名古屋市「新瑞橋」美容外科・美容皮膚科・形成外科・一般皮膚科

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皮膚科医が解説|円形脱毛症の原因と治療法

ある日突然、鏡の中に円形の脱毛を見つけたとき、「このまま全部抜けてしまうのでは」「なぜ自分だけが…」という深い不安と孤独感に襲われるかもしれません。かつては「ストレスが原因」と曖昧に語られることの多かったこの症状ですが、最新の研究によって、その本当の原因は免疫システムの異常による「自己免疫疾患」であることが科学的に解明されつつあります。

この記事では、2024年に改訂された日本皮膚科学会の最新ガイドラインに基づき、円形脱毛症の根本原因を専門医が図解で徹底解説します。さらに、重症例の新たな希望として注目される治療薬「JAK阻害薬」の有効性や、ご自身の状態に合った最適な治療法の選び方まで、科学的根拠をもとに詳しくご紹介します。

最新エビデンスで解明する円形脱毛症の本当の原因

(監修:形成外科専門医・美容外科専門医 [JSAPS] 河之口大輔)

ある日、鏡を見て髪に円形の脱毛斑を見つけたとき、「このまま全部抜けてしまうのでは」「なぜ自分だけが…」と、強い不安や孤独感に襲われるかもしれません。

しかし、円形脱毛症は決して珍しい病気ではなく、その原因は近年の目覚ましい研究の進歩によって、少しずつ明らかになってきています。大切なのは、科学的な根拠に基づいた正しい知識を持ち、ご自身の状態を客観的に理解することです。

ここでは、最新の研究データでわかってきた円形脱毛症の本当の原因について、皮膚科の専門医が図解も交えながら分かりやすく解説します。

なぜ免疫が暴走する?Th1/Th2経路の異常と新たな治療標的

円形脱毛症は、体を細菌やウイルスなどの外敵から守る「免疫システム」に異常が生じることで発症します。

本来、私たちの体を守るはずの免疫細胞が、何らかの理由で自分の体の一部である「毛包(もうほう)」を敵と間違えて攻撃してしまうのです。この状態を「自己免疫疾患」と呼びます。

特に、免疫細胞の中でも司令塔の役割を担う「Tリンパ球」が、髪の毛を作り出す大切な組織である毛包を攻撃することで、髪の毛が抜けてしまうと考えられています。

これまで、この免疫の暴走には「Th1経路」という情報伝達の仕組みが主に関わっているとされてきました。しかし最近の研究では、病態がより複雑であることがわかってきています。

アレルギー反応に関わる「Th2経路」など、複数の免疫経路が複雑に絡み合い、免疫全体のバランスが崩れていることが示唆されているのです。

  • 従来の考え方
    • 主にTh1経路の異常が、Tリンパ球による毛包攻撃を引き起こすと考えられていました。
  • 新たな知見
    • Th1経路だけでなく、アレルギーに関わるTh2経路や、その他の情報伝達物質(IL-9, IL-23など)も関与していることが判明しました。

このように病気の仕組みが詳しく解明されたことで、治療法も大きく進化しました。免疫細胞の暴走を伝える特定の情報伝達経路だけをピンポイントでブロックする、新しいタイプの治療薬(JAK阻害薬など)が開発されたのです。

これらは、円形脱毛症治療の新たな標的として、大きな期待が寄せられています。
(NIKKEI リスキリングより引用)

日本皮膚科学会ガイドライン2024年版が示す原因の考え方

日本皮膚科学会が発表している「円形脱毛症診療ガイドライン」は、多くの専門家が科学的な証拠(エビデンス)に基づいて作成した、治療の羅針盤となるものです。

2024年に改訂された最新版でも、円形脱毛症は「毛包を標的とする自己免疫疾患」であるという考え方が中心となっています。

ただし、なぜ自己免疫の異常が起こるのか、その根本的な引き金はまだ完全には解明されていません。ガイドラインでは、発症には以下のような複数の要因が関わっていると考えられています。

主な要因解説
自己免疫疾患免疫システムが毛包を誤って攻撃することが直接的な原因です。
遺伝的要因ご家族に円形脱毛症の方がいる場合、発症しやすい傾向があります。特定の遺伝子が関与していることがわかっています。
アトピー素因アトピー性皮膚炎や気管支喘息など、アレルギー体質との関連が強く指摘されています。

これらの要因が複雑に絡み合って発症すると考えられており、治療方針を決める際には、患者さん一人ひとりの背景を丁寧に考慮することが非常に重要になります。

「ストレスが原因」は本当か 科学的根拠を医師が解説

「円形脱毛症はストレスが原因」という話をよく耳にしますが、これは必ずしも正確な表現ではありません。

科学的には、ストレスは円形脱毛症の「直接的な原因」ではなく、「発症や悪化の引き金(誘因)の一つ」と考えるのが適切です。

強い精神的・肉体的なストレスがかかると、私たちの体では自律神経やホルモンのバランスが乱れます。その結果、免疫システム全体の働きにも影響が及び、もともと体質として持っていた自己免疫の異常が表面化しやすくなることがあります。

【ストレスと円形脱毛症の関係】

  1. 過度なストレス(精神的・肉体的)
  2. 自律神経やホルモンバランスの乱れ
  3. 免疫システムのバランスが崩れる
  4. 毛包への攻撃が始まる/悪化する

しかし、実際には大きなストレスを感じていないのに発症する方も多く、ストレスだけが原因ではないことは明らかです。

むしろ、脱毛症を発症したこと自体が大きな精神的な負担となり、症状をさらに悪化させるという悪循環に陥ることも少なくありません。そのため、治療においては脱毛部分へのアプローチと同時に、患者さんの心理的な負担を軽減するサポートも非常に重要となります。

アトピー性皮膚炎や甲状腺疾患など合併症との関連

円形脱毛症の患者さんの中には、他の特定の病気を合併しやすい傾向があることが知られています。特に「アトピー素因」と「他の自己免疫疾患」との関連は重要です。

アトピー素因とは、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎などを発症しやすいアレルギー体質のことです。アトピー素因を持つ方は、免疫システムが外部の刺激に過敏に反応しやすいため、円形脱毛症を発症しやすいと考えられています。

また、円形脱毛症自体が自己免疫疾患であるため、同じように免疫の異常によって起こる他の自己免疫疾患を合併することもあります。

【円形脱毛症と関連が指摘される病気】

  • アトピー性皮膚炎
  • 気管支喘息
  • アレルギー性鼻炎
  • 甲状腺疾患(橋本病、バセドウ病など)
  • 尋常性白斑
  • 膠原病(全身性エリテマトーデスなど)
  • I型糖尿病

そのため、診察の際には、これらの病気の既往歴をお伺いしたり、必要に応じて血液検査で甲状腺機能などを確認したりすることがあります。これは、体全体の状態を把握し、最適な治療法を選択するために不可欠なプロセスです。


Q&A:アトピーがあると必ず円形脱毛症になりますか?

A: いいえ、必ずなるわけではありません。アトピー素因はあくまで発症リスクを高める要因の一つであり、アトピー素因があっても円形脱毛症にならない人の方がはるかに多いです。ご自身の体質や他の病気との関連でご不安な点があれば、遠慮なく医師にご相談ください。

当院では、皮膚科専門医が患者さん一人ひとりの全身の状態を丁寧に診察し、最新の知見に基づいた最適な治療法をご提案いたします。気になる症状があれば、まずはお気軽にご相談ください。

【治療の最前線】JAK阻害薬は円形脱毛症の救世主か

これまでの治療法では十分な効果が得られにくかった、広範囲にわたる重症の円形脱毛症。

「もう髪は生えてこないのでは」という深い悩みを抱える方々にとって、近年登場した「JAK(ジャック)阻害薬」という飲み薬は、大きな希望となっています。

JAK阻害薬は、円形脱毛症の根本原因である免疫システムの暴走を、細胞の内側から直接ブロックする新しい作用を持った薬です。

毛包を誤って攻撃してしまう免疫細胞の活動にブレーキをかけることで、脱毛の進行を止め、発毛を促す効果が期待できます。この治療法は、患者さんの生活の質(QOL)を大きく改善する可能性を秘めています。

ネットワークメタ解析で証明された経口JAK阻害薬の有効性

JAK阻害薬の高い効果は、個人の感想や体験談だけではなく、科学的な根拠によっても力強く裏付けられています。

その代表が「ネットワークメタ解析」という研究手法です。これは、信頼性の高い複数の臨床試験の結果を統計学的に統合し、さまざまな治療薬の効果を客観的に比較・分析する方法です。

この分析によって、経口(飲み薬)のJAK阻害薬は、有効成分の入っていない偽薬(プラセボ)と比較して、円形脱毛症の患者さんの発毛を有意に改善させることが証明されました。

特に、バリシチニブという薬剤を用いた研究では、プラセボに比べて75%以上の発毛を達成する確率が約7.5倍も高まるという、非常に確実性の高い結果(高確実性エビデンス)が示されています。

また、安全性に関しても、従来のステロイド治療と比較して、治療によって起こる有害事象の発生率が低いというデータもあり、有効性と安全性のバランスが取れた治療選択肢として期待されています。

  • 経口JAK阻害薬の有効性(ネットワークメタ解析より)
    • プラセボ(偽薬)と比較して、発毛効果が科学的に証明されています。
    • バリシチニブは、75%以上の発毛を促す高い効果が確認されています。
    • 従来の治療法と比較して、安全性の面でも良好な結果が示唆されています。

バリシチニブ(オルミエント)とリトレシチニブ(リットフーロ)の違いと使い分け

現在、日本において円形脱毛症の治療に保険適用で使用できるJAK阻害薬は、2種類あります。「バリシチニブ(商品名:オルミエント)」と「リトレシチニブ(商品名:リットフーロ)」です。

どちらも同じJAK阻害薬という分類ですが、作用する仕組みや対象となる年齢が異なり、患者さん一人ひとりの状態に合わせて慎重に使い分けられます。

項目バリシチニブ(オルミエント)リトレシチニブ(リットフーロ)
作用の仕組みJAK1とJAK2という情報伝達物質を阻害します。JAK3とTECファミリーキナーゼという情報伝達物質を阻害します。
対象年齢15歳以上12歳以上
特徴成人の重症円形脱毛症治療薬として、広く使用されています。12歳以上の小児にも使用できるのが大きな特徴です。

この2つの薬の最も大きな違いは、治療を開始できる年齢です。リトレシチニブは12歳から使用できるため、これまで治療選択肢が限られていた中学生・高校生の患者さんにとって、新たな希望となっています。

どちらの薬剤を選択するかは、年齢だけでなく、症状の重症度、これまでの治療歴、合併している他の病気の有無などを総合的に評価し、専門医が最適なものを判断します。

治療効果と安全性プロファイル(副作用のリスク)

JAK阻害薬は高い発毛効果が期待できる反面、免疫の働きを調整する薬であるため、副作用のリスクについても正しく理解しておくことが極めて重要です。

期待できる治療効果

臨床試験では、治療開始から数ヶ月で発毛効果が見られ始め、多くの患者さんで頭髪の広範囲な回復が報告されています。効果の現れ方には個人差がありますが、脱毛範囲が広い重症の患者さんでも、顕著な改善が期待できます。

主な副作用と注意点

JAK阻害薬の服用中に起こりうる副作用には、以下のようなものがあります。安全に治療を続けるためには、医師による厳重な管理が不可欠です。

  • 感染症
    • 免疫の働きを調整するため、風邪や帯状疱疹などにかかりやすくなることがあります。
  • ニキビ(ざ瘡)
    • 皮脂の分泌に影響し、ニキビができやすくなることがあります。
  • 血液検査値の異常
    • コレステロール値や肝機能を示す数値(AST, ALT)が上昇することがあります。
  • その他
    • 頭痛、吐き気などが現れることがあります。

これらの副作用を早期に発見し、重症化を防ぐために、治療中は定期的な診察と血液検査が必須となります。何か気になる症状があれば、自己判断せず、すぐに主治医に相談してください。

保険適用でJAK阻害薬治療を受けるための条件と費用

JAK阻害薬は非常に有効な治療法ですが、どなたでもすぐに使用できるわけではありません。保険適用で治療を受けるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。

保険適用の主な条件

  • 年齢
    • バリシチニブは15歳以上、リトレシチニブは12歳以上であること。
  • 重症度
    • 頭部の脱毛面積がおおむね50%以上の重症な円形脱毛症であること。(SALTスコア※50以上)
  • 治療歴
    • 過去6ヶ月以上、ステロイド外用薬などの治療を行っても、十分な効果が得られなかったこと。

※SALTスコア:頭部全体の毛髪量を評価する国際的な指標。

これらの条件を満たすかどうかは、専門医が診察の上で客観的に判断します。

治療にかかる費用

薬の価格にもよりますが、保険が適用された場合(3割負担)の自己負担額は、月々数万円程度が目安となります。

ただし、日本の公的医療保険には「高額療養費制度」という仕組みがあります。この制度を利用すると、1ヶ月の医療費の自己負担額が年齢や所得に応じた上限額を超えた場合に、その超えた分が払い戻されます。

これにより経済的な負担を大きく軽減できる場合がありますので、ご安心ください。


Q&A:JAK阻害薬は誰でも使えますか?

A: いいえ、どなたでも使えるわけではありません。保険適用には、年齢や症状の重さ、これまでの治療で十分な効果が得られなかったことなど、いくつかの条件があります。まずは専門医に相談し、ご自身が適応となるかを正確に診断してもらうことが重要です。

当院は形成外科専門医・美容外科専門医(JSAPS)である院長が監修しており、患者さん一人ひとりの状態を丁寧に診察いたします。JAK阻害薬治療が適切かどうかはもちろん、費用や副作用に関するご不安にもしっかりお答えしますので、まずはお気軽にご相談ください。

JAK阻害薬以外の治療選択肢のエビデンスレベルを徹底比較

円形脱毛症の治療は、JAK阻害薬の登場で大きく進歩しました。 しかし、それ以前から行われている有効な治療法も数多く存在します。

大切なのは、ご自身の症状やライフスタイルに合った治療を、医師と相談しながら見つけていくことです。

「日本皮膚科学会 円形脱毛症診療ガイドライン2024年版」では、科学的な根拠(エビデンス)に基づき、それぞれの治療法がどのくらい推奨されるかが示されています。

ここでは、JAK阻害薬以外の代表的な治療法について、その推奨度や特徴を比較しながら詳しく解説します。

ステロイド治療(外用・局注・内服)の推奨度と限界

ステロイドは、過剰に働いている免疫を抑える作用を持つ薬剤です。 毛根への攻撃を鎮める目的で、円形脱毛症治療の基本として広く用いられています。

ステロイド治療には使い方によって3つの種類があり、それぞれに推奨度と注意点があります。

治療法推奨度(ガイドライン2024)メリットデメリット・限界
ステロイド外用薬(塗り薬)強い推奨自宅で手軽に治療できる。
全身への副作用が少ない。
軽症の小さな脱毛斑が主な対象。
広範囲の脱毛には効果が限定的。
ステロイド局所注射強い推奨薬剤を直接毛根に届けられ、
高い発毛効果が期待できる。
注射時の痛みを伴う。
注射部位の皮膚が一時的にへこむことがある。
ステロイド内服・点滴弱い推奨脱毛が急激に進行する急性期に、
進行を食い止める効果が期待できる。
全身性の副作用のリスクがあるため、
短期間の使用に限られる。

近年、治療薬の研究も進んでいます。 ある研究では、新しく開発されたフォーム(泡)タイプのステロイド外用薬で、患者さんの約42%に25%以上の毛髪再生が見られたと報告されました。 従来の軟膏に比べて使い心地が良く、患者さんが治療を続けやすい点もメリットです。

また、ステロイド内服薬の研究では、6週間の服用で患者さんの約47%に25%以上の発毛が認められたという報告もあります。 しかし、体重増加や気分の変動といった副作用のリスクもあるため、専門医による慎重な管理のもと、短期間に限って行われます。

経口ミノキシジルやPRP療法の有効性は?論文データから考察

ミノキシジルやご自身の血液成分を利用するPRP療法も選択肢の一つです。 ただし、これらはガイドライン上の推奨度は高くなく、位置づけを正しく理解することが重要です。

  • 経口ミノキシジル(飲み薬)  ミノキシジルはもともと高血圧の薬ですが、発毛効果があることから脱毛症治療に応用されています。ある研究では、重症で治療に抵抗する患者さんに経口ミノキシジルを使用したところ、外用薬より広範囲な発毛を促しました。しかし、美容的に満足できるレベルまで改善したのは、患者さんの18%に留まったと報告されています。このことから、ミノキシジル単独での治療には限界がある可能性が示唆されます。

  • PRP(多血小板血漿)療法  ご自身の血液から、成長因子を豊富に含む血小板を濃縮した成分(PRP)を抽出します。そして、そのPRPを脱毛部に直接注射する再生医療です。ある研究で、PRP療法と5%ミノキシジル外用薬の効果を比較したところ、PRPを注射したグループの方がより早く、そして高い発毛効果を示したと報告されました。保険適用外の自由診療となりますが、新しい治療の選択肢として注目されています。

欧米の専門家コンセンサスから見る日本の治療との違い

国や地域の医療制度によって、円形脱毛症の標準的な治療法には少し違いがあります。 日本では一般的ではありませんが、海外では広く行われている治療法も存在します。

  • 局所免疫療法  SADBEやDPCPという化学物質を脱毛部に塗り、人工的に軽いかぶれ(接触皮膚炎)を起こす治療法です。この「かぶれ」に免疫細胞の注意を向けることで、毛根への攻撃を弱める効果を狙います。広範囲の脱毛症や、お子さんにも行われることがあります。

  • 光線(紫外線)療法  エキシマライトやナローバンドUVBといった特殊な紫外線を脱毛部に照射し、免疫の働きを調整する治療法です。痛みがなく、副作用が比較的少ないのが特徴です。

オーストラリアの専門家グループによる声明でも、円形脱毛症の治療法は多岐にわたるものの、最適な治療の進め方はまだ確立されていないという課題が指摘されています。 日本と海外での治療法の違いは、こうした背景や医療制度の違いによるものと考えられます。

年齢・重症度・病期で最適な治療を選ぶ「AA-cube」の考え方

円形脱毛症の治療法は、一つではありません。 そこで「日本皮膚科学会 円形脱毛症診療ガイドライン2024年版」では、「AA-cube」という考え方が導入されました。

これは、以下の3つの要素を組み合わせて、一人ひとりに最適な治療法を立体的に考えていくアプローチです。

  1. 年齢(Age)  お子さんと大人では、治療の安全性の観点から選択肢が異なります。例えば、ステロイド内服は成長への影響を考慮し、お子さんへの使用は慎重に判断されます。
  2. 重症度(Alopecia area)  脱毛の面積が頭部全体の25%未満か、それ以上かなどで重症度を判断し、治療の強さを決めます。
  3. 病期(Activity)  発症から6ヶ月以内の「急性期」か、それ以降の「慢性期」かで治療方針が変わります。急性期は脱毛の勢いを止める治療、慢性期は発毛を促す治療が中心になります。

例えば、「10歳のお子さんで、脱毛斑が1つ(重症度:低)の急性期」であれば、まずは安全性の高いステロイド外用薬から治療を開始します。

一方、「40代の成人で、脱毛が頭部全体の50%以上に広がっている(重症度:高)慢性期」であれば、JAK阻害薬などが選択肢として検討されます。

このように、「AA-cube」の考え方に基づき、専門医が患者さんの状態を総合的に判断して治療計画を立てていきます。


Q&A:ステロイド治療は副作用が心配です。

A: どのような治療にも副作用のリスクはありますが、ステロイド治療は使い方によってリスクを最小限に抑えることができます。外用薬や局所注射は全身への影響が少なく、内服薬も専門医が期間や量を厳密に管理します。心配な点は遠慮なく医師にご相談ください。


Q&A:どの治療法が一番早く治りますか?

A: 円形脱毛症の経過は個人差が大きく、「この治療なら必ず早く治る」と言えるものはありません。「AA-cube」の考え方に基づき、現在のあなたの状態に最も合っていると考えられる治療法を選択し、根気強く続けることが改善への一番の近道です。


当院では、形成外科専門医・美容外科専門医(JSAPS)である院長が、最新のガイドラインと科学的根拠に基づき、患者様一人ひとりの症状とご希望に合わせた最適な治療プランをご提案いたします。円形脱毛症でお悩みの方は、ぜひ一度当院へご相談ください。

まとめ

今回は、円形脱毛症の最新の原因と、JAK阻害薬をはじめとする多様な治療法について詳しく解説しました。

円形脱毛症は、単なるストレスだけでなく、免疫システムが誤って毛包を攻撃してしまう自己免疫疾患であることが科学的にわかっています。

しかし、治療法は大きく進歩しており、JAK阻害薬という新しい選択肢も加わりました。専門医は、年齢や症状の重さ、進行度(AA-cube)を総合的に判断し、あなたに最適な治療計画を提案します。

大切なのは、一人で抱え込まず、正しい情報をもとに専門家へ相談することです。「なぜ自分だけが…」と不安に思うかもしれませんが、適切な治療で改善する可能性は十分にあります。まずは皮膚科専門医に相談し、最適な治療への第一歩を踏み出しましょう。

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