デュピクセントの効果・副作用を最新臨床で解説
これまでの治療ではなかなか改善せず、つらいかゆみや皮疹に長年悩まされてきた方へ。新しい治療薬「デュピクセント」が、その悩みを解決する希望の光になるかもしれません。大規模な臨床試験では、約4割の患者さんで皮疹が「消失またはほぼ消失」したというデータもあり、その効果が科学的に証明されています。
一方で、「本当に自分に効くのだろうか?」「副作用が怖い」といった不安を感じるのも当然です。この記事では、最新の論文データに基づき、デュピクセントがなぜ効くのかという仕組みから、結膜炎や顔の赤みといった注目すべき副作用の最新知見、さらにはアトピー以外の疾患への応用可能性まで、専門医が徹底的に解説します。
論文データで読み解くデュピクセントの作用機序と有効性
これまでの治療ではなかなか良くならず、つらいかゆみや皮疹に悩まれてきた方にとって、デュピクセントは希望の光となるかもしれません。
一方で、「本当に自分に効くのだろうか」「どんな仕組みで効果が出るのだろうか」といった不安や疑問をお持ちのことと思います。
ここでは、科学的な論文データに基づきながら、デュピクセントがなぜ効果を発揮するのか、その仕組みと有効性について、専門的な観点から分かりやすく解説していきます。
なぜ効くのか IL-4/IL-13シグナル伝達阻害の分子メカニズム
デュピクセントがアトピー性皮膚炎に効果を発揮する理由は、炎症の根本原因である「2型炎症」に直接アプローチするからです。
アトピー性皮膚炎の患者さんの体内では、この「2型炎症」と呼ばれる免疫反応が過剰に働いています。その中心的な役割を担うのが、「IL-4」と「IL-13」という2種類の情報伝達物質(サイトカイン)です。
- IL-4とIL-13の働き
- 皮膚のバリア機能を壊し、外部からの刺激を受けやすくします
- かゆみを引き起こす神経を過敏にして、強いかゆみを生じさせます
- アレルギー反応に関わるIgE抗体を作るように指令を出します
- 炎症を引き起こす細胞(Th2細胞など)をさらに集めて活発にします
これらIL-4とIL-13は、細胞の表面にある「受容体」という鍵穴に結合することで、炎症を引き起こすスイッチをオンにします。
デュピクセントは、このIL-4とIL-13に共通の受容体(IL-4受容体αサブユニット)に先回りして結合します。鍵穴をブロックする働きを持つ「ヒトモノクローナル抗体」という種類の薬です。
これにより、炎症を引き起こす根本的なシグナル伝達を止めることができます。実際にデュピクセント治療後には、皮膚や血液中の2型炎症に関連する指標が減少することが報告されています。
SOLO 1/2試験が証明した皮疹とQOLへの劇的な改善効果
デュピクセントの有効性は、世界中で行われた大規模な臨床試験によって科学的に証明されています。その代表的なものが「SOLO 1」および「SOLO 2」試験です。
この試験は、外用薬だけではコントロールが難しい中等症から重症のアトピー性皮膚炎の成人患者さんを対象に行われました。
16週間の治療で、以下のような優れた結果が示されています。
| 評価項目 | デュピクセント群 | プラセボ(偽薬)群 |
|---|---|---|
| 皮疹が「消失またはほぼ消失」した人の割合(IGAスコア 0/1) | 36~38% | 8~10% |
| 皮疹の範囲と重症度が75%以上改善した人の割合(EASI-75) | 約50% | 約15% |
| かゆみが大幅に改善した人の割合 | 約40% | 約10% |
(Simpson EL, et al. N Engl J Med. 2016より作成)
注目すべきは、単に皮疹がきれいになるだけでなく、患者さんが最もつらいと感じる「かゆみ」が大幅に軽減された点です。
さらに、皮膚の状態が良くなることで、不眠や集中力の低下が改善します。不安や抑うつといった精神的な症状も改善し、生活の質(QOL)が大きく向上することも報告されています。
これらの結果は、デュピクセントが客観的な皮疹の改善と、患者さん自身のつらさの軽減の両方に高い効果を持つことを示しています。
実臨床データで見る治療効果の地理的差異(アジア人と欧米人の違い)
臨床試験だけでなく、実際の日常診療(実臨床)でデュピクセントがどのように使われ、どのような効果が出ているかというデータも重要です。その中で、治療効果に地理的な差がある可能性を示唆する研究報告があります。
ある系統的レビューでは、アジア、北・中央ヨーロッパ、南ヨーロッパの患者データを比較したところ、以下のような傾向が見られました。
- 治療前の重症度(EASIスコア)
- 東アジアの患者さんで最も高い傾向にありました。
- 治療による皮疹の改善率
- 南ヨーロッパの患者さんが東アジアの患者さんと比較して大きい傾向にありました。

- 南ヨーロッパの患者さんが東アジアの患者さんと比較して大きい傾向にありました。
このような差がなぜ生じるのか、その根本的なメカニズム(人種、遺伝的背景、生活環境など)はまだ完全には解明されていません。
しかし、これはあくまで集団で見た場合の統計的な傾向です。日本人を含むアジアの患者さんにおいても、デュピクセントが非常に高い有効性を示すことは数多くの臨床研究や実臨床データで確認されています。
大切なのは、一人ひとりの患者さんの状態に合わせて治療を評価し、調整していくことです。
アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024における位置づけ
「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」とは、日本皮膚科学会が作成する、専門医が治療方針を決める際の指針となるものです。
デュピクセントは、このガイドラインにおいて、これまでの治療法では効果が不十分な中等症から重症のアトピー性皮膚炎に対する重要な治療選択肢として明確に位置づけられています。
- デュピクセントが推奨されるケース
- ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏といった外用療法を適切に行っても、十分な効果が得られない場合
- シクロスポリンなどの従来の全身療法で効果が不十分、または副作用などの理由で使用が難しい場合
特に、全身の免疫を広く抑える従来の免疫抑制剤(シクロスポリンなど)と比較して、デュピクセントはアトピー性皮膚炎の「2型炎症」に絞って作用します。
そのため、安全性が高く長期的なコントロールに適していると考えられています。ガイドラインで推奨されていることは、多くの専門家によってその有効性と安全性が認められている証であり、患者さんが安心して治療を受ける上での一つの目安となります。
【Q&A】
Q. デュピクセントは誰でも使えますか?
A. 基本的に、既存の治療法で効果が不十分な中等症から重症のアトピー性皮膚炎の患者さんが対象となります。年齢(生後6ヶ月以上)や症状の程度によって適応が決まりますので、まずは専門医にご相談ください。
Q. 効果はすぐに現れますか?
A. 個人差はありますが、多くの方で投与開始後2~4週間でかゆみの軽減を実感しはじめ、その後、皮疹も徐々に改善していきます。治療効果をしっかりと評価するためには、少なくとも16週間(約4ヶ月)は継続することが推奨されます。
デュピクセントによる治療は、専門的な知識と経験が必要です。ご自身の症状がデュピクセントの適応となるか、どのような効果が期待できるかなど、ご不安な点がございましたら、ぜひ一度当院へご相談ください。お一人おひとりの状態を丁寧に診察し、最適な治療法を一緒に考えていきましょう。
副作用の最新知見 分子メカニズムと注目すべき有害事象
デュピクセントは多くの方の症状を改善する効果が期待できる治療薬です。
その一方で、「どんな副作用があるのだろう」とご不安に思われる方も少なくありません。
新しい治療への期待とともに、心配も大きいことと思います。
ここでは、デュピクセントで起こりうる副作用について解説します。
なぜ副作用が起こるのか、体の仕組み(分子メカニズム)の観点から説明します。
研究でわかってきた最新の知見を中心にお伝えします。
結膜炎・好酸球増加症はなぜ起こるのか IL-17への移行仮説
デュピクセントの治療中によくみられる副作用として「結膜炎」があります。
また、血液検査でわかる「好酸球の増加」も報告されています。
これらの副作用がなぜ起こるのか、その仕組みが少しずつ解明されてきました。
有力な仮説の一つに「サイトカインシフト」という考え方があります。
サイトカインとは、体内の免疫細胞間で情報を伝える物質のことです。
- デュピクセントの働き
- アトピー性皮膚炎の主な原因である「IL-4」と「IL-13」というサイトカインの働きをピンポイントで抑えます。
- 体の反応
- IL-4/IL-13が抑えられると、体はバランスを取ろうとします。
- その結果、別の免疫物質である「IL-17」などが相対的に優位になることがあります。
- 結果として起こること
- この免疫バランスの変化が、結膜炎などの新たな炎症として現れる、という仮説です。
特に結膜炎は、もともとアトピー性皮膚炎の患者さんで目のバリア機能が弱い傾向にあります。
そのため、デュピクセントの使用でその弱さが表面化しやすいと考えられます。
治療中に目の充血やかゆみ、目やにが増えるなどの症状があれば、ご相談ください。
また、好酸球増加症は、組織に集まっていた好酸球という白血球の一種が血液中に出るために起こると考えられています。
多くの場合、一時的で症状はなく、治療に影響はありません。
しかし、まれに好酸球が関わる他の病気が隠れている可能性もあるため、注意深い観察が必要です。
新たな懸念 デュピクセント関連酒さ(DAR)とは何か
最近、デュピクセントの治療中に「酒さ(しゅさ)」に似た症状が出ることが報告されています。
これは「デュピクセント関連酒さ(DAR: Dupilumab-Associated Rosacea)」として注目されています。
アトピー性皮膚炎の湿疹とは異なる、顔を中心とした赤みやブツブツが特徴です。
米国の副作用報告データベース(FAERS)を解析した研究でも、デュピクセントと酒さの関連が示唆されています。
デュピクセント関連酒さ(DAR)の主な特徴
- 症状
- 顔の中心(鼻や頬)に赤みが続き、ニキビのようなブツブツ(丘疹膿疱)が現れます。
- 部位
- 主に顔ですが、首や頭皮、上半身に広がることもあります。
- 感覚
- 焼けるような感覚や、かゆみを伴うことがあります。
- 発症時期
- 治療開始後、約2週間から21ヶ月と幅広く報告されています。
これは、デュピクセント治療中によく見られる「頭頸部皮膚炎」とは異なる病態と考えられています。
もし治療中にこのような症状に気づいた場合は、自己判断で治療を中断しないでください。
すぐに主治医に相談することが重要です。
多くは酒さに対する別の治療(塗り薬や飲み薬)で改善することが報告されています。
従来の免疫抑制剤(シクロスポリン等)との安全性プロファイル比較
アトピー性皮膚炎の重症な方に使われる治療薬には、デュピクセントの他にシクロスポリンなどの「免疫抑制剤」があります。
これらは効果が期待できる一方で、安全性には大きな違いがあります。
デュピクセントは、アトピー性皮膚炎の炎症に深く関わるIL-4とIL-13だけを狙い撃ちします。
このような薬を「分子標的薬」と呼びます。
一方、従来の免疫抑制剤は、免疫全体の働きを幅広く抑え込む作用を持ちます。
この作用メカニズムの違いが、副作用の出方に影響します。
| 比較項目 | デュピクセント | 従来の免疫抑制剤(シクロスポリンなど) |
|---|---|---|
| 作用の仕方 | 炎症の原因物質(IL-4/13)をピンポイントでブロック | 免疫全体の働きを広く抑制 |
| 主な副作用 | 注射部位反応、結膜炎など | 腎機能障害、高血圧、感染症リスクの上昇など |
| 必要な検査 | 定期的な血液検査は必須ではない | 定期的な血液検査や血圧測定が必須 |
| 長期使用 | 全身への影響が少なく、長期使用しやすい | 副作用のリスク管理が重要 |
このように、デュピクセントは従来の免疫抑制剤と比較して、全身に影響する重い副作用のリスクが低いと考えられています。
そのため、長期間にわたる治療が必要なアトピー性皮膚炎において、使いやすい選択肢となっています。
治療中のワクチン接種は安全性に影響するか
デュピクセント治療中に、インフルエンザや新型コロナウイルスなどのワクチンを接種できるか、心配される方も多いでしょう。
結論から言うと、ワクチンの種類によって対応が異なります。
- 接種できるワクチン
- インフルエンザワクチンや新型コロナウイルスワクチンなどの「不活化ワクチン」や「mRNAワクチン」は、問題なく接種できます。
- デュピクセントがワクチンの効果を弱めたり、副作用を強くしたりするという報告はありません。
- 避けるべきワクチン
- 麻疹、風疹、おたふくかぜ、水ぼうそうなどの「生ワクチン」は、安全性が確認されていません。
- そのため、デュピクセント治療中は原則として接種を避けるべきです。
- 生ワクチンは、毒性を弱めたウイルスや細菌そのものを体に入れるためです。
- 免疫の働きが通常と異なる状態では予期せぬ反応を起こす可能性があります。
【Q&A】
Q. 副作用が心配になったらどうすればよいですか?
A. 治療中に何か気になる症状が現れた場合は、自己判断で治療を中断したりせず、まずは主治医に相談することが最も大切です。
結膜炎や顔の赤みなど、デュピクセントに関連する可能性のある副作用の多くは、適切に対処することで治療を継続できる場合がほとんどです。
ご自身の症状を正確に伝え、医師と一緒に解決策を探していきましょう。
当院では、デュピクセントによる治療効果を最大限に引き出しつつ、副作用の管理にも細心の注意を払っております。
治療に関するご不安や疑問点がございましたら、どんな些細なことでも遠慮なくご相談ください。
安心して治療を続けていけるよう、私たちがしっかりとサポートします。
アトピー性皮膚炎以外の疾患への応用可能性(適応外使用)
デュピクセントは、アトピー性皮膚炎の治療に大きな進歩をもたらしました。
その効果の根幹にあるのは、「2型炎症」を抑えるという働きです。
この2型炎症は、アトピー性皮膚炎だけでなく、体のさまざまな場所で起こる病気の共通の原因と考えられています。
そのため、これまで治療が難しかった他の病気に対しても、デュピクセントが有効なのではないかと世界中で研究が進められています。
患者さんの生活の質(QOL)に大きく影響する慢性的な病気の治療において、デュピクセントは今後さらに重要な選択肢となる可能性を秘めています。
結節性痒疹への適応承認とその臨床データ
「結節性痒疹(けっせつせいようしん)」は、強いかゆみを伴う硬いしこりが全身に多発する、非常につらい皮膚の病気です。
これまでは十分な効果のある治療法が限られていました。
しかし、デュピクセントはこの結節性痒疹に対しても有効性が認められ、日本でも保険適用として承認されました。
これは、治療に難渋されてきた患者さんにとって大きな一歩です。
実際に行われた臨床試験では、デュピクセントの優れた効果が数字で示されています。
- かゆみの改善
デュピクセントを投与した患者さんの約60%で、かゆみが大幅に改善しました。
これは偽薬(プラセボ)を投与したグループの約20%と比べて、明らかに高い有効性を示しています。 - 皮疹の改善
皮膚のしこりが「消失またはほぼ消失」した患者さんの割合は、デュピクセント群で約48%でした。
一方、偽薬群では約18%にとどまりました。
このように、デュピクセントは結節性痒疹のつらい「かゆみ」と「見た目」の両方を改善する効果が期待できます。
様々な治療を試しても良くならなかった患者さんにとって、新たな希望となる治療選択肢です。
難治性の手湿疹や円形脱毛症への有効性を示す症例報告
デュピクセントは、現在のところ「手湿疹」や「円形脱毛症」に対しては、保険適用として承認されていません。
しかし、これらの病気に悩む患者さんにとって、希望となるような報告が世界中から届いています。
アトピー性皮膚炎とこれらの疾患には、免疫の働きに共通点があると考えられています。
そのため、デュピクセントが有効である可能性が期待されているのです。
- 難治性の手湿疹
ステロイド外用薬などの従来の治療で改善しない重症の手湿疹の患者さんにデュピクセントを使用したところ、症状が劇的に改善したという症例報告が複数あります。 - 円形脱毛症
円形脱毛症も、免疫の異常が関わる病気です。
デュピクセントによって、脱毛斑に再び髪の毛が生えてきたという報告がなされています。
現在、これらの疾患に対するデュピクセントの有効性と安全性を正式に確認するための臨床試験が進められています。
適応外での使用は、費用が自己負担になるなどの課題もありますが、将来的にこれらの病気の標準的な治療法の一つになる可能性を秘めています。
慢性蕁麻疹や水疱性類天疱瘡への応用研究の現在地
デュピクセントの可能性は、さらに広い範囲の皮膚疾患にも向けられています。
特に「慢性蕁麻疹」や「水疱性類天疱瘡(すいほうせいるいてんぽうそう)」といった病気への応用が期待され、活発な研究が行われています。
- 慢性蕁麻疹
原因がはっきりせず、毎日のように膨疹(蚊に刺されたようなふくらみ)とかゆみに悩まされる病気です。
デュピクセントがこのつらい症状を抑える効果を持つ可能性が示唆されており、臨床試験が進行中です。 - 水疱性類天疱瘡
自己免疫の異常によって、皮膚に水ぶくれ(水疱)やびらんができてしまう病気です。
この病気の仕組みにも2型炎症が関わっていると考えられており、デュピクセントの有効性を確かめるための研究が進められています。
これらの疾患に対するデュピクセントの有効性をはっきりとさせ、どのような患者さんに最適なのかを見極めるためには、まださらなる研究が必要です。
しかし、データは限定的であるものの、有望な結果が示されており、今後の研究成果が待たれます。
小児重症喘息治療におけるデュピクセントの役割と課題
デュピクセントは、皮膚の病気だけでなく、気管支喘息(6歳以上)、特にアレルギーなどが関わるタイプの重症喘息の治療薬としても承認されています。
吸入ステロイド薬などを最大量使っても発作を繰り返してしまうお子さんにとって、重要な治療選択肢の一つです。
デュピクセントの役割
- 喘息発作の頻度を減らす
- 呼吸機能を改善する
- 経口ステロイド薬の使用量を減らす、または中止できる可能性がある
治療における課題
一方で、お子さんの治療には、大人とは異なる慎重な検討が必要です。
専門家の間でも、以下のような課題が指摘されています。
- 個人差の大きさ
薬の効き方には個人差が大きく、治療への反応を丁寧に見極める必要があります。 - エビデンスの限界
成人の喘息のデータをそのままお子さんに当てはめることはできません。
お子さんの体の仕組みや病気の性質は、大人と異なる点があるためです。 - 治療の継続性
治療をいつまで続けるべきか、中止のタイミングをどう判断するかについては、まだ明確な基準がありません。
そのため、治療を開始した後も、専門医がお子さんの状態を定期的に詳しく診察し、治療効果や副作用の有無を注意深く確認していくことが非常に重要になります。
【Q&A】
Q. ここに書かれている病気なら、誰でもデュピクセントを使えますか?
A. いいえ、そうではありません。結節性痒疹や気管支喘息など、国から承認されている病気(保険適用)については、医師が基準に基づき必要と判断した場合に使用できます。
手湿疹や円形脱毛症など、まだ承認されていない病気(適応外)については、治療選択肢となる可能性はありますが、保険が使えず費用は全額自己負担となります。安全性や有効性もまだ確立されていないため、医師との十分な相談が不可欠です。
Q. 自分の病気がデュピクセントの対象になるか知りたいです。
A. まずは専門の医師に相談することが第一歩です。皮膚の症状であれば皮膚科、喘息であれば呼吸器内科やアレルギー科の受診をお勧めします。
当院では、デュピクセントを用いた治療経験が豊富な医師が、患者さん一人ひとりのお話を丁寧にお伺いし、最適な治療法を一緒に考えさせていただきます。ご自身の症状がデュピクセントの治療対象になるか、費用はどのくらいかなど、どんなことでもお気軽にご相談ください。
まとめ
今回は、デュピクセントの効果や副作用、そして将来の可能性について、最新の知見を交えて詳しく解説しました。
デュピクセントは、アトピー性皮膚炎などの原因となる「2型炎症」をピンポイントで抑えることで、これまでの治療では難しかったつらいかゆみや皮疹を改善し、生活の質(QOL)を大きく向上させる可能性を秘めた薬です。
結膜炎などの副作用も報告されていますが、その多くは専門医による適切な対処で治療を継続できます。大切なのは、ご自身の症状や治療への不安を一人で抱え込まず、まずは専門医に相談することです。この薬があなたにとって最適な選択肢となるか、一緒に考えていきましょう。
この記事が、長年症状に悩むあなたの新しい一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。
参考文献
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- De Vriese S, Belasri H, Badloe FMS, De Bauw LDI, Gutermuth J, Kortekaas Krohn I. “Geographic Differences in Dupilumab Treatment Outcomes for Atopic Dermatitis: A Systematic Review and Meta-Regression Analysis.” Allergy 81, no. 2 (2026): 358-372.
- Lemiesz P, Nowowiejska-Purpurowicz J, Flisiak I. “The molecular mechanism of the adverse effects of the biological and small molecular drugs in the therapy of inflammatory skin diseases – psoriasis and atopic dermatitis.” Annals of medicine 58, no. 1 (2026): 2611461.
- アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024