名古屋市「新瑞橋」美容外科・美容皮膚科・形成外科・一般皮膚科

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顔の傷を最短で目立たなくする「治りかけ」の全知識|赤みや茶色い跡を防ぐステップ

鏡を見るたびにため息をついてしまう、顔の気になる傷跡。「このまま一生消えないのでは…」と、その跡を見るたびに深く悩んでいませんか?実は、傷跡が残るかどうかは、ケガをした直後の対応で大きく左右されることが最新の医学でわかってきています。皮膚の奥深く、真皮層にまで達した傷は、残念ながら完全には元通りになりません。

しかし、諦めるのはまだ早いかもしれません。この記事では、なぜ傷跡が残るのかという科学的なメカニズムから、日本形成外科学会のガイドラインも示す「早期介入」という新常識、そして赤みや茶色い色素沈着を防ぐ具体的なステップまでを専門医が徹底解説します。正しい知識で、最短で傷跡を目立たなくする方法を学びましょう。

なぜ顔の傷跡は目立つのか?最新医学が解明する瘢痕化のメカニズム

顔にできてしまった傷は、他の部位に比べてどうしても気になってしまうものです。鏡を見るたびに「この傷跡は消えるのだろうか」「どうしてこんなに目立つのだろう」と、深く悩んでしまう方も少なくありません。

顔の皮膚は他の部位より薄く、常に紫外線や外からの刺激にさらされています。また、人の視線が集まる場所でもあるため、傷跡に関するお悩みはより深刻になりがちです。

しかし、傷が治る仕組みや、なぜ跡が残るのかというメカニズムを正しく理解することは、適切なケアへの大切な第一歩です。ここからは、傷跡が残る科学的な理由について詳しく解説します。

ダウンタイムを抑えて改善を目指す|マイクロニードリングと最新レーザー治療 - 画像 1

傷の深さが真皮層へ与える影響と瘢痕化の科学的根拠

傷跡が残るかどうかは、実はケガをした瞬間の「傷の深さ」が大きく関係しています。処置の良し悪しだけでなく、最初のダメージの深さが治り方を左右するのです。

私たちの皮膚は、外側から「表皮」とその下にある「真皮」という2つの層で構成されています。

  • 表皮までの傷  表皮は皮膚の一番外側にあり、厚さは約0.2mmと非常に薄い層です。この層はターンオーバー(新陳代謝)によって、常に新しい細胞に生まれ変わる力が備わっています。そのため、表皮にとどまる浅い擦り傷などは、およそ2週間以内に治癒し、跡が残ることはほとんどありません。
  • 真皮までの傷  表皮の下にある真皮は、コラーゲンなどの線維組織でできた頑丈な層です。この層は一度壊れると、完全に元通りには再生されません。代わりに、コラーゲン線維などが過剰に作られることで傷口が埋められ、修復されます。この修復された組織が、いわゆる「傷跡(瘢痕)」の正体です。縫合が必要な深い切り傷や、真皮まで達するやけどでは、瘢痕化は避けられないのです。

傷が治る過程は、大きく分けて3つの段階があります。

  1. 炎症期  傷口の出血を止め、細菌などを排除する時期です。
  2. 増殖期  新しい血管やコラーゲン線維が作られ、傷口が埋まっていきます。
  3. 成熟期  作られた組織が時間をかけて再構築され、白く平坦な落ち着いた傷跡(成熟瘢痕)へと変化します。この期間は数ヶ月から、人によっては数年かかることもあります。
傷の深さダメージを受けた皮膚の層治り方の特徴傷跡の残りやすさ
浅い傷表皮まで表皮細胞が再生し、元通りになるほとんど残らない
深い傷真皮層に到達コラーゲン線維で埋められ修復される残りやすい(瘢痕化)

瘢痕の外観を最小化する「早期介入」という新常識

かつては「傷跡は時間が経ってから治療するもの」と考えられがちでした。しかし現在では、「ケガをした直後から、いかにきれいな傷跡にするか」という早期介入の考え方が世界の標準となりつつあります。

これは、傷が治っていく初期段階(炎症期・増殖期)に適切な対応をすることで、最終的に残る瘢痕を最小限に抑えられるという医学的知見に基づいています。顔の瘢痕の美容的な結果を良くするためには、ケガをした初期の段階から介入を開始することが理想的なのです。

もちろん、初期の対応が不十分だった場合でも、後から改善できる可能性は十分にありますが、早い段階からのケアがより良い結果につながります。

早期介入で重要なポイントは以下の通りです。

  • 適切な洗浄と保護  傷口を清潔に保ち、細菌感染を防ぐことが基本です。
  • 湿潤環境の維持  傷口を乾燥させず、適度な潤いを保つ「湿潤療法」を行います。細胞の働きが活発になり、きれいに治りやすくなります。
  • 紫外線対策の徹底  傷跡に紫外線が当たると、色素沈着が起きやすくなります。
  • 物理的刺激の回避  傷口をこすったり、かさぶたを無理に剥がしたりしないようにします。
  • 医療機関への早期相談  自己判断で放置せず、早い段階で専門医に相談することが大切です。

形成外科診療ガイドラインが示すエビデンスに基づく治療選択

傷跡治療の分野では、かつては医師個人の経験則に頼る部分も多くありました。しかし現在では、日本形成外科学会などが中心となり、科学的な根拠(EBM: Evidence Based Medicine)に基づいた標準的な治療法を示す「診療ガイドライン」が整備されています。

このガイドラインは、患者さん一人ひとりの状態に合わせて、より効果的で安全な治療法を選択するための大切な道しるべとなります。

ガイドラインでは、数多くの研究結果を分析し、それぞれの治療法がどの程度推奨されるかが示されています。例えば、以下のような治療法が挙げられます。

  • 保存的治療  シリコーンゲルシートによる圧迫・保湿、保湿剤の塗布、内服薬(トラニラストなど)
  • 外科的治療  傷跡を切り取ってきれいに縫い直す瘢痕形成術など
  • その他の治療  ステロイドの局所注射、レーザー治療など

ただし、注意点もあります。傷跡治療は歴史的に経験に基づく診療が中心であったため、まだ科学的根拠が十分とは言えない治療法も存在するのが現状です。

だからこそ、すべての傷跡に万能な治療法はなく、ガイドラインを熟知した専門医が患者さんと一緒に相談しながら、個々の状況に最も適した治療計画を立てていくことが非常に重要になるのです。

炎症後色素沈着(PIH)が長引くメカニズムと人種差

傷が治った後に、傷跡が茶色いシミのようになってしまうことがあります。これは「炎症後色素沈着(PIH: Post-Inflammatory Hyperpigmentation)」と呼ばれる現象で、傷による炎症が引き金となって起こります。

メカニズムは以下の通りです。

  1. ケガによって皮膚に炎症が起こります。
  2. この炎症の刺激が、メラニン色素を作る細胞「メラノサイト」を活性化させます。
  3. メラニン色素が過剰に作り出されます。
  4. 過剰に作られたメラニン色素が皮膚の細胞に沈着し、茶色い跡として見えます。

通常、表皮に沈着したメラニンは皮膚のターンオーバーによって徐々に排出され、半年から1年ほどで薄くなっていきます。しかし、炎症が強いとメラニンが真皮層まで落ちてしまうことがあり、この場合は色が消えるまでに2年以上かかることもあります。

また、炎症後色素沈着の起こりやすさには人種差があることも知られています。もともとメラニン色素を産生する能力が高い私たちアジア人などの有色人種は、白色人種に比べて炎症後色素沈着が起こりやすく、また色が濃く長引きやすい傾向にあります。

そのため、特に傷が治りかけの時期は、紫外線対策や保湿、摩擦を避けるといった丁寧なケアが非常に重要になります。


Q&Aコーナー

Q1. 顔の傷のかさぶたは、剥がしてもいいですか? A1. いいえ、かさぶたは無理に剥がさないでください。かさぶたは傷口を保護する天然の絆創膏の役割をしています。自然に剥がれ落ちるのを待つのが基本です。無理に剥がすと、治りかけている皮膚まで傷つけてしまい、治癒が遅れたり、跡が残りやすくなったりする原因になります。湿潤療法では、そもそもかさぶたができにくい環境で治すことを目指します。

Q2. 顔をケガした場合、どのタイミングで病院に行けばよいですか? A2. 傷が深い、出血が止まらない、傷口に異物が入っている、動物に噛まれた場合は、すぐに医療機関を受診してください。また、比較的浅い傷だと思っても、顔の傷は跡が残りやすいため、できるだけ早い段階で形成外科や皮膚科といった専門のクリニックに相談することをおすすめします。早期に適切な処置を受けることが、きれいな治癒への近道です。

顔の傷跡に関するお悩みは、非常にデリケートな問題です。当院では、形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)として、科学的根拠に基づいた診断と治療を行っています。一人で抱え込まず、ぜひ一度ご相談ください。あなたの状態に合わせた最適な治療計画を一緒に考えていきましょう。

ダウンタイムを抑えて改善を目指す|マイクロニードリングと最新レーザー治療

セルフケアを続けても、なかなか薄くならない顔の傷跡にお悩みではありませんか。傷が治ってから時間が経つと、ご自宅でのケアだけでは改善が難しい場合も少なくありません。

しかし、諦める必要はありません。美容皮膚科や形成外科では、日常生活への影響をできるだけ抑えながら、傷跡の見た目の改善を目指せる治療法があります。

ここでは、皮膚が本来持つ再生能力を利用する治療や、進化した光治療器を用いたアプローチについて、形成外科専門医の立場から詳しく解説します。

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皮膚の再生を促すマイクロニードリング療法の有効性

マイクロニードリング療法は、髪の毛よりも細い極細の針で皮膚の表面に、目に見えないほどの微細な穴を一時的につくる治療法です。「経皮的コラーゲン誘導療法」とも呼ばれます。

この小さな穴を皮膚が自ら治そうとする過程(創傷治癒)で、皮膚の弾力に関わるコラーゲンやエラスチンの生成が活発になります。この働きを利用して皮膚の再構築を促し、傷跡の凹凸や質感をなめらかにしていくのです。

実際に、顔の傷跡を持つ患者さんを対象とした海外の研究では、マイクロニードリング療法の有効性が示されています。治療後、患者さん自身の満足度と医師による客観的な評価の両方で、統計的に意味のある改善が認められました。

さらに、この研究では治療後に傷跡の高さが平坦化し、色調も周囲の皮膚に近づくなど、見た目の改善が報告されています。この治療法は、ダウンタイムが比較的短く、効果的な改善が期待できる選択肢として注目されています。

<マイクロニードリング療法のポイント>

  • 適した傷跡  ニキビ跡の凹凸、手術後の傷跡、外傷後の細かい凹凸など
  • 特徴  レーザー治療と比べて熱によるダメージが少ないため、治療後の色素沈着のリスクを抑えやすい傾向にあります。
  • ダウンタイム  治療直後は赤みやヒリヒリ感が出ますが、通常は数日で落ち着きます。

この治療は、ご自身の皮膚が持つ再生能力を最大限に引き出す、シンプルながら効果が期待できる選択肢の一つです。

赤みや凹凸にアプローチするフラクショナルレーザーの作用機序

フラクショナルレーザーは、傷跡の凹凸や赤みの改善に用いられる代表的なレーザー治療です。このレーザーは、治療範囲の皮膚全体に照射するのではなく、点状に微細なレーザー光を照射するのが大きな特徴です。

レーザーが当たった部分は熱によって小さなダメージを受けますが、その周りにはダメージを受けていない健康な皮膚組織が残っています。この健康な組織が、ダメージ部分の回復を助けることで、皮膚の入れ替え(リモデリング)が効率的に進むのです。

この過程で新しいコラーゲンが生成され、傷跡の凹凸がなめらかになり、赤みも改善されていきます。

<フラクショナルレーザーの作用ステップ>

  1. 点状照射  傷跡のある皮膚に、目に見えないほどの細かい点状のレーザーを照射します。
  2. 熱エネルギー  照射された部分の皮膚組織が熱で蒸散・凝固します。
  3. 創傷治癒  周りの健康な皮膚細胞が働き、ダメージを受けた部分を治そうとします。
  4. 皮膚の再構築  コラーゲン生成が促進され、新しい皮膚に入れ替わることで、傷跡が目立ちにくくなります。

ニキビ跡のように複数の種類の凹凸が混在する場合にも適しており、肌全体の質感を向上させる効果も期待できます。

色素沈着に特化したQスイッチレーザー・ピコレーザーの選択

傷が治った後に残る茶色いシミのような跡は、「炎症後色素沈着」が原因です。これは、傷の炎症によってメラニン色素が過剰に作られてしまった状態を指します。

このような色素沈着タイプの傷跡には、メラニン色素をターゲットにするレーザーが有効です。代表的なものに「Qスイッチレーザー」や「ピコレーザー」があります。

これらのレーザーは、特定の色(メラニン)にだけ反応する光を非常に短い時間で照射し、メラニン色素を細かく破壊します。破壊されたメラニンは、体の代謝によって徐々に排出されていきます。

特に、出力を抑えて顔全体に照射する「レーザートーニング」という方法では、皮膚の深い部分(真皮)にあるメラニンにも働きかけ、肌全体の透明感を高める効果も期待できます。

ピコレーザーは、Qスイッチレーザーよりもさらに短い時間(ピコ秒)で照射します。そのため、周囲の皮膚への熱ダメージをより抑えながら、効果的にメラニンを破壊できるのが特徴です。

複数の治療法を組み合わせるコンビネーションリサーフェシングの実際

顔の傷跡は、凹凸、赤み、色素沈着など、複数の悩みが混在していることが少なくありません。例えば、「ニキビ跡の凹凸と茶色い色素沈着が両方気になる」といったケースです。

このような複雑な傷跡に対しては、一つの治療法だけでは十分な効果が得られないことがあります。そこで行われるのが、複数の治療法を組み合わせる「コンビネーションリサーフェシング(組み合わせ治療)」です。

これは、患者さん一人ひとりの傷跡の状態に合わせて、最適な治療法をオーダーメイドで計画するアプローチです。肌の表面を再構築(リサーフェシング)するこれらの治療法を組み合わせることで、より満足度の高い結果を目指します。

<組み合わせ治療の例>

  • 凹凸+色素沈着  フラクショナルレーザーで凹凸をなめらかにし、ピコレーザーで茶色い色素沈着を薄くする。
  • 赤み+凹凸  赤みに作用するレーザーで炎症を抑えながら、マイクロニードリングで肌の再生を促す。

これらの治療をどの順番で、どのくらいの期間を空けて行うかは、専門的な知識と経験が不可欠です。専門医による的確な診断のもとで治療計画を立てることが、良い結果につながります。


Q&A:傷跡治療に関するよくあるご質問

Q1. 治療中の痛みはありますか?

A1. 治療法によって痛みの感じ方は異なりますが、多くの治療では麻酔クリームを塗布してから行います。そのため、痛みを最小限に抑えることが可能です。チクチクとした刺激や、熱さを感じる程度が一般的です。

Q2. 治療は何回くらい必要ですか?

A2. 傷跡の種類、深さ、大きさ、そして目指すゴールによって必要な回数は大きく異なります。一般的に、1回の治療で完了することは少なく、1〜2ヶ月の間隔を空けながら、3〜5回以上の治療を継続することが多いです。カウンセリングの際に、おおよその目安をお伝えします。

Q3. 顔の傷跡治療に保険は適用されますか?

A3. 今回ご紹介したマイクロニードリングやレーザー治療は、傷跡の見た目をより良くすることを目的とした美容医療に分類されます。そのため、原則として保険適用外の自由診療となります。ただし、ケロイドや肥厚性瘢痕の治療など、一部保険が適用されるケースもあります。


傷跡の状態は、まさに十人十色です。インターネットの情報だけでご自身の判断でケアを続けるよりも、一度専門医にご相談いただくことが、きれいな肌への一番の近道です。

当院では、形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)が、あなたの傷跡の状態を正確に診断し、ライフスタイルも考慮した上で、最も適した治療計画をご提案いたします。ぜひお気軽にカウンセリングにお越しください。

諦めていた古い傷跡にも|難治性瘢痕に対する専門的アプローチ

「この傷跡は時間が経っているから、もう治らない」と諦めていませんか。確かに、古くなった傷跡や、体質によって目立ちやすくなった傷跡は、ご自宅でのケアだけで改善することは難しいのが現実です。

しかし、医療技術は常に進歩を続けています。現在の形成外科や美容皮膚科では、盛り上がった傷跡、皮膚がひきつれた傷跡、深く凹んでしまった傷跡など、様々な「難治性瘢痕(なんちせい はんこん)」に対する専門的な治療法が確立されています。

かつての傷跡治療は、医師個人の経験則に頼る部分もありました。しかし現在では、日本形成外科学会などが策定した「診療ガイドライン」に基づき、科学的根拠(EBM)のある標準的な治療を行うことが常識となっています。

諦めてしまう前に、まずはどのような治療の選択肢があるのかを知ることが、きれいな肌を取り戻すための大切な第一歩です。

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盛り上がった傷跡(肥厚性瘢痕・ケロイド)への注入・レーザー治療

やけどや手術の跡が、ミミズ腫れのように赤く盛り上がってしまうことがあります。これらは、傷を治そうとする体の反応が過剰になった状態で、医学的には「肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)」や「ケロイド」と呼ばれます。

  • 肥厚性瘢痕  元の傷の範囲内に収まる盛り上がりです。
  • ケロイド  元の傷の範囲を越えて、周囲の正常な皮膚にまで赤みや盛り上がりが広がっていく性質があります。

これらの治療には、主に注入治療とレーザー治療が用いられ、時にはこれらを組み合わせることで、より高い効果を目指します。

1. 注入治療(ステロイド局所注射) 盛り上がりの原因である過剰なコラーゲンの産生を抑えるため、ステロイド薬を傷跡に直接注射する方法です。これは、形成外科の診療ガイドラインでも推奨される標準的な治療法の一つです。

  • 作用の仕組み  炎症を強力に抑えるとともに、コラーゲンを作る細胞(線維芽細胞)の働きを抑制します。これにより、盛り上がりを平坦にし、赤みやかゆみといった自覚症状も和らげます。
  • 治療の進め方  1ヶ月に1回程度のペースで、傷跡の状態を見ながら数回繰り返すのが一般的です。

2. レーザー治療 レーザーの光エネルギーを利用して、傷跡の赤みや盛り上がりにアプローチします。

  • 色素レーザー(Vビームなど)  傷跡の赤みの原因である異常に増えた毛細血管に選択的に反応します。血管を破壊することで赤みを効率的に改善します。
  • フラクショナルレーザー  皮膚に目に見えないほどの微細な穴を開け、皮膚自身の再生能力(リモデリング)を促します。これにより、傷跡の質感や硬さを改善し、なめらかな肌へと導きます。

Q&A:注射の痛みはどのくらいですか?

A. 治療の痛みを最小限にするため、様々な工夫をしています。非常に細い針を使用し、注入部位を冷却しながら注射を行います。注入する薬剤の量もごくわずかです。痛みの感じ方には個人差がありますので、ご心配な方は診察時に医師へお気軽にご相談ください。

引きつれた傷跡を修正する瘢痕形成術(外科手術)

関節の近くや広範囲にできた傷跡は、治る過程で皮膚が収縮し、「瘢痕拘縮(はんこんこうしゅく)」と呼ばれるひきつれを起こすことがあります。

このひきつれは、見た目の問題だけではありません。関節が動かしにくい、口が開きにくいなど、日常生活に支障をきたす機能的な問題を引き起こす場合もあります。このような傷跡に対しては、形成外科的な手術(瘢痕形成術)がとても有効です。

瘢痕形成術は、単に傷跡を切り取って縫い直す単純なものではありません。皮膚の緊張や力の方向を計算し、傷跡を目立ちにくくしながら機能も改善する、専門性の高い技術です。

  • Z形成術  傷跡を含めてZ字型に切開し、できた三角形の皮膚(皮弁)を入れ替えるように縫合します。これにより傷の方向が変わり、ひきつれの原因となる直線的な張力が分散され、関節などの動きがスムーズになります。
  • W形成術  傷跡をWの字が連なった形(ジグザグ)に切除して縫い合わせます。一本の長い線の傷跡を、細かいジグザグの線に置き換えることで、光の反射が変わり、傷跡そのものが格段に目立ちにくくなります。

これらの手術は、傷跡の状態が落ち着いてから(成熟してから)行うのが原則です。機能的な改善が目的の場合は、健康保険が適用されることもあります。

深い凹み(Ice pick scar)に有効なCROSS法とは

ニキビ跡の中でも、まるでアイスピックで刺したように点状に深く凹んでしまった傷跡は「アイスピック型瘢痕」と呼ばれます。このタイプの傷跡は非常に深いため、レーザー治療だけでは十分な改善が難しい場合があります。

このような特殊な凹みに対して効果が期待できるのが、「CROSS法(Chemical Reconstruction of Skin Scars)」という治療法です。美容皮膚科の領域で、難治性のニキビ跡治療として確立されています。

CROSS法は、高濃度のTCA(トリクロロ酢酸)という特殊な薬剤を、凹んだ傷跡の底にピンポイントで塗布する治療です。

  • 作用の仕組み
    1. TCAを凹みの底に塗布すると、皮膚の深い部分である真皮層が化学的に刺激されます。
    2. その刺激がスイッチとなり、皮膚は自らコラーゲンを大量に作り出そうと活発に働き始めます。
    3. 新しく作られたコラーゲン線維によって、凹んでいた部分が内側からぐっと持ち上がり、徐々に平坦になっていきます。

治療後は数日間、塗布した部分が白くなり、その後かさぶたができます。このかさぶたが自然に剥がれると、新しい皮膚が再生されています。このサイクルを1〜2ヶ月ごとに数回繰り返すことで、深い凹みを少しずつ浅くしていきます。


Q&A:治療後に跡がひどくなることはありませんか?

A. 治療直後は、赤みが出たり、かさぶたができたりしますが、これらは皮膚が生まれ変わるための正常な治癒過程です。まれに色素沈着が起こることもありますが、多くは時間とともに薄れていきます。経験豊富な医師が、お一人おひとりの肌の状態を正確に見極めながら慎重に治療を進めますのでご安心ください。

治療法ごとの費用・期間・ダウンタイムの比較

古い傷跡や難治性の瘢痕に対する治療法は多岐にわたります。ご自身の傷跡の状態とライフスタイルに合った治療法を選ぶ際の参考として、各治療法の目安を比較表にまとめました。

治療法対象となる傷跡の例費用目安(税込)治療期間・回数ダウンタイム
注入治療肥厚性瘢痕、ケロイド【保険適用】数千円/回
【自費】1万円~/回
1ヶ月に1回を数回~ほぼなし
レーザー治療赤みのある傷跡、盛り上がった傷跡【自費】1万円~/㎠1~3ヶ月に1回を数回~数日~1週間程度の赤み
瘢痕形成術ひきつれた傷跡、幅の広い傷跡【保険適用】数万円~
【自費】10万円~
1回(抜糸まで約1週間)1~2週間のテープ保護
CROSS法アイスピック型の深いニキビ跡【自費】数千円~/箇所1~2ヶ月に1回を数回~約1週間のかさぶた

【注意点】

  • 上記の費用や期間はあくまで一般的な目安です。症状、範囲、使用する薬剤や機器によって変動します。
  • 保険が適用されるかどうかは、傷跡による機能障害の有無など、医師の診断によって判断されます。

どの治療法が最適かは、傷跡の種類、深さ、場所、そして何より患者さまご自身がどうなりたいかによって異なります。時には複数の治療法を組み合わせる「コンビネーション治療」が最良の結果をもたらすことも少なくありません。

当院では、形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)が、科学的根拠に基づいた正確な診断を行い、お一人おひとりの傷跡に合わせた最適な治療プランをご提案します。諦めていたその傷跡、ぜひ一度ご相談ください。

まとめ

今回は、顔の傷跡ができる仕組みから、最新の治療法までを詳しく解説しました。鏡を見るたびに気になる顔の傷は、とてもデリケートな悩みですよね。

大切なのは、ケガをした直後の「早期の適切なケア」と、できてしまった傷跡を「諦めない」ことです。医療技術は日々進歩しており、レーザー治療や注入治療、外科手術など、あなたの傷跡の状態に合わせた様々な選択肢があります。

自己判断でのケアは、かえって跡が残る原因になることもあります。きれいな肌への一番の近道は、専門医に相談することです。一人で悩まず、まずは形成外科や美容皮膚科のカウンセリングで、あなたに最適な治療法を一緒に見つけていきましょう。

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参考文献

  1. Janik JP, Markus JL, Al-Dujaili Z, Markus RF. Laser resurfacing.
  2. Lakshmi YV, Reddy LS, Devi KNN, Kumar KP, Karthik GG, Chakravarthy PS, Rao KN. Evaluation of Microneedling Therapy in Management of Facial Scars.
  3. Vincent AG, Kadakia S, Barker J, Mourad M, Saman M, Ducic Y. Management of Facial Scars.
  4. 船坂 陽子. 美容皮膚科の自由診療.
  5. 形成外科診療ガイドライン 1 皮膚疾患 皮膚軟部腫瘍/母斑・色素性疾患(レーザー治療).
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