皮膚科医が教えるニキビへのベビオゲル/べピオゲルウォッシュの正しい使い方
ニキビ治療の切り札、ベピオゲルやベピオウォッシュ。しかし、「副作用の赤みや皮むけが辛すぎる」「期待したほど効果が出ない」と、治療を諦めかけていませんか?その悩み、もしかしたら薬の“タイプ”が合っていないだけかもしれません。
同じ有効成分でも、塗り薬の「ゲル」と洗い流す「ウォッシュ」では肌への作用が大きく異なり、あなたの肌質やニキビの状態によって最適な選択肢は変わります。
副作用による治療中止率は0.8%以下という報告もあり、実はほとんどの方が適切な使い方で治療を継続できています。この記事では皮膚科医が、あなたに本当に合うタイプの見つけ方から副作用の乗り越え方まで、治療を成功に導く秘訣を徹底解説します。
ベピオゲルとウォッシュ「じゃない方」が良かった人の特徴
ベピオゲルとベピオウォッシュは、ニキビ治療の主役となる「過酸化ベンゾイル」を有効成分とする治療薬です。しかし、同じ成分でありながら「ゲルは刺激が強くて断念したけど、ウォッシュなら続けられた」「ウォッシュは優しすぎたが、ゲルでようやく効果が出た」という声は、臨床現場で頻繁に耳にします。
これは、塗り薬(ゲル)と洗い流すタイプ(ウォッシュ)という剤形の違いが、薬の肌への作用の仕方や刺激の感じ方に大きく影響するためです。あなたのニキビの状態、肌質、そして日々の生活スタイルによって、最適な選択肢は変わります。
もし今お使いのタイプが合わないと感じていても、落胆する必要はありません。もう一方のタイプに変更することで、治療がうまくいく可能性は十分にあります。ご自身の状況と照らし合わせながら、最適な治療法を見つけるヒントにしてください。
ゲルで挫折しウォッシュで成功した人の肌質と生活習慣
ベピオゲルは、有効成分が肌に長く留まるため高い効果が期待できますが、その分、赤み、皮むけ、乾燥などの刺激症状が出やすい特徴があります。ゲルで治療を断念された方がウォッシュで成功したケースには、次のような共通点が見られます。
【肌質】
- 敏感肌・乾燥肌の方 ゲルは薬剤が肌に長時間接触するため、バリア機能が低下している敏感肌や乾燥肌の方には刺激が強く感じられることがあります。一方、ウォッシュは洗い流すことで有効成分の接触時間を調整でき、刺激を最小限に抑えながら治療を進められます。
- 他のニキビ治療薬で刺激を感じた経験がある方 過去にアダパレン(ディフェリンゲル)などで刺激を感じた方は、同じくゲル剤形であるベピオでも同様の反応が出る可能性があります。ウォッシュは、そのような方にとっての新たな選択肢となります。
【生活習慣】
- 日中のメイクが欠かせない方 ゲルの副作用である皮むけは、ファンデーションのノリを著しく悪化させることがあります。ウォッシュであれば日中の肌への影響が少なく、QOL(生活の質)を保ちながら治療を続けやすいです。
- 忙しく、スキンケアに時間をかけられない方 ウォッシュは毎日の洗顔を治療に変えることができるため、非常に手軽です。治療の成功には継続が不可欠であり、この手軽さは治療アドヒアランス(患者さんが治療方針を理解し、積極的に参加すること)を高める上で大きな利点となります。
- スポーツなどで汗をかく機会が多い方 汗をかくとゲルが流れ落ちたり、汗と混じって刺激が強まったりすることがあります。入浴時に使用するウォッシュであれば、そのような心配がありません。
多くの臨床研究で、過酸化ベンゾイル製剤による一時的な刺激症状は報告されています。しかし、それらの研究は同時に、患者さんへの適切な説明と使い方指導が治療成功の鍵であると結論付けています。ウォッシュへの変更は、刺激を乗り越えるための有効な戦略の一つなのです。
ウォッシュで効果が出ずゲルに変更した人のニキビの種類
ベピオウォッシュの刺激の少なさと手軽さは大きな魅力ですが、ニキビの状態によっては効果が穏やかすぎると感じることがあります。ウォッシュでは改善が見られず、ゲルに変更して著しい効果を実感できた方には、以下のようなニキビが多く見られます。
- 炎症が強い赤ニキビや膿を持った黄ニキビが多数ある方(中等症〜重症) ウォッシュは洗い流すため、有効成分が肌に留まる時間は限られます。炎症が強く、ニキビの数が多い場合、ゲルで有効成分を長時間、直接ニキビに作用させる必要があります。これにより、過酸化ベンゾイルの持つ強力な抗菌作用と抗炎症作用を最大限に引き出すことができます。
- 触るとしこりのように硬いニキビ(結節・嚢腫)がある方 皮膚の深い部分で炎症が起きている硬いニキビには、薬剤をしっかりと浸透させることが治療の鍵です。ゲルを塗布し、長時間作用させることで、より効果的なアプローチが期待できます。
- ニキビが顔全体など広範囲に及ぶ方 広範囲にニキビが広がっている場合、ゲルで面として治療することが重要です。今あるニキビを治す「治療効果」だけでなく、新たなニキビの発生を防ぐ「予防効果」も高まります。
中等症から重症のニキビ治療に関する国内外の研究では、ゲル製剤の高い有効性が数多く示されています。ウォッシュで効果が実感できない場合は、決して諦めずに医師と相談し、ゲルへの変更を検討する価値があります。
敏感肌・乾燥肌の人が選ぶべきはゲルかウォッシュか
敏感肌や乾燥肌の方がニキビ治療で最も懸念されるのは、赤みや皮むけなどの副作用でしょう。ベピオの有効成分である過酸化ベンゾイルは、効果と引き換えに刺激症状が出やすいという側面を持っています。
結論から申し上げると、まずは「ベピオウォッシュ」から試すことをお勧めします。
その理由は、ウォッシュが洗い流すタイプであるため、有効成分が肌に接触する時間を自分でコントロールでき、刺激を最小限に抑えやすいからです。
もし、ウォッシュでは効果が不十分でゲルを使う場合は、使い方を工夫することで副作用を和らげることが可能です。実際に、副作用による治療中止率は0.8%以下と非常に低いという報告もあり、ほとんどの方が適切な管理で治療を継続できています。
| ステップ | ゲルの使い方(敏感肌・乾燥肌向け) |
|---|---|
| 1. 保湿 | 洗顔後、まずは化粧水や乳液でしっかり保湿します。肌のバリア機能をサポートするセラミド配合の保湿剤が特に推奨されます。 |
| 2. 乾燥 | 保湿剤が完全に肌になじみ、表面が乾くまで5分〜10分ほど待ちます。肌が濡れていると、薬が過剰に浸透し刺激が強く出ることがあります。 |
| 3. 塗布 | ベピオゲルを、こすらずに「優しく乗せるように」薄く塗ります。最初はニキビの部分だけに米粒大の量から始めましょう。 |
| 4. 時間調整 | 使い始めは10〜15分で洗い流す「ショートコンタクトセラピー」が有効です。肌が慣れてきたら、徐々に時間を延ばしていきます。 |
治療成功の鍵は、副作用をゼロにすることではなく、うまく管理することです。医師の指導のもと、ご自身の肌の状態に合わせて使い方を調整していきましょう。
身体(背中・デコルテ)のニキビに効果的なのはどっち?
顔だけでなく、背中やデコルテ(胸元)のニキビも深刻な悩みです。身体のニキビ治療において、ゲルとウォッシュのどちらを選ぶかは、使いやすさと安全性が大きな判断基準となります。
多くの場合、身体のニキビには「ベピオウォッシュ」が適しています。
【ベピオウォッシュが身体のニキビに適している理由】
- 塗り広げやすい 背中など、手が届きにくい範囲にも、泡立てたウォッシュなら比較的スムーズに塗り広げることが可能です。
- 衣類への付着・脱色のリスクが低い 過酸化ベンゾイルには漂白作用があり、ゲルが衣類やタオルに付くと色落ちの原因になります。ウォッシュは入浴時に完全に洗い流すため、その心配がほとんどありません。
- 治療を継続しやすい 広範囲に塗る必要がある身体のニキビ治療では、手軽さが継続の鍵となります。毎日の入浴ついでに使えるウォッシュは、治療を無理なく習慣化できます。
もちろん、炎症が特にひどい部分にだけ、ピンポイントでゲルを併用することも有効な場合があります。その際は、ゲルが完全に乾いてから、色落ちしても構わない下着やパジャマを着用するなどの工夫が必要です。
Q&Aコーナー
Q. 結局のところ、ゲルとウォッシュ、私にはどちらが良いのでしょうか?
A. あなたのニキビの重症度、肌質、そしてライフスタイルによって最適な選択は異なります。例えば、「敏感肌で毎日メイクをする方」ならウォッシュから、「炎症の強いニキビが多く、早く効果を実感したい方」ならゲルを、といったように一概には言えません。最も重要なのは、自己判断で選ぶのではなく、まずは皮膚科で専門医の診察を受けることです。それが、ニキビ治療の成功への最短ルートです。
この記事は、形成外科専門医・美容外科専門医(JSAPS)である当院院長が監修しています。当院では、患者様一人ひとりのお肌を丁寧に診察し、ニキビの種類や重症度、肌質に合わせた最適な治療法をご提案いたします。ベピオが合わないと感じている方、治療がうまくいかずに悩んでいる方も、ぜひ一度お気軽に当院へご相談ください。
治療の「停滞期」と「悪化期」を乗り越える処方箋
ベピオを使ったニキビ治療は、必ずしも一本道ではありません。 「使い始めたら逆にニキビが増えた」「最近、効果が薄れてきた」 など、治療の途中で壁にぶつかり、不安になる方も少なくありません。
実際に、尋常性ざ瘡(ニキビ)は精神的な苦痛を伴うことが多く、 治療が思うように進まないと、気持ちが落ち込むのも当然のことです。 しかし、こうした停滞期や悪化期は、多くの方が経験する過程です。 そして、適切な対処法を知ることで乗り越えることができます。
ここでは、治療中の壁を乗り越えるための具体的な方法を、 皮膚科医の視点から詳しく解説していきます。
「使い始めのニキビ悪化」は好転反応?見極め方と対処法
ベピオを使い始めて数週間で、一時的にニキビが悪化することがあります。 これは、ベピオのピーリング作用(角質を剥がす作用)によるものです。 毛穴の奥に潜んでいた「コメド」というニキビの芽が、 表面に押し出される過程で、一時的にニキビが増えたように見えます。
これは「好転反応」と表現されることがありますが、医学用語ではありません。 すべての悪化がこの過程とは限らず、肌に合わない可能性もあります。 ご自身の状態がどちらに近いか、以下の表で確認してみましょう。
| 項目 | 一時的な反応の可能性が高い | 医師への相談を推奨 |
|---|---|---|
| 症状 | 赤み、皮むけ、乾燥、ヒリヒリ感 | 強いかゆみ、腫れ、水ぶくれ、じんましん |
| 範囲 | 薬を塗った範囲に限局している | 薬を塗っていない場所にも症状が広がっている |
| 時期 | 使い始めから2〜4週間以内にピークを迎える | 1ヶ月以上続く、または日に日に悪化する |
| ニキビ | 小さな白ニキビや赤ニキビが中心 | 大きな膿を持つニキビ(嚢腫)が急に増える |
【一時的な反応だった場合の対処法】 自己判断で中止せず、まずは保湿をいつも以上に徹底してください。 セラミドなど、肌のバリア機能をサポートする成分配合の保湿剤が有効です。 肌のうるおいを保つことで、外部からの刺激を受けにくくなります。
それでも症状が改善しない場合や、「医師への相談を推奨」に当てはまる場合、 接触皮膚炎(かぶれ)やアレルギーの可能性も考えられます。 速やかに処方医に相談し、適切な指示を仰ぎましょう。
Q&Aコーナー
Q. 一時的な悪化はどのくらい続きますか?
A. 個人差はありますが、多くの場合、肌がベピオに慣れてくる2週間から1ヶ月程度で自然に落ち着きます。この期間は治療の重要なステップです。この期間を過ぎても改善が見られない場合は、別の原因が考えられますので、一度クリニックへご相談ください。
効果が頭打ち…治療が停滞したときの次の一手
「最初の数ヶ月は順調だったのに、最近は変化がない」 このような治療の停滞期は、多くの患者さんが経験します。 英国のNICEガイドラインでも、ニキビ治療の効果を実感するには 少なくとも6〜8週間はかかるとされており、根気強い継続が大切です。
しかし、3ヶ月以上経っても改善が見られない場合、原因は様々です。 使用方法の間違いや生活習慣の乱れのほか、 治療法そのものを見直す必要があるかもしれません。
【次の一手となる治療選択肢】 効果が頭打ちになった場合、治療法を組み合わせることで突破口が見えます。 患者様一人ひとりの状態に合わせ、以下のような治療法を検討します。
1. 他の塗り薬との併用・変更 - アダパレン(ディフェリンゲル®︎) 毛穴の詰まり(コメド)を根本から改善するレチノイド外用薬です。 - 配合剤(デュアック®︎、エピデュオ®︎) 複数の有効成分を組み合わせ、より多角的にニキビへ作用します。
2. 飲み薬の追加 - 抗生物質(ドキシサイクリン、ミノサイクリンなど) 炎症が強い赤ニキビや黄ニキビを強力に抑えます。 ただし、耐性菌の問題から、最大でも12週間程度の短期使用が原則です。 - ホルモン療法(低用量ピル、スピロノラクトンなど) ホルモンバランスの乱れが原因となる女性の大人ニキビに有効です。 - イソトレチノイン 重症のニキビに対する強力な治療薬で、専門医の厳格な管理下で使用します。
治療の選択は、ニキビの重症度や肌質などを総合的に判断して行います。 諦めずに、まずは専門医にご相談ください。
副作用が辛すぎる時の「休薬」と「減量」の正しい方法
ベピオによる赤み、ヒリヒリ感、皮むけといった副作用。 これらは治療初期によく見られ、肌が慣れるにつれて軽減していきます。 しかし、「日常生活に支障が出るほど辛い」と感じることもあります。
大切なのは、自己判断で完全に薬をやめてしまわないことです。 治療を中断すると、ニキビが再発・悪化するリスクが高まります。 副作用が辛い時は、医師の指導のもとで正しく調整することが重要です。 治療は患者様の「忍容性(どの程度耐えられるか)」を考慮して進めます。
【医師と相談して行う調整方法】
- 短時間接触法(ショートコンタクトセラピー) 洗顔後、ベピオを塗り、5〜15分など短い時間で洗い流す方法です。 肌への刺激を抑えつつ、効果を得ることが期待できます。
- 頻度の調整 「毎日」から「2日に1回」「3日に1回」のように使用頻度を減らし、 肌が慣れる時間を作ります。
- 量の調整 塗る量を少し減らしてみます。パール1粒大など、 具体的な量を医師と確認しながら調整しましょう。
- 一時的な休薬 医師の指示のもと、症状が特に強い数日間だけ使用を休み、 肌が落ち着いてから少量・低頻度で再開します。
副作用を我慢しすぎる必要はありません。 辛い時は無理せず、当院のような専門のクリニックにご相談ください。 あなたに合った使い方を一緒に見つけていきましょう。
赤みや皮むけで人の目が気になる…メンタルケアとQOL向上術
ニキビや治療による副作用は、見た目に直接影響します。 「人の視線が気になる」「鏡を見るのが憂うつ」といった 精神的なストレスにつながることは、決して珍しいことではありません。
研究でも、尋常性ざ瘡がQOL(生活の質)や自尊心を 低下させる可能性があると指摘されています。 治療を前向きに続けるためには、肌のケアと同時に心のケアも大切です。
【メンタルとQOLを保つためのヒント】
- 正しい知識を持つ 副作用は治療過程の一環であり、多くは一時的だと理解しましょう。 過度な不安を和らげ、冷静に対処することができます。
- 治療のゴールを意識する 今の辛い時期は、ニキビのない健やかな肌を目指すためのステップです。 治療の進捗を写真で記録すると、小さな変化に気づけて励みになります。
- メイクを上手に活用する
- 下地 赤みを補正するグリーン系のコントロールカラーがおすすめです。
- ファンデーション 肌への負担が少なく、毛穴を詰まらせにくい 「ノンコメドジェニックテスト済み」の製品を選びましょう。
- 保湿 メイク前後の保湿を徹底すると、皮むけによる化粧崩れを防げます。
- 一人で抱え込まない 治療の辛さや不安は、医師やカウンセラーに話してみましょう。 信頼できる家族や友人に気持ちを共有するだけでも、心は軽くなります。
当院では、形成外科専門医・美容外科専門医(JSAPS)である院長が、 お肌の状態だけでなく、患者様の心の負担にも寄り添った診療を心がけています。 治療に関するお悩みは、どんな些細なことでもぜひ一度ご相談ください。
ベピオ卒業後の「ニキビを再発させない」ための維持療法
ベピオゲルやベピオウォッシュを使った治療でニキビが改善すると、心から安堵しますよね。しかし、ここで治療を終えてしまうのは、実は時期尚早かもしれません。尋常性ざ瘡(ニキビ)は再発しやすい「慢性的な皮膚の病気」です。研究によれば、ニキビは世界人口の約9%が経験するほど一般的な疾患で、特に10代から20代の方の多くが悩まされています。
治療をやめた途端に再びニキビができて、がっかりした経験はありませんか。それは、目に見える炎症が治まっても、皮膚の下ではニキビの根本原因である「毛穴の詰まり」が続いているためです。そこで重要になるのが、きれいな肌を維持するための「維持療法」という考え方です。ここでは、ニキビの再発を防ぎ、健やかな肌を長く保つための方法を詳しく解説します。
ニキビが治った後のベピオのやめどきと段階的な中止方法
「ニキビが全部消えたら、すぐに薬をやめてもいいですか?」 これは、診察室で非常によくいただく質問です。結論から言うと、自己判断で急に薬の使用を中止するのは、再発のリスクを高めるため推奨できません。目に見える赤いニキビがなくなった後も、皮膚の下では「マイクロコメド」と呼ばれる、目に見えないニキビの芽が潜んでいることが多いのです。
【ベピオをやめるタイミングの目安】 明確な中止時期は医師が肌の状態を見て総合的に判断します。一般的には、炎症を起こした赤いニキビが新しくできなくなってから、少なくとも3ヶ月程度は治療を続けることが望ましいとされています。英国のNICEガイドラインでも、ニキビ治療の効果を実感するには最低6〜8週間はかかるとされており、根気強い継続が重要です。
【段階的な中止方法の例】 医師の指示のもと、肌の状態を確認しながら少しずつ使用頻度を減らしていきます。
- ステップ1 毎日1回の使用から、2日に1回の使用へ減らします。(1〜2ヶ月程度)
- ステップ2 肌の状態が安定していれば、3日に1回の使用へ減らします。(1〜2ヶ月程度)
- ステップ3 週に2回程度の使用で、良い状態を維持できるか確認します。
このように、肌を慣らしながら徐々に頻度を落とすことで、ニキビが再発しにくい安定した状態を目指します。急な中断は避け、必ず医師と相談しながら進めましょう。
再発予防に効果的な「維持療法」としてのベピオの使い方
維持療法とは、ニキビが新しくできるのを防ぐために行う「予防」を目的とした治療です。その目的は、ニキビの芽であるマイクロコメドの段階で進行を食い止め、炎症を起こすニキビに発展させないことです。
ベピオの有効成分である過酸化ベンゾイルは、維持療法に適した2つの作用を持っています。
- 角層剥離作用(ピーリング作用) 古い角質を穏やかに取り除き、毛穴が詰まるのを防ぎます。
- 抗菌作用 ニキビの原因となるアクネ菌の増殖を抑えます。
この作用により、新たなニキビの発生を効果的に予防できます。国内外の多くの治療ガイドラインで、過酸化ベンゾイルやアダパレン(ディフェリンゲル)といった局所薬による維持療法が強く推奨されています。
| 項目 | 治療期(ニキビが活発な時期) | 維持期(ニキビが落ち着いた時期) |
|---|---|---|
| 目的 | 今あるニキビを治す(治療) | これからできるニキビを防ぐ(予防) |
| 頻度 | 毎日1回 | 週2〜3回、または2日に1回など(医師の指示による) |
| 範囲 | ニキビとその周辺に塗布 | ニキビができやすかった範囲全体(額、頬、あごなど)に薄く塗布 |
維持期では、ニキビがあった部分だけでなく、ニキビができやすかったエリア全体に薄く塗ることがポイントです。面で予防することで、より高い再発抑制効果が期待できます。
ベピオ以外の維持療法(ピーリング・レーザー治療等)の選択肢
ベピオによる維持療法が肌に合わない場合や、さらに積極的な再発予防、肌質改善を目指したい方には他の選択肢もあります。治療は保険が適用されるものと、自費診療となるものに分かれます。
【保険診療】
- アダパレン(ディフェリンゲル®︎) ベピオと同様に、毛穴の詰まりを改善する作用を持つレチノイド外用薬です。ベピオと並び、ニキビ治療の第一選択薬であり、維持療法としての有効性も確立されています。
【自由診療(自費)】 自由診療では、より多角的なアプローチで肌質そのものを改善し、ニキビのできにくい肌を目指すことが可能です。
- ケミカルピーリング 薬剤を用いて古い角質を除去し、肌のターンオーバーを正常化させます。
- レーザー治療(ジェネシスなど) 肌の深部に熱エネルギーを加え、皮脂腺の働きを抑制したり、コラーゲンの生成を促したりします。
- 光治療(IPL) アクネ菌の殺菌や、ニキビ跡の赤みを改善する効果が期待できます。
これらの治療は、ニキビの再発予防だけでなく、肌のキメやハリを整える効果も期待できます。ただし、一部の物理療法については、まだ科学的根拠が限定的であるとの報告もあります。当院では、患者様一人ひとりの肌質やご希望に合わせ、最適な治療プランをご提案いたします。
ニキビ跡の色素沈着とクレーターへのアプローチ
重症のニキビは、治った後に「ニキビ跡」として残ることがあります。ニキビは身体的な瘢痕だけでなく、精神的な苦痛を引き起こす可能性も指摘されており、ニキビ跡は大きな悩みとなり得ます。ニキビ跡は主に3種類に分けられ、それぞれ治療法が異なります。
| 跡の種類 | 特徴 | 主な治療法 |
|---|---|---|
| 炎症後紅斑(赤み) | 炎症で毛細血管が拡張し、赤く見える状態。 | 光治療(IPL)、Vビームレーザー、外用薬など |
| 炎症後色素沈着(茶色いシミ) | 炎症の刺激でメラニンが過剰に作られ、シミになった状態。 | ケミカルピーリング、ピコレーザー、外用薬(ハイドロキノン)、内服薬(トラネキサム酸)など |
| 萎縮性瘢痕(クレーター) | 炎症が皮膚の奥深くまで及び、組織が破壊され凹んだ状態。 | フラクショナルレーザー、ダーマペン、ポテンツァ、TCAクロスなど |
特にクレーター状のニキビ跡は、セルフケアでの改善は非常に難しく、美容皮膚科での専門的な治療が必要です。ニキビ跡の治療は、ニキビの新たな発生をしっかり抑えられていることが前提となります。
Q&Aコーナー
Q. ニキビ跡の治療は保険適用になりますか?
A. いいえ、残念ながらニキビ跡の治療は、病気の治療ではなく美容目的と見なされるため、保険適用外の自由診療となります。治療法によって費用は異なりますので、まずは診察でご自身のニキビ跡の種類を正確に診断してもらうことが重要です。
当院では、形成外科専門医・美容外科専門医(JSAPS)である院長が、ニキビ跡の種類や深さを的確に診断し、レーザー治療などを組み合わせた最適な治療をご提案します。ニキビの再発やニキビ跡にお悩みの方は、諦めずにぜひ一度ご相談ください。
まとめ
今回はベピオゲルとウォッシュの正しい使い方から、治療中の悩み、ニキビが治った後の維持療法まで詳しく解説しました。
ニキビ治療は、肌質やニキビの種類、生活スタイルによって最適な方法が異なります。副作用への対処や薬をやめるタイミングも、専門医の診断があってこそ最適な選択ができます。もし今、治療がうまくいかずに悩んでいたり、副作用が辛いと感じていたりするなら、一人で抱え込まないでください。
自己判断で治療を中断してしまう前に、ぜひ一度、皮膚科の専門医へ相談してみましょう。あなたの肌に合った治療法を一緒に見つけることが、ニキビのない健やかな肌への一番の近道です。
参考文献
- Managing acne vulgaris: an update
- Acne Vulgaris: Diagnosis and Treatment
- Benzoyl peroxide-based combination therapies for acne vulgaris: a comparative review
- Clindamycin/benzoyl peroxide gel: a review of its use in the management of acne
- Tretinoin 0.1% and Benzoyl Peroxide 3% Cream for the Treatment of Facial Acne Vulgaris
- Management of Acne Vulgaris: A Review
- Efficacy and safety of microencapsulated benzoyl peroxide and microencapsulated tretinoin for the treatment of acne vulgaris
- Review of Tretinoin-Benzoyl Peroxide in The Treatment of Acne Vulgaris
- Adapalene/benzoyl peroxide gel 0.3%/2.5% for acne vulgari