名古屋市「新瑞橋」美容外科・美容皮膚科・形成外科・一般皮膚科

ブログ
Blog

大人と子どもの体表面積を年齢別・部位別に図解|計算と目安

「抗がん剤の投与量」や「やけどの重症度」が、実は体重ではなく「体の面積」で決まることをご存知ですか? この「体表面積(BSA)」は、医療現場で命を左右するほど重要な指標です。特に、乳幼児は頭部の割合が成人の倍以上(19%)を占めるため、同じやけどでも大人より重症と判断されることがあります。

普段は馴染みのない言葉かもしれませんが、薬の効果を最大限に引き出し、もしもの時の適切な判断に繋がる大切な知識です。この記事では、大人と子どもの違いから具体的な計算方法、緊急時の対処法まで、あなたと家族の健康を守る「体表面積」の全てを図を交えて分かりやすく解説します。

【図解】体表面積(BSA)とは?大人と子供の違いと計算の基本

「体表面積」という言葉を聞いたことはありますか。文字通り、体の表面すべての面積を合計したもので、医療現場では「BSA(Body Surface Area)」と呼ばれています。

普段の生活ではあまり馴染みがないかもしれません。しかし、薬の量を決めたり、やけどの重症度を判断したりする際に、非常に重要な指標として使われています。

体の大きさだけでなく、代謝の状態を客観的に把握できるためです。特に、成長段階にある子どもと大人とでは体のバランスが大きく異なるため、体表面積の考え方も変わってきます。

ここでは、体表面積の基本的な知識から、なぜ医療で大切なのか、大人と子どもでどう違うのかについて、図も交えながら分かりやすく解説します。

体表面積(BSA)が医療で重要な3つの理由

体表面積が、なぜこれほど医療の現場で重視されるのでしょうか。それには、主に3つの理由があります。これらを知ることで、医師がなぜ身長や体重を細かく確認するのか、その背景をより深く理解できるはずです。

  1. 薬の量を一人ひとりに合わせて正確に決めるため

    • 薬の量は、単純に体重だけで決められるわけではありません。特に、抗がん剤のような効果と副作用のバランスが非常に大切な薬では、体の代謝機能と関連の深い体表面積を用いて投与量を計算します(単位:mg/m²)。これにより、患者さん一人ひとりの体格に合わせた、より安全で効果的な治療が可能になるのです。
    • 小児の化学療法においても、正確な体表面積の推定は欠かせません。しかし、身長と体重の両方を正確に測るのが難しい場合もあり、体重だけから体表面積を推定する方法も研究されています。
  2. やけど(熱傷)の範囲と重症度を客観的に判断するため

    • やけどを負った際、その重症度は深さだけでなく「どれくらいの範囲に及んでいるか」が極めて重要です。この範囲を示すのに使われるのが、体表面積に対するやけど部分の割合(%BSA)です。
    • 例えば、「体表面積の10%に熱傷」というように表現します。この数値は、点滴で補うべき水分量(輸液量)を計算したり、入院治療や専門施設への転送が必要かを判断したりするための、大切な基準となります。
  3. 体の状態を総合的に評価し治療方針を立てるため

    • 体表面積は、薬の量やけどの範囲を測るだけではありません。生命維持に必要な最小限のエネルギーである「基礎代謝量」や、心臓が全身に送り出す血液の量を示す「心拍出量」などを評価する指標としても利用されます。
    • 体の大きさや代謝の状態を客観的な数値として把握できます。そのため、患者さんの栄養状態を評価したり、必要な水分量を推定したりするなど、さまざまな治療方針の決定に役立てられています。

なぜ違う?大人と子供の体の部位別割合の変化をイラスト解説

大人と子どもでは、身長や体重だけでなく、体の各部位が全体に占めるバランスも大きく異なります。特に、乳幼児は頭が大きく、手足が短いという特徴があります。この体型の違いが、体表面積の部位別割合の違いに直結します。

子どもは成長に伴って頭身のバランスが変化し、徐々に大人の体型に近づきます。そのため、特にやけどの範囲を評価する際には、年齢に応じた基準を用いる必要があるのです。

部位乳児(1歳)の割合成人の割合成人男性(BSA 1.74m²)の面積の目安
頭・首19%9%顔だけで約783 cm²
体幹(前面)18%18%腹部だけで約1,566 cm²
体幹(後面)18%18%背部だけで約1,566 cm²
腕(片方)9%9%約783 cm²
足(片方)13.5%18%約1,566 cm²

この表から、乳幼児は頭部の割合が成人の倍以上を占めることがわかります。逆に、足の割合は成人と比べて小さいです。

つまり、同じ「顔のやけど」でも、乳児にとっては体全体から見るとより広い範囲を占めることになり、重症度が高く判断されることがあります。

身長と体重で計算する代表的な計算式(Du Bois式・藤本式・Mosteller式)

体表面積は、専用の機械で測定するわけではありません。身長と体重をもとに計算式で算出するのが一般的です。世界中でさまざまな計算式が考案されていますが、ここでは代表的な3つの式を紹介します。

計算式特徴
Du Bois(デュボア)式世界で最も広く使われている標準的な計算式です。しかし、肥満体型の方の場合、実際の体表面積よりも少し小さい値が出る傾向が研究で指摘されています。ある研究では、肥満の男性で最大3%、女性で最大5%も過小評価する可能性が示されました。
藤本式日本人のデータをもとに作られた計算式です。特に日本の子供の体表面積をより正確に計算する目的で、臨床現場で参考にされることがあります。
Mosteller(モステラー)式計算式が非常にシンプルで覚えやすいのが特徴です。その簡便さと実用性の高さから、多くの臨床場面で推奨されています。

これらの計算式は非常に高い精度を持っていますが、もとになったデータの人種によって最適な式が異なる可能性も研究で示唆されています。例えば、サウジアラビア人男性の体表面積をより正確に予測する独自の計算式が開発された例もあります。

医師はこれらの特徴を理解した上で、患者さん一人ひとりの年齢、体格、人種などを考慮し、最も適切と考えられる方法で評価しています。

【自動計算ツール】身長と体重を入力するだけですぐわかる

「計算式は複雑でよくわからない」と感じる方も多いでしょう。ご自身の体表面積の目安を知りたい場合は、インターネット上の自動計算ツールを利用するのが便利です。身長と体重の数値を入力するだけで、すぐに結果を知ることができます。

【あなたの体表面積を計算してみましょう】

  • 身長: [  ] cm
  • 体重: [  ] kg
  • [計算する]

(※ここに実際の計算ツールが設置されていると仮定してください)

このようなツールは、ご自身やご家族の体表面積がどのくらいなのかを手軽に把握するのに役立ちます。ただし、算出された数値はあくまで一般的な目安です。

特に、以下のようなケースでは、計算結果と実際の値に差が出やすいため注意が必要です。

  • 体重10kg未満の乳幼児
  • 標準的な体型から大きく外れる方(肥満や、るいそう(極端なやせ))

薬の量の決定など、正確な数値が必要な医療行為については、算出された数値を自己判断で用いることは絶対に避けてください。必ず医師の専門的な診察と判断に従いましょう。

やけど(熱傷)の範囲は?受診の目安と家庭でできる応急処置

ご自身やご家族、特に小さなお子さんがやけどをしてしまうと、誰もが動揺するものです。「どうしよう」「すぐに病院に行くべき?」と、頭が真っ白になるかもしれません。

しかし、そんな時こそ冷静な対応が求められます。やけどは、その後の応急処置が回復を大きく左右することが少なくないからです。正しい知識を持つことが、適切な判断と治療につながります。

ここでは、ご家庭でやけどの範囲を把握するための目安や、いざという時の応急処置について、現場の医師の視点から分かりやすく解説します。

【年齢別】やけどの範囲を計算する法則(9の法則・5の法則・手掌法)

やけどの治療方針、特に入院が必要か、どれくらいの水分補給(点滴)が必要かを判断する上で、体表面積のうちどのくらいの範囲に及んでいるか(熱傷面積:%BSA)を把握することが非常に重要です。

救急の現場などでは、迅速に範囲を推定するために、いくつかの法則が用いられます。ただし、これらはあくまで目安です。実は、医療従事者でさえ計算ミスを起こしやすいという研究報告もあり、従来の方法は評価する人によってばらつきが出やすいという課題も指摘されています。

正確な判断は必ず医師に委ねる必要がありますが、ご家庭での受診の目安として知っておくと役立ちます。

【大人の場合】9の法則  - 成人の体を部位ごとに分け、それぞれが体表面積の約9%(またはその倍数)を占めるとして計算する方法です。

部位割合日本人成人男性(BSA 1.74m²)の場合の面積(目安)
頭・顔・首9%顔だけで約783 cm²、全体で約1,566 cm²
片腕(全体)9%約1,566 cm²
体の前面18%腹部だけで約1,566 cm²、全体で約3,132 cm²
体の背面18%背部だけで約1,566 cm²、全体で約3,132 cm²
片足(全体)18%約3,132 cm²
陰部1%約174 cm²

【お子さんの場合】5の法則  - お子さんは大人と比べて頭の割合が大きいため、異なる法則を用います。乳児の場合はさらに頭部の割合が高くなります。

部位割合
頭・顔・首20%
片腕10%
体の前面・背面各15%(合計30%)
片足15%

【小さな範囲の場合】手掌法(しゅしょうほう)  - 範囲が狭いやけどの場合に便利な方法です。**患者さん本人の手のひら(指を含めた大きさ)**を、体表面積の約1%とみなして計算します。例えば、手のひら3枚分のやけどであれば、約3%と推定できます。

何%から危険?緊急受診が必要なやけどの範囲と重症度の目安

やけどの危険度は、「範囲(面積)」だけでなく「深さ(重症度)」によっても決まります。たとえ範囲が狭くても、深いやけどは緊急の治療が必要です。

【やけどの深さ(重症度)の目安】 やけどの深さは、皮膚のどの層までダメージが及んでいるかで分類されます。

度数ダメージの深さ見た目・症状の特徴
Ⅰ度皮膚の浅い部分(表皮)まで・皮膚が赤くなり、ヒリヒリと痛みます。
・日焼けと同じような状態です。数日で跡なく治ることが多いです。
Ⅱ度少し深い部分(真皮)まで・水ぶくれ(水疱)ができ、強い痛みや灼熱感を伴います。
・跡が残る可能性があります。
Ⅲ度皮膚の奥深く(皮下組織)まで・皮膚が白や黒っぽく硬くなり、革のようになります。
・神経も損傷するため、痛みを感じないこともあります。極めて危険な状態です。

【チェックリスト】すぐに病院を受診すべきやけど 以下のいずれか一つでも当てはまる場合は、自己判断せず、すぐに医療機関(皮膚科、形成外科、救急外来)を受診してください。

<大人の場合>

  • Ⅱ度のやけどが体表面積の10%以上(手のひら10枚分以上)
  • Ⅲ度のやけどがある(範囲が狭くても)
  • 顔、手、足、関節、陰部のやけど(機能や見た目に影響しやすいため)
  • 煙を吸い込んだ可能性のあるやけど(気道熱傷のおそれ)
  • 化学薬品や電気によるやけど
  • 糖尿病や免疫不全などの持病がある方

<子供の場合>

  • Ⅱ度のやけどが体表面積の5%以上(手のひら5枚分以上)
  • その他、大人と同様の条件すべて
  • 乳幼児は重症化しやすいため、範囲が狭いと感じても受診をおすすめします。

子供がやけどをした時に絶対やるべき応急処置とやってはいけないこと

お子さんがやけどをした際は、保護者の方がパニックにならず、まずは落ち着いて応急処置を行いましょう。迅速で正しい初期対応が、その後の回復に大きく影響します。

【やるべき応急処置】3つのステップ

  1. すぐに冷やす(最重要)

    • 水道水などの清潔な流水で、やけどの部分を15分~30分ほど冷やし続けます。これにより痛みを和らげ、熱が皮膚の奥深くに広がるのを防ぎます。
    • 衣服の上から熱湯がかかった場合は、無理に脱がさず、衣服の上から冷やしてください。無理に脱がすと皮膚が一緒に剥がれてしまう危険があります。
  2. やさしく保護する

    • 十分に冷やしたら、清潔なガーゼやタオル、もしなければラップなどでやけどの部分を軽く覆います。患部を乾燥や刺激から守り、細菌の感染を防ぐことが目的です。
  3. 病院を受診する

    • 応急処置が終わったら、速やかに医療機関を受診しましょう。

【絶対にやってはいけないこと】

  • 水ぶくれを潰す
    • 水ぶくれは、傷を保護する天然の絆創膏の役割をしています。潰すと細菌が入り、感染の原因になります。
  • 氷や保冷剤を直接あてる
    • 冷やしすぎて凍傷を起こしたり、血流を悪化させたりする危険があります。必ずタオルなどで包んで使いましょう。
  • 軟膏や消毒液を自己判断で塗る
    • 薬の種類によっては、かえって傷の治りを妨げたり、医師の診察の妨げになったりすることがあります。
  • アロエや味噌などを塗る
    • 民間療法は科学的根拠がなく、感染のリスクを著しく高めるため、絶対に行わないでください。

医師に正確に伝えるための症状の記録・写真撮影のポイント

やけどの範囲や深さの評価は、専門の医師でも判断が難しい場合があります。特に受診までに時間が経つと、症状は刻々と変化します。そのため、患者さんやご家族からの正確な情報が、適切な診断と治療に不可欠です。

最近ではスマートフォンのアプリでやけどの範囲を推定する技術も研究されていますが、現時点では、受傷時の状況を正確に伝えていただくことが最も重要です。

【受診時に医師に伝えるべき情報メモ】 以下の点をメモしておくと、診察がスムーズに進みます。

  • いつ:やけどをした正確な日時
  • どこで:自宅のキッチン、キャンプ場など
  • 何が原因で:熱湯、ストーブ、アイロン、油、化学薬品など
  • どんな状況で:お湯がはねた、ストーブに触れたなど
  • 応急処置の内容:何で(水道水など)、何分間冷やしたか
  • 持病やアレルギー:普段飲んでいる薬の情報も重要です

【写真撮影のポイント】 言葉だけでは伝わりにくい皮膚の状態は、写真に残しておくと非常に役立ちます。

  • 明るい場所で撮る
    • 影が入らないように、部屋を明るくして撮影しましょう。
  • 全体と部分を撮る
    • やけどの範囲が分かるように少し離れた写真と、皮膚の状態(赤み、水ぶくれなど)が分かるように近づいた写真の両方を撮りましょう。
  • 大きさが分かる工夫をする
    • 定規などをやけどの隣に置いて撮影すると、大きさが客観的に伝わりやすくなります。
  • 定期的に撮る
    • 時間の経過とともに症状がどう変化したかを記録しておくと、診断の大きな助けになります。

薬の量から皮膚トラブルまで|体表面積にまつわる疑問と不安を解消

体表面積は、やけどの範囲を測るだけでなく、医療のさまざまな場面で重要な「ものさし」として使われます。特に、薬の量を決めたり、皮膚の病気の重症度を客観的に評価したりする際には欠かせません。

身長と体重から計算される面積が、なぜ薬の効き目や病状の評価に関わるのでしょうか。ここでは、体表面積が実際の医療現場でどのように活用されているのかを具体的に解説し、治療に関するさまざまな疑問や不安を解消していきます。

抗がん剤や塗り薬の量が体表面積で決まる仕組み

薬の量を決める際、単純に体重だけで計算すると、同じ体重でも筋肉質な方と脂肪が多い方とでは、薬の効き方や副作用の出方が変わることがあります。これは、体の代謝機能、つまり薬を分解して体の外へ排出する能力が、体格によって異なるためです。

そこで、より個人の代謝能力を正確に反映する指標として「体表面積」が用いられます。

  • 抗がん剤の投与量

    • 多くの抗がん剤は、その投与量が「体表面積1m²あたり何mg」という形で厳密に決められています。体表面積は、体の基本的なエネルギー消費量や血流量と深い関係があるとされ、薬の効き方や副作用の強さを予測する上で、体重よりも優れた指標と考えられているためです。
    • しかし、近年の研究では、体表面積だけを基準にした従来の投与法では、患者さんによっては副作用が強く出過ぎたり、逆に効果が不十分だったりする可能性が指摘されています。乳がん治療薬の研究では、従来の投与法で有害事象が多く発生しやすいという報告もあります。
    • そこで、より安全で効果的な治療を目指し、血液中の薬の濃度を直接測定しながら投与量を微調整する「治療薬物モニタリング(TDM)」という個別化アプローチが注目されています。これにより、一人ひとりの体質に合わせた、最適な治療が期待されています。
  • 塗り薬(外用薬)の適量

    • 塗り薬の場合も、塗る範囲と量が非常に重要です。医師が「チューブから人差し指の第一関節までの長さ(約0.5g)を出して、手のひら2枚分の範囲に塗ってください」と具体的に説明することがあります。
    • これは、「フィンガーチップユニット(FTU)」という考え方で、手のひら(手掌)が体表面積の約1%にあたることを利用した目安です。適切な量を塗ることで、薬の効果を最大限に引き出し、副作用のリスクを抑えることができます。

アトピー性皮膚炎など皮膚疾患の重症度判定における役割

アトピー性皮膚炎のように、症状が広範囲に及ぶ可能性がある皮膚の病気では、湿疹がどのくらいの範囲に広がっているかが重症度を判断する上で重要な手がかりになります。その範囲を客観的に評価するためにも、体表面積が用いられます。

最もよく使われるのが「手掌法(しゅしょうほう)」です。これは、患者さんご自身の手のひら(指の部分も含む)の大きさを、体表面積全体の約1%とみなす方法です。例えば、手のひら5枚分の範囲に湿疹があれば、「体表面積の約5%に症状がある」と評価できます。

この客観的な評価は、以下のような目的で非常に重要です。

  • 治療効果の判定(薬によって症状の範囲がどれくらい改善したか)
  • 新しい治療薬(生物学的製剤など)の使用を検討する際の基準
  • 公的な医療費助成制度の申請

日本人成人男性の平均的な体表面積は約1.74m²(17,400 cm²)です。これを基に、体の各部分のおおよその面積を知っておくと、ご自身の症状の広がりをイメージしやすくなります。

部位割合の目安面積の目安(cm²)
約4.5%約783 cm²
腕(片方)約9%約1,566 cm²
腹部(前面)約9%約1,566 cm²
背部(後面)約9%約1,566 cm²
足(片方)約18%約3,132 cm²

医師から「体表面積の〇%に湿疹があります」と説明された際は、この表を目安にすると、ご自身の状態をより深く理解する助けになるでしょう。

子供のやけど、跡にならない?後遺症への不安と心のケア

お子さんがやけどを負った時、「この傷跡はきれいに治るだろうか」「将来、体に跡が残ってしまったらどうしよう」と、保護者の方が強い不安を感じるのは当然のことです。

やけどの跡が残るかどうかは、主に以下の3つの要因によって左右されます。

  • やけどの深さ(重症度)
    • 皮膚の表面(表皮)だけが赤くなる浅いやけど(I度)は、跡を残さずきれいに治ることがほとんどです。しかし、水ぶくれができるII度や、皮膚の奥深くまでダメージが及ぶIII度のやけどは、跡(瘢痕)が残りやすくなります。
  • やけどの範囲
    • やけどの範囲が広いほど、治癒に時間がかかり、皮膚のひきつれ(瘢痕拘縮)や盛り上がった跡(肥厚性瘢痕、ケロイド)が残りやすくなる傾向があります。
  • 感染の有無
    • 傷口から細菌が入り感染を起こすと、炎症が長引き、治りが遅くなります。その結果、跡が残りやすくなるため、適切な応急処置と清潔を保つ治療が非常に重要です。

やけどは痛みだけでなく、見た目の変化がお子さん自身の心に大きな負担をかけることもあります。治療中は、お子さんの不安や恐怖に寄り添い、気持ちを言葉にできるような関わりが大切です。

また、保護者の方もご自身を責めすぎないでください。心配なことは一人で抱え込まず、医師や看護師に遠慮なく相談しましょう。医療機関によっては、心のケアを専門とする臨床心理士や、生活全般の相談に乗ってくれる医療ソーシャルワーカーがいます。専門家の力を借りることも、お子さんとご家族にとって大きな支えになります。

治療費が心配な方へ|利用できる公的支援制度(高額療養費・小児医療費助成)

やけどや皮膚疾患の治療が長引いたり、入院や手術が必要になったりすると、治療費の負担が心配になるかもしれません。しかし、日本には医療費の負担を軽減するための公的な制度がありますので、ぜひ知っておいてください。

1. 高額療養費制度  - 同じ月に支払った医療費の自己負担額が、所得や年齢に応じて定められた上限額を超えた場合に、その超えた金額が後から払い戻される制度です。  - ポイント   – 入院などで医療費が高額になることが事前にわかっている場合は、「限度額適用認定証」を申請しておきましょう。これを医療機関の窓口で提示すれば、支払いを自己負担の上限額までにとどめることができ、一時的な大きな出費を避けられます。

2. 小児医療費助成制度  - お住まいの市区町村が、お子さんの医療費の自己負担分を助成してくれる制度です。  - ポイント   – 対象となる年齢(中学生まで、高校生までなど)や助成内容、所得制限の有無は自治体によって異なります。「子ども医療費受給者証」などを健康保険証と一緒に医療機関の窓口で提示することで、助成が受けられます。

これらの制度について、詳しい手続きやご自身が対象になるかどうかは、病院の相談窓口(医療連携室など)や医療ソーシャルワーカー、ご加入の健康保険組合、お住まいの市区町村の役所の担当窓口などで確認できます。経済的な心配事も、治療に専念するための大切な課題です。ひとりで抱え込まずにぜひ専門家へ相談してみてください。

まとめ

今回は、大人と子どもの体表面積について、計算方法から医療現場での重要性まで詳しく解説しました。

体表面積(BSA)は、薬の量を正確に決めたり、やけどの重症度を客観的に判断したりするための、非常に大切な「ものさし」です。特に、成長段階にあるお子さんは大人と体のバランスが違うため、年齢に応じた知識が重要になります。

もしもの時に備え、やけどの応急処置や受診の目安を知っておくことは、あなたと大切なご家族を守ることに繋がります。この記事で紹介した知識を参考に、いざという時は落ち着いて行動し、判断に迷ったときはすぐに医療機関を受診しましょう。自己判断せず専門家へ相談することが、適切な治療への第一歩です。

参考文献

  1. Zaloszyc A, Schaefer B, Bartosova Medvid M, Edefonti A, Testa S, Paglialonga F, Shroff R, Doutey A, Walle JV, Lavaux T, Glady L, Delanghe J, Oyaert M, Friebus L, Damgov I, Fischbach M and Schmitt CP. “Randomized cross-over comparison of double mini-PET with standard versus adapted dwell volumes and dwell times in children on chronic peritoneal dialysis.” Pediatric nephrology (Berlin, Germany) 41, no. 3 (2026): 809-818.
  2. Woods A, Tan P, Mertz T and Lewis CJ. “Advancements in burn size assessment: A systematic review of emerging technologies.” Burns : journal of the International Society for Burn Injuries 52, no. 1 (2026): 107782.
  3. Liu YM, Huang W, Tang YZ, Zhang H, Qin SY, Zhang J, Fan JW, Ouyang RZ, Yang HO and Zhang XQ. “Individualized dosing strategies in breast cancer chemotherapy: Evidence for therapeutic drug monitoring-guided docetaxel treatment.” European journal of pharmaceutical sciences : official journal of the European Federation for Pharmaceutical Sciences 217, no. (2026): 107407

このブログをSNSでシェアする!
Dr.ゴノに直接質問
LINEオープンチャット