形成外科専門医監修:脂肪豊胸ダウンタイムと定着率の真相
「脂肪豊胸で理想のバストを」と考える時、「定着率を上げるためにたくさん食べるべき」「ダウンタイムは意外と軽い」といった情報を目にされたことはありませんか。しかし、その常識は医学的には大きな誤解を含んでいる可能性があります。術後に「こんなはずではなかった」と後悔しないために、本当に知るべきは、美しくなった未来の姿だけではないのです。
本記事では形成外科専門医が、定着率約60〜70%という研究データに基づき、脂肪細胞が生き残るための真実を徹底解説。さらに、他院では語られない痛みや腫れのリアルな経過、そして10年後も美しいバストを保つ秘訣まで、後悔しないための「不都合な真実」を正直にお伝えします。手術を決める前に、まずは正しい知識でご自身を守りましょう。
「デブ活」は間違い?定着率に関するよくある誤解と医学的真実
脂肪豊胸の手術後、「定着率を上げるために『デブ活』をしましょう」という情報を目にされたことがあるかもしれません。
体重を増やせば脂肪が増え、バストも大きくなるという考え方ですが、これは半分正解で半分は誤解です。
大切なのは、移植された繊細な脂肪細胞が新しい場所で「生き残る」ための、最適な体内環境を整えることです。 ただ闇雲にカロリーを摂取するだけでは、かえって体に負担をかけることもあります。
ここでは、脂肪の定着に関するよくある誤解を解き、医学的根拠に基づいた真実を、形成外科専門医の視点から詳しく解説します。
術後に太るだけでは不十分 脂肪細胞が生き残るための3つの条件
術後に体重を増やすこと自体が悪いわけではありません。 しかし、ジャンクフードなどでカロリーを摂取するだけでは、脂肪の定着に効果的とは言えません。
移植された脂肪細胞は、いわば新しい土地に植えられた苗木のようなものです。 しっかりと根付くためには、適切な栄養と環境が不可欠です。 脂肪細胞が生き残り、バストの一部となるためには、主に以下の3つの条件が重要になります。
十分な血流(酸素と栄養の供給) 脂肪細胞が生きるためには、酸素と栄養が絶対に必要です。 術後、体のなかでは注入された脂肪の周りに新しい毛細血管が作られ、血流を届けようとします。 この血管新生というプロセスがうまくいくかが、定着率を大きく左右するのです。
適切なスペースと圧力管理 一度に大量の脂肪を詰め込みすぎると、細胞同士が圧迫され血流が行き届きません。 これにより、多くの脂肪細胞が栄養不足で壊死してしまう可能性があります。 どのくらいの量を、どの層に、どのように注入するかは、医師の技術と経験が問われる部分です。 実際に、米国形成外科学会も、脂肪注入の成功は外科医の専門知識に大きく依存すると報告しています。
安静による安定した環境 術後のバストへの過度な圧迫や激しい揺れは、禁物です。 せっかく作られ始めた細い血管が、物理的な衝撃で傷つき、血流を妨げる原因となります。 安静に過ごし、細胞が落ち着いて根付くための時間を作ることが大切です。
Q&A:定着率を高めるためには、どんな食事を心がければ良いですか?
A: バランスの取れた食事が基本ですが、特に以下の栄養素を意識的に摂取することをおすすめします。
- タンパク質 肉、魚、大豆製品、卵など。 血管や組織の材料となり、体の修復に不可欠です。
- ビタミンC パプリカ、ブロッコリー、果物など。 コラーゲンの生成を助け、丈夫な血管壁を作ります。
- ビタミンE ナッツ類、アボカドなど。 血行を促進し、細胞に栄養が届きやすくなります。
- 亜鉛 牡蠣、赤身肉、レバーなど。 細胞分裂を助け、組織の再生をサポートします。
当院では、形成外科専門医・美容外科専門医(JSAPS)である院長が、術後の食事指導も丁寧に行っておりますので、お気軽にご相談ください。
定着のゴールは術後1ヶ月ではない 最終完成までの全プロセス
手術が終わって1ヶ月経った頃のバストの大きさが、最終的な仕上がりだと考えてしまう方がいらっしゃいます。 しかし、それは少し早計です。脂肪の定着は、数ヶ月にわたる長いプロセスを経て完了します。
術後の経過を正しく理解しておくことで、サイズの変動に一喜一憂することなく、落ち着いて回復期間を過ごすことができます。 以下に、脂肪が定着するまでの大まかな流れを示します。
| 時期 | バストの状態 | 体の中で起きていること |
|---|---|---|
| 術後~1週間 (急性期) | 腫れや麻酔液で最も大きく見える時期。痛みや内出血も出やすい。 | 移植された脂肪細胞が、新しい環境で生き残れるかの瀬戸際。 |
| 1週間~1ヶ月 (回復期) | 腫れが引き始め、サイズが少し落ち着く。脂肪吸引部位に硬さ(拘縮)が出始める。 | 新しい毛細血管が脂肪細胞に向かって伸び始め、栄養供給が開始される。 |
| 1ヶ月~3ヶ月 (安定期) | 定着する脂肪と吸収される脂肪が分かれ、サイズが安定してくる。感触も柔らかくなる。 | 血管網が発達し、生き残った脂肪細胞が組織として定着していく。 |
| 3ヶ月~6ヶ月 (完成期) | 最終的なサイズと形がほぼ確定する。自然で柔らかな感触になる。 | 定着した脂肪は、ご自身の体の一部として機能し始める。 |
複数の研究報告を統合したメタアナリシスによると、1年後の脂肪生着率は約60%~70%とされています。 これは、注入した脂肪のうち3〜4割は体に吸収されるのが一般的であることを意味します。 術直後の腫れた状態をゴールと捉えず、長期的な視点で完成を待つことが精神的な安定にもつながります。
喫煙と飲酒が定着率に与える壊滅的な影響
脂肪の定着率を高めるためにご自身でできることの中で、最も重要と言っても過言ではないのが「禁煙」と「禁酒」です。 これらがなぜ定着に悪影響を及ぼすのか、医学的な理由を解説します。
【喫煙の悪影響】 タバコに含まれるニコチンには、血管を強力に収縮させる作用があります。 特に、体の末端にある毛細血管は非常に細くなるため、血流が著しく悪化します。 脂肪細胞が定着するには新しい毛細血管からの栄養供給が不可欠ですが、喫煙はこの命綱を自ら細くする行為です。
さらに、一酸化炭素は血液の酸素運搬能力を低下させます。 これにより、脂肪細胞は深刻な酸欠状態に陥り、多くの細胞が死滅してしまいます。 結果として定着率は大幅に低下し、手術の効果が損なわれてしまうのです。
【飲酒の悪影響】 アルコールを摂取すると、血行が良くなるイメージがあるかもしれませんが、手術後においては逆効果です。 アルコールは炎症反応を強くし、腫れや内出血を長引かせる原因となります。
また、利尿作用によって体は脱水状態になりやすく、血液が濃縮されて流れが悪くなる状態を招きます。 これも、繊細な脂肪細胞への栄養供給を妨げる大きな要因となります。
脂肪が完全に定着するまでの3ヶ月間は禁煙・禁酒を続けることが理想です。 しかし、結果を大きく左右する術後1ヶ月間は、必ず徹底していただくようお願いしています。
定着しなかった脂肪の行方 吸収プロセスとリスク管理
注入した脂肪のすべてが定着するわけではないと聞くと、「定着しなかった脂肪はどうなるの?」と不安に思われるかもしれません。 生き残れなかった脂肪細胞は、体にとって不要なものとして、免疫システムによって安全に処理・吸収されるのでご安心ください。
【吸収のプロセス】 栄養が届かずに壊死してしまった脂肪細胞は、マクロファージなどの「お掃除細胞」が分解し、処理してくれます。 これは、打ち身でできた内出血が時間とともに消えていくのと同じ、体の正常な働きです。 分解されたものは、最終的にリンパ管などを通じて体外へ排出されていきます。
【リスク管理の重要性】 ただし、一度にあまりにも多くの脂肪細胞が壊死すると、体の処理能力が追いつかなくなることがあります。 その場合、以下のような合併症のリスクが高まります。
- しこり(オイルシスト) 液状になった脂肪が膜に包まれ、袋状の嚢胞(のうほう)を形成するもの。
- 石灰化 壊死した組織の周りにカルシウムが沈着し、硬くなる現象。
これらの合併症は、主に一度に過剰な量の脂肪を注入した場合に起こりやすくなります。 これを防ぐには、患者様一人ひとりのバストの状態に合わせた、適切な量の脂肪を適切な層へ分散して注入する技術が不可欠です。 システマティックレビューにおいても、術前の適切な患者選択の重要性が指摘されています。
当院では、形成外科専門医が解剖学的な知識に基づき、しこりなどのリスクを最小限に抑えます。 そして、定着率を最大限に高める施術を常に心がけております。 ご不安な点があれば、カウンセリングで何でもお尋ねください。
他院では語られないダウンタイムの「不都合な真実」
脂肪豊胸を検討する際、美しい仕上がりばかりに目が行きがちです。 しかし、後悔しないためにはダウンタイムの現実を正しく知ることが第一歩です。
この章では、多くのクリニックが積極的に語らないダウンタイムの「不都合な真実」を、形成外科専門医として正直にお伝えします。
脂肪豊胸は「脂肪吸引」と「脂肪注入」という2つの手術を同時に行います。 そのため、ダウンタイムも2つの側面から理解する必要があります。 バストと脂肪吸引部位、それぞれの回復プロセスを正しく知ることが、不安なく過ごすための鍵となります。
痛み・腫れのピークはいつ?正直に伝える症状のリアルな強度
痛みや腫れがどの程度で、いつまで続くのかは、誰もが最も知りたい情報の一つでしょう。 正直にお伝えすると、脂肪豊胸のダウンタイムでは、バストよりも脂肪を吸引した部位(太ももやお腹など)の症状が中心となります。
痛み 脂肪吸引部位に、普段経験しないような強めの筋肉痛に似た痛みが出ます。 痛みのピークは手術の翌日から3日目頃まで続くことが一般的です。 バスト自体の痛みは比較的軽い方が多いですが、張り感を伴うことがあります。 ほとんどの場合、クリニックから処方される痛み止めで十分にコントロール可能です。
腫れ・むくみ 手術による炎症反応で、術後3日から1週間でピークを迎えます。 脂肪吸引した部位だけでなく、重力の影響でその下の部分までむくむこともあります。 例えば、太ももを吸引した場合、ひざやふくらはぎ、足首までむくむのは正常な経過です。
内出血 脂肪吸引部位には、濃い紫色で広範囲の内出血が出ることがほとんどです。 見た目に驚かれるかもしれませんが、これは正常な反応です。 1〜2週間で黄色く変化し、その後徐々に吸収されて消えていきます。
| 時期 | 主な症状(脂肪吸引部) | 主な症状(バスト) |
|---|---|---|
| 術後〜3日 | 痛みのピーク(強めの筋肉痛)、強い腫れ | 腫れ、張り感、むくみによる最大サイズ |
| 術後1週間 | 痛みは軽減、腫れ・内出血のピーク | 腫れが少しずつ引き始める |
| 術後2週間〜1ヶ月 | 内出血が黄色に変化、拘縮(後述)が始まる | 腫れが落ち着き、サイズが一度小さく感じる |
| 術後3ヶ月〜6ヶ月 | 拘縮が和らぎ、柔らかくなる | 脂肪が定着し、最終的なサイズ・形が完成 |
Q&A:痛みは我慢できないほどですか?
**A:**個人差はありますが、処方される痛み止めで十分にコントロールできる範囲がほとんどです。痛みで眠れない、動けないといった強い症状は数日で落ち着きます。痛みは必ず引いていきますのでご安心ください。痛みがご不安な場合は、遠慮なく医師にご相談ください。
バストの左右差や形のいびつさ 術後修正が必要になるケースとは
理想の形を求めて手術を受けたのに、左右差やいびつさが残るのではないかというご不安は大きいものです。 術後、一時的に左右差が生じることは珍しくありませんが、その原因と対処法を知っておくことが大切です。
術後に左右差が生じる主な原因
- もともとの身体の非対称性 元々のバストの大きさ、肋骨の形、筋肉の付き方などに左右差がある場合、術後もそれが反映されることがあります。
- 腫れの引き方の違い 術後の腫れの引き方には個人差や左右差があり、一時的に形が違って見えることがあります。
- 脂肪の定着率の差 術後の血流や無意識の圧迫(寝返りなど)によって、左右で脂肪の定着率に差が出ることがあります。
複数の研究をまとめたシステマティックレビューによると、自家脂肪移植による豊胸術の合併症発生率は約8%と報告されており、ゼロではありません。 「こんなはずではなかった」を防ぐためには、術前のカウンセリングが非常に重要です。 ご自身の身体の特性や、それによって起こりうる仕上がりの限界について、医師としっかり共通認識を持つことが求められます。
術後修正が必要になるケース 完成とされる術後3〜6ヶ月を経過しても、以下のような状態が気になる場合は修正を検討することがあります。
- 誰が見ても明らかな大きさの違いが残った場合
- しこり(石灰化やオイルシスト)ができて、外見上も凸凹が目立つ場合
- 一部分だけが不自然にへこんだり、形がいびつになったりした場合
Q&A:術後すぐの左右差は治りますか?
**A:**術後1ヶ月くらいまでは、腫れの引き方の違いで左右差が目立つことがよくあります。ほとんどの場合、腫れが完全に引く3ヶ月後までには気にならなくなります。まずは焦らずに経過を見守ることが大切です。
脂肪吸引した部位の凸凹・拘縮は避けられるか
バストがきれいになっても、脂肪を採った場所が凸凹になってしまっては満足度が下がってしまいます。 脂肪吸引部位のダウンタイムで起こる「拘縮」と「凸凹」について正しく理解しましょう。
拘縮(こうしゅく)とは 脂肪吸引後の治癒過程で起こる正常な反応です。 術後3週間頃から皮膚が硬くなったり、突っ張るような感覚が生じたりします。 これは傷が治る過程でコラーゲン線維が作られるために起こるもので、3〜6ヶ月かけて徐々に柔らかく、なめらかになっていきます。 これは失敗ではなく、回復している証拠ですのでご安心ください。
凸凹(皮膚のイレギュラー)とは 拘縮とは異なり、皮膚の表面が不自然に凸凹してしまう状態です。 主な原因は、脂肪の取りムラや取りすぎです。 これを避けるためには、解剖を熟知し、脂肪層を均一に吸引する技術を持つ、経験豊富な医師を選ぶことが最も重要です。 また、術後に指示された期間、圧迫着を正しく着用することも、皮膚のたるみを防ぎ、なめらかな仕上がりを助けるために不可欠です。
近年では、インプラントと脂肪注入を組み合わせる「複合乳房増強術」という選択肢もあります。 この方法は、インプラントで基本的なボリュームを出し、脂肪注入で輪郭を自然に整えます。 そのため、大量の脂肪吸引を必要としない場合があり、結果として吸引部位への負担を軽減し、凸凹のリスクを低減できる可能性があります。
Q&A:拘縮は必ず起こるのですか?
**A:**はい、程度の差はありますが、脂肪吸引後の正常な治癒過程としてほとんどの方に起こります。時間とともに必ず改善していきますので、焦らずマッサージなどは医師の指示に従って行いましょう。
メンタルの不調 理想と現実のギャップに悩んだ時の対処法
手術後の身体的な変化だけでなく、精神的な浮き沈みに悩む方も少なくありません。 特に脂肪豊胸では、バストのサイズ変化が大きく、一時的に不安を感じやすい時期があります。
メンタルの不調を感じる原因
理想とのギャップ 術後1週間頃は、麻酔液や腫れの影響でバストが最も大きく見えます。 その後、腫れが引くにつれてサイズが落ち着くため、「小さくなった」「失敗したかも」と感じ、強い不安に襲われることがあります。 これは正常な経過ですが、知らないと大きなストレスになります。
ダウンタイムの身体的・生活的ストレス 痛みや内出血、日常生活の制限(運動や入浴など)が続くことで、気分が落ち込みやすくなります。
不安な時期を乗り越えるための対処法
正しい経過を理解する 術後は「腫れで最大になる」→「腫れが引いて一度小さくなる」→「脂肪が定着して完成する」というプロセスをたどることを、あらかじめ知っておきましょう。最終的な完成は3〜6ヶ月後です。
完璧を求めすぎない 医学的な研究では、脂肪豊胸は患者満足度が93%と非常に高い手術であることが示されています。 しかし、ミリ単位の左右差など、過度に完璧を求めすぎると、わずかな違いが気になってしまいます。 ご自身の変化を肯定的に受け入れる気持ちも大切です。
一人で抱え込まない 「これって普通なのかな?」という不安や心配事は、ご自身で判断せず、遠慮なくクリニックに相談してください。 専門家からの「それは正常な経過ですよ」という一言で、気持ちが楽になることはよくあります。
当院では、手術後の身体的なケアはもちろん、術後の不安な気持ちにも寄り添うことを大切にしています。 形成外科専門医・美容外科専門医(JSAPS)である院長が、術後の経過を丁寧に診察します。 少しでも気になることがあれば、いつでもご相談いただける体制を整えておりますので、ご安心ください。
10年後も美しいバストを保つための長期的戦略
脂肪豊胸の手術が無事に終わったからといって、それがゴールではありません。 むしろ、手に入れた理想のバストを10年後、20年後も美しく保つスタートです。
これから先、加齢やライフスタイルの変化によって、お身体には変化が訪れます。 そうした変化と上手に付き合いながら、長期的な視点でケアすることが大切です。 ここでは、将来の不安を解消し、自信の持てるバストを維持する秘訣を解説します。
加齢や体重変動で形は崩れる?長期的な形態維持の秘訣
定着した脂肪はご自身の組織の一部となり、加齢や体重増減の影響を受けます。 これは手術をしていないバストと同じ、ごく自然なことです。 しかし、いくつかの点を意識することで、美しい形態を長く維持しやすくなります。
長期的な形態維持のための3つの秘訣
安定した体重の維持 注入された脂肪細胞は、他の部位の脂肪と同様に振る舞います。 体重が増えれば大きくなり、急激に痩せれば小さくなります。 特に、5kg以上の急な体重増減はバストのボリューム変化に直結します。 日頃からバランスの取れた食事と適度な運動で、体重を安定させましょう。
皮膚のハリを保つ栄養摂取 バストのハリや弾力は、皮膚のコラーゲン線維が支えています。 タンパク質やビタミンC、亜鉛などをバランス良く摂取しましょう。 これらは皮膚の健康を保ち、美しいバストの維持につながります。 また、乾燥は皮膚の弾力低下を招くため、日々の保湿ケアも重要です。
土台となる大胸筋のトレーニング バストの土台である大胸筋を鍛えることで、バスト全体を支える力が向上します。 これにより、加齢による下垂を予防する効果が期待できます。 腕立て伏せやダンベル運動などを、無理のない範囲で取り入れましょう。
Q&A:ダイエットをすると、バストは小さくなりますか?
**A:**はい、定着した脂肪もご自身の体の一部なので、急激なダイエットを行えば小さくなる可能性があります。もし減量が必要な場合は、月に1〜2kg程度の緩やかなペースで行い、タンパク質の摂取を心がけてください。
2回目3回目の脂肪注入は可能か 再手術のタイミングと注意点
「もう少しボリュームが欲しい」「加齢で少し小さくなった分を補いたい」など、 2回目以降の脂肪注入を検討される方もいらっしゃいます。 脂肪吸引できる脂肪が十分にあり、医学的に問題がなければ再手術は可能です。
実は、2回目以降の手術には、初回にはないメリットが存在します。 1回目の手術でバストの皮膚が伸展し、血流が豊かな状態になっています。 これは、脂肪定着に必要な新しい血管(血管新生)が作られやすい環境です。 そのため、2回目以降は初回よりも脂肪の定着率が向上する傾向にあります。
【再手術のタイミング】 1回目の手術による組織の腫れが完全に引き、脂肪の定着が完了する時期、 つまり術後6ヶ月から1年以降が適切なタイミングの目安となります。 焦らずに、まずは初回の結果が安定し、最終的な形が確定するのを待ちましょう。
【再手術の注意点】
- 脂肪の採取部位 初回と同じ部位から採取できる脂肪の量には限りがあります。 そのため、別の部位から吸引するか、複数部位からの吸引が必要になる場合があります。
- リスク 手術である以上、感染やしこり、石灰化などのリスクは初回と同様に存在します。 安全な手術のためには、再度詳細なカウンセリングと診察が不可欠です。
当院では、患者様一人ひとりの現在のバストの状態とご希望を丁寧に伺います。 その上で、最適な再手術のプランを形成外科専門医がご提案します。
術後の正しいバストケアと下着選びの生涯ガイド
美しいバストを長く保つには、生涯にわたる正しいケア、特に下着選びが重要です。 術後のデリケートな時期はもちろん、脂肪が定着した後もバストを守りましょう。 ご自身のバストに合った下着で、適切にサポートし続けることが大切です。
時期別・下着選びのポイント
| 時期 | 推奨される下着 | 避けるべきこと | 理由 |
|---|---|---|---|
| 術後~3ヶ月 (定着期) | ・ノンワイヤーブラ ・カップ付きキャミソール ・締め付けの弱いスポーツブラ | ・ワイヤー入りブラ ・うつ伏せ寝 ・バストのマッサージ | 脂肪の定着を妨げる血行不良や圧迫を避けるため。揺れを防ぎ優しく保護します。 |
| 3ヶ月以降 (安定期) | ・ご自身のサイズに合ったブラジャー ・就寝時のナイトブラ | ・サイズの合わない下着 ・ノーブラでの激しい運動 | 形崩れを防ぎ、バストを支えるクーパー靭帯への負担を軽減します。揺れを適切に抑えることが大切です。 |
特に術後3ヶ月までは、ワイヤーによる線状の圧迫は厳禁です。 新生血管を圧迫し、脂肪細胞への血流を妨げ、定着率低下の原因となります。 また、ノーブラでの生活も推奨できません。 揺れによって、でき始めた繊細な血管が傷ついてしまう可能性があるためです。
脂肪が定着した後も、ご自身のバストを大切に扱う意識を持ち続けましょう。 近年の研究では、乳房手術後の長期的な形態維持のために、皮膚の質が重要であると指摘されています。 日頃からの保湿ケアも、美しいバストを保つために心がけると良いでしょう。
失敗しないためのセカンドオピニオン活用術
手術後の経過に不安を感じたり、担当医以外の意見も聞いてみたくなったりしたとき。 その際は、「セカンドオピニオン」を活用することをおすすめします。 セカンドオピニオンとは、現在の主治医以外の医師に専門的な意見を求めることです。
こんな時にセカンドオピニオンを検討しましょう
- 術後の経過について、説明を受けても不安が解消されないとき
- 仕上がり(左右差、しこり、形など)に満足できず、修正を考えているとき
- 再手術を提案されたが、本当にその手術が必要か迷っているとき
美容外科の治療法は、医師の経験や考え方によって様々です。 例えば、インプラントと脂肪注入を組み合わせる「複合乳房増強術」という選択肢もあります。 これはインプラントで基本的なボリュームを確保し、脂肪注入で輪郭を自然に整える方法です。
ある研究では、丸型のインプラントと脂肪注入を組み合わせることで、解剖学的インプラントで懸念される回転のリスクを回避しつつ、自然で満足度の高い結果が得られると報告されています。 このように、医師によって得意とする技術や提案する術式は異なります。
複数の専門家の意見を聞くことは、ご自身が納得できる最善の選択をするために非常に有益です。 何よりも大切なのは、ご自身の不安や疑問を正直に相談できる、信頼できる医師を見つけることです。
当院では、形成外科専門医・美容外科専門医(JSAPS)である院長が、客観的な立場からアドバイスを行います。 他院での手術後のご相談も承っておりますので、お悩みの方は一度カウンセリングにお越しください。
まとめ
今回は、脂肪豊胸のダウンタイムと定着率の真相について、形成外科専門医の視点から詳しく解説しました。
美しいバストを手に入れるためには、闇雲な「デブ活」ではなく、医学的根拠に基づいた術後ケアが不可欠です。定着には十分な血流と安静が必要で、特に術後3ヶ月間の禁煙・禁酒は結果を大きく左右します。
また、ダウンタイム中の痛みや腫れ、拘縮は正常な回復過程です。正しい経過を知ることで、サイズの変動に一喜一憂せず、落ち着いて完成を待つことができます。
何よりも大切なのは、ご自身の不安や疑問に寄り添い、信頼できる医師と二人三脚でゴールを目指すことです。この記事が、あなたが後悔のない選択をするための一助となれば幸いです。
参考文献
- Voglimacci M, Garrido I, Mojallal A, Vaysse C, Bertheuil N, Michot A, Chavoin JP, Grolleau JL, Chaput B. Autologous fat grafting for cosmetic breast augmentation: a systematic review.
- Wu Y, Hu F, Li X, Yin G, Delay E. Autologous Fat Transplantation for Aesthetic Breast Augmentation: A Systematic Review and Meta-Analysis.
- Maione L, Caviggioli F, Vinci V, Lisa A, Barbera F, Siliprandi M, Battistini A, Klinger F, Klinger M. Fat Graft in Composite Breast Augmentation with Round Implants: A New Concept for Breast Reshaping.
- Auclair E et al. Combined Use of Implant and Fat Grafting for Breast Augmentation.
- Coleman SR, Saboeiro AP. Primary Breast Augmentation with Fat Grafting.
- Poly-4-hydroxybutyrate mesh (GalaFlex®) in aesthetic breast surgery: A comprehensive systematic review