名古屋市「新瑞橋」美容外科・美容皮膚科・形成外科・一般皮膚科

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FTUでわかる!軟膏の大人・子ども別使用量

「軟膏を適量塗ってください」と医師に言われたものの、その量が分からず不安に感じたり、「薄く塗って」という薬剤師の言葉を信じて、かえって効果が実感できなかったりした経験はありませんか?良かれと思っていたその塗り方が、実は症状を長引かせている原因かもしれません。

実際、日本の研究ではアトピー性皮膚炎の患者さんのおよそ3人に1人が、必要な量の薬を塗れていないという衝撃的な事実が明らかになっています。これでは、どんなに良い薬を使っていても十分な効果は期待できません。

この記事では、誰でも簡単・正確に「適量」がわかる世界共通の”ものさし”、「FTU(フィンガーティップユニット)」を徹底解説します。正しい知識を身につけ、塗り薬の効果を最大限に引き出しましょう。

FTUの医学的根拠と国際的な定義

「軟膏を適量塗ってください」と医師に言われても、その「適量」がどれくらいなのか分からず、不安に感じたことはありませんか?

塗り薬の効果を最大限に引き出すには、正しい量を塗ることがとても大切です。その世界共通の”ものさし”となるのが「FTU(フィンガーティップユニット)」です。

これは、塗り薬の量を指先で測る方法で、誰でも簡単・正確に「適量」を知ることができます。ここでは、FTUの医学的な背景と、世界でどのように使われているかについて詳しく解説します。

FTUを提唱した原著論文に学ぶ「1FTU=約0.5g」の根拠

FTUという考え方は、1991年に英国の皮膚科医であるLong医師とFinlay医師によって提唱されました。

彼らは、多くの患者さんが医師の指示通りに軟膏を塗れていない現状を問題視しました。そこで、誰にでも分かりやすい量の基準を作るための研究を行ったのです。

その結果、FTUは以下のように定義されました。

  • 定義  大人の人差し指の先端から、指先の第一関節のしわの部分まで、チューブから軟膏を乗せた量
  • 重さ  約0.5g

実際に複数の成人男女で測定した研究では、1FTUの重さは男性で平均0.49g、女性で平均0.43gという結果でした。男女差はごくわずかであるため、一般的に「1FTU=約0.5g」と覚えておくと非常に便利です。

この客観的な指標ができたことで、塗りすぎによる副作用のリスクを減らせます。また、塗る量が少なすぎて効果が出ないという事態も防ぐことができます。科学的な根拠に基づいたこの基準は、皮膚治療の質を大きく向上させました。

1FTUで塗れる面積の目安と男女で異なる身体への適用量

では、1FTU(約0.5g)でどれくらいの面積に塗るのが適切なのでしょうか。

最も覚えやすい目安は「大人の手のひら2枚分の面積」です。これは体表面積の約2%に相当します。ご自身の片方の手の、指も含めた手のひら全体を思い浮かべてください。その2枚分が、1FTUでカバーするのにちょうど良い広さとなります。

より詳しく見ると、原著論文では1FTUで塗れる面積に男女差があることも示されています。

  • 男性  平均312平方センチメートル
  • 女性  平均257平方センチメートル

この差は主に体格の違いによるものですが、実用上は「手のひら2枚分」と覚えておけば問題ありません。

日本皮膚科学会が策定した「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2024」でも、外用薬を適切な量、適切な範囲に塗ることが治療の基本とされています。このFTUの知識は、質の高い治療を実践するために不可欠です。

体の部位必要なFTUの目安(成人)
顔と首2.5 FTU
片腕(手を含む)3 FTU
片方の手1 FTU
体の前面(お腹と胸)7 FTU
背中(お尻を含む)7 FTU
片足(足を含む)6 FTU
片方の足2 FTU

なぜ「人差し指」が基準なのか?チューブの口径との関係性

「なぜ中指や親指ではなく、人差し指なのですか?」と疑問に思う方もいるかもしれません。

人差し指が選ばれた理由は、誰の指でも太さに大きな個人差が少ないためです。そのため、世界中の人が共通で使える「ものさし」として最適だったのです。

しかし、FTUを正しく実践する上で、指と同じくらい重要なのが「薬のチューブの口径(口の広さ)」です。FTUの定義は、口径5mmのチューブから軟膏を出した場合を基準としています。

  • 口径5mmのチューブ  人差し指の第一関節まで出すと約0.5gになります。
  • 口径が5mmより細いチューブ  同じ長さだけ出しても、量が0.5gより少なくなります。
  • 口径が5mmより太いチューブ  同じ長さだけ出すと、量が0.5gより多くなります。

日本の医療機関で処方される軟膏チューブの中には、5gチューブなど口径が小さいものもあります。ご自身の使っているチューブの口が細い場合は、意識して少し長めに出すといった調整が必要です。

世界の皮膚科診療で活用されるFTUの標準的な考え方

FTUは、提唱された英国だけでなく、今や世界中の皮膚科診療で活用されるグローバルスタンダードな考え方です。

例えば、米国や欧州のアトピー性皮膚炎や乾癬(かんせん)の診療ガイドラインでは、患者さんへの塗り薬の指導にFTUを用いることが明確に推奨されています。

  • 英国・ポーランド  患者さん向けの説明資料に、イラスト付きでFTUを記載することを推奨しています。
  • 米国  子どものアトピー性皮膚炎治療において、保護者とのコミュニケーションツールとしてFTUの使用を推奨しています。
  • 欧州  アトピー性湿疹の治療では、FTUのルールに従って薬を塗ることを推奨しています。

このようにFTUが世界で広く採用されているのは、医師や薬剤師と患者さんとの間で「適量」の認識を共有できるからです。これにより、治療効果を高めるための非常に有効な方法となります。

言葉で「薄く塗って」と伝えるよりも、「この範囲に2FTU塗ってください」と伝える方が、はるかに正確で誤解がありません。FTUは、患者さんが安心して治療に取り組むための、世界共通のコミュニケーションツールなのです。


【監修:Re:Birth Clinic Nagoya院長 河之口 大輔(形成外科専門医・美容外科専門医(JSAPS))】

よくあるご質問(Q&A)

Q. 子どもに塗る場合も、大人の人差し指でFTUを測って良いのですか? A. はい、基準となるのは「大人の人差し指」で問題ありません。お子さんに塗る場合でも、保護者の方の人差し指で量を測ってください。

ただし、子どもの体は小さいため、塗る面積に応じて量を調整する必要があります。例えば、大人の手のひら2枚分より狭い範囲であれば、1FTUよりも少なく塗ります。年齢や月齢別の詳しい使用量については後の章で解説しますが、ご不明な点は医師や薬剤師にご確認ください。

Q. 軟膏とクリームでFTUの考え方は変わりますか? A. 基本的には変わりません。FTUは軟膏やクリームといった半固形の外用薬全般に使える指標です。

ただし、ローションなど液体の薬には適用できませんのでご注意ください。ローションの場合は、1円玉大の大きさを目安に手に取り、手のひら2枚分の範囲に塗るのが一般的です。

ご自身の症状や薬の種類に合わせた、より具体的な塗り方について知りたい場合は、専門医による診察が重要です。当院では、患者さん一人ひとりに合わせた丁寧な塗布指導を行っておりますので、お気軽にご相談ください。

日本の臨床現場におけるFTUの課題【論文解説】

FTUは塗り薬の「適量」を誰でも簡単に測れる世界共通の”ものさし”です。しかし、残念ながら日本の医療現場では、このFTUが十分に浸透していないという課題があります。

医師から「適量を塗ってください」と言われても具体的な量が分からなかったり、薬局で「薄く塗ってください」と指導され、かえって混乱したりした経験はありませんか?

ここでは、研究論文で明らかになった日本の実態と課題を、現場の医師の視点から詳しく解説します。

研究で判明!3人に1人は処方量も塗る量も不足している実態

実は、日本の研究で衝撃的な事実が明らかになっています。アトピー性皮膚炎の患者さんにおいて、治療に必要な量の薬が処方されていない、あるいは処方されても実際に塗る量が足りていないケースが非常に多いのです。

ある研究報告によると、FTUの基準で計算した場合、驚くべきことに以下の結果が示されました。

  • 処方量が不足している患者さん  35.7%
  • 実際に塗っている量が不足している患者さん  39.8%
調査項目不足している人の割合
FTUに基づき計算した処方量35.7% (約3人に1人)
FTUに基づき計算した実際に塗る量39.8% (約3人に1人)

この数字は、およそ3人に1人もの患者さんが、薬の量が足りない状態で治療に臨んでいる可能性を示唆しています。

塗り薬の量が不足すれば、当然ながら期待される効果は得られません。症状がなかなか改善しなかったり、かえって長引いてしまったりする大きな原因となります。皮膚の症状を一日でも早く良くするためには、正しい量をしっかり塗ることが何よりも大切なのです。

医師の処方量と実際に塗る量の間に生まれるギャップの原因

なぜ、これほど多くの患者さんで薬の量が不足してしまうのでしょうか。研究では、医師から処方される薬の量自体が、FTUの基準で見ると不足しているという実態が浮き彫りになりました。

さらに重要なのは、この**「処方量の不足」が、患者さんの「実際に塗る量の不足」に直結している**という点です。研究では、処方量が不足している患者さんは、実際に塗る量も不足する傾向が約4倍も高いことが示されています。

処方されたチューブの本数が少ないと、患者さんは無意識に「次の診察日まで持たせないと」と考え、1回に塗る量を少なくしてしまうのです。

この悪循環が生まれる背景には、いくつかの要因が考えられます。

  • 医師側の課題  忙しい診療の中で、患者さん一人ひとりの皮疹の範囲を正確に測り、FTUに基づいて必要な薬の総量を計算し、処方することが常に徹底されているとは限りません。
  • 患者さん側の心理  処方量が少ないと、「節約して使わなければ」という気持ちが働き、十分な量を塗ることにためらいを感じてしまいます。
  • コミュニケーションの課題  医師と患者さんの間で、「適量」についての具体的なイメージが共有できていないことも大きな原因です。

このギャップを埋めるためには、まず医師がFTUに基づいて必要な量を正確に処方することが大前提となります。

「薄く塗ってください」は間違い?薬剤師の指導における問題点

薬局で薬を受け取る際に、「このお薬は薄く塗ってくださいね」と指導された経験がある方は多いかもしれません。実はこの「薄く塗る」という表現は、誤解を招く可能性が高い不適切な指導です。

日本の保険薬局の薬剤師を対象とした調査では、驚くべきことにFTUという具体的な指標を用いて塗り方を指導している薬剤師は、全体のわずか**35.6%**でした。

さらに、FTU以外の方法で説明している薬剤師のうち、約4割が「薄く塗る」という曖昧な指導を行っていたことも報告されています。

FTUで推奨される本来の塗り方は、「塗った部分がテカり、ティッシュペーパーが付着するくらい」が適切な量です。「薄く」という言葉のイメージでは、この目安よりもずっと少ない量しか塗れていない可能性が高くなります。

その結果、以下のような事態につながりかねません。

  • 十分な治療効果が得られず、症状が改善しない
  • ステロイドの副作用を過度に心配し、必要な量を使えなくなる

こうした指導が行われる背景には、薬剤師のアトピー性皮膚炎の診療ガイドラインに対する知識不足などが指摘されています。正しい治療のためには、医療従事者全体で知識を共有し、一貫した指導を行うことが不可欠です。

当院が実践するエビデンスに基づいた処方と塗布指導のこだわり

これまで解説したような日本の臨床現場における課題を踏まえ、当院では患者さんが安心して治療に専念できるよう、科学的根拠(エビデンス)に基づいた処方と、具体的で分かりやすい塗布指導を徹底しています。

  • こだわり①:FTUに基づく正確な処方  患者さん一人ひとりの皮疹の範囲を丁寧に診察します。その上で、FTUに基づいて治療に必要な薬の量を正確に計算して処方します。これにより、「薬が足りなくなるかも」という患者さんの不安を解消し、安心して適量を使える環境を整えます。

  • こだわり②:具体的で「見える」指導  「薄く」といった曖昧な言葉は使いません。診察室で実際にFTUを指に出してお見せします。また、体の部位ごとの目安量が分かるイラストや写真も用いて、塗るべき量を直感的に理解できるようサポートします。海外ではチューブに指導動画のQRコードを貼る試みも始まっており、当院でもそうした先進的な事例を参考に、独自の指導ツールを積極的に活用しています。

  • こだわり③:患者さんの継続しやすさを最優先  例えばステロイドと保湿剤を一緒に使う場合、塗る順番によって効果に大きな差はないことが分かっています。そのため当院では、患者さんのライフスタイルや好みに合わせ、「ご自身が塗りやすく、続けやすい順番で大丈夫ですよ」とお伝えします。治療を継続しやすくするための工夫を、患者さんと一緒に考えていきます。


よくあるご質問(Q&A)

Q. 処方された軟膏がいつも余ってしまいます。量が多すぎるのでしょうか? A. 症状が改善して塗る範囲が狭くなった場合や、症状を予防する「プロアクティブ療法」に移行した場合など、軟膏が余ることはあります。しかし、自己判断で量を減らしたり塗るのをやめたりする前に、ぜひ一度医師にご相談ください。現在の症状に合わせて処方量や塗り方が適切か、改めて一緒に確認させていただきます。

塗り薬の治療は、医師と患者さんが正しい知識を共有し、協力して進めることが成功の鍵です。塗り方について少しでも不安や疑問があれば、どうぞお気軽に当院にご相談ください。

治療効果を高めるための最新アプローチと今後の展望

軟膏治療は、ただ処方された薬を塗るだけではありません。治療効果を最大限に高め、再発を防ぐための新しい考え方や技術が次々と登場しています。

FTUという正しい量を守る基本に加えて、一歩進んだ治療アプローチを知ることは、皮膚の悩みを根本から解決する上で非常に重要です。ここでは、現場の医師が注目する先進的な治療法や、今後の展望について詳しく解説します。

症状が改善しても続ける「プロアクティブ療法」とFTUの正しい関係

アトピー性皮膚炎などで、見た目の症状がきれいになると、つい薬を塗るのをやめてしまいがちです。しかし、その後に症状がぶり返す「再発」を経験した方は少なくないでしょう。

この厄介な再発の連鎖を断ち切るために推奨されているのが「プロアクティブ療法」です。

  • プロアクティブ療法とは  症状が改善し、一見すると健康に見える皮膚に、週に数回、予防的に薬を塗り続ける治療法です。

見た目がきれいになっても、皮膚の下ではまだ微細な炎症がくすぶっていることがあります。この「火種」を放置すると、些細な刺激で再び燃え上がり、症状が再発してしまうのです。プロアクティブ療法は、この火種をコントロールし、良い皮膚の状態を長く維持することを目的とします。

この療法において、FTUは極めて重要な役割を果たします。症状がない部分にどれくらいの量を塗れば良いのか、自己判断では分かりにくいものです。

「週に2回、以前湿疹が出ていた場所に0.5FTUを塗布してください」 このようにFTUを用いることで、医師は副作用のリスクを抑えつつ、再発予防に有効な量を正確に指示できます。感覚に頼らず、FTUという客観的な”ものさし”で量を管理することが、治療成功の鍵となります。


【Q&A】

Q. 症状がないのに薬を塗り続けて、副作用は大丈夫ですか? A. プロアクティブ療法で用いる薬の量や種類、塗る回数は、症状が活発な時期とは異なります。医師が皮膚の状態を診察した上で、再発予防に必要かつ、安全性が高いと考えられる量と頻度を個別に設定します。指示通りに正しく使用すれば、副作用のリスクを最小限に抑えながら、効果的に再発を予防することが可能です。


塗り忘れを防ぐ!チューブのQRコードなど海外の最新事例

どんなに良い薬でも、指示通りに使い続けなければ効果は得られません。毎日決められた回数を塗ることを、専門用語で「アドヒアランスが良い」と言いますが、これを維持するのは簡単なことではありません。

特に、1日に塗る量や回数が多くなると、アドヒアランスが低下する傾向があることが研究で示されています。忙しい毎日の中で、つい塗り忘れてしまうこともあるでしょう。

この問題を解決するため、海外では患者さんをサポートする新しい試みが始まっています。

  • 海外の先進事例  薬のチューブにQRコードを印刷し、スマートフォンで読み込むことで、塗った時間を記録したり、次の塗布時間を通知したりするアプリが登場しています。

これは、患者さん自身が治療の主役となる「患者中心の治療」という考え方に基づいています。医療者が一方的に指示するだけでなく、患者さんが主体的に治療に参加しやすくなる工夫です。

日本でこのようなアプリはまだ一般的ではありませんが、ご自身でできる工夫はたくさんあります。

  • 塗り忘れを防ぐ工夫
    • スマートフォンのリマインダー機能で、塗る時間を設定する
    • 薬を洗面所や寝室のベッドサイドなど、必ず目につく場所に置く
    • 家族に協力してもらい、声をかけてもらう

自分に合った方法を見つけ、治療を継続する習慣をつけることが大切です。


【Q&A】

Q. 塗り忘れた場合、次に2回分をまとめて塗った方が良いですか? A. いいえ、2回分を一度に塗る必要はありませんし、かえって副作用のリスクを高める可能性があります。塗り忘れに気づいた時点で1回分を塗り、次回の塗布時間まで十分な間隔をあけてください。もし判断に迷う場合は、自己判断せず医師や薬剤師に相談しましょう。


「塗擦」と「塗布」の違いとは?効果と副作用を左右する塗り方の科学

薬の塗り方には「塗布(とふ)」と「塗擦(とさつ)」という、似ているようで全く異なる2つの方法があります。この違いを理解することは、薬の効果を適切に引き出し、副作用を防ぐ上で非常に重要です。

塗り方特徴目的と注意点
塗布(とふ)薬を皮膚の上にやさしく**「のせて広げる」**塗り方です。FTUで計った量を指にとり、患部に点々と置いてから、こすらずに薄く均一にのばします。ほとんどの塗り薬の基本です。皮膚への刺激を最小限に抑え、有効成分を角質層に留めます。塗った後、ティッシュが軽く付着するくらいのしっとり感が目安です。
塗擦(とさつ)薬を皮膚に**「すり込む」**ように塗る方法です。薬の経皮吸収を高め、血中に移行させたい場合に用いられます。しかし、皮膚のバリア機能を傷つけたり、副作用のリスクを高めたりする可能性があるため、医師の特別な指示がない限り絶対に行わないでください。

多くの塗り薬、特にステロイド薬は「塗布」が原則です。強くすり込むと、有効成分が必要以上に吸収され、全身性の副作用につながる恐れがあるからです。

将来的には、塗り方で吸収をコントロールするのではなく、薬そのものの技術革新が期待されています。例えば、薬の有効成分をナノ粒子という非常に小さなカプセルに閉じ込める技術の研究が進んでいます。

この技術を使えば、皮膚にやさしく塗布するだけで、ナノ粒子が皮膚のバリアを通過し、炎症が起きている深い部分まで効率的に成分を届けることができます。これは、すり込まなくても効果を高められる、新しい薬物送達システム(DDS)として注目されています。


【Q&A】

Q. 保湿剤はすり込んでも良いのでしょうか? A. 保湿剤は治療薬とは異なり、マッサージするようにやさしく塗り広げることは問題ありません。血行促進の効果も期待できます。ただし、皮膚に赤みやひりつきがあるなど、敏感になっている場合は、刺激を避けるためにやさしく「塗布」するように心がけてください。


オンライン診療でここまでできる!エコーを用いた個別の塗り方指導

「自分の塗り方で本当に合っているのだろうか?」 「FTUは分かったけど、この範囲には具体的にどれくらい塗ればいいの?」 このような疑問や不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。

当院では、そうした患者さん一人ひとりの悩みに応えるため、オンライン診療を積極的に活用しています。画面越しに、実際に薬を塗る様子を拝見しながら、FTUに基づいた適切な量や、部位ごとの塗り方のコツを具体的にアドバイスすることが可能です。

さらに、今後の展望として、より科学的な根拠に基づいた個別指導も視野に入れています。

  • 超音波(エコー)を用いた指導  超音波エコーを使って皮膚の断面を直接観察し、炎症が皮膚のどの深さまで及んでいるかを可視化します。これにより、「あなたのこの部分の炎症は深いので、〇FTUをこの厚さで塗布しましょう」といった、極めて精密なオーダーメイドの指導が可能になるかもしれません。

これは、先述したナノ粒子で薬を届けるような、先進的な治療と考え方を共有するものです。患者さん一人ひとりの状態に合わせた、まさに「患者中心の治療」の実現を目指しています。

塗り薬の治療は、自己流になりがちで、それが効果を妨げているケースが少なくありません。当院では、形成外科専門医・美容外科専門医(JSAPS)である院長が、あなたの肌の状態を丁寧に診察し、最適な治療法をご提案します。ぜひ一度、当院にご相談ください。


【Q&A】

Q. オンライン診療でも薬を処方してもらえますか? A. はい、可能です。医師がオンラインでの診察を通じて、お薬が必要だと判断した場合には処方箋を発行します。ご自宅など、ご指定の場所へお薬を郵送するサービスも利用できますので、通院が難しい方もお気軽にご相談ください。

まとめ

今回は、塗り薬の効果を最大限に引き出すための「FTU」について、その根拠から実践方法まで詳しく解説しました。

「大人の人差し指の第一関節まで」出した量を「手のひら2枚分」に塗る、という簡単なルールを覚えるだけで、誰でも「適量」を実践できます。

「薄く」という曖昧な言葉ではなく、ティッシュが付くくらいしっとり塗ることが、治療効果を高める鍵となります。

もし、ご自身の塗り方に不安があったり、症状に合わせた具体的な量に迷ったりしたときは、自己判断は禁物です。どうぞお気軽に医師や薬剤師に相談し、正しい知識で皮膚の悩みを一緒に解決していきましょう。

参考文献

  1. Matsuki F, Suzuki S, Hirose T, Suzuki T, Yoshida T, Onishi Y, Yamamoto R. Prescription and application adequacy of topical corticosteroids based on the finger-tip unit method in adult patients with atopic dermatitis: A cross-sectional study.
  2. Oishi N, Iwata H, Kobayashi N, Fujimoto K, Yamaura K. A survey on awareness of the “finger-tip unit” and medication guidance for the use of topical steroids among community pharmacists.
  3. Asif A, et al. Standardization of topical preparations for finger-tip unit-Awareness and attitudes among pharmacists and dermatologists and suggestions to improve standardization of topical drug dosing-A two-phase cross-sectional survey.
  4. Long CC, Finlay AY. The finger-tip unit–a new practical measure.
  5. アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2024

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