顔の傷はどれくらいで治る?治癒の目安と早く治す方法

顔にできてしまった傷は、「いつになったら治るのだろう」「跡が残ってしまうのではないか」と、多くの方が不安を感じることでしょう。特に顔はデリケートな部位であり、見た目への影響から、その心配は計り知れません。
形成外科専門医として日々多くの患者様と向き合う中で、顔の傷の治り方は、傷の種類や深さ、さらには適切な初期ケアができているかによって大きく変わることを実感しています。
この記事では、顔の傷がどれくらいで治るのか、その治癒の目安や過程を詳しく解説するとともに、早くきれいに治すための具体的な方法、そしてもし傷跡が残ってしまった場合の専門的な治療法についてもご紹介します。大切な顔の傷跡を最小限に抑え、自信を取り戻すためのヒントをぜひ見つけてください。
顔の傷はどれくらいで治る?治癒期間と過程の目安
顔に傷を負うことは、見た目への影響から、多くの方が不安を感じるものです。当院にも「どれくらいで治るのか」「跡が残らないか」といったご心配を抱えて来院される患者さんが多くいらっしゃいます。形成外科専門医として、お顔の傷の治り方は、傷の深さや種類、適切な初期ケアができているか、そして患者さんの年齢などによって大きく変わることを日々実感しています。
当クリニックでは、患者さんの不安に寄り添いながら、専門的な知識と技術で、できる限りきれいに傷を治すお手伝いをいたします。顔は繊細な構造を持つ部位であり、その治癒には専門家の視点が不可欠です。

傷の種類別|顔の傷が治るまでの期間
お顔の傷が治るまでの期間は、その種類や深さによって大きく異なります。どのような傷であるかを知ることで、治癒の目安をより正確に把握できます。
擦り傷(表皮剥離、浅い真皮損傷)
- 転倒などで地面に擦りむいたような、比較的浅い傷を指します。
- 皮膚の表面層である表皮のみ、または真皮の浅い部分までの損傷です。
- 治癒期間の目安:数日~1週間程度で治癒することが一般的です。
- 多くの場合、目立つ傷跡を残さずに治ることが期待できます。
- しかし、広範囲にわたる場合や、深く擦りむいた場合は、一時的な色素沈着や薄い瘢痕(はんこん)が残る可能性もありますので、適切な湿潤環境でのケアが重要です。
切り傷(真皮・皮下組織まで達する裂傷)
- 刃物などで切ったような、傷の縁が比較的直線的で深い傷を指します。
- 皮膚の深い層である真皮や、その下の皮下組織まで達する場合があります。
- 治癒期間の目安:初期の傷口閉鎖には、適切な処置を行えば1~2週間かかります。
- しかし、傷跡が完全に成熟し、目立たなくなるまでには数ヶ月から1年以上を要することがあります。
- 特に顔面の切り傷は、その後の美容的な結果に大きく影響します。
- 当院のような形成外科では、顔の基本的な解剖学的構造を考慮した精密な縫合を行います。
- 眼の周り、唇、鼻、耳などの部位は、その機能性や審美性が非常に重要です。
- 眼瞼(まぶた)の損傷では、眼球の機能への影響がないか慎重な検査が必要です。
- 唇の裂傷では、赤唇縁と呼ばれる唇の輪郭が正確に合うように縫合することが、美容的な結果を左右する鍵となります。
- 鼻の損傷で鼻中隔に血腫(けっしゅ)ができた場合は、速やかにドレナージ(排出)する必要があります。
- 耳介(耳)の損傷では、多くの場合、一層の縫合で閉鎖が可能です。
- こうした部位の傷の修復には、非常に繊細な技術と専門的な知識が求められます。
やけど(熱傷:I度、II度)
- I度のやけどは、皮膚が赤くなるだけで、数日で治癒します。
- II度のやけどは水ぶくれ(水疱)ができ、痛みが強いものです。
- 深いII度熱傷の場合、治癒に2~3週間以上かかることがあります。
- 適切な治療が遅れると、色素沈着や傷跡が残る可能性が高まります。
- 皮膚の深層にまで影響が及ぶため、早急な形成外科医への相談が推奨されます。
ニキビ跡(炎症後紅斑、色素沈着、クレーター)
- ニキビの強い炎症後に残る赤みや茶色い色素沈着です。
- 治癒期間の目安:数週間~数ヶ月かけて徐々に薄くなります。
- しかし、深い炎症によって皮膚が組織を失い、クレーター状のへこみが残ることもあります。
- クレーター状のニキビ跡は、自然治癒が難しく、専門的な治療が必要となります。
一般的に、皮膚の深い層である真皮の網状層まで達する損傷の後には、多かれ少なかれ瘢痕(傷跡)が形成されます。体幹部の傷跡はある程度許容されることもありますが、お顔の傷跡は非常に目立つため、できるだけ目立たないようにすることが形成外科医の重要な役割です。
傷の治癒プロセス|赤み、かさぶた、色素沈着の経過
傷が治っていく過程は、段階を経て変化していきます。このプロセスを理解することは、適切なケアを行い、不安を軽減するために役立ちます。
炎症期(受傷直後~数日間)
- 傷を負った直後から、体は出血を止め、傷に入り込んだ異物や細菌を排除しようとします。これは自然な防御反応です。
- 症状: 傷の周囲が赤く腫れ、熱を持ち、痛みを感じることがあります。これは、血管が広がり、白血球などの免疫細胞が活発に集まっているサインです。
- この時期に、傷口を清潔に保ち、適切に保護することが、感染を防ぎ、その後の治癒をスムーズに進めるために非常に重要です。
増殖期(受傷数日後~数週間)
- 炎症期を経て、傷を修復するために新しい細胞や血管、コラーゲンなどが作られ始める段階です。
- 症状: 傷口が少しずつ縮み始め、新しい組織(肉芽(にくげ)組織)が盛り上がってきます。この肉芽組織は、赤くて少し湿った、ゼリーのような見た目をしています。
- 傷口が乾燥すると、かさぶたが形成されます。かさぶたは、傷を外部の刺激から守る大切な役割を果たしますが、無理に剥がすと治癒が遅れたり、傷跡が悪化したりすることがあるため、注意が必要です。
- この時期には、傷の周りに赤みや、一時的な色素沈着が目立つことがあります。
成熟期・リモデリング期(受傷数週間後~数ヶ月、または数年以上)
- 新しい皮膚が完成し、傷跡が徐々に目立たなくなっていく最終段階です。
- 症状: 傷跡の赤みが徐々に薄くなり、盛り上がりが平坦に、硬さも柔らかくなっていきます。最終的な傷跡の形や色は、この時期に決定されます。
- 皮膚の深い層まで達する傷の場合、瘢痕形成は皮膚損傷後の自然な治癒プロセスです。そして、長い時間をかけて成熟していきます。
- この時期の紫外線対策を怠ると、色素沈着が濃く残りやすくなります。また、体質によっては、傷跡が赤く盛り上がる「肥厚性瘢痕(ひこうせい瘢痕)」や、傷の範囲を超えて広がる「ケロイド」になることもあります。これらは皮膚の治癒反応が過剰に起こることで生じます。
傷の治癒プロセスは個人差が非常に大きく、また傷の深さや部位によっても経過は異なります。しかし、これらの基本的な変化を知っておくことで、ご自身の傷の状態を理解し、適切なケアを継続する助けになるでしょう。
子供の顔の傷の治り方と大人との違い
お子さんの顔の傷は、大人とは異なる特徴があり、その治り方やケアには特別な配慮が必要です。お子さんの傷に対して、親御さんが抱える心配は少なくありません。
- 代謝が活発で早く治る傾向
- 子供の皮膚は、新陳代謝が非常に活発です。そのため、新しい細胞が活発に作られ、一般的に傷の治りが早い傾向にあります。これは傷にとって良い点です。
- 皮膚の薄さ、柔らかさ
- しかし、子供の皮膚は大人に比べて薄く、またコラーゲン線維も未熟で柔らかいという特徴があります。このため、外部からの刺激に弱く、大人よりも傷つきやすい側面があることは理解しておく必要があります。
- 傷跡が残りにくい場合も、残りやすい場合も
- 新陳代謝の良さから、傷跡が目立たなくなることも多いですが、一方で、皮膚が柔らかく成長が著しい分、傷跡が盛り上がる「肥厚性瘢痕」や、さらに広がる「ケロイド」になりやすい体質のお子さんもいらっしゃいます。
- 特に、成長期にある子供の傷は、体が大きくなるにつれて傷跡が引っ張られたり、伸展されたりして、目立つようになることもあります。そのため、長期的な視点でのケアと経過観察が大切です。
- 初期介入の重要性
- お子さんの顔の傷跡の管理において、最適な美容的結果を得るためには、傷を負った直後(損傷の初期段階)からの適切な介入が非常に重要であるとされています。
- これは、傷口を清潔に保ち、感染を防ぐだけでなく、必要に応じて専門医による正確な縫合や処置を受けることが、将来的な傷跡の残り方に大きく影響するためです。
- お子さんは痛みをうまく伝えられなかったり、自分で傷をケアできなかったりすることがあります。そのため、保護者の方が注意深く傷の状態を観察し、早めに医療機関を受診することが非常に重要です。
- 特に、出血が止まらない、傷が深い、異物が挟まっている、傷口が大きく開いているといった場合は、速やかに形成外科医にご相談ください。耳に傷がある場合は、耳介血腫(じかいけっしゅ)がないかどうかも重要な確認ポイントです。耳介血腫は、放置すると耳の変形につながるため、適切な管理が必要です。
お子さんの傷は、親御さんにとって大きな心配事となることでしょう。しかし、適切な知識と早期の専門家によるケアで、傷跡を最小限に抑えることが可能です。自己判断で様子を見ることなく、形成外科専門医にご相談ください。
顔の傷跡の種類と見た目の特徴
傷が治癒した後も、残念ながら完全に元の皮膚の状態に戻ることは稀で、何らかの痕跡が残ることがほとんどです。これを「瘢痕(はんこん)」と呼び、その見た目にはいくつかの種類があります。お顔にできる瘢痕は、社会生活において非常に目立ちやすく、患者さんの心理的負担も大きいため、美容上の重要な課題となります。
平坦な瘢痕(成熟瘢痕)
- 最も理想的な傷跡の形で、時間とともに赤みが薄れていきます。
- 最終的には周囲の皮膚と同じような色や高さになったものを指します。
- 目立たないことが多いですが、完全に傷跡が消えるわけではありません。
色素沈着
- 傷の炎症が治まった後に、茶色っぽい色が残るものです。
- 炎症によってメラニン色素が過剰に作られたために起こります。
- 特に紫外線に当たることで悪化することがあります。
- 通常、数ヶ月から数年かけて徐々に薄くなりますが、完全に消えないこともあります。
肥厚性瘢痕(ひこうせい瘢痕)
- 傷跡が赤く盛り上がり、触ると硬いしこりのように感じるものです。
- かゆみや痛みを伴うこともあります。
- 傷を負った範囲内にとどまって盛り上がるのが特徴です。
- 時間とともに自然に平坦になることもありますが、治療が必要な場合も多いです。
ケロイド
- 肥厚性瘢痕と似ていますが、傷の範囲を超えて周囲の正常な皮膚にまで広がりながら盛り上がるのが特徴です。
- 赤み、かゆみ、痛みが強く、自然に治ることはほとんどありません。
- 再発しやすい傾向があり、体質的な要因が大きく関与すると考えられています。
- 治療が非常に難しく、専門医による継続的なケアが求められます。
萎縮性瘢痕(いしゅくせい瘢痕)
- 皮膚がへこんで薄くなり、しわが寄ったように見える傷跡です。
- 水ぼうそうの跡や、深いニキビ跡、真皮深層にまで及んだやけどなどで見られることがあります。
- 皮膚の組織が失われたことで生じます。
これらの傷跡はそれぞれ見た目の特徴が異なり、効果的な治療法も異なります。顔面の傷跡の治療には、保存的な処置、薬物療法、そしてレーザー治療や手術といった外科的なアプローチなど、多様な方法が存在します。
もし、お顔の傷跡でお悩みでしたら、当クリニックのような形成外科専門医にご相談いただくことを強くお勧めします。初期の治癒が思わしくなかった場合でも、瘢痕の見た目を改善する可能性は十分に存在しますので、諦めずに専門家にご相談ください。当クリニックでは、患者さん一人ひとりの傷跡の状態や、その原因に合わせて、最適な治療法をご提案いたします。
Q&A
Q1:傷が治った後、いつから化粧をして良いですか? A1:傷口が完全に閉じ、かさぶたが自然に剥がれた後であれば、基本的に化粧をして問題ありません。ただし、新しい皮膚は非常にデリケートですので、刺激の少ない化粧品を選び、優しく塗布するようにしてください。特に、傷跡に赤みが残っている間は、紫外線対策も兼ねて、日焼け止め効果のある化粧品の使用をお勧めします。心配な場合は、一度当院にご相談ください。
Q2:子供が顔に傷を負いました。病院に行く目安を教えてください。 A2:お子さんの顔の傷では、以下のような場合はすぐに医療機関を受診してください。
- 出血がなかなか止まらない場合
- 傷が深く、皮膚の奥が見える、または傷口が開いている場合
- 傷の中に土や砂、ガラス片などの異物が挟まっている場合
- 傷の長さが数ミリ以上ある場合
- 傷が感染して、赤みや腫れがひどい、膿が出ている場合
- 眼の近く、唇、鼻、耳など、機能や見た目に影響しやすい部位の傷の場合 お子さんの傷は早く対処することで、傷跡を最小限に抑えることができます。当院では、お子さんの皮膚の特性を考慮した治療を行っておりますので、ご安心ください。
Q3:顔の傷跡は、完全に消すことができますか? A3:残念ながら、一度できてしまった傷跡を完全に元の皮膚の状態に戻すことは非常に難しいです。しかし、形成外科では、傷跡を目立たなくさせるための様々な治療法があります。例えば、レーザー治療で赤みや色素沈着を改善したり、手術で傷跡の向きを変えたり、小さくしたりすることが可能です。患者さんの傷跡の種類や状態、ライフスタイルに合わせて最適な治療法をご提案いたしますので、まずは専門医にご相談ください。
お顔の傷は、その後の生活の質(QOL)にも大きく影響を与えることがあります。傷を負ってしまった直後、または傷跡が残ってしまった場合でも、決して諦める必要はありません。
当クリニックは、形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)として、長年の経験と最新の知見に基づき、患者さんの傷の状態を丁寧に診察し、最適な治療計画をご提案いたします。傷の初期治療から、傷跡を目立たなくするためのアフターケア、さらにはレーザー治療や手術による傷跡修正まで、一貫してサポートさせていただきます。
もし、お顔の傷や傷跡でお悩みでしたら、まずは一度当院にご相談ください。患者さんが自信を持って笑顔で毎日を送れるよう、私たちが全力でサポートさせていただきます。
顔の傷を早くきれいに治す初期ケアと5つのポイント
顔にできた傷は、多くの方が早くきれいに治したいと強く願うことでしょう。特に顔は人から見られる部分ですので、傷跡が残ってしまうのではないかと不安に感じるのは当然のことです。形成外科専門医として、お顔の傷の治り方は、初期の適切なケアによって大きく左右されることを日々痛感しています。
当クリニックでは、患者さんの不安に寄り添いながら、専門的な知識と技術で、できる限りきれいに傷を治すお手伝いをいたします。このコラムでは、お顔の傷をきれいに治すための基本的な初期ケアと、専門医の視点から特に大切にしていただきたい5つのポイントについて、具体的な方法と注意点をわかりやすくお伝えしていきます。

1. 適切な洗浄と消毒|傷の基本処置
顔に傷を負ってしまったら、まず最初に行うべきは、傷の適切な洗浄です。傷口には、目に見えない土や砂、さらには細菌が付着している可能性があり、これらを洗い流すことが感染予防、そしてきれいな治癒への第一歩となります。
清潔な流水でやさしく洗うことの重要性:
- 傷口の異物を洗い流すために、水道水などの清潔な流水で優しく洗浄してください。
- 石鹸を使用する場合は、刺激の少ない弱酸性のものを選び、泡立ててから優しく洗い、その後十分にすすぎます。
- 決してゴシゴシと強くこすらないように注意しましょう。
- 強くこすると、傷口のデリケートな組織をさらに傷つけ、治癒を遅らせる可能性があります。

異物の丁寧な除去の必要性:
- 洗浄後も、細かい砂やガラス片、アスファルトの粒子などが残っている場合は、感染や色素沈着、さらには外傷性刺青の原因となることがあります。
- ピンセットなどで慎重に取り除くことが大切です。
- ご自身での除去が難しいと感じた場合は、無理をせず、速やかに医療機関を受診してください。
- 特に顔の傷は、わずかな異物でも将来的に目立つ傷跡につながることがあります。
消毒は控えめに行う理由:
- 以前は傷口の消毒が一般的でしたが、現在ではその考え方は変わっています。
- 消毒液は、細菌だけでなく、傷口を修復しようとする健康な細胞にもダメージを与えてしまうことが分かっています。
- これにより、かえって傷の治癒を遅らせたり、傷跡が悪化したりする可能性があるのです。
- Frank Sabatino氏やJoshua B Moskovitz氏らによる顔面創傷管理に関する概説でも、基本的な創傷管理において清潔な洗浄の重要性が強調されています。
- 当クリニックでは、過度な消毒よりも、徹底した洗浄と清潔な環境を保つことを重視しています。
2. 傷跡を残さないための湿潤療法と絆創膏選び
傷跡を最小限に抑え、より早くきれいに治すためには「湿潤療法」が非常に有効です。湿潤療法は、傷口を乾燥させずに潤った状態に保つことで、皮膚が本来持つ治癒力を最大限に引き出す治療法です。
傷口を乾燥させないことの重要性:
- 傷口が乾燥すると、硬いかさぶたが形成されがちです。
- かさぶたの下では、新しい皮膚を作る細胞の移動が妨げられ、治癒が遅れてしまいます。
- さらに、無理にかさぶたを剥がすと、皮膚が剥がれて再び出血したり、傷跡が深く残ったりする原因にもなります。
- 傷口が潤っている環境では、細胞が活発に動き、より早く、そしてきれいに新しい皮膚が形成されます。
専用の絆創膏(ドレッシング材)の活用:
- 湿潤療法には、ハイドロコロイド素材などの「モイストヒーリング」と呼ばれるタイプの絆創膏が適しています。
- これらの絆創膏は、傷口から出る体液(滲出液)を適切に吸収・保持し、傷が治りやすい湿潤環境を保ちます。
- また、外部からの細菌の侵入や物理的な刺激からも傷口を保護する役割も果たします。

絆創膏選びのポイント:
- 傷の大きさに合ったもの:
- 傷口全体をしっかりと覆い、周囲の健康な皮膚にも密着するサイズを選びましょう。
- 防水性のあるもの:
- 洗顔や入浴の際にも剥がれにくく、水濡れから傷口を守れる防水タイプが便利です。
- 透明性のあるもの:
- 可能であれば、傷の状態をこまめに確認できる透明タイプを選ぶと良いでしょう。
- 絆創膏は、一度貼ったら毎日交換する必要はありません。
- 傷口から体液が漏れてきたり、絆創膏が剥がれてきたりしない限り、数日間貼ったままで大丈夫です。
- 交換の際は、周囲の皮膚を傷つけないよう、ゆっくりと剥がすようにしてください。
- 傷の大きさに合ったもの:
3. 日焼け対策とスキンケア|傷の悪化を防ぐために
顔の傷が治っていく過程で、特に細心の注意を払っていただきたいのが日焼けです。紫外線は、新しい皮膚に色素沈着(いわゆるシミのような茶色い跡)を引き起こし、傷跡をより目立たせる大きな原因となります。
治癒期の色素沈着を防ぐ徹底した紫外線対策:
- 傷が治りかけの時期から、紫外線対策は必須中の必須です。
- 外出時はもちろん、窓から差し込む紫外線も考慮し、室内でも対策を怠らないようにしましょう。
- 新しい皮膚は非常にデリケートで、紫外線の影響を受けやすいため、念入りなケアが必要です。
肌に優しい日焼け止めの正しい使い方:
- SPF値30以上、PA+++以上の、肌に刺激の少ないタイプの日焼け止めを毎日塗ることを習慣にしてください。
- 傷口が完全に塞がっていれば、その上から優しく塗布しても問題ありません。
- こまめな塗り直しも効果を高める大切なポイントです。
物理的な遮光の活用:
- つばの広い帽子や日傘を積極的に活用し、顔に直接紫外線が当たらないように物理的に遮光することも非常に効果的です。
- マスクも紫外線対策の一助となりますが、摩擦で傷口を刺激しないように注意が必要です。
傷跡をサポートするスキンケア:
- 傷の周囲の健康な皮膚も、保湿をしっかり行うことが大切です。
- 乾燥は肌のバリア機能を低下させ、傷の治癒過程にも悪影響を与える可能性があります。
- さらに、特定の抗酸化成分が、肌の修復を助けることが研究で示されています。
- Shi Y氏らによる研究では、アブレイティブ・フラクショナルCO2レーザー治療後のニキビ跡に対して、ビタミンC、ビタミンE、フェルラ酸を含む局所抗酸化セラムが、創傷治癒を促進し、紅斑やメラニンレベルを低下させ、皮膚水分量を改善する効果が確認されました。
- この結果は、一般的な傷の治癒過程においても、これらの成分を含むスキンケア製品で肌全体のコンディションを整えることが良い影響を与える可能性を示唆しています。
- 当クリニックでは、患者さんの肌の状態や傷跡の種類に合わせて、適切なスキンケア製品のアドバイスも行っております。
4. 化膿や感染症を防ぐ兆候と対処法
傷をきれいに治すためには、化膿や感染症を未然に防ぐことが極めて重要です。感染が起こると、治りが大幅に遅れるだけでなく、傷跡がより深く、目立つ原因にもなりかねません。
化膿・感染症の危険な兆候を見逃さないこと:
- 傷の周囲が以前よりも赤く腫れ上がり、その赤みや腫れが徐々に広がっていく場合。
- 傷口やその周囲に触れると、明らかに熱を持っていると感じる場合。
- ズキズキとした拍動性の痛みが続き、時間とともに悪化していく場合。
- 黄色や緑色、または茶色などのドロッとした膿が傷口から出てくる場合。
- 傷口から普段とは異なる、不快な異臭がする場合。
- 傷の感染が体全体に影響を及ぼし、発熱や倦怠感がある場合。
これらの兆候が見られた場合の適切な対処法:
- 上記の兆候が一つでも見られた場合は、自己判断で市販薬を塗ったり、無理に膿を出そうとしたりせず、すぐに医療機関を受診してください。
- 顔は非常にデリケートな部位であり、感染が広がると、神経麻痺や顔面変形など、重篤な状態になる可能性もあります。
- Frank Sabatino氏とJoshua B Moskovitz氏の論文でも、基本的な創傷管理における感染予防の重要性が強調されており、適切な医療的介入が不可欠です。
- 特に、まぶたの傷は眼球に影響を及ぼす可能性があり、鼻の損傷で鼻中隔に血腫ができた場合は、速やかにドレナージ(排出)する必要があります。
- また、耳に傷がある場合は、耳介血腫(じかいけっしゅ)の有無も重要な確認ポイントです。
- 耳介血腫は、放置すると耳の軟骨に栄養が行き渡らなくなり、カリフラワー耳と呼ばれる耳の変形につながるため、適切な管理が必要です。
- 当クリニックでは、これらのリスクを熟知した形成外科専門医が、迅速かつ適切な診断と治療を行います。
5. シリコーンゲルなど市販薬の効果的な使い方
傷跡を目立たなくするために、市販されているシリコーンゲルやシリコーンシートなどの製品を効果的に活用することも有効な方法の一つです。これらの製品は、傷跡の成熟を促し、赤みや盛り上がりを抑える効果が期待できます。
シリコーン製品の作用メカニズムと期待される効果:
- シリコーンは、傷跡に適切な湿度と適度な圧迫を与えることで、体内でコラーゲンが過剰に生成されるのを抑制する働きがあると考えられています。
- これにより、傷跡が赤く硬く盛り上がる「肥厚性瘢痕」や、さらに広がる「ケロイド」の予防や改善に役立つとされています。
- また、傷跡の表面を保護し、外部からの刺激を軽減する効果も期待できます。

効果的な使用開始のタイミングと継続期間:
- シリコーン製品は、傷口が完全に閉じ、かさぶたが自然に取れて新しい皮膚が再生されてから使用を開始するのが最も効果的です。
- 傷が閉じきる前に使用すると、かえって治りを妨げたり、皮膚に刺激を与えたりする可能性があるので注意が必要です。
- Kendrick M氏とDor A氏の研究では、緊急治療室で顔面裂傷縫合を受けた患者に対して、シリコーンゲルを少なくとも1ヶ月間使用することで、美容的および症状的な転帰が改善することが示唆されています。
- 一般的には、数ヶ月間、可能であれば3ヶ月から半年程度、継続して使用することが推奨されます。
- 継続的な使用が、より良い結果につながる大切なポイントです。
具体的な使用方法:
- シリコーンゲル:
- 1日に2回程度、傷跡に薄く均一に塗布します。
- 強く擦り込まず、軽く伸ばすように塗るのがコツです。
- シリコーンシート:
- 傷跡の大きさに合わせてハサミでカットし、直接貼り付けます。
- 皮膚に刺激が少ない医療用テープなどで、剥がれないように固定する場合もあります。
- 使用方法や製品選びに迷った際は、薬剤師や当クリニックの専門医にご相談ください。
- ご自身での判断が難しい場合や、なかなか傷跡が改善しない場合は、専門のクリニックで相談することをおすすめします。
- シリコーンゲル:
Q&A
Q1:顔の傷跡ケアで、特に注意すべきことは何ですか? A1:顔の傷跡ケアで最も重要なのは、まず「感染を防ぐこと」、次に「紫外線から守ること」、そして「適切な保湿と圧力」を継続することです。特に新しい皮膚はデリケートで紫外線の影響を受けやすいため、徹底した日焼け対策が色素沈着を防ぐ鍵となります。また、早期からの湿潤療法や、傷が閉じた後のシリコーン製品の使用も有効です。
Q2:自宅でできる初期ケアで、これはNGという行為はありますか? A2:はい、いくつかあります。
- 過度な消毒:
- 消毒液は健康な細胞にもダメージを与え、治癒を遅らせることがあります。
- 清潔な流水での洗浄を優先しましょう。
- かさぶたを無理に剥がす:
- かさぶたは傷を保護していますが、剥がすと傷が深くなったり、治癒が遅れたり、跡が残りやすくなったりします。
- 傷口を乾燥させる:
- 傷は乾燥すると治りが遅くなります。
- 湿潤環境を保つことが大切です。
- 異物を無理に取り除く:
- 深い傷や異物が深く入り込んでいる場合は、無理をせず医療機関を受診してください。
Q3:市販の傷薬や絆創膏を使っても、なかなか傷が治りません。どうすれば良いですか? A3:市販薬での対応には限界があります。
- 傷が深い、大きい:
- 専門的な縫合や処置が必要です。
- 感染の兆候がある:
- 強い赤み、腫れ、膿、発熱などの場合は、抗菌薬が必要なこともあります。
- 治りが遅いと感じる:
- 適切な湿潤環境が保たれていない、あるいは別の要因が考えられます。 特に顔の傷は、その後の見た目に大きく影響するため、自己判断で対応し続けるよりも、早めに形成外科専門医にご相談いただくことを強くお勧めします。当クリニックでは、患者さんの傷の状態を正確に診断し、最適な治療法をご提案いたします。
お顔の傷は、その後の見た目だけでなく、自信や心の状態にも大きな影響を与えることがあります。傷を負ってしまった直後、または傷跡が残ってしまった場合でも、決して諦める必要はありません。
当クリニックは、形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)として、長年の経験と最新の知見に基づき、患者さんの傷の状態を丁寧に診察し、最適な治療計画をご提案いたします。傷の初期治療から、傷跡を目立たなくするためのアフターケア、さらにはレーザー治療や手術による傷跡修正まで、一貫してサポートさせていただきます。
もし、お顔の傷や傷跡でお悩みでしたら、まずは一度当院にご相談ください。患者さんが自信を持って笑顔で毎日を送れるよう、私たちが全力でサポートさせていただきます。
顔の傷跡を改善する治療法と病院受診の目安
顔にできた傷跡は、時に見た目の問題だけでなく、心の負担や社会生活にまで影響を及ぼすことがあります。鏡を見るたびに、また人との会話中に、傷跡が気になってしまうというお気持ちは、形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)として痛いほどよく理解できます。しかし、たとえ一度できてしまった傷跡であっても、諦める必要はありません。最新の医療技術と適切な専門知識をもってすれば、多くの顔の傷跡は見た目を改善し、目立たなくすることが可能です。
実際に、真皮にまで達する深い傷は瘢痕(はんこん)として残りますが、適切な治療介入により、その外観を最小限に抑えることができるのです。顔面の瘢痕は、時に周囲から「醜形(しゅうけい)」や「見苦しい」と認識されてしまうことがあり、美容上の重要な課題となることが知られています。これは、患者さんの社会的な受容性を低くしてしまう可能性も示唆しています。しかし、たとえ初期の治癒過程が不十分であったとしても、その後の専門的なアプローチによって瘢痕の見た目を改善できる可能性は十分にあります。

病院受診のタイミングと適切な診療科
顔の傷は、その深さや広さ、原因によって治療の必要性や方法が大きく異なります。できるだけ傷跡を目立たなくするためには、早い段階での専門医の診察がとても大切です。傷が治り始めたばかりの時期や、まだ傷跡が成熟していない時期に介入することで、より良い結果につながりやすくなります。顔面瘢痕の管理において、最適な美容的結果を得るためには、損傷の初期段階からの介入が鍵となります。
病院を受診するべきタイミングの目安
- 深い傷や出血が止まらない場合:
- 皮膚の深いところまで達する傷や、圧迫しても出血がなかなか止まらない場合は、緊急の処置が必要です。
- 傷口が大きく開いている場合:
- 自然に閉じにくい大きな傷は、縫合などの処置が必要となります。
- 顔の重要な部位の傷:
- 目、鼻、口、耳などの機能に関わる部位の傷は、慎重な処置が求められます。
- 感染の兆候が見られる場合:
- 傷口が赤く腫れて熱を持っている、膿が出ている、強い痛みがあるといった場合は、感染症を起こしている可能性があり、抗生物質などによる治療が必要です。
- 自分でケアしても改善が見られない場合:
- 数日経っても傷の治りが悪い、または悪化していると感じる場合。
- 傷跡が心配な場合:
- 少しの傷でも、後々傷跡が残るのを避けたい、きれいに治したいと考える場合は、早めに相談してください。
- お子さんの顔の傷:
- お子さんの皮膚は薄く、傷跡が残りやすい傾向があるため、専門医の診察を受けることをおすすめします。
適切な診療科
顔の傷跡の治療は、主に「形成外科」または「皮膚科」が専門となります。特に形成外科は、体表面の機能と見た目の両方を改善することに特化した専門科です。傷の縫合から、できものを取り除いた後の傷跡のケア、さらに以前の傷跡を目立たなくするための修正手術まで、多岐にわたる知識と技術を持っています。形成外科医は、初期の外傷対応から、その後の傷跡のケア、さらに傷跡修正まで一貫して対応できる専門家ですので、傷跡をきれいに治したい、目立たなくしたいというご希望がある場合には、形成外科を受診することが最も適しているでしょう。
専門医による傷跡の保存的・薬物治療
顔の傷跡治療には、手術だけでなく、保存的な方法や薬物を用いた治療も数多く存在します。特に、傷が治りかけている時期や、まだ傷跡が成熟していない初期段階では、これらの治療が効果を発揮し、傷跡を目立たなくするのに役立ちます。形成外科医は、患者さんの傷跡の状態や治癒段階に合わせて最適な方法を提案します。顔面瘢痕の治療には、保存的処置、薬物療法、外科的手術といった多様なアプローチがあります。それぞれの傷跡に適した方法を選択することが重要です。
保存的治療の主な種類
- 圧迫療法:
- シリコーンシートや弾性包帯などで傷跡を圧迫し、盛り上がりを抑えます。
- 肥厚性瘢痕やケロイドの予防・治療に効果的とされています。
- 傷跡に持続的な圧力をかけることで、異常なコラーゲン線維の増殖を抑制する目的があります。
- シリコーンゲル・シート:
- 傷跡に直接貼ったり塗ったりすることで、保湿効果と皮膚の張力軽減効果を発揮し、傷跡の成熟を促します。
- 赤みや盛り上がりを軽減する効果が期待できます。
- 肥厚性瘢痕やケロイドの予防・治療に広く用いられています。
- ステロイド外用薬:
- 炎症を抑える働きがあり、赤みやかゆみを伴う肥厚性瘢痕やケロイドに処方されることがあります。
- 医師の指示に従って適切に使用することが大切です。
薬物治療の具体的な例
- ステロイド注射:
- 盛り上がった肥厚性瘢痕やケロイドに対して、直接ステロイドを注射することで、炎症を抑え、瘢痕の縮小を促します。
- 数週間から数カ月おきに数回注射を繰り返すことが一般的です。
- 5-フルオロウラシル(5-FU)注射:
- 特定の細胞の増殖を抑える作用を持つ5-FUは、肥厚性瘢痕、ケロイド、肉芽腫(にくげしゅ:傷が治る過程でできる、良性の組織の塊)、さらには拘縮(こうしゅく:皮膚のひきつれ)の治療において、顔面形成外科における補助治療薬として用いられています。
- この薬剤を注射することで、瘢痕の軽減、美容効果の向上、機能改善に寄与し、比較的安全性が高いことが報告されています。
- 多くの研究で、瘢痕の大きさや紅斑(こうはん:赤み)の改善が示されており、併用療法や革新的な投与方法により、副作用を最小限に抑えながらより良い治療成績が得られることが分かっています。
- トラニラスト(内服薬):
- アレルギー反応を抑える作用があり、肥厚性瘢痕やケロイドの炎症やかゆみを軽減するために処方されることがあります。
これらの治療は、早期に始めることでより効果が高まる傾向があります。ご自身の傷跡の状態に合わせた最適な治療法については、ぜひ当院にご相談ください。
レーザー治療や手術による傷跡修正
顔の傷跡がすでにできてしまった場合でも、目立たなくするためのさまざまな治療法があります。レーザー治療と手術は、特に効果的な選択肢となります。形成外科医は、患者さんの傷跡のタイプや深さ、大きさなどを詳しく診察し、適切な治療法をご提案いたします。顔面瘢痕の治療には、保存的処置、薬物療法、外科的手術といった多様なアプローチがあり、患者さんの状態に合わせた選択が重要です。
レーザー治療
レーザー治療は、傷跡のタイプに応じて様々な種類のレーザーが使い分けられます。
- 色素レーザー(Vビームなど):
- 赤みが強い傷跡や肥厚性瘢痕に対して、過剰な血管を破壊することで赤みを軽減し、盛り上がりを抑える効果が期待できます。
- 血管性病変の治療に特化しており、傷跡の初期の赤みがある時期に有効です。
- フラクショナルレーザー(CO2フラクショナルレーザーなど):
- クレーター状のニキビ跡や、表面が不均一ででこぼこした傷跡に対して、皮膚に微細な穴を開けて新しい皮膚の再生を促進し、なめらかにする効果が期待できます。
- Qスイッチルビーレーザー、ピコレーザー:
- 日焼けによる色素沈着とは異なる、傷跡に残った茶色い色素沈着(炎症後色素沈着)に対して、メラニン色素を破壊し、色を薄くする効果があります。
これらのレーザー治療は、体の負担が少なく、比較的短期間での回復が期待できるというメリットがあります。
手術による傷跡修正
レーザー治療では改善が難しい、深い傷跡や広範囲の傷跡、瘢痕拘縮(ひきつれ)などに対しては、手術による修正が検討されます。形成外科医は、傷跡の特性や顔の表情筋の動き、皮膚の緊張線などを細かく考慮し、最も目立たない形になるように手術を計画します。顔面瘢痕の管理においては、初期の損傷時の再建から、瘢痕ができてしまった後の外科的治療まで、多岐にわたるアプローチが存在します。
- 切除縫合:
- 傷跡の部分を切り取り、周囲の皮膚を丁寧に縫い合わせる方法です。
- まっすぐな傷跡や盛り上がった傷跡に対して行われます。
- 皮膚の緊張を考慮し、できるだけ目立たないように細かく縫合します。
- Z形成術、W形成術:
- 傷跡の方向を顔のしわの方向に合わせたり、皮膚の緊張を分散させたりすることで、目立たなくする方法です。
- 特に、関節部分などのひきつれ(瘢痕拘縮)がある場合に有効です。

- 皮膚再配置技術:
- 手術後の瘢痕を最小限に抑えるための技術は常に進化しています。
- 例えば、目頭切開術後の瘢痕を最小化するためのレビューでは、皮膚を適切に再配置する技術が、瘢痕を限定的にする汎用性の高い選択肢として挙げられています。
- これは、傷跡の方向や周囲の皮膚のテンションを工夫することで、できるだけ目立たないように仕上げる形成外科医の専門的な技術です。
- 組織拡張器による再建:
- 広範囲の傷跡に対して、隣接する正常な皮膚を拡張器で徐々に伸ばし、その皮膚を使って傷跡を置き換える方法です。
これらの手術は、傷跡の見た目を大きく改善できる可能性がありますが、新たに手術の傷ができることや、回復に時間がかかる場合があるため、医師とよく相談して決めることが重要です。
顔の傷跡治療にかかる費用と保険適用について
顔の傷跡治療を検討する際、費用や保険が適用されるかどうかは、患者さんにとって非常に重要な関心事だと思います。治療法によって保険適用の有無や費用が大きく異なるため、事前にしっかり理解しておくことが大切です。
保険診療と自由診療の違い
- 保険診療:
- 病気やけがの治療を目的とする場合に適用されます。
- 保険証を提示することで、医療費の自己負担割合(一般的に1割から3割)で治療を受けることができます。
- 治療内容や使用できる薬剤、機器には制限があります。
- 自由診療:
- 主に美容目的の治療や、保険で認められていない最新の治療法などが該当します。
- この場合、医療費は全額自己負担となり、費用は高額になる傾向があります。
保険適用となるケースの目安
顔の傷跡治療において保険が適用されるのは、主に以下の条件を満たす場合です。
- 機能障害がある場合:
- 傷跡によって、まぶたが閉じにくい、口が開きにくい、顔の表情が作りにくいなど、体の機能に支障が出ていると判断される場合。
- 明らかな醜形障害と認められる場合:
- 社会生活を送る上で、客観的に見て精神的な苦痛を伴うほど、傷跡が著しく目立ち、見た目に問題があると判断される場合。
- 例えば、傷跡が原因でいじめられている、就職活動に大きな影響が出るといった状況です。
- 特定の病変の治療:
- 肥厚性瘢痕やケロイドのように、病的な状態として診断され、治療が必要と判断される場合。
- ステロイド注射や内服薬、一部のレーザー治療、手術が適用されることがあります。
自由診療となるケースの目安
主に見た目をさらにきれいにしたい、審美性を追求したいといった美容目的の治療は、自由診療となります。
- 傷跡による機能的な問題がない場合。
- 傷跡が目立つものの、保険診療で認められる醜形障害とまでは判断されない程度の傷を、さらに目立たなくしたい場合。
- 最新の美容治療や、保険適用外のレーザー治療など。
治療にかかる費用の目安(自由診療の場合)
自由診療の費用はクリニックや治療法によって大きく異なりますが、一般的な目安としては以下のようになります。
- レーザー治療:
- 数千円から数万円(1回あたり、傷跡の範囲や種類による)
- 手術による傷跡修正:
- 数万円から数十万円(手術の内容や範囲、術式による)
- 注入療法(5-FUなど):
- 数千円から数万円(1回あたり、薬剤の種類や量による)
当院では、患者さんの傷跡の状態を詳しく診察し、保険診療が適用される治療法があるか、自由診療の場合にはどのくらいの費用がかかるかを事前に丁寧にご説明いたします。無理なく治療を続けられるよう、費用についても遠慮なくご相談ください。
顔の傷による心理的ケアとQOLの向上
顔に傷跡が残ってしまうことは、患者さんにとって深い心の傷となり、生活の質(QOL)に大きく影響を与えることがあります。形成外科医、美容外科医である私たちは、ただ傷跡を治すだけでなく、患者さんのそうした心の状態にも寄り添い、サポートすることが使命だと考えています。顔の傷跡が社会的受容性を低くし、美容上の重要な課題となることは、多くの論文でも指摘されており、その精神的な影響は決して軽視できません。
顔の傷跡が心に与える影響
- 自信の喪失:
- 傷跡が人目に触れることで、自分自身に自信が持てなくなり、消極的になってしまうことがあります。
- 社会生活への影響:
- 傷跡を隠すために、人との交流を避けたり、仕事や学校に行くのが辛くなったりすることもあります。
- ストレスと不安:
- 傷跡がこのまま治らないのではないかという不安や、周囲の視線が気になることによるストレスを感じることがあります。
当院が考えるQOL向上のためのアプローチ
私たちは、患者さんの心に寄り添い、傷跡治療を通じて生活の質を向上させることを目指しています。
- 丁寧なカウンセリング:
- 治療の前に、患者さんの傷跡に対するお気持ちや、どのような状態を目指したいかをじっくりと伺います。
- 不安や悩みを共有し、共感することで、治療への理解と信頼関係を深めます。
- 最適な治療計画の提案:
- 傷跡の種類、患者さんのライフスタイル、費用のご希望などを考慮し、医学的根拠に基づいた最適な治療計画を複数提案します。
- 治療のメリットだけでなく、デメリットやリスクについても正直にお伝えし、一緒に考えていきます。
- 治療経過の説明とサポート:
- 治療が始まった後も、定期的に経過を診察し、患者さんの不安や疑問に丁寧にお答えします。
- 治療によって傷跡が改善していく過程を共有し、前向きな気持ちで治療を続けられるようサポートします。
- 心理的なサポートの提供:
- 必要に応じて、専門のカウンセラーや心療内科との連携も検討し、患者さんの精神的な負担を軽減できるよう努めます。
顔の傷跡は、決して一人で抱え込む問題ではありません。私たちは、皆さんが自信を取り戻し、笑顔で毎日を過ごせるよう、全力でサポートいたします。どんな小さなことでも構いませんので、どうぞお気軽にご相談ください。
Q&A
Q1:顔の傷跡は完全に消えますか? A1:残念ながら、真皮まで達した傷跡を完全に消し去ることは現代の医療では難しいとされています。しかし、形成外科の専門的な治療によって、傷跡を目立たなくし、他人から見てほとんど気にならないレベルまで改善することは十分に可能です。傷跡のタイプや深さ、治療の開始時期によって改善の度合いは異なります。
Q2:治療後、メイクはいつからできますか? A2:治療法によって異なります。レーザー治療の場合、施術直後から保護目的でメイクが可能なこともありますが、肌の状態によっては数日間のダウンタイムが必要な場合もあります。手術の場合は、抜糸後からメイクが可能になることが多いですが、傷口の状態や医師の指示に従ってください。具体的な時期については、治療を行う際に詳しくご説明いたします。
Q3:治療は痛いですか? A3:治療によっては、ある程度の痛みを感じることがあります。レーザー治療では輪ゴムではじかれるような痛みを感じることがありますが、麻酔クリームや冷却装置を使用することで痛みを軽減できます。注射治療や手術の場合には、局所麻酔を用いるため、治療中の痛みはほとんどありません。痛みに不安がある場合は、遠慮なくご相談ください。痛みを和らげる方法を一緒に検討いたします。
もし、顔の傷跡でお悩みでしたら、ぜひ一度当院にご相談ください。形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)として、皆さんの傷跡と真摯に向き合い、最適な解決策を一緒に見つけていきたいと考えております。皆さんの笑顔のために、私たちがお手伝いできることがきっとあります。お待ちしております。
まとめ
お顔の傷は、その種類や深さ、そして初期の適切なケアによって治り方が大きく変わります。傷を早くきれいに治すためには、まず清潔な洗浄と乾燥させない湿潤療法が大切。さらに、治癒途中のデリケートな肌を紫外線から徹底的に守ることが、傷跡を目立たなくする鍵となります。もし傷跡が残ってしまっても、シリコーン製品でのケアからレーザー治療、手術まで、様々な専門的な改善方法がありますので、決して諦める必要はありませんよ。大切なのは、不安を感じたら早めに形成外科専門医にご相談いただくこと。お一人で悩まず、ぜひ私たちと一緒に、自信を持って笑顔で過ごせる未来を目指しましょう。
参考文献
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