニキビの改善に優れています。
- ニキビの原因菌を効率よく殺菌し、炎症を迅速に抑制します。
- 注意点
- 使用初期には、乾燥、赤み、ヒリヒリ感などの刺激症状が現れることがあります。
- 衣服などへの脱色作用があるため、塗布後はしっかりと乾かしてから服を着るなど注意が必要です。
Q&A: デュアック配合ゲルはいつまで使えますか? デュアック配合ゲルは抗生物質を含むため、炎症が強い時期の赤ニキビに効果的です。一般的には、炎症が落ち着いてきたら、抗生物質を含まない「アダパレン」や「過酸化ベンゾイル」単剤、またはそれらの配合剤に切り替えることを検討します。これは、抗生物質の長期使用による耐性菌のリスクを最小限に抑えるためです。治療期間はニキビの状態によって異なりますので、必ず医師の指示に従ってください。
エピデュオゲル:炎症を抑え再発を防ぐ強力な併用薬
エピデュオゲルは、「アダパレン(ディフェリンゲルの成分)」と「過酸化ベンゾイル(ベピオゲルの成分)」を組み合わせた画期的な配合薬です。この2つの成分が異なるアプローチでニキビに働きかけるため、ニキビの治療と予防の両面で高い効果を発揮します。アダパレンが毛穴の詰まりを解消してニキビの発生を防ぎ、過酸化ベンゾイルがアクネ菌を殺菌し、炎症を抑えます。
これにより、白ニキビ、黒ニキビ、赤ニキビといった幅広い種類のニキビに効果を発揮し、またニキビの再発を強力に防ぐことが期待できます。「A systematic review and network meta-analysis of topical pharmacological, oral pharmacological, physical and combined treatments for acne vulgaris」という国際的な研究レビューでも、軽度から中等度のニキビには外用レチノイドと過酸化ベンゾイルの併用が最も有効であることが示されています。日本の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」でも、炎症軽快後のニキビの寛解維持に「強く推奨(A)」されており、ニキビ治療の「切り札」ともいえるお薬です。
- 成分と働き
- アダパレン
- 毛穴の詰まりを根本的に改善し、新しいニキビができるのを防ぎます。
- 過酸化ベンゾイル(BPO)
- アクネ菌を殺菌し、炎症を抑えます。
- すでにできてしまっているニキビも改善へと導きます。
- アダパレン
- 期待できる効果
- ニキビの発生を抑え、既存のニキビも改善する総合的な効果が期待できます。
- ニキビの再発を予防し、安定した肌状態を維持するために非常に有効です。
- 注意点
- ディフェリンゲルやベピオゲルと同様に、使い始めに乾燥、赤み、かゆみ、皮むけなどの刺激症状が出ることがあります。
- 日中の紫外線対策をしっかり行うこと、衣服への脱色に注意が必要です。
- 妊娠中の方、または妊娠の可能性のある方は使用できません。必ず医師にご相談ください。
Q&A: エピデュオゲルは刺激が強いと聞きますが、どうすれば良いですか? エピデュオゲルは高い効果が期待できる反面、刺激を感じやすい方もいらっしゃいます。もし刺激が強いと感じた場合は、以下の方法を試してみてください。
- 塗る量を少し減らす。
- 毎日ではなく、2日に1回など頻度を減らしてみる。
- 短時間だけ塗って洗い流す「ショートコンタクト療法」を試す(医師と相談)。
- 保湿剤でしっかりと肌を保護する。 刺激が続く場合は、自己判断せずに必ず医師に相談し、使用方法の調整や別のお薬への変更を検討しましょう。
市販薬との違いと皮膚科受診のメリット
薬局などで手軽に購入できる市販のニキビ薬もたくさんありますが、皮膚科で処方される塗り薬とは、その成分の種類や濃度、作用の強さが大きく異なります。市販薬は比較的穏やかな作用で、軽いニキビや一時的なケアに適しています。一方で、皮膚科で処方されるお薬は、より専門的で強力な成分を含んでおり、中程度から重度のニキビや、繰り返す慢性的なニキビに対して高い治療効果を発揮します。
形成外科専門医、美容外科専門医が考える皮膚科受診の主なメリットは以下の通りです。
- 正確な診断と最適な治療
- 専門の医師が患者さんのニキビの種類、重症度、肌質を正確に診断します。
- その方に合った最適な薬を選び、エビデンスに基づいたガイドラインに沿った治療を提供します。
- 高濃度の有効成分
- ディフェリンゲル、ベピオゲル、デュアック配合ゲル、エピデュオゲルといった薬剤は、皮膚科でしか処方されない高濃度の有効成分を含んでいます。
- これにより、市販薬では得られない治療効果が期待できます。
- 副作用へのきめ細やかな対応
- 処方薬は効果が高い分、刺激症状などの副作用が出ることがあります。
- 医師は副作用の状況を観察し、必要に応じて使用方法の調整や別の薬の提案など、適切なサポートを行います。
- 総合的な治療計画
- 塗り薬だけでなく、内服薬や面皰圧出などの処置、さらにケミカルピーリングやレーザー治療といった美容医療も組み合わせた計画を立てることができます。
- ニキビ跡の治療や再発予防まで含めた、長期的な肌の改善を目指します。
- 自己流ケアの落とし穴回避
- インターネット上の情報や自己流のケアでは、かえってニキビを悪化させてしまうことも少なくありません。
- 専門医の指導のもと、正しいスキンケア方法や生活習慣のアドバイスを受けることで、肌本来の健康を取り戻せます。
ニキビは、見た目だけでなく心の健康にも大きな影響を及ぼすことがあります。ニキビでお悩みの方は、決して一人で抱え込まずに、ぜひ一度当院までご相談ください。形成外科専門医、美容外科専門医として、あなたの肌の悩みに真摯に向き合い、美しく健康な肌を取り戻すお手伝いをさせていただきます。最適な治療法を見つけるためにも、専門のクリニックで診察を受けることが、改善への確かな第一歩となります。
ニキビの種類別!塗り薬の効果的な使い方と注意点
ニキビは多くの方が経験する皮膚の悩みですが、適切な塗り薬を選び、そしてそれを正しく使うことで、症状を大きく改善できます。形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)として、ニキビは思春期の生理現象と軽視されがちですが、放置するとニキビ跡として一生残ってしまう可能性もあります。ニキビ治療の基本となる塗り薬について、最新のエビデンスに基づいたガイドライン(Zaenglein et al.)が示すように、患者さんのニキビの種類や状態に合わせた効果的な使い方と、安心して治療を続けていただくための注意点について詳しく解説します。

白ニキビ・黒ニキビ・赤ニキビ:症状に合わせた薬の選び方
ニキビにはいくつかの種類があり、それぞれの症状に合わせた塗り薬を選ぶことが治療の鍵です。日本の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」や海外のガイドライン(Reynolds et al.)でも、ニキビの種類に応じた適切な薬剤の選択が強く推奨されています。
白ニキビ・黒ニキビ(面皰)
- これらは、毛穴の出口が古い角質で詰まっている状態のニキビです。
- まだ炎症は起きていませんが、ニキビの初期段階と言えます。
- アダパレンゲル
- 毛穴の角質が異常に厚くなるのを防ぎ、詰まった毛穴を広げます。
- 新しいニキビができるのを防ぐ働きがあります。
- 過酸化ベンゾイルゲル
- アクネ菌を殺菌する作用に加え、古くなった角質を剥がれやすくするピーリング作用があります。
- 毛穴の詰まりを改善します。
- アダパレン/過酸化ベンゾイル配合ゲル
- アダパレンと過酸化ベンゾイル、この二つの成分が合わさることで、さらに強力に毛穴の詰まりを解消します。
- 面皰の改善が期待できます。
- ガイドラインでは、これらの薬剤が面皰治療に「強く推奨(A)」されています。
赤ニキビ(炎症性皮疹)
- 面皰の中でニキビの原因菌であるアクネ菌が増殖し、炎症を起こして赤く腫れた状態です。
- 痛みを感じることもあります。
- クリンダマイシン/過酸化ベンゾイル配合ゲル
- クリンダマイシンという抗菌薬がアクネ菌の増殖を効果的に抑えます。
- 過酸化ベンゾイルがさらにアクネ菌を殺菌し、毛穴の詰まりも改善します。
- 炎症を強く抑える効果が期待できます。
- アダパレン/過酸化ベンゾイル配合ゲル
- 毛穴の詰まりを改善しつつ、過酸化ベンゾイルが炎症を抑える働きも持っています。
- アダパレンゲルと外用抗菌薬の併用
- アダパレンゲルで毛穴の詰まりを解消し、同時に外用抗菌薬で炎症を抑える方法も推奨されています。
- 内服の抗菌薬と併用することも効果的とされています(Reynolds et al.)。
- これらの薬剤は、急性炎症期の炎症性皮疹に対して「強く推奨(A)」されています。
これらの薬剤は、ニキビの根本的な原因に作用するため、症状の改善だけでなく、新たなニキビの発生を抑え、再発予防にもつながります。どの種類のニキビか、ご自身で判断が難しい場合は、ぜひ専門医にご相談ください。
Q&A: ニキビの種類は自分で判断できますか? ご自身でニキビの種類を見分けるのは難しい場合があります。特に、複数の種類のニキビが混在していることもよくあります。正確な診断と最適な治療法のためには、形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)にご相談いただくことが大切です。
塗り薬の効果を最大化する正しい塗布量と頻度
塗り薬の効果を最大限に引き出すためには、適切な量と頻度で塗ることが非常に重要です。自己判断で量を減らしたり、塗るのをやめたりすると、十分な効果が得られない可能性があります。
塗布量について
- 一般的に、顔全体に塗る場合の目安は、人差し指の先から第一関節まで出した量です。
- これを「フィンガーチップユニット:FTU」と呼び、約0.5gで手のひら2枚分くらいの広さに適しています。
- 特定のニキビにピンポイントで塗る場合でも、患部がしっかり隠れる程度の量を塗布することが大切です。
- ただし、薬剤の種類によっては少量で効果が得られるものや、刺激が強いため少量から始めるべきものもあります。
- 必ず医師や薬剤師の指示に従ってください。

塗布頻度とタイミング
- 多くの塗り薬は1日1回、あるいは1日2回の塗布が指示されます。
- お薬の添付文書や医師の指示に従いましょう。
- 夜、洗顔後に塗布することが多いですが、朝のスキンケアに組み込む場合もあります。
- 複数の塗り薬を併用する場合は、塗る順番や時間をずらす必要があることもあります。
- 例えば、ガイドライン(Reynolds et al.)では、複数の作用機序を持つ外用療法の併用が効果的とされており、当院でも患者さんの状態に合わせて複数の薬を組み合わせることをおすすめしています。
正しい塗布量と頻度を守ることで、薬の成分が肌にきちんと届き、ニキビ治療の効果を最大限に引き出すことができます。
Q&A: 塗り薬を塗るのを忘れてしまったらどうすれば良いですか? もし塗り忘れても、次の塗布時に2回分を一度に塗ることは避けてください。通常通り、次回に1回分を塗布してください。大切なのは、継続して治療を行うことです。忘れてしまったからといって、治療を中断しないようにしましょう。
塗り薬で起こりやすい副作用(赤み、乾燥、皮むけ)と対処法
ニキビの塗り薬、特にディフェリンゲル、ベピオゲル、デュアック配合ゲル、エピデュオゲルなどのピーリング作用や殺菌作用が強い薬では、治療初期に肌に刺激感や乾燥、赤み、皮むけなどの副作用が出ることがあります。これらの症状は、薬が効いているサインでもありますが、心配になることもあるでしょう。
| 副作用の種類 | 主な症状 | 対処法 |
|---|---|---|
| 赤み・刺激感 | 肌が赤くなる、ヒリヒリする、軽いかゆみを感じる | 多くの場合は一時的なもので、数日から1週間ほどで落ち着くことが多いです。症状が強い場合は、保湿剤を先に塗ってから薬を塗る、塗る頻度を減らす、または少量ずつ塗布するなど、医師と相談して調整しましょう。 |
| 乾燥・皮むけ | 肌がカサつく、粉をふく、薄く皮がむける | 薬の作用によるものです。治療中の肌はバリア機能が低下しやすいため、低刺激性の保湿剤でしっかり保湿することが大切です。洗顔後すぐに保湿を行い、薬を塗る際も保湿剤で肌を整えてからにすると良いでしょう。 |
これらの副作用は、薬を使い始めてから1週間程度が最も強く出やすい傾向にありますが、多くの場合、使用を続けるうちに徐々に軽減していきます。しかし、症状が非常に強く、日常生活に支障をきたすほどの場合は、我慢せずに必ず主治医にご相談ください。形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)として、塗布量や塗布頻度の調整、保湿剤の変更、あるいは他の薬剤への変更など、適切な対処法を検討させていただきます。
Q&A: 副作用が出たらすぐに薬の使用をやめるべきですか? 多くの場合、副作用は一時的なもので、使い続けるうちに肌が慣れてきます。自己判断で中止してしまうと、ニキビ治療の効果が得られなくなってしまいます。副作用が気になるときは、まず医師にご相談ください。使用方法の調整や、より肌に合った薬の検討を行います。
塗り薬治療中のスキンケア:正しい洗顔・保湿・UV対策のコツ
ニキビ治療中のスキンケアは、塗り薬の効果を高め、肌の負担を軽減するために非常に重要です。特に、洗顔、保湿、UV対策の3つのポイントをしっかり守りましょう。
正しい洗顔
- 「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」でも、洗顔は1日2回が推奨されています。
- 低刺激性の洗顔料を選び、よく泡立てて、肌をこすらないように優しく洗いましょう。
- ゴシゴシ洗うと肌に刺激を与え、かえってニキビを悪化させる可能性があります。
- ぬるま湯で丁寧に洗い流し、清潔なタオルで軽く押さえるように水分を拭き取ります。
適切な保湿
- ニキビ治療薬の中には、肌を乾燥させやすいものがあります。
- 肌が乾燥すると、バリア機能が低下し、ニキビが悪化したり、刺激に敏感になったりすることがあります。
- ノンコメドジェニックテスト済み(ニキビができにくい処方)の、低刺激性の保湿剤を選びましょう。
- 洗顔後、すぐに保湿剤を塗ることで、肌の水分を閉じ込めます。
- 塗り薬の前に保湿剤を使用することで、刺激感を軽減できる場合もあります。
- Conforti et al.の報告でも、保湿剤の適切な使用は、ニキビ病変を減少させ、治療効果を高める可能性があることが示唆されています。
万全なUV対策
- 一部のニキビ治療薬は、光線過敏症(日光による刺激に敏感になること)を引き起こす可能性があります。
- ニキビ跡の色素沈着を防ぐためにも、紫外線対策は一年中欠かせません。
- ノンコメドジェニックテスト済みの日焼け止めを毎日使用し、帽子や日傘なども活用して、肌を紫外線から守りましょう。
日々の丁寧なスキンケアは、ニキビ治療の成功に直結します。どのようなスキンケア用品を選べば良いか迷ったら、当院の形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)までお気軽にご相談ください。
Q&A: ニキビができているのに保湿して大丈夫ですか? はい、むしろ積極的に保湿することが大切です。ニキビ肌は乾燥しやすく、乾燥することで肌のバリア機能が低下し、炎症が悪化する可能性があります。ノンコメドジェニックテスト済みの保湿剤を選び、優しく保湿することで、肌の状態を整え、薬の効果を高めることができます。
妊娠中・授乳中のニキビ治療薬と注意すべき点
妊娠中や授乳中は、胎児や乳児への影響を考慮し、使用できるニキビ治療薬が限られます。形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)として、患者さんとお子様の安全を最優先に考え、自己判断で薬を使用することは避け、必ず医師に相談し、安全性の高い治療法を選択することが最も重要です。
妊娠中に避けるべき薬剤
- レチノイド製剤(内服・外用)
- 胎児に奇形を起こすリスクがあるため、妊娠中は絶対に使用できません。
- 外用薬(ディフェリンゲル、エピデュオゲルなど)も避けるべきとされています。
- 一部の経口抗菌薬
- 胎児への影響が懸念されるものがあります。
- アキュテイン(イソトレチノイン)
- 重度のニキビに用いられる内服薬ですが、強い催奇形性があるため、妊娠中はもちろん、妊娠の可能性のある女性には処方されません。
- レチノイド製剤(内服・外用)
比較的安全と考えられている選択肢
- 過酸化ベンゾイル(ベピオゲル、デュアック配合ゲルなど)
- 皮膚からの吸収がほとんどないため、妊娠中や授乳中でも比較的安全と考えられています。
- ただし、広範囲への塗布は避ける、医師の指示に従うなど、注意が必要です。
- アゼライン酸
- 日本国内では一般用医薬品または美容目的での取り扱いが多いですが、海外のガイドライン(Reynolds et al.)では妊娠中でも使用可能な治療薬の一つとして挙げられることがあります。
- 亜鉛華軟膏
- 炎症を抑え、肌を保護する目的で使われることがあります。
- 過酸化ベンゾイル(ベピオゲル、デュアック配合ゲルなど)
妊娠が判明した時点、あるいは妊娠を計画している段階で、すぐに主治医にその旨を伝え、現在使用している薬について相談することが大切です。安全な治療のために、まずは当院の形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)にご相談ください。適切な治療計画を提案させていただきます。
Q&A: 妊娠中にニキビが悪化したらどうしたら良いですか? 妊娠中はホルモンバランスの変化によりニキビが悪化することがあります。しかし、使用できる薬が限られるため、自己判断での市販薬の使用は避けましょう。必ず産婦人科医と連携しながら、皮膚科医にご相談ください。安全性を考慮した上で、最も適した治療法を一緒に検討いたします。
治らないニキビとニキビ跡の根本治療・再発予防策
ニキビは、多くの方が一度は経験する身近な皮膚のトラブルですが、「塗り薬を使っているのに治らない」「せっかく治ったと思ったら、また新しいニキビができてしまう」というお悩みはよく耳にします。私たち形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)から見ると、ニキビは単なる一時的な肌荒れではありません。それは慢性的な炎症性の皮膚の病気であり、日本の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」でも、90%以上の方が経験する疾患と位置付けられています。
ニキビを放置すると、QOL(生活の質)の低下や、一生消えない可能性のあるニキビ跡(瘢痕)を残してしまうことにつながります。これは「Treatment Modalities for Acne」という研究レビューでも指摘されている点です。そのため、目の前の症状を一時的に抑えるだけでなく、根本的な原因にアプローチし、ニキビが再発しないような予防策を講じることが非常に重要になります。ニキビ跡を残さないための対策も、治療の早い段階から考えていく必要があります。

塗り薬で効果が得られない場合の次の治療選択肢
塗り薬を正しい方法と量で使っていても、なかなかニキビの症状が改善しない場合や、ニキビの重症度が高い場合は、次の段階の治療を検討します。ニキビは多様な病態を示すため、患者さん一人ひとりの状態に合わせて、さまざまな治療法を組み合わせることが大切です。
主な治療選択肢には、以下のようなものがあります。
内服薬による治療
- 抗菌薬
- 炎症を伴う赤ニキビが多い場合に、ニキビの原因菌であるアクネ菌の増殖を抑える目的で使用されます。
- 「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」では、炎症性皮疹に対してドキシサイクリンやミノサイクリンなどのテトラサイクリン系薬剤が有効であると強く推奨されています。
- ただし、抗菌薬の長期使用は、アクネ菌に薬剤耐性(薬が効かなくなること)が生じるリスクを高めることが、「Treatment Modalities for Acne」でも指摘されています。
- そのため、漫然と長期間使用することは避け、外用薬との併用を原則とし、炎症が落ち着いたら中止を検討します。
- イソトレチノイン
- 重症なニキビや、他の治療でなかなか改善しないニキビに対して非常に高い効果が期待できる内服薬です。
- 「Guidelines of care for the management of acne vulgaris」でも、重度ざ瘡や瘢痕形成のリスクがあるざ瘡に強く推奨されています。
- 皮脂の分泌を強力に抑え、毛穴の角化異常を改善する働きがあります。
- 効果が高い一方で、副作用もあるため、当院では専門医の厳重な管理のもとで慎重に治療を進めます。
- ホルモン療法
- 特に成人女性のニキビで、ホルモンバランスの乱れが原因と考えられる場合に、低用量ピルなどが処方されることがあります。
- 男性ホルモンの影響を抑えることで、皮脂の過剰な分泌を抑制し、ニキビの改善を目指します。
- 抗菌薬
物理療法・美容皮膚科治療
- 面ぽう圧出
- 白ニキビや黒ニキビの中心にある毛穴の詰まり(面ぽう)を、専用の器具を使って取り除く治療です。
- ニキビの進行を食い止め、治りを早める効果が期待できます。
- 当院では、肌への負担を最小限に抑えながら慎重に行います。
- ケミカルピーリング
- 酸性の薬剤を塗布することで、肌の古い角質を優しく取り除き、毛穴の詰まりを改善し、肌のターンオーバー(新しい細胞への生まれ変わり)を促します。
- 軽度から中等度のニキビに有効であり、「A systematic review and network meta-analysis of topical pharmacological, oral pharmacological, physical and combined treatments for acne vulgaris」という研究レビューでも有効性が示されています。
- ニキビ跡の色素沈着の改善にもつながります。サリチル酸やマンデル酸などがよく使われます。
- 光治療・レーザー治療
- 炎症を抑える作用や、ニキビの原因菌を殺菌する作用が期待できる青色光や赤色光を組み合わせた光治療があります。
- より重度なニキビには、光線力学療法(PDT)も治療選択肢の一つとなることがあります。
- 「A systematic review and network meta-analysis…」でも、光線力学療法が中等度から重度のざ瘡に最も有効な物理療法の一つとして挙げられていますが、結果の不確実性も指摘されています。
- 面ぽう圧出
ニキビ治療においては、複数の作用機序を持つ治療法を組み合わせることが効果的であることが、多くのガイドラインで推奨されています。形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)である私たちは、患者さん一人ひとりの症状や肌の状態、ライフスタイルに合わせて、最適な治療計画を提案し、健康な肌への回復をサポートいたします。
ニキビ跡(色素沈着・赤み・クレーター)の種類と効果的な治療法
ニキビが治った後も、残念ながら跡が残ってしまうことに悩む方は多くいらっしゃいます。ニキビ跡は、ニキビの種類や炎症の程度、適切な治療がなされたか否かによって、その残り方が異なります。当院では、ニキビ跡の種類を正確に診断し、それぞれに適した治療法をご提案しています。
- 色素沈着(茶色いシミのような跡)
- ニキビの炎症が治まった後に、メラニン色素が過剰に生成され、茶色っぽいシミとして残ってしまった状態です。
- 日本人などのアジア系の方に特に多く見られます。
- 治療法:
- 外用薬
- ハイドロキノン、トレチノイン、アゼライン酸、ビタミンC誘導体などが使われます。
- これらの薬剤はメラニンの生成を抑えたり、肌のターンオーバーを促してメラニンの排出を助けたりする効果が期待できます。
- ケミカルピーリング
- 肌の古い角質を取り除くことで、メラニン色素の排出を助け、色素沈着を薄くします。
- レーザー治療
- ピコレーザーやQスイッチルビーレーザーなど、メラニンに特異的に反応するレーザーが有効です。
- 炎症後の色素沈着(PIH)の改善に高い効果を発揮します。
- 外用薬
- 赤み(赤みがかった跡)
- ニキビの炎症が治まった後も、その部分の毛細血管が拡張した状態が続き、肌が赤く見える状態です。
- 時間とともに自然に改善することもありますが、数ヶ月から数年かかる場合もあります。
- 治療法:
- レーザー治療・光治療
- パルス色素レーザー(Vビームなど)やIPL(Intense Pulsed Light)など、赤みに特異的に反応する光治療が非常に効果的です。
- 拡張した血管を収縮させることで、赤みを軽減します。
- レーザー治療・光治療
- クレーター(凹んだ跡、瘢痕)
- 重度なニキビの炎症が、肌の深部である真皮層にまで及び、組織が破壊されてしまった結果、肌表面が凹んでしまった状態です。
- 一度できてしまうと、完全に元の状態に戻すことが最も難しいニキビ跡の一つです。
- クレーターには、アイスピック型(小さく深く凹む)、ローリング型(なだらかに凹む)、ボックスカー型(比較的広範囲が垂直に凹む)などの種類があります。
- 治療法:
- フラクショナルレーザー
- レーザーを点状に細かく照射し、肌の深い部分に微細な熱ダメージを与えることで、肌の自然治癒力とコラーゲン生成を促し、凹みを改善します。
- 複数回の治療が必要です。
- ダーマペン・ダーマスタンプ
- 極細の針で肌に微細な穴を開け、肌の再生能力を利用してコラーゲンの生成を促し、凹んだ部分の皮膚を盛り上げます。
- サブシジョン
- 凹みの底にある線維組織を、特殊な針を使って剥離することで、皮膚を持ち上げ、凹みを軽減する治療です。
- TCAピーリング(クロロ酢酸ピーリング)
- 特にアイスピック型の深いクレーターの底に高濃度の酸を塗布し、限定的に化学熱傷を起こさせることで、皮膚の再生を促します。
- ヒアルロン酸注入
- 一時的ではありますが、深い凹みのあるクレーターにヒアルロン酸を注入し、肌を平坦にする方法もあります。
- フラクショナルレーザー
これらの治療は、ニキビ跡の種類や深さ、患者さんの肌質によって最適なものが大きく異なります。形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)である私たちは、患者さん一人ひとりの状態を丁寧に診察し、最新のエビデンスに基づいた最適な治療計画をご提案いたします。特にクレーターは早期の治療が肝心ですので、早めに専門医にご相談いただくことが、ニキビ跡の悪化を防ぎ、より良い結果を得るための鍵となります。
ニキビの再発を防ぐための生活習慣と食生活のポイント
ニキビ治療は、薬を塗る・飲むだけでは不十分な場合が多く、日常生活の習慣を見直すことが、ニキビの再発予防にとって非常に大切です。ニキビは、肌の外側と内側の両方からアプローチすることで、根本的な改善を目指せます。
正しいスキンケア
- 洗顔
- 「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」でも、洗顔は1日2回が推奨されています。
- 低刺激性の洗顔料をしっかり泡立てて、肌をゴシゴシと擦らず、優しく洗いましょう。
- 洗いすぎや刺激の強い洗顔は、肌のバリア機能を低下させ、かえってニキビを悪化させる可能性があります。
- ぬるま湯で丁寧にすすぎ、清潔なタオルで軽く押さえるように水分を拭き取ります。
- 保湿
- 洗顔後は、肌が乾燥しやすい状態です。
- 乾燥すると、肌のバリア機能が低下し、ニキビが悪化したり、刺激に敏感になったりすることがあります。
- また、乾燥は毛穴の角栓形成を促し、ニキビの新たな原因となることもあります。
- ノンコメドジェニックテスト済み(ニキビができにくい処方)の、低刺激性の保湿剤を選び、洗顔後すぐにしっかり保湿することが大切です。
- 紫外線対策
- 紫外線はニキビの炎症を悪化させたり、ニキビ跡の色素沈着を濃くしたりする大きな原因となります。
- 一年中、紫外線対策は欠かせません。
- ノンコメドジェニックテスト済みの日焼け止めを毎日使用し、帽子や日傘なども活用して、肌を紫外線から守りましょう。
- 洗顔
食生活の改善
- 高GI食品の制限
- 血糖値を急上昇させる高GI食品(砂糖が多く含まれるお菓子、清涼飲料水、白いパン、白いご飯など)の過剰な摂取は、インスリンの分泌を促します。
- インスリンは男性ホルモンの分泌を刺激し、皮脂の過剰な分泌や毛穴の詰まりを誘発することで、ニキビを悪化させる可能性が指摘されています。
- 可能な範囲で、玄米や全粒粉パンなど、血糖値の上昇が緩やかな低GI食品を選ぶことをおすすめします。
- 乳製品の摂取量
- 一部の研究では、乳製品の摂取とニキビの関連性が示唆されています。
- すべての人に当てはまるわけではありませんが、ニキビが気になる場合は、摂取量を調整してみるのも一つの方法です。
- バランスの取れた食事
- 肌の健康には、ビタミンやミネラル、食物繊維を豊富に含む野菜、果物、魚などを積極的に摂ることが不可欠です。
- 腸内環境を整えることも、肌の健康維持に繋がります。
- 高GI食品の制限
ストレス管理と十分な睡眠
- ストレス
- ストレスはホルモンバランスを乱し、皮脂の分泌を増やしたり、肌の免疫力を低下させたりしてニキビを悪化させることがあります。
- 趣味の時間を持つ、適度な運動をするなど、自分に合ったストレス解消法を見つけることが大切です。
- 睡眠
- 質の良い睡眠は、肌のターンオーバーを促し、日中のダメージを修復する機能を高めます。
- 規則正しい睡眠を心がけ、十分な睡眠時間を確保してください。
- ストレス
マスク着用の工夫
- マスクによる蒸れや摩擦は、「マスクニキビ」と呼ばれるように、ニキビを悪化させる大きな要因となります。
- 通気性の良い素材のマスクを選んだり、こまめにマスクを交換したり、就寝時は外すなどの工夫が大切です。
日々の生活習慣と食生活を見直すことは、ニキビ治療の効果を最大限に引き出し、健やかな肌を維持するための土台となります。
ニキビ治療にかかる費用と保険適用の範囲
ニキビ治療を始めるにあたり、費用の面で不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。ニキビ治療には、日本の医療制度において保険が適用されるものと、より積極的な治療として保険適用外(自費診療)になるものがあります。形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)として、それぞれの治療内容と費用の目安について詳しくご説明します。
保険適用される治療
- 日本の医療制度では、ニキビ(尋常性ざ瘡)は「病気」とみなされるため、診断に基づいて行われる多くの治療が保険適用となります。
- 診察料
- 初診料や再診料が保険適用です。
- 検査料
- 必要に応じて、細菌検査などが保険適用となることがあります。
- 処方薬
- 外用薬: ディフェリンゲル、ベピオゲル、デュアック配合ゲル、エピデュオゲル、ゼビアックスローション、アクアチムクリーム・ローション、ダラシンTゲル・ローション、抗生剤軟膏(フシジンレオなど)といった塗り薬は、保険適用です。これらはニキビの根本原因に働きかけ、効果が高い薬剤です。
- 内服薬: 炎症を抑える抗生物質(ドキシサイクリン、ミノサイクリンなど)、ホルモンバランスを整える漢方薬、肌の代謝を助けるビタミン剤などが保険適用です。
- 処置
- 面ぽう圧出(ニキビの芯を出す処置)は、保険適用となる場合があります。
- これらの保険適用治療では、患者さんの自己負担割合(1割、2割、または3割)に応じて費用が発生します。
- 例えば、3割負担の場合、初診料は約800円〜1,000円、再診料は約200円〜400円程度です。
- 処方薬の費用は、種類や量によって異なりますが、月に数百円から数千円程度が目安となります。
保険適用外(自費診療)となる治療
- より積極的に肌質改善を目指したい場合や、ニキビ跡の治療、あるいは保険診療では限界があると感じる場合の治療は、自費診療となります。
- 美容皮膚科治療
- ケミカルピーリング: 一般的に保険適用外です。顔全体で1回あたり5,000円~1万5,000円程度が目安です。肌のターンオーバーを促進し、ニキビだけでなくニキビ跡にも有効です。
- レーザー治療・光治療: ニキビ跡の赤みや色素沈着、クレーター治療に用いられるレーザー(Vビーム、ピコレーザー、フラクショナルレーザーなど)やIPLは自費診療です。費用は治療内容や範囲により大きく異なりますが、数万円から十数万円かかる場合もあります。
- ダーマペン・サブシジョンなど: クレーター治療に用いられるこれらの治療も自費診療です。
- イソトレチノイン(内服薬): 重症ニキビに非常に効果的な薬剤ですが、日本では保険適用外となります。そのため、治療費用は高額になる傾向があります。
- 一部のスキンケア製品: ドクターズコスメや医療機関専売の化粧品などは、自費購入となります。
- 自費診療の費用はクリニックによって料金設定が異なりますので、治療を始める前に、必ず費用についてしっかり確認することが大切です。
- 形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)として、患者さんの症状とご希望、そしてご予算を丁寧に伺い、最適な治療計画を提案させていただきます。
専門医によるニキビ治療と長期的な肌質改善の重要性
ニキビ治療において、専門医に相談することは非常に重要であると、私たち形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)は強く感じています。自己判断でのケアや市販薬だけでは、かえって症状を悪化させてしまったり、治りにくいニキビ跡を残してしまったりするリスクがあるためです。ニキビは、現代社会において多くの人が悩まされる疾患であり、その見た目のコンプレックスは精神的なストレスにもつながり、日常生活に大きな影響を与えることもあります。「Treatment Modalities for Acne」という研究レビューでも、ニキビが重篤な心理的影響や皮膚の瘢痕を引き起こす可能性が指摘されています。
正確な診断と最適な治療計画
- ニキビは、肌質や体質、生活習慣、ホルモンバランスなど、非常に多様な要因が絡み合って発生します。
- 「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」でも、「個々の患者の多様性を考慮し、最終的な診療内容は医師が患者とともに決定すべきである」と明確にされています。
- 専門医であれば、患者さんのニキビの種類、重症度、肌の状態を正確に診断し、最新のガイドラインに基づいたエビデンスレベルの高い治療法の中から、その方に最も適した治療計画を提案することが可能です。
- 例えば、「A systematic review and network meta-analysis…」では、軽度から中等度のニキビには外用レチノイドと過酸化ベンゾイルの併用が有効である一方、中等度から重度には経口イソトレチノインや光線力学療法が推奨されるなど、重症度に応じた治療の選択肢は多岐にわたります。
適切な薬の選択と副作用管理
- 皮膚科専門医は、ニキビ治療薬の作用機序や副作用について深い知識を持っています。
- ニキビ治療薬には、乾燥、赤み、かゆみといった刺激症状や副作用が現れることがありますが、専門医の指導のもとであれば、副作用を最小限に抑えつつ、効果的に治療を進めることができます。
- 副作用が強く出た場合でも、薬剤の塗布量や塗布頻度の調整、他の薬への切り替えなど、患者さんの肌の状態に合わせた適切な対処が可能です。
ニキビ跡の予防と治療
- ニキビは、時に色素沈着や赤み、クレーターといったニキビ跡を残してしまうことがあります。
- 特にクレーターは一度できてしまうと完全に治すのが難しい場合もありますが、形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)であれば、最新の医療技術を駆使し、症状に応じた多様なニキビ跡治療(レーザー治療、ピーリング、サブシジョンなど)を提案し、できる限り目立たない状態に改善できるようサポートいたします。
- 早期から適切な治療を行うことで、ニキビ跡の悪化を防ぎ、より良い結果が期待できます。
長期的な肌質改善と再発予防
- ニキビは、症状が改善しても再発しやすい慢性疾患です。
- そのため、一時的に症状が改善したからといって自己判断で治療を中断してしまうと、再びニキビができてしまうことがあります。
- 専門医は、治療だけでなく、肌質そのものを改善し、ニキビができない健康な肌を目指すための長期的な視点を持ったアドバイスを提供します。
- スキンケアの指導や生活習慣の改善、必要に応じてメンテナンス治療を行うことで、ニキビの再発を効果的に防ぎ、美しい肌を維持することを目指します。
ニキビによるお悩みは、決して一人で抱え込む必要はありません。専門医のサポートを受けることで、ニキビの症状を改善し、自信を持って日常生活を送れるようになります。ニキビでお悩みでしたら、ぜひ一度、形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)である当院にご相談ください。あなたの肌の悩みに真摯に向き合い、健康的で自信に満ちた肌を取り戻すためのお手伝いをさせていただきます。最適な治療法を見つけるためにも、専門のクリニックで診察を受けることが、改善への確かな第一歩となります。
Q&A
Q1: ニキビ治療はどれくらいの期間続ければ良いですか? A: ニキビの重症度や肌質によって異なりますが、多くの場合、数ヶ月から半年程度の継続的な治療が必要です。症状が改善した後も、新たなニキビの発生や再発を防ぐための維持療法として、アダパレンゲルや過酸化ベンゾイルゲルといった外用薬を継続することが「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」でも強く推奨されています。自己判断で中断せず、医師の指示に従って治療を続けることが大切です。
Q2: ニキビ跡は完全に消えますか? A: ニキビ跡の種類や深さによって異なります。色素沈着や赤みは、適切な治療を早期に行うことで、ほとんど目立たない状態まで改善することが期待できます。しかし、深いクレーター状のニキビ跡は、一度真皮層が破壊されているため、完全に元の肌の状態に戻すことは難しい場合もあります。それでも、レーザー治療やダーマペンなどの美容医療を組み合わせることで、かなり改善し、目立たなくすることが可能です。
Q3: 妊娠中や授乳中でも安全に使えるニキビ薬はありますか? A: 妊娠中や授乳中のニキビ治療では、胎児や乳児への影響を考慮し、使用できる薬剤が限られます。一般的に、皮膚からの吸収がほとんどないとされる過酸化ベンゾイルなどの外用薬や、アゼライン酸といった薬剤が比較的安全と考えられています。自己判断で使用せず、必ず妊娠の可能性があることや授乳中であることを医師に伝え、産婦人科医とも連携しながら、安全な治療法を相談してください。
Q4: 市販薬と皮膚科で処方される塗り薬は何が違いますか? A: 市販薬は、薬局などで手軽に購入できますが、含まれている成分の濃度が低かったり、種類が限られていたりすることが多いです。一方、皮膚科で処方される塗り薬は、医師の診察に基づいて、患者さんの症状に合わせた強力な成分が配合されており、高い治療効果が期待できます。特に、ディフェリンゲルやベピオゲルなど、ニキビの根本原因に作用する新しいタイプの薬は、市販薬では手に入りません。専門医の診断によって、ご自身に最適な治療薬を選ぶことが、早期改善への近道となります。
まとめ
今回の記事では、皮膚科で処方されるニキビ塗り薬について専門医が詳しく解説しました。ニキビは多くの方が悩む身近な肌トラブルですが、放置すると跡になってしまう可能性もあります。市販薬とは異なる、ディフェリンゲルやベピオゲルなどの効果の高い塗り薬から、必要に応じて内服薬や美容医療、ニキビ跡治療まで、一人ひとりの状態に合わせた最適な治療法があります。
また、日々のスキンケアや生活習慣の見直しも、ニキビの改善と再発予防には欠かせません。ニキビでお悩みの方は、ぜひ一度専門医にご相談ください。正確な診断と適切な治療で、健康的で自信に満ちた肌を取り戻すお手伝いをさせていただきます。
参考文献
- Lizelle Fox et al. Treatment Modalities for Acne.
- Andrea L Zaenglein et al. Guidelines of care for the management of acne vulgaris.
- Ifigeneia Mavranezouli et al. A systematic review and network meta-analysis of topical pharmacological, oral pharmacological, physical and combined treatments for acne vulgaris.
- Claudio Conforti et al. Topical dermocosmetics and acne vulgaris.
- Rachel V Reynolds et al. Guidelines of care for the management of acne vulgaris.
- 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023.