名古屋市「新瑞橋」美容外科・美容皮膚科・形成外科・一般皮膚科

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傷跡はなぜ残る?仕組みから読み解く最新の傷跡治療と「炎症抑制」の重要性

鏡を見るたびに気になる、顔の傷跡。「この傷、きれいに治らないかも…」と、一人で悩んでいませんか?実は、傷跡が残るかどうかは運命ではなく、科学的なメカニズムに基づいています。なぜ口の中の傷は跡になりにくいのか?その鍵を握るのは「TGF-β」という体内の物質です。

この記事では、形成外科専門医の監修のもと、傷跡ができる仕組みを徹底解説。最新の研究が示す「炎症」をいかに早く抑えるかという重要性から、レーザー治療を始めるべき最適なタイミング、さらには再生医療を用いた先進的アプローチまで、傷跡を最小限にするための科学的根拠に基づいた知識と具体的な方法をご紹介します。諦める前に、ぜひご一読ください。

(この記事は、形成外科専門医・美容外科専門医(JSAPS)である当院院長が監修しています。)

なぜ顔の傷は跡になりやすいのか?瘢痕化の科学的メカニズム

顔にできてしまった傷は、他の体の部分の傷よりも気になりますよね。 「この傷、跡に残らずきれいに治るだろうか…」と鏡を見るたびに不安になる方も多いと思います。

実は、傷が治る過程そのものに、傷跡、すなわち「瘢痕(はんこん)」ができてしまう科学的な理由が隠されています。 この傷が治る仕組みを正しく理解することが、適切なケアを行い、きれいな肌を取り戻すための重要な第一歩となります。

なぜ顔の傷は跡になりやすいのか?瘢痕化の科学的メカニズム
なぜ顔の傷は跡になりやすいのか?瘢痕化の科学的メカニズム

瘢痕形成の鍵を握る「炎症反応」と「TGF-β」の役割

傷跡ができてしまう最も大きな原因の一つが、傷の直後に起こる「炎症反応」です。 これは体を細菌などから守るための正常な防御反応ですが、この炎症が長引いたり、強すぎたりすると、傷跡が目立ちやすくなるのです。

この炎症の過程で中心的な役割を果たすのが、「TGF-β(トランスフォーミング増殖因子ベータ)」という体内で作られるタンパク質です。 TGF-βは、傷を修復するためにコラーゲン線維を作るよう細胞に指令を出す重要な働きを持っています。 しかし、このTGF-βには性質の異なるいくつかの種類が存在します。

  • TGF-β1, TGF-β2  傷跡を硬く、目立たせる方向に強く働きます。  炎症が強いとこれらの働きが活発になり、コラーゲンが過剰に作られてしまいます。  その結果、硬く盛り上がった傷跡(肥厚性瘢痕やケロイド)の原因となることが研究でわかっています。
  • TGF-β3  逆に、コラーゲン線維を整然と並べるように促し、傷跡ができにくくなるように、きれいに治す方向に働きます。

つまり、きれいな治癒のためには、過剰な炎症を抑え、傷跡の原因となるTGF-β1やTGF-β2の働きをいかにコントロールするかが科学的な鍵となります。 このTGF-βの信号バランスを調整することは、現代の創傷治癒研究の核心であり、新しい治療薬開発のターゲットにもなっています。

傷が残りにくい口腔粘膜と皮膚の治癒プロセスの決定的違い

口の中をうっかり噛んでしまっても、皮膚のように傷跡として残ることはほとんどありません。 これには、口の中の粘膜と皮膚の治り方に、決定的な違いがあることが関係しています。

赤デュロック豚という動物モデルを用いた研究では、皮膚と口腔粘膜の傷の治り方を比較し、非常に興味深い事実が明らかになりました。

比較項目皮膚の傷口腔粘膜の傷
炎症反応長引きやすく、強い早く収まり、弱い
炎症細胞マクロファージ等が長く留まる早期に数が減少する
TGF-βの量傷跡の原因となるTGF-β1, β2が多い傷跡の原因となるTGF-β1, β2が少ない
治癒結果傷跡(瘢痕)が残りやすい傷跡がほとんど残らない

このように、口腔粘膜は炎症反応が素早く収束するため、瘢痕形成に関わるTGF-βの活動も低く抑えられます。 その結果として、きれいに治ることが科学的に示されています。 このことからも、皮膚の傷跡を最小限に抑えるためには「いかに炎症を早く鎮静化させるか」が極めて重要であると言えるのです。

胎児が無瘢痕で治癒する仕組みから学ぶ傷跡予防のヒント

実は、お母さんのお腹の中にいる胎児は、傷ができても跡を残さずに治癒する驚くべき能力を持っています。 これを「無瘢痕治癒」と呼び、私たちの傷跡治療の研究において大きなヒントを与えてくれています。

胎児が傷跡なしに治癒する理由は、成人の治癒プロセスと大きく異なる点にあります。

  • 極めて弱い炎症反応  胎児の体は、傷に対して過剰な炎症反応を起こしません。
  • 理想的な成長因子バランス  成人とは対照的に、傷跡の原因となる「TGF-β1」「TGF-β2」や「PDGF(血小板由来増殖因子)」の量が少ないのが特徴です。  一方で、傷をきれいに治す働きを持つ「TGF-β3」が豊富に存在します。

この胎児の理想的な治癒メカニズムを成人の傷治療に応用するため、世界中で研究が進められています。 実際に、この成長因子のバランスを人工的に調整する薬剤(TGF-β3製剤など)が開発され、人での臨床試験も行われています。 この仕組みから私たちが学べることは、傷跡を最小限にするためには、いかにして「炎症を抑え、治癒に最適な環境を保つか」が大切かという点です。

筋線維芽細胞の働きと創傷収縮(ひきつれ)の関係性

傷が治った後に、皮膚が引っ張られるような感覚や、見た目の「ひきつれ」が残ることがあります。 この現象は「創傷収縮」と呼ばれ、その主役となるのが「筋線維芽細胞」という特殊な細胞です。

傷ができると、傷を閉じるために線維芽細胞がこの筋線維芽細胞に変化します。 この細胞は筋肉のように収縮する性質を持ち、傷口の両端を力強く引き寄せることで、傷が早く閉じるのを助けてくれます。

  1. 傷ができる  創傷治癒プロセスが開始されます。
  2. 筋線維芽細胞の出現  傷を閉じるために登場し、収縮して傷口を引き寄せます。
  3. 創傷収縮  引き寄せる力が過剰に働くと、周囲の正常な皮膚まで引っ張り、ひきつれや変形、盛り上がりの原因となります。

適切な初期治療が行われなかったり、炎症が長引いたりすると、この筋線維芽細胞が過剰に活動し続け、硬いひきつれとなって残ってしまいます。 興味深いことに、口腔粘膜では筋線維芽細胞の数は多いにもかかわらず、皮膚のような強い創傷収縮は起こりにくいことが分かっています。 このことは、細胞の数だけでなく、その働きを制御する周囲の環境(細胞外マトリックス)が、ひきつれの発生に大きく関わっていることを示唆しています。


Q&Aコーナー

Q.できてしまった傷のひきつれは、もう治らないのでしょうか? A. 諦める必要はありません。ひきつれの程度や場所にもよりますが、状態を改善させるための様々な治療法があります。 例えば、ステロイドの局所注射で硬さを和らげたり、外科的な手術(Z形成術など)でひきつれの方向を変えたり、レーザー治療で皮膚の再生を促したりする方法が挙げられます。 ひきつれが気になり始めたら、自己判断で放置せず、できるだけ早く専門医にご相談いただくことが重要です。

顔の傷跡やひきつれは、見た目の問題だけでなく、精神的な負担にもつながります。 当院では、形成外科専門医・美容外科専門医(JSAPS)がお一人おひとりの傷の状態を丁寧に診察し、科学的根拠に基づいた最適な治療法をご提案いたします。 お悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

最新エビデンスに基づく「瘢痕を最小化する」創傷管理術

顔にできてしまった傷は、鏡を見るたびに気になり、つらい気持ちになりますよね。 現代の創傷治療は、ただ傷を治すだけでなく、「いかに傷跡(瘢痕)をきれいに、目立たなく治すか」という点に重きを置いています。

これには、科学的な根拠(エビデンス)に基づいた専門的な知識と技術が欠かせません。 かつての経験則だけに頼るのではなく、創傷治癒のメカニズムを深く理解し、適切なタイミングで最善の医療介入を行うことが、瘢痕を最小化する鍵となります。

最新エビデンスに基づく「瘢痕を最小化する」創傷管理術
最新エビデンスに基づく「瘢痕を最小化する」創傷管理術

創傷治癒の3段階|各フェーズで最適な医療的介入とは

傷が治っていく過程は、決して一直線ではありません。 大きく分けて3つの段階をたどり、それぞれの段階で適切なケアを行うことが、きれいな治癒につながります。

治癒段階主な目的期間の目安医療機関での主な介入
①炎症期出血を止め、細菌などを排除する受傷後~3日・適切な洗浄と止血
・適切なタイミングでの縫合(顔なら24時間以内が目安)
・感染予防のための抗菌薬投与
②増殖期新しい血管や皮膚のもと(肉芽組織)を作り、傷を埋める3日~3週間・湿潤環境を保つドレッシング材の選択
・肉芽形成を促進する外用薬の使用
③成熟期(リモデリング期)コラーゲン線維を再構築し、傷跡を安定させる3週間~1年以上・瘢痕の硬さや盛り上がりを抑える内服薬・外用薬
・テーピングやシリコーンジェルシートによる圧迫・保護
・必要に応じたレーザー治療や外科的修正

このように、傷は時間とともにその状態を刻々と変化させます。 そのため、その時々のフェーズに合わせた最適な治療を選ぶ必要があります。

特に、受傷後すぐの「炎症期」の対応は、その後の経過に大きく影響します。 日本形成外科学会のガイドラインでも、顔の傷は24時間以内に縫合することが望ましいとされています。 深い傷や汚れた傷は、自己判断で放置せず、お早めに形成外科など専門の医療機関を受診してください。

「炎症」をいかに早く鎮静化させるかが予後を左右する

傷ができた直後に起こる赤み、腫れ、熱、痛み。 これらは体を守るための正常な「炎症反応」ですが、この炎症こそが傷跡が残るかどうかの分かれ道となります。

炎症が長引いたり、過剰になったりすると、傷を治す細胞がコラーゲンを過剰に作り出してしまいます。 その結果、傷跡が硬く盛り上がったり(肥厚性瘢痕)、赤みがいつまでも続いたりするのです。 つまり、傷跡を最小限にするには、この炎症をいかに早く、そして適切に鎮静化させるかが極めて重要です。

  • ポイント1:適切な初期洗浄  砂や異物が入った場合は、速やかに十分な量の清潔な水で洗い流しましょう。  ガイドラインでも、管理された水道水での洗浄は許容されており、感染のリスクを減らす上で非常に重要です。  消毒薬の使いすぎは、かえって正常な細胞の働きを妨げることもあるため注意が必要です。

  • ポイント2:感染のコントロール  傷口の細菌感染は、炎症を悪化させる最大の要因です。  特に動物(特に猫やヒト)に噛まれた傷は感染リスクが非常に高いため、予防的な抗生物質の投与が有効とされています。

  • ポイント3:物理的刺激を避ける  傷口を頻繁に触ったり、かゆみで掻いてしまったりすると、炎症が長引く原因になります。  関節などよく動かす部位の傷は、テーピングなどで保護し、安静に保つことも大切です。

浅い傷だからと油断していると、不適切なケアで感染を起こし、炎症が深部に及んで目立つ傷跡につながる可能性があります。

創面環境調整(TIMEコンセプト)に基づくプロの創傷評価

私たち医師が傷の状態を診察する際には、「TIME」という国際的な評価基準を用いて、総合的に判断し、治療方針を決定しています。 これは、「Wound bed preparation(創面環境調整)」という、傷を治すために最適な環境を整えるための考え方です。

  • T (Tissue:組織)  傷口に、治癒を妨げる黒色や黄色の壊死組織がないかを確認します。  これらが存在すると治癒が遅れるため、丁寧に取り除く処置(デブリードマン)が必要です。

  • I (Infection/Inflammation:感染・炎症)  傷口が細菌に感染していないか、過剰な炎症が起きていないかを評価します。  赤み、腫れ、痛み、膿などの兆候があれば、抗菌薬などによる治療を行います。

  • M (Moisture:湿潤)  傷口の湿潤バランスを評価します。  傷から出る滲出液が多すぎると細菌の温床になり、逆に少なすぎると乾燥して細胞の働きが鈍くなります。  ドレッシング材を使い、最適な湿潤環境を保ちます。

  • E (Edge:創縁)  傷のふち(創縁)から皮膚が再生してくるため、その状態を観察します。  創縁の再生が滞っている場合は、その原因を探り、再生を促す治療を行います。

このTIMEコンセプトに基づき、一人ひとりの傷の状態を的確に評価し、計画的に治療を進めることが、スムーズで質の高い治癒につながるのです。

湿潤療法を成功させるドレッシング材の科学的選択基準

近年、傷の治療では「湿潤療法(モイストヒーリング)」が主流となっています。 これは、傷口をあえて乾燥させず、細胞が成長しやすい適度な湿潤環境を保つことで、治癒を促進し、痛みを和らげ、傷跡をきれいに治す方法です。

この湿潤療法を成功させるには、傷の状態に合った適切な「ドレッシング材」を科学的に選択することが極めて重要になります。

滲出液(傷からの液)の量傷の状態推奨されるドレッシング材の例
多い深い傷、炎症が強い傷吸収性の高い「アルギン酸塩」や「フォーム材」
中程度肉芽が盛り上がってきている傷適度な吸収力と保湿力を持つ「ハイドロコロイド」
少ない~なし浅い傷、治りかけの傷水分を補給し乾燥を防ぐ「ハイドロゲル」や薄い「フィルム材」

ここで最も注意すべきは、自己判断によるドレッシング材の使用です。 特に、感染を起こしている傷に、密閉性の高いドレッシング材を使用すると、内部で細菌が爆発的に増殖し、かえって状態を悪化させてしまう危険性があります。

ドレッシング材の選択は、TIMEコンセプトに基づく専門的な診断が不可欠です。 当院では、形成外科専門医が傷の状態を正確に診断し、最も適したドレッシング材の選択と処置を行いますので、安心してご相談ください。


Q&Aコーナー

Q. 市販のキズパワーパッドのような製品を使っても良いですか? A. 浅くてきれいな擦り傷などであれば、有効な場合があります。 しかし、深い傷、砂やガラス片などが入り込んだ汚れた傷、動物に噛まれた傷など、感染のリスクがある傷への使用は注意が必要です。 自己判断で使用すると、密閉された環境で細菌が増殖し、かえって傷を悪化させる危険性があります。 傷の状態がご自身で判断できない場合は、まず専門医にご相談いただくことを強くお勧めします。

再生医療が導く「傷跡を消す」ための先進治療戦略

顔にできてしまった傷跡は、鏡を見るたびに気持ちが沈んでしまう、とてもつらいお悩みだと思います。 これまでの治療法では限界があると感じていた方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、医療の進歩は目覚ましく、近年では傷跡が残る仕組みそのものにアプローチする先進的な治療戦略が次々と登場しています。 ここでは、再生医療の考え方を取り入れた、傷跡治療の未来について、科学的根拠に基づいてご紹介します。

再生医療が導く「傷跡を消す」ための先進治療戦略
再生医療が導く「傷跡を消す」ための先進治療戦略

瘢痕形成を根本から防ぐTGF-β3製剤(Juvista)の可能性

傷が治るとき、私たちの体はコラーゲン線維を作って傷口を埋めます。 しかし、このコラーゲンが過剰に、そして不規則に作られると「瘢痕」という硬い傷跡になってしまいます。

実は、お母さんのお腹の中にいる胎児は、傷ができてもの傷跡を残さずに治癒する力を持っています。 この「無瘢痕治癒」の仕組みに着目したのが、TGF-β3(トランスフォーミング増殖因子ベータ3)を用いた治療法です。

TGF-β3は、胎児の傷が跡形もなく治る過程で重要な働きをするタンパク質の一種です。 このTGF-β3を含む製剤(Juvista)を傷ができた直後に局所投与する研究が進んでいます。 これにより、瘢痕の原因となる過剰なコラーゲンの生成を抑え、皮膚が本来持つ正常な構造に近い形で再生するよう促します。 つまり、傷跡そのものができるのを根本から防ぐ効果が期待されているのです。

海外で行われたヒトでの臨床試験では、TGF-β3製剤(Juvista)の安全性が確認されています。 さらに、用量に応じて瘢痕形成を有意に減少させ、永続的に皮膚の構造を改善させる効果が示されました。 将来の傷跡予防治療として、大きな可能性を秘めたアプローチです。


Q&Aコーナー

Q. この治療はいつ受けるのが良いのですか? A. TGF-β3製剤は、傷ができた直後、縫合などの処置を行う際に使用することで、瘢痕化を防ぐ効果が期待されるものです。 すでにできてしまった古い傷跡を消すための治療ではありません。 詳しくは専門医にご相談ください。

フラクショナルCO2レーザーによる早期介入の最適なタイミング

できてしまった傷跡の治療には、フラクショナルCO2レーザーが有効な選択肢の一つです。 レーザーで皮膚に目に見えないほどの微細な穴をたくさん開け、肌が本来持つ再生能力を引き出し、新しい皮膚への入れ替えを促します。

従来は傷跡が固まってから治療を開始するのが一般的でした。 しかし最近の研究では、より早い段階で治療を始める「早期介入」の効果が注目されています。

顔の外傷性瘢痕を持つ患者さんを対象に行われたある研究では、レーザー治療を開始する時期を比較しました。

治療開始時期光干渉断層撮影法(OCT)による評価
(傷跡の深さや表皮の厚さ)
グループA:抜糸直後改善あり
グループB:抜糸2週間後最も有意な改善
グループC:抜糸4週間後改善あり

この結果から、早すぎず遅すぎない「抜糸後2週間」というタイミングで治療を始めることが、傷跡をよりきれいに治す上で最適な可能性があることが示唆されています。 当院では、傷の状態を正確に診断し、科学的根拠に基づいた最適な治療開始時期をご提案します。


Q&Aコーナー

Q. レーザー治療は痛いですか? A. 治療前には麻酔クリームを塗布するため、痛みは大幅に軽減されます。 チクチクとした軽い刺激を感じる程度の方がほとんどです。 痛みの感じ方には個人差がありますので、ご不安な方は遠慮なくご相談ください。

難治性のケロイド・肥厚性瘢痕に対する5-FU局所注射療法

傷跡の中でも、赤く盛り上がりが続き、時には傷の範囲を超えて広がってしまう「肥厚性瘢痕」や「ケロイド」。 これらは見た目の問題だけでなく、かゆみや痛みを伴うこともある治りにくい傷跡です。

このような難治性の傷跡に対して有効な選択肢の一つが、5-FU(5-フルオロウラシル)という薬剤を使った局所注射療法です。 5-FUは、瘢痕組織で過剰に増殖している線維芽細胞の働きを抑える作用があります。 これにより、傷跡の盛り上がりを平らにし、硬くなった組織を柔らかくする効果が期待できます。

多くの研究を統合・分析した報告(メタ分析)でも、5-FU注射が顔面の肥厚性瘢痕やケロイドの大きさ、赤みを改善し、安全性の高い治療法であることが示されています。 通常、ステロイド注射など他の治療と組み合わせて行うことで、副作用を抑えながらより高い効果を目指します。 諦めていた傷跡も、改善の可能性がありますので、ぜひ一度当院にご相談ください。


Q&Aコーナー

Q. 注射の治療はどのくらいの頻度で必要ですか? A. 傷跡の状態によりますが、一般的には2〜4週間に1回の間隔で、数回程度の治療が必要となることが多いです。 治療の経過を見ながら、最適な間隔を医師が判断します。

ビタミンC・E・フェルラ酸がレーザー後の皮膚再生を加速させる仕組み

レーザー治療後の肌は、効果を最大限に引き出すための「ゴールデンタイム」とも言える重要な時期です。 この期間に適切なアフターケアを行うことで、ダウンタイムを短縮し、より美しい仕上がりを目指せます。

特に注目されているのが、ビタミンC、ビタミンE、フェルラ酸という3つの抗酸化成分を組み合わせたスキンケアです。 ある研究では、フラクショナルCO2レーザー治療後の肌の片側にこれらの成分を含む美容液を使用し、もう片側と比較しました。

  • 創傷治癒の促進  美容液を塗った側は、かさぶたが剥がれるのが早まりました。
  • 赤み・色素沈着の軽減  炎症後の赤みやシミが有意に少なくなりました。
  • 皮膚バリア機能の改善  皮膚の水分が保たれ、乾燥を防ぐ能力が向上しました。

これは、3つの成分が持つそれぞれの力が、相乗効果を発揮するためです。

  • ビタミンC  コラーゲンの生成を助け、メラニンの生成を抑えます。
  • ビタミンE  強い抗酸化力で細胞をダメージから保護します。
  • フェルラ酸  ビタミンCとEの働きを高め、安定させる作用があります。

これらの成分が、レーザーによって受けたダメージからの回復を力強く後押ししてくれるのです。 当院では、治療効果を高めるためのスキンケアについても、専門的な立場からアドバイスを行っています。


Q&Aコーナー

Q. 市販のビタミンC美容液でも良いですか? A. 市販の製品にも良いものはありますが、レーザー後のデリケートな肌には、医療機関で扱っているような高濃度で浸透性が高く、刺激の少ない製品が推奨されます。 製品選びに迷われた際は、専門医にご相談ください。

まとめ

今回は、顔の傷が跡になる科学的な仕組みから、最新の治療法までを詳しく解説しました。

傷跡をできるだけきれいに治すための鍵は、受傷直後に起こる「炎症」をいかに早く鎮静化させるか、そして傷の治癒段階に合わせた専門的なケアを行うかにかかっています。 かつては諦めるしかなかった傷跡も、レーザー治療や再生医療の考え方を取り入れた先進治療により、改善が期待できるようになりました。

大切なのは、自己判断で間違ったケアをしてしまう前に、できるだけ早く専門医へ相談することです。 お一人で悩まず、まずは私たち専門家にお気軽にご相談ください。科学的根拠に基づき、あなたの傷の状態に合わせた最適な治療法をご提案します。

参考文献

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  5. 創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン(2023)-1 創傷一般(第 3 版)
  6. 形成外科診療ガイドライン 2 急性創傷/瘢痕ケロイド

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