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皮膚に赤い筋?血栓性静脈炎の皮膚症状や治療法を医師が解説

皮膚に赤い筋?血栓性静脈炎の皮膚症状や治療法を医師が解説

腕や足に突然現れた、覚えのない赤い筋や痛みを伴うしこり。「ただの打ち身や虫刺されだろう」と、自己判断で放置していませんか?その症状は、血管の中で血が固まる「血栓性静脈炎」という病気のサインかもしれません。

この病気を単なる皮膚の炎症と侮ってはいけません。海外の報告では、血栓性静脈炎と診断された方のうち約7%に、命に関わる「肺塞栓症(エコノミークラス症候群)」がすでに合併していたという衝撃的なデータもあります。

この記事では、血栓性静脈炎の危険なサインや、似た症状の病気との見分け方、何科を受診すべきかまでを専門医が徹底解説します。手遅れになる前に、正しい知識でご自身の体を守りましょう。

(監修:形成外科専門医・美容外科専門医 JSAPS)

その皮膚の赤み、本当に血栓性静脈炎?類似疾患との見分け方

腕や足に、覚えのない赤い筋や痛みを伴うしこりができると、心配になりますよね。
それは「血栓性静脈炎」のサインかもしれませんが、似た症状を持つ他の病気の可能性も考えられます。

見た目だけで「大丈夫だろう」と自己判断してしまうと、隠れた重い病気を見逃すことにもなりかねません。
それぞれの病気の特徴を正しく知ることが、適切な治療への第一歩です。
ご自身の症状と照らし合わせながら、確認していきましょう。

蜂窩織炎(ほうかしきえん)やリンパ管炎との決定的な違い

血栓性静脈炎と非常によく似ていて、専門家でも慎重な判断が求められるのが「蜂窩織炎」と「リンパ管炎」です。
これらは皮膚が赤く腫れて痛むという点で共通していますが、見分けるための決定的な違いがあります。

疾患名赤みの特徴しこり主な原因
血栓性静脈炎血管をなぞるような**「線状」**の赤み痛みを伴う硬いしこりがある血管内の血栓(血の塊)
蜂窩織炎境界がはっきりしない**「面的」**な赤みしこりはなく、全体が硬く腫れる細菌感染
リンパ管炎リンパ管に沿った**「線状」**の赤みはっきりとしたしこりはない細菌感染

蜂窩織炎は、皮膚の深い部分で細菌が繁殖して起こる感染症です。
そのため、赤みは特定の血管に沿うのではなく、まるで地図のように「面」として広がります。

 

一方で、血栓性静脈炎とリンパ管炎は、どちらも「線状」の赤みが特徴です。
この二つを見分ける最大のポイントは、**「しこりの有無」**です。

血栓性静脈炎は、静脈の中にできた血栓(血の塊)が原因で炎症が起きる病気です。
そのため、赤くなった血管に沿って、指で触るとコリコリとした硬いしこりを確認できます。
一方、リンパ管炎はリンパ管の炎症であり、このようなはっきりとしたしこりを触れることはありません。


<医師からのQ&A>

Q. 赤い線が出たら、リンパ管炎か血栓性静脈炎のどちらかですか?

A. その可能性が高いですが、ご自身で判断するのは非常に困難です。赤い線に沿って、消しゴムのような硬さのしこりを触れる場合は、血栓性静脈炎が強く疑われます。しかし、正確な診断には専門的な知識が必要です。気になる症状があれば、自己判断せず、お早めに当院へご相談ください。


打撲や虫刺され、皮膚炎と間違えやすい症状の特徴

日常生活でよくある打撲や虫刺されも、初期症状が血栓性静脈炎と似ているため注意が必要です。
以下のチェックリストで、ご自身の症状を客観的に確認してみましょう。

【血栓性静脈炎かもしれないチェックリスト】

  •  強くぶつけた覚えがないのに、血管に沿って痛みや赤みがある
  •  赤みや腫れが、丸い形ではなく「線状」に伸びている
  •  皮膚の表面だけでなく、少し奥に硬いしこりを感じる
  •  強いかゆみはなく、押したときの痛み(圧痛)が主な症状である
  •  時間が経っても青あざに変化せず、赤みや茶色っぽい色が続く

打撲であれば、通常は数日のうちに赤みから青あざ、そして黄色っぽい色へと変化していきます。
虫刺されは強いかゆみを伴い、赤みの中心に刺された点が見えることがほとんどです。
また、**一般的な皮膚炎(かぶれなど)**は、皮膚の表面的な赤みやかゆみが中心で、皮下に硬いしこりを触れることは稀です。

これらのチェックリストに複数当てはまる場合、単なる打ち身や虫刺されではないかもしれません。
それは皮膚表面の問題ではなく、血管の内部でトラブルが起きている重要なサインです。

複数の疾患が合併している可能性も考慮する

表在性の血栓性静脈炎は、良性の疾患と見なされがちですが、その考えは危険を伴います。
なぜなら、より深刻な病気が隠れていたり、合併していたりするケースが少なくないからです。

最も注意すべき合併症は**「深部静脈血栓症(DVT)」です。
皮膚のすぐ下にある表在静脈と、足の奥深くにある深部静脈は、交通枝という血管でつながっています。
そのため、表在性血栓性静脈炎の患者さんのうち、報告によっては6~53%もの方に、症状のない深部静脈血栓症が合併していたというデータもあります。
深部静脈にできた血栓が血流に乗り、肺の血管に詰まると、命に関わる
「肺塞栓症(エコノミークラス症候群)」**を引き起こす危険性があります。

また、特に下肢静脈瘤など明らかな原因がないのに血栓性静脈炎を繰り返す場合は、背景に以下のような全身性の病気が隠れている可能性を考慮しなくてはなりません。

  • 悪性腫瘍(がん)
  • 自己免疫疾患(膠原病など)
  • 血液が固まりやすい体質(血栓性素因)

これらの可能性を考慮すると、診断において見た目の所見だけで判断するのは極めて不十分です。
合併症の有無を正確に評価するためには、超音波(エコー)検査で血管の内部や深部静脈の状態を詳しく調べることが不可欠です。


<医師からのQ&A>

Q. ただの血管の炎症だと思っていましたが、怖い病気が隠れていることもあるのですか?

A. はい、その可能性は十分にあります。血栓性静脈炎は「氷山の一角」かもしれず、水面下にもっと大きな問題が隠れているサインとして捉えるべきです。特に、明らかな原因がないのに発症した場合や、何度も繰り返す場合は、背景にある疾患を慎重に調べる必要があります。合併症のリスクを正しく評価し、適切な治療を受けるためにも、ぜひ一度当院の診察にお越しください。

(監修:形成外科専門医・美容外科専門医 JSAPS)

何科を受診すべき?受診のタイミングと医師への伝え方

腕や足に突然現れた赤い筋や痛みを伴うしこり。「これは何科に行けばいいんだろう?」と、いざという時に迷ってしまう方は少なくありません。

血栓性静脈炎は、見た目の症状だけでは他の病気との区別が難しいため、適切な診療科を選び、正しい情報を医師に伝えることが非常に重要です。
自己判断で様子を見てしまうと、思わぬ合併症を見逃すことにもなりかねません。
ここでは、安心して適切な医療を受けるために、受診の目安や診察時のポイントを詳しく解説します。

症状で選ぶべき診療科(皮膚科・血管外科・循環器内科)

血栓性静脈炎の診療は複数の科にまたがるため、どの科を受診すべきか迷うのは当然です。
ご自身の症状や状況に応じて、最適な診療科を選びましょう。

診療科このような方におすすめ医師から見た主な役割
皮膚科・まずは皮膚の赤みや腫れを専門的に診てほしい
・蜂窩織炎など、他の皮膚病との違いが不安
皮膚症状の診断を専門としています。見た目の所見から、感染症など他の皮膚疾患との鑑別に長けているのが特徴です。
血管外科・血管の病気という確信がある
・足の血管がボコボコ浮き出ている(下肢静脈瘤)
・診断から治療までスムーズに進めたい
血管の病気のスペシャリストです。血栓性静脈炎の確定診断に不可欠な超音波(エコー)検査で、血栓の有無や深部静脈血栓症の合併を正確に評価できます。診断から治療まで一貫して担当します。
循環器内科・息切れや胸の痛みなど、皮膚以外の症状がある
・心臓や肺への影響が心配
血栓が肺に飛ぶ「肺塞栓症」のリスクを念頭に、心臓や肺を含めた全身の状態を評価します。呼吸器や循環器系の症状がある場合に特に頼りになります。

<医師からのQ&A>

Q. 結局、最初に受診するならどの科が一番良いですか?

A. もし、ご自身で「これは血管の問題だろう」と感じ、確定診断と治療を早く進めたい場合は、血管外科の受診が最もスムーズです。皮膚の赤みがとにかく気になる場合は皮膚科が良いでしょう。また、かかりつけの内科医がいらっしゃる場合は、まずそこで相談し、専門の医療機関を紹介してもらうのも良い方法です。当院では血管外科の専門医が診察しますので、お気軽にご相談ください。


救急外来を受診すべき緊急度の高い症状とは

ほとんどの表在性血栓性静脈炎は、ただちに命に関わる緊急性の高い病気ではありません。
しかし、静脈にできた血栓が、より体の奥深くにある「深部静脈」に広がったり、血流に乗って肺に到達したりすると、命を脅かす状態に陥ることがあります。
これが「肺塞栓症(はいそくせんしょう)」、いわゆるエコノミークラス症候群です。

表在性の血栓性静脈炎と診断された方でも、同時に深部静脈血栓症を約18%、肺塞栓症を約7%合併していたという海外のメタ解析の報告もあります。
これは決して稀なことではなく、常に注意が必要なサインです。

以下の症状が一つでも現れた場合は、肺塞栓症の可能性を考え、夜間や休日でもためらわずに救急外来を受診してください。

【救急受診を考えるべき危険なサイン】

  •  突然の息切れ、呼吸困難(肺に血栓が詰まっているサインの可能性)
  •  胸を締め付けられるような強い痛み、圧迫感
  •  めまい、ふらつき、意識が遠のく感じ
  •  皮膚の赤みや腫れが、数時間で急速に広がっている
  •  片方の足全体がパンパンに腫れ上がり、皮膚が紫色っぽく変色した
  •  これまで経験したことのないような激しい痛みで、歩くことも困難

これらの症状は、体からの緊急SOSです。
もし判断に迷う場合は、救急安心センター事業(#7119)に電話で相談するか、迷わず救急車を要請することを検討してください。

診察時に医師に必ず伝えるべき5つのポイント

限られた診察時間で正確な診断につなげるためには、患者さんからの情報が何よりも重要です。
あらかじめご自身の状態を整理しておくと、診察がスムーズに進みます。
以下の5つのポイントをメモにまとめて持参することをおすすめします。

  1. 症状の具体的な内容(いつから、どこに、どのように)
    例:「3日前の朝から、右ふくらはぎの内側に、血管をなぞるように10cmくらいの赤い筋ができました。触ると消しゴムのように硬く、押すと痛みます。少し熱を持っている感じもします。」
  2. 思い当たるきっかけや原因
    長時間同じ姿勢でいた(デスクワーク、飛行機・車での移動)、最近ケガをした、手術を受けた、妊娠・出産したなど、発症前の状況を思い出してみましょう。
  3. ご自身の健康状態(既往歴や家族歴)
    高血圧や糖尿病、悪性腫瘍(がん)、自己免疫疾患(膠原病など)の持病はありませんか。過去に血栓症になった経験や、ご家族に同じ病気の方がいるかどうかも重要な情報です。喫煙習慣の有無も必ず伝えてください。
  4. 服用中・使用中の薬
    特に、経口避妊薬(ピル)やホルモン補充療法は、血栓症のリスクを高めることが知られています。お薬手帳は忘れずに持参しましょう。
  5. 症状の時間的な変化
    「昨日よりも赤みが広がった」「痛みが強くなった」あるいは「少し和らいだ」など、症状の変化を伝えることで、医師は病気の勢いを正確に判断できます。

オンライン診療でどこまで相談できるか

「すぐに病院に行く時間がない」「まずは専門家の意見を聞いてみたい」という方には、オンライン診療も有効な選択肢です。
ただし、できることとその限界を正しく理解しておく必要があります。

【オンライン診療でできること】

  • 症状の相談と初期評価
    スマートフォンのカメラで患部を見せながら、専門的な見解を聞くことができます。
  • 受診の必要性の判断
    症状の緊急性を評価し、すぐに対面受診が必要か、あるいはもう少し様子を見てもよいか、アドバイスを受けられます。
  • 生活上のアドバイス
    安静の度合いや冷却方法、仕事や運動に関する注意点など、当面の疑問について相談できます。

【オンライン診療の限界】

  • 確定診断はできない
    血栓性静脈炎の確定診断には、医師が直接患部に触れてしこりの硬さを確認する「触診」と、血管内部の血栓の状態を画像で見る「超音波検査」が不可欠です。これらはオンラインでは行えないため、診断はあくまで「疑い」にとどまります。
  • 処方できる薬に限りがある
    診断が確定していない段階では、処方できる薬の種類が限られる場合があります。

オンライン診療は、受診前の不安を解消し、次のステップに進むための有効な手段です。
当院でもオンラインでのご相談に対応しておりますので、皮膚の赤い筋や痛みでお悩みの方は、まずはお気軽にご利用ください。
ただし、最終的な診断と本格的な治療のためには、一度クリニックへお越しいただく必要があることをご理解ください。

(監修:形成外科専門医・美容外科専門医 JSAPS)

治療中の仕事や生活はどうなる?具体的な疑問に医師が回答

血栓性静脈炎と診断されると、痛みや見た目の変化だけでなく、「仕事は休まないといけないの?」「旅行の予定はどうしよう…」など、日常生活に関する不安や疑問がたくさん湧いてくることでしょう。

治療はもちろん大切ですが、普段の生活をどのように過ごせばよいのかを知ることも、安心して治療を進める上で非常に重要です。
ここでは、患者さんからよく寄せられる仕事や生活に関する具体的な疑問について、Q&Aも交えながら詳しくお答えします。

デスクワークや立ち仕事は休む必要があるか

必ずしも仕事を休む必要はありませんが、症状の強さや仕事の内容によって判断が異なります。
特に、痛みや腫れ、熱感といった炎症のサインが強い治療初期は、安静が何よりも大切です。
自己判断で無理をすると、かえって症状を悪化させてしまう可能性があります。

デスクワークや立ち仕事など、長時間同じ姿勢でいることが多い方は特に注意が必要です。
海外のある研究では、弾性ストッキングの着用のみで仕事を続けた場合、適切な治療と休養をとった場合よりも、結果的に仕事ができない期間、つまり社会的コスト(労働損失)が大きくなったと報告されています。
これは、無理をすることで炎症が長引き、回復が遅れてしまうためと考えられます。

もし、症状が落ち着いていて仕事を続ける場合は、以下の点を心がけ、可能であれば職場の理解を得て、休憩をこまめに取るなどの工夫をしましょう。

【仕事中のセルフケア】

  • 長時間同じ姿勢を避ける
    • 1時間に1回は立ち上がって少し歩いたり、座ったままでもかかとの上げ下ろし運動をしたりして、血流を促しましょう。
  • 弾性ストッキングの着用
    • 医師の指示のもと、適切な圧の弾性ストッキングを着用することは、血液のうっ滞を防ぎ、症状の悪化や深部静脈血栓症への進行リスクを軽減する上で非常に効果的です。
  • 足を組まない
    • 足を組むと血流が悪化する原因になります。意識して避けるようにしましょう。
  • 水分を十分に摂る
    • こまめな水分補給は、血液がドロドロになるのを防ぎ、新たな血栓の形成を予防します。

<医師からのQ&A>

Q. 痛みが強くて歩くのも辛いのですが、仕事は休むべきですか?

A. はい、痛みや腫れ、熱感などの炎症症状が強い場合は、安静が第一です。無理して仕事を続けると、炎症が悪化して治療が長引くだけでなく、合併症のリスクを高めることにもなりかねません。お仕事の状況にもよりますが、まずは治療に専念することが、結果的に早期の社会復帰につながります。必要であれば診断書も作成いたしますので、お気軽に当院までご相談ください。


飛行機での出張や旅行はいつから可能か

飛行機や新幹線、長距離バスなど、長時間座ったままの移動は、血栓性静脈炎を悪化させる大きなリスク要因となります。
特に注意が必要なのが、いわゆる「エコノミークラス症候群」として知られる**「肺塞栓症」**です。

これは、静脈にできた血栓が血流に乗って肺の血管に詰まってしまう、命に関わることもある非常に危険な状態です。
表在性の血栓性静脈炎であっても、深部静脈血栓症に進行する可能性があり、そこから肺塞栓症に至るケースも稀ではありません。
そのため、医師の許可なく長距離移動をすることは絶対に避けてください。

旅行や出張を安全に再開できる目安は、以下の通りです。

  • 痛み、赤み、腫れ、熱感などの炎症症状が完全に消失している
  • 超音波検査で血栓が安定し、拡大傾向がないことを医師が確認している
  • 抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)を服用している場合は、その効果が安定している

医師から移動の許可が出た後も、飛行機などに乗る際は以下の対策を必ず行いましょう。

  • 水分補給:1時間にコップ1杯程度を目安に、お水やお茶をしっかり摂る。
  • 定期的な運動:1〜2時間に1回は席を立ち、通路を歩く。座っている間も、足首を回したり、つま先を上げ下げしたりする。
  • 弾性ストッキングの着用:処方された弾性ストッキングを必ず着用する。
  • ゆったりした服装:体を締め付けない楽な服装を心がける。

<医師からのQ&A>

Q. 海外旅行を予約しているのですが、キャンセルした方が良いでしょうか?

A. 安全を最優先に考えるべきです。血栓性静脈炎と診断された状態で長時間のフライトに乗ることは、非常に高いリスクを伴います。まずは当院にご相談いただき、超音波検査などで現在の血管の状態を正確に評価した上で、旅行が可能かどうかを慎重に判断する必要があります。自己判断で搭乗することは絶対にやめてください。


マッサージや運動、飲酒はいつから再開して良いか

症状を早く和らげたい一心で、マッサージや運動を自己判断で行うのは大変危険です。
良かれと思ってしたことが、かえって病状を悪化させる可能性があります。特に患部へのマッサージは絶対にやめてください。

  • マッサージ
    • 患部を揉んだり強く押したりすると、静脈の中にある血栓が剥がれて血管の中を移動し、肺の血管に詰まってしまう「肺塞栓症」を引き起こす危険性があります。むくみがつらい場合でも、患部を直接マッサージするのは厳禁です。
  • 運動
    • 炎症が強く、痛みや熱感がある急性期は、安静が基本です。ウォーキングなどの軽い運動も控え、医師の指示に従ってください。症状が落ち着き、医師の許可が出たら、血流を促すために軽いウォーキングなどから徐々に再開していきましょう。
  • 飲酒
    • アルコールは血管を拡張させ、炎症を悪化させる可能性があります。また、抗炎症薬や抗凝固薬を内服している場合、アルコールの影響で薬の効果が不安定になったり、副作用が出やすくなったりするため、治療中は原則として禁酒が望ましいです。
行動急性期(痛み・腫れが強い時期)回復期(症状が落ち着いてから)
マッサージ患部は絶対にNG医師に相談の上、患部以外なら可
運動安静が第一医師の許可を得て、軽いものから
飲酒厳禁医師に相談の上、許可が出れば適量

<医師からのQ&A>

Q. 入浴はしても良いですか?

A. 熱いお湯に長時間浸かると、血管が拡張して炎症が悪化する可能性があります。急性期は、シャワーで済ませるか、ぬるめのお湯で短時間の入浴にしましょう。また、患部をタオルでゴシゴシこすらないように注意してください。


治療費はいくらかかる?高額療養費制度の活用法

治療にかかる費用は、患者さんにとって大きな心配事の一つだと思います。
血栓性静脈炎の治療は、健康保険が適用されます。費用の内訳は、主に以下のようになります。

  • 診察料:初診料、再診料
  • 検査料:超音波(エコー)検査、血液検査(Dダイマーなど)
  • 処方せん料・薬剤料:抗炎症薬、抗凝固薬、塗り薬など
  • 処置料:弾性ストッキングや弾性包帯の費用など

具体的な金額は、行う検査や処方される薬の種類によって変動しますが、一般的な外来治療の場合、3割負担の患者さんで、初診時に超音波検査などを行うと数千円から1万円程度、その後の再診では数千円程度が目安となります。

多くの血栓性静脈炎は、数週間から数か月で症状が改善する**「自己解決性」の疾患**です。
そのため、外来での治療が中心となり、医療費が継続的に高額になるケースは比較的少ないです。

ただし、万が一、入院や手術が必要になったり、特殊な薬剤を使ったりして、1か月の医療費の自己負担額が高額になった場合には、**「高額療養費制度」**を利用できます。
これは、1か月(月の初めから終わりまで)の医療費の自己負担額が、年齢や所得に応じて定められた上限額を超えた場合に、その超えた分が払い戻される制度です。
ご自身が加入している公的医療保険(健康保険組合、協会けんぽ、市町村の国民健康保険など)に申請することで利用できますので、もしもの時のために覚えておくと安心です。


<医師からのQ&A>

Q. 治療が長引いて、費用が高額にならないか心配です。

A. ほとんどの場合は外来治療で改善しますが、深部静脈血栓症を合併していたり、背景に別の病気が隠れていたりすると、治療が長引くこともあります。当院では、診察の際に今後の治療計画とそれに伴うおおよその費用についてご説明します。費用に関してご不安な点があれば、遠慮なく医師やスタッフにご相談ください。

まとめ

今回は、皮膚に現れる赤い筋やしこりの正体である血栓性静脈炎について、症状や治療法を詳しく解説しました。

この病気は、見た目が似た他の皮膚疾患との区別が難しく、自己判断は危険を伴います。特に注意すべきは、命に関わる深部静脈血栓症や肺塞栓症が隠れている可能性です。そのため、正確な診断には専門医による診察と、血管の内部を詳しく見る超音波検査が欠かせません。

腕や足に気になる症状を見つけたら、それは体からの大切なSOSサインです。不安を一人で抱え込まず、できるだけ早く血管外科などの専門医に相談しましょう。

最後までお読みいただきありがとうございます。

症状や治療について「これって相談していいのかな?」と迷われている方も、どうぞお気軽にご来院ください。

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