マンジャロとは?作用と効果を図解で徹底解説
2型糖尿病の治療は、血糖値の管理だけでなく、体重や将来的な合併症の予防まで、多角的なアプローチが求められる慢性疾患です。そんな中、画期的な新薬「マンジャロ」が、2型糖尿病の新たな選択肢として注目を集めています。
マンジャロは、体内の二つの重要なホルモン(GIPとGLP-1)に同時に働きかける「デュアル作用」により、これまでの薬剤を上回る強力な血糖コントロールと顕著な体重減少効果を発揮します。実際に、臨床研究ではHbA1cが平均1.87%~2.07%減少し、体重も7.0~9.5kg減少したと報告されています。
この記事では、医師の立場から、マンジャロの作用と効果を徹底解説。血糖値や体重の悩みを抱える皆様に、より良い未来をもたらす可能性を秘めたこの治療薬について、詳しくご紹介します。
マンジャロとは?その効果と作用の仕組み
2型糖尿病は、血糖値の管理が日々の生活に深く関わる慢性疾患です。血糖値を適切にコントロールすることはもちろん重要ですが、同時に体重管理や将来の心臓病、脳卒中といった合併症の予防まで、多角的な視点でのアプローチが求められます。
「マンジャロ」は、このような2型糖尿病の治療において、血糖コントロールだけでなく、体重減少にも大きな効果が期待できる新しいお薬として、いま多くの注目を集めています。この薬がどのような仕組みで体の中で作用し、どのような効果をもたらすのかを、皆さんの健康を守る医師の立場から詳しく解説していきます。
マンジャロは、体の中に元々存在する二つの大切なホルモンに働きかけ、血糖値を下げるだけでなく、体重を減らすお手伝いをする、画期的な治療薬です。糖尿病の治療は「続けること」が何よりも大切です。この新しい選択肢が、皆さんのより良い未来につながることを願っています。
GIPとGLP-1のデュアル作用:マンジャロの独自の働き
マンジャロは、その作用機序においてこれまでの糖尿病治療薬とは一線を画します。体内で分泌される二つの重要な消化管ホルモンである、「グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)」と「グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)」の両方の受容体に同時に働きかける、「デュアルアゴニスト」と呼ばれる新しいタイプのお薬です。この二つのホルモンに同時に作用することから、「ツインクレチン」という愛称で呼ばれることもあります。
それぞれのホルモンが、私たちの体内でどのように血糖値や体重の調節に関わっているかを見ていきましょう。
- GIPの作用
- 食べ物が胃から腸へ入ると、小腸からGIPが分泌されます。
- GIPは、血糖値が高い時に膵臓からインスリンが分泌されるのを強力に促します。
- インスリンは血液中の糖分を細胞に取り込ませ、血糖値を下げる働きをします。
- さらに、脂肪細胞にも作用し、脂肪の蓄積を調整する役割も持っています。
- GLP-1の作用
- GIPと同じく、食べ物が腸に入るとGLP-1も小腸から分泌されます。
- GIPと同様に、血糖値が高い時に膵臓からのインスリン分泌を促し、血糖値を下げます。
- 血糖値を上げる働きのあるホルモン「グルカゴン」の分泌を抑え、血糖値のコントロールを助けます。
- 胃の動きをゆっくりにして、食べたものが胃から腸へ送られる時間を遅らせます。
- これにより食後の急激な血糖値の上昇を抑え、さらに満腹感が持続しやすくなります。
- 脳にある食欲をコントロールする部分にも働きかけ、自然と食欲を抑える効果も期待できます。

(イーライ・リリーHPより引用)
マンジャロは、これらGIPとGLP-1の両方の受容体に同時に作用することで、単独で作用する従来のGLP-1受容体作動薬よりも、はるかに強力な血糖コントロール効果と、より顕著な体重減少効果を発揮することが、数々の臨床研究で示されています。例えば、2型糖尿病患者さんを対象としたSURPASS-1試験では、マンジャロはプラセボ(偽薬)と比較して、血糖コントロールの指標であるHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)を平均で1.87%~2.07%も減少させ、体重も7.0~9.5kgの範囲で減らす効果が示されました[Rosenstock J et al. Lancet. 2021]。この「デュアル作用」こそが、マンジャロがもたらす幅広い代謝改善効果の鍵であり、多くの患者さんに新たな希望をもたらす理由です。
2型糖尿病以外にも期待される3つの効果
マンジャロは、元々2型糖尿病の治療薬として開発され、その効果が確認されています。しかし、そのGIPとGLP-1のデュアル作用は、単に血糖値を下げるだけでなく、私たちの体全体の代謝に良い影響を与えることが分かってきました。現在、2型糖尿病の血糖コントロール以外にも、様々な病態への効果が期待されており、活発な研究が進められています。ここでは、特に注目されている3つの効果について、具体的な研究結果とともにご紹介します。
1. 肥満症の治療と体重減少効果
肥満症は、高血圧や脂質異常症、糖尿病など、多くの生活習慣病の根本原因となる重大な病気です。体重を減らすことは、これらの病気のリスクを大幅に低減し、健康寿命を延ばすために非常に重要であると私たちは考えています。
マンジャロは、肥満症を持つ方にとって、これまで達成が難しかった劇的な体重減少効果をもたらすことが、臨床試験で明確に示されました。糖尿病のない肥満の成人を対象としたSURMOUNT-1試験では、マンジャロを72週間投与した結果、平均で体重が15.0%から20.9%も減少したと報告されています[Jastreboff AM et al. N Engl J Med. 2022]。特に注目すべきは、参加者のうち約半数以上の方が体重を20%以上減らすことができたという結果です。これは、これまでの薬物療法ではほとんど見られなかった顕著な効果であり、肥満に関連する様々な健康リスクの軽減に大きく貢献することが期待されています。体重が減ることで、身体活動が楽になり、自信を取り戻すなど、生活の質の向上にもつながることが期待されます。
2. 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の改善
閉塞性睡眠時無呼吸は、寝ている間に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりを繰り返す病気です。この病気は肥満と密接に関連しており、高血圧、心臓病、脳卒中、糖尿病の悪化など、心臓や脳に大きな負担をかけることが知られています。日中の眠気や集中力の低下など、日常生活にも深刻な影響を及ぼします。
マンジャロは、中等度から重度の閉塞性睡眠時無呼吸と肥満を持つ患者さんを対象とした研究で、睡眠中の無呼吸・低呼吸の回数を示すAHI(無呼吸低呼吸指数)を有意に減少させることが示されました[Malhotra A et al. N Engl J Med. 2023]。これは、呼吸が止まる回数が減り、より質の良い睡眠が得られるようになることを意味します。加えて、体重の減少はもちろんのこと、低酸素状態の改善、炎症の指標であるhsCRPの減少、収縮期血圧の低下など、心血管系のリスク因子も改善することが報告されており、OSAの根本的な改善とそれに伴う全身の健康状態の改善に貢献します。
3. 心血管疾患と2型糖尿病の発症リスク低下
肥満や糖尿病予備群と診断された方は、将来的に心臓病や脳卒中といった心血管疾患(CVD)や、本格的な2型糖尿病を発症するリスクが高いことが知られています。私たちは、単に現在の症状を治療するだけでなく、将来の病気を予防することにも力を入れています。
SURMOUNT-1試験の事後解析では、マンジャロによる治療が、肥満と糖尿病予備群の成人において、アテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)や心不全(HF)、総CVD、さらには2型糖尿病の10年予測リスクを低下させることと関連していることが示されました[Hankosky ER et al. Diabetes Obes Metab. 2025]。これは、マンジャロが単に現在の症状を改善するだけでなく、将来の病気のリスクそのものを減らす可能性を秘めていることを示唆しています。肥満や糖尿病予備群の段階から適切な介入を行うことで、重篤な合併症を未然に防ぎ、患者さんの長期的な健康維持に貢献できると私たちは考えています。
他のGLP-1受容体作動薬(オゼンピック・リベルサス)との違い
現在、2型糖尿病や肥満の治療には、GLP-1受容体作動薬も広く使われています。代表的なお薬としては、週に1回注射するタイプの「オゼンピック」や、毎日飲むタイプの「リベルサス」があります。これらはいずれも「セマグルチド」という同じ有効成分を含んでいます。
では、マンジャロと、これらの既存のGLP-1受容体作動薬には、どのような違いがあるのでしょうか。
最も大きな違いは、マンジャロが「GIPとGLP-1のデュアル作用」を持っているのに対し、オゼンピックやリベルサスは「GLP-1単独の作用」であるという点です。この作用機序の違いが、それぞれの薬剤の効果に影響を与えます。
以下の表で、マンジャロとオゼンピック・リベルサスの主な違いを比較してみましょう。
| 項目 | マンジャロ(有効成分:チルゼパチド) | オゼンピック・リベルサス(有効成分:セマグルチド) |
|---|---|---|
| 作用機序 | GIPとGLP-1の二つのホルモンに作用(デュアル作用) | GLP-1のみに作用(単独作用) |
| 期待される効果 | より強力な血糖コントロールと顕著な体重減少、広範な代謝改善 | 良好な血糖コントロールと体重減少、心血管保護作用 |
| 投与方法 | 週1回皮下注射 | 週1回皮下注射(オゼンピック)、毎日経口(リベルサス) |
このデュアル作用によって、マンジャロはGLP-1単独の薬剤と比較して、より優れた血糖コントロールと、特に顕著な体重減少効果をもたらすことが多くの研究で示されています[Mondoh A et al. Expert Opin Pharmacother. 2025]。例えば、セマグルチドも堅牢な心血管保護効果を提供することが知られていますが、マンジャロは体重減少効果においてさらに優れている可能性があります[Mondoh A et al. Expert Opin Pharmacother. 2025]。
私たち医師は、患者さん一人ひとりの病状、ライフスタイル、治療目標に合わせて、最適な治療薬を検討します。糖尿病の診断時期、合併症の有無、肥満の程度、過去の治療歴など、様々な要素を総合的に評価し、マンジャロを含む適切な薬剤の選択を提案させていただきます。
Q&A:マンジャロに関するよくあるご質問
Q. マンジャロはどのような人が使うことができますか?
A. マンジャロは、食事療法や運動療法を行っても十分な血糖コントロールが得られない2型糖尿病の患者さんに使用が承認されているお薬です。また、肥満症の方への体重減少効果も期待されており、適応外使用となる場合もありますが、医師の判断で検討されることがあります。ご自身の状態に適しているか、まずは医師にご相談ください。
Q. マンジャロを服用すれば必ず体重が減りますか?
A. マンジャロは、多くの患者さんで体重減少効果が報告されていますが、効果には個人差があります。適切な食事管理や運動を併用することで、より効果的な体重減少が期待できます。治療中は医師や管理栄養士の指導のもと、生活習慣の改善にも取り組みましょう。
Q. マンジャロの副作用はどのようなものがありますか?
A. 最も一般的な副作用は、吐き気、嘔吐、下痢、便秘などの消化器症状です。これらは治療開始時や用量が増える段階で一時的に現れることが多いですが、徐々に軽減していくことがほとんどです。低血糖のリスクは低いとされていますが、他の糖尿病治療薬と併用する場合は注意が必要です。気になる症状があれば、すぐに医師にご相談ください。
Q. マンジャロはどこで処方してもらえますか?
A. マンジャロは医師の処方箋が必要な医療用医薬品です。当院では、患者さんの状態を詳しく診察し、マンジャロが適切であると判断した場合に処方しております。糖尿病や肥満症でお悩みの方は、ぜひ一度、当院にご相談ください。
当院では、糖尿病や肥満症の専門医が、患者さん一人ひとりに合わせた丁寧なカウンセリングと治療計画を提供しています。マンジャロに関する疑問や不安、ご自身の健康状態について、お気軽にご相談ください。患者さんの長期的な健康と生活の質の向上を、全力でサポートいたします。
当院は形成外科専門医・美容外科専門医(JSAPS)監修のもと、患者さんの健康と生活の質の向上をサポートしています。マンジャロは、2型糖尿病や肥満症の治療において、多くの方が前向きに生活を改善していくための一助として活用されている新しいお薬です。体重減少がもたらす身体への良い変化や、それによって得られる外見への自信は、患者さんの生活の質(QOL)向上に大きく貢献すると私たちは考えています。このお薬を安全に、そして効果的に使っていくためには、正しい使い方や注意点をしっかりと理解しておくことが何よりも大切です。安心して治療に取り組んでいただけるよう、マンジャロの具体的な使い方やよくある疑問点、そして注意すべき症状と対処法について、医師の立場から詳しくご説明いたします。
マンジャロの具体的な使い方と注意点
マンジャロは、体の中のホルモンに働きかけ、血糖値のコントロールと体重減少を助ける画期的な治療薬です。しかし、どのような良いお薬でも、その効果を最大限に引き出し、安全に使い続けるためには、いくつかの大切なポイントがあります。ご自身の健康を守るために、マンジャロとの付き合い方を正しく理解することが、治療成功の鍵を握ります。
正しい自己注射方法と注射を忘れた時の対処法
マンジャロは、ご自身で週に1回注射していただく「自己注射」タイプの薬剤です。正しい方法で安全に注射するためには、いくつかのポイントを抑えることが大切です。
- 注射前の準備
- 注射の直前には、石鹸で手を洗い、清潔な状態にしてください。
- 冷蔵庫から取り出したマンジャロの注射器(ペン型製剤)を、使用前に室温にしばらく置いておくと、注射時の痛みが和らぐことがあります。
- 薬液に濁りがないか、異物が入っていないか、必ず確認しましょう。
- 針を取り付けるタイプの場合は、新しい針を確実に装着してください。
- 注射部位の選び方
- 注射部位は、お腹、太もも、または二の腕の外側が一般的です。
- 毎回同じ場所に打つと、皮膚が硬くなったり、傷んだりすることがあります。
- これを防ぐため、注射部位を少しずつずらし、ローテーションすることが推奨されます。
- 例えば、お腹の右側、お腹の左側、太ももの右、太ももの左など、前回の場所から離れた場所を選びましょう。
- 注射の手順
- 消毒用アルコール綿で注射する部位を拭き、乾かします。
- 医師や看護師から指導された方法で、皮膚に対して針を垂直に刺します。
- マンジャロのペン型製剤は、多くの場合、ボタンを押すだけで自動的に薬液が注入される仕組みです。
- 注入が完了したら、数秒待ってから針を抜き、使用済みの針は専用の廃棄容器に捨ててください。
- 当院では、自己注射が不安な方のために、経験豊富な看護師が丁寧に指導させていただきます。
- 疑問点は遠慮なくお申し出ください。

(イーライ・リリーHPより引用)
もし注射を忘れてしまった場合は、慌てずに以下のガイドラインに従ってください。
- 注射を忘れても、前回の注射から4日(96時間)以内であれば、気づいた時点で注射してください。
- しかし、4日以上経ってしまっている場合は、その回の注射はスキップし、次の予定日に通常の用量を注射してください。
- 決して2回分を一度に注射したり、自己判断で用量を増やしたりすることは絶対に避けてください。
- 「打ち忘れには注意が必要です」という報告([Hankosky ER et al. Diabetes Obes Metab. 2025])もある通り、適切なタイミングでの投与が効果を維持するために重要です。
- 不明な点があれば、必ず主治医や薬剤師にご相談ください。
起こりやすい消化器症状と5つの対策(吐き気・便秘・下痢など)
マンジャロの治療中に最も多く見られる副作用は、吐き気、下痢、便秘、嘔吐などの消化器症状です。これらの症状は、体が薬に慣れるまでの用量漸増期間中に特に現れやすく、通常は軽度から中等度であり、多くの場合、時間とともに軽減していきます。
SURPASS-1試験の報告では、悪心(吐き気)が12~18%、下痢が12~14%、嘔吐が2~6%の患者さんに見られたと報告されています([Rosenstock J et al. Lancet. 2021])。これらの症状は、マンジャロが胃の動きをゆっくりにする作用などによるものです。
しかし、日常生活に支障をきたすほど症状が強い場合や、長く続く場合は、我慢せずに主治医に相談することが大切です。
これらの消化器症状を和らげるための具体的な対策を5つご紹介します。
- 少量頻回食を心がける:
- 一度にたくさんの量を食べるのではなく、1回の食事量を減らしましょう。
- 食事の回数を増やして、ゆっくりと食べるように意識してください。
- これにより、胃腸への負担を軽減できます。
- 消化の良いものを選ぶ:
- 脂っこいものや香辛料の強いもの、食物繊維が多すぎるものは避けてください。
- おかゆやうどん、蒸し鶏など、胃腸に負担の少ない食事を選ぶと良いでしょう。
- 胃腸がデリケートになっている時期は特に意識してください。
- 十分な水分補給:
- 特に下痢をしている場合は脱水症状になりやすいため、こまめな水分補給が非常に重要です。
- 水やお茶、経口補水液などで意識的に水分を補給しましょう。
- 無理せず休養をとる:
- 体調が優れない時は無理をせず、十分な休息をとることで症状が和らぐことがあります。
- 心身を休ませることも大切な治療の一環です。
- 主治医に相談する:
- 対策を試しても症状が改善しない場合や、症状が悪化する場合は、すぐに医師にご相談ください。
- 薬の量を調整したり、症状を抑える薬を処方したりするなど、適切な対処法を検討します。
- 自己判断で服薬を中止することは、治療の中断につながるため避けましょう。
低血糖を防ぐためのポイントと家族への共有
マンジャロは、単独で使用している場合、低血糖を起こすリスクは比較的低いとされています。実際に、SURPASS-1試験のデータでは、マンジャロ単剤療法における臨床的に有意な低血糖は報告されていません([Rosenstock J et al. Lancet. 2021])。これは、血糖値が高い時にだけインスリン分泌を促すという、マンジャロの作用機序によるものです。
しかし、インスリン製剤やSU薬(スルホニル尿素薬)など、他の血糖値を下げる薬と併用している場合には、低血糖のリスクが高まることがありますので、十分な注意が必要です。
低血糖を防ぐためのポイントは以下の通りです。
- 指示された用量を守る:
- 医師の指示通りに正確な用量を注射し、自己判断で増減しないようにしましょう。
- 用量の変更は、必ず医師の診察を受けてから行ってください。
- 食事を抜かない:
- 食事を抜くと血糖値が下がりやすくなるため、規則正しく3食摂ることが大切です。
- 特に、注射後に食事を抜くことは避けてください。
- 運動量と食事量のバランス:
- 激しい運動をする際は、事前に軽食を摂るなどして低血糖に備えましょう。
- いつもと違う運動をする場合は、事前に医師に相談してください。
- 飲酒は控えめに:
- アルコールは血糖値を下げる作用があるため、飲酒量には注意が必要です。
- 特に空腹時の飲酒は避けるようにしましょう。
万が一、低血糖の症状が現れた場合に備えて、ご自身だけでなく、ご家族にもその兆候と対処法を共有しておくことが非常に重要です。初期段階で対応できれば、重症化を防ぐことができます。
低血糖の主な症状には、以下のようなものがあります。
- 初期症状:
- 震え、冷や汗、動悸、空腹感、脱力感、めまい、意識がぼんやりする。
- 手足のしびれや、集中力の低下、頭痛なども見られることがあります。
- 重症の場合:
- 意識消失、けいれん、昏睡など、命に関わる状態に陥る可能性もあります。
これらの症状が出たら、すぐにブドウ糖10g(市販のブドウ糖タブレット、砂糖やハチミツでも可)を摂取してください。ジュースやスポーツドリンクでも代用できますが、清涼飲料水は種類によって糖質の吸収が遅いものもあるため、ブドウ糖を常に携帯しておくことが最も確実です。摂取後15分経っても症状が改善しない場合は、再度ブドウ糖を摂取し、それでも改善しない場合は救急車を呼ぶなど、速やかに医療機関を受診してください。ご家族にもこの情報を共有し、いざという時に落ち着いて対応できるよう、ぜひ準備しておきましょう。
マンジャロ使用中の食事・飲酒や保管方法
マンジャロ治療を効果的に進めるためには、日々の食事や飲酒の習慣、そして薬剤の適切な保管方法も非常に重要です。これらは薬の効果を左右し、治療の安全性にも影響します。
マンジャロ使用中の食事について
食事は、血糖コントロールの基本中の基本となります。マンジャロは血糖値を下げる働きがありますが、決して食事制限を不要にする薬ではありません。薬の効果を最大限に引き出し、健康的な体重を維持するためにも、以下の点を心がけましょう。
- バランスの良い食事:
- 主食、主菜、副菜を揃え、炭水化物、タンパク質、脂質をバランス良く摂りましょう。
- 特に野菜やきのこ、海藻類など、食物繊維の多い食品を積極的に取り入れると、食後の血糖値上昇を緩やかにし、満腹感を得やすくなります。

- ゆっくりとよく噛んで食べる:
- 早食いは血糖値の急激な上昇を招きやすく、満腹感も得られにくい傾向があります。
- 一口ずつゆっくりとよく噛んで食べることで、消化吸収がスムーズになり、消化器症状の軽減にもつながります。
- 食事時間の管理:
- 毎日決まった時間に食事を摂ることで、血糖値の急激な変動を抑えやすくなります。
- 不規則な食事は、血糖コントロールを乱す原因となります。
マンジャロ使用中の飲酒について
アルコールは、低血糖を引き起こす可能性があるため、飲酒には十分な注意が必要です。
- 特に空腹時の飲酒や多量の飲酒は避けてください。
- アルコールには食欲増進作用があり、飲酒によって食べ過ぎてしまうことで、血糖値の管理が難しくなる可能性もあります。
- 飲酒量については、主治医と相談し、ご自身の体質や治療状況に合わせた適切な量を守るようにしてください。
- 可能であれば、治療中は飲酒を控えることが最も望ましいでしょう。
マンジャロの保管方法
マンジャロは適切な方法で保管しないと、薬の効果が損なわれてしまう可能性があります。以下に示す保管方法を厳守してください。
- 冷蔵庫で保管:
- 未使用のマンジャロは、光を避け、2℃~8℃で冷蔵庫に保管してください。
- 凍結させてしまうと薬の成分が変化してしまうため、絶対に凍らせないように細心の注意が必要です。
- 冷蔵庫の奥など、冷気が直接当たらない場所を選びましょう。
- 使用開始後の保管:
- 使用を開始した後のマンジャロは、冷蔵庫(2℃~8℃)または室温(15℃~30℃)で保管することができます。
- ただし、その期間は最長で21日間です。
- 21日を過ぎた場合は、たとえ薬が残っていても使用せず、廃棄してください。
- 使用開始日を注射器にメモしておくと、期限切れを防ぐのに役立ちます。
- 直射日光・高温を避ける:
- 車内や窓際など、直射日光が当たる場所や高温になる場所での保管は絶対に避けてください。
- 薬の有効成分が分解されてしまい、効果が期待できなくなります。
- 使用済み注射器の廃棄:
- 使用済みの注射器は、針刺し事故を防ぐため、クリニックで配布される専用の廃棄容器に入れるか、丈夫なプラスチック容器(ペットボトルなど)に入れてください。
- 容器がいっぱいになったら、医療機関の指示に従って適切に廃棄しましょう。
- 決して一般ごみとして捨てることのないようにご注意ください。
- 当院でも使用済み注射器の回収を行っておりますので、ご不明な点はお尋ねください。
Q&A:マンジャロに関するよくあるご質問
Q1: 自己注射がどうしても不安なのですが、どうすればよいですか?
A1: 当院では、マンジャロの自己注射について、経験豊富な看護師が丁寧に指導させていただきます。実際に注射器を使って練習したり、患者さんの不安な点や疑問を解消したりする時間を十分に設けておりますので、ご安心ください。注射への不安は、多くの患者さんが抱える共通のものです。決して無理せず、遠慮なくお申し出ください。
Q2: マンジャロで体重が減りすぎてしまうことはありますか?
A2: マンジャロは優れた体重減少効果が期待されますが、過度な体重減少を避けるため、医師と相談しながら用量を調整し、患者さんの健康状態や目標に合わせた適切な体重を目指していきます。例えば、SURMOUNT-1試験では、最大20.9%の体重減少が報告されていますが、これはあくまで平均値であり、個々の患者さんの目標体重設定は慎重に行われます([Jastreboff AM et al. N Engl J Med. 2022])。定期的な診察で体重や体調をしっかりと確認し、異常があればすぐに調整しますのでご安心ください。
当院では、糖尿病や肥満症の専門医が、患者さん一人ひとりに合わせた丁寧なカウンセリングと治療計画を提供しています。マンジャロに関する疑問や不安、ご自身の健康状態について、お気軽にご相談ください。患者さんの長期的な健康と生活の質の向上を、形成外科専門医・美容外科専門医(JSAPS)としての視点も踏まえ、全力でサポートいたします。
当院では、糖尿病や肥満症の専門医が、患者さん一人ひとりに合わせた丁寧なカウンセリングと治療計画を提供しています。マンジャロに関する疑問や不安、ご自身の健康状態について、お気軽にご相談ください。患者さんの長期的な健康と生活の質の向上を、形成外科専門医・美容外科専門医(JSAPS)としての視点も踏まえ、全力でサポートいたします。
マンジャロ治療を長く続けるために知っておくべきこと
マンジャロは、2型糖尿病の血糖コントロール改善や体重減少に効果が期待できる大切なお薬です。しかし、治療は一度始めて終わりではありません。このお薬の効果を最大限に引き出し、安全に長く続けていくためには、患者さんご自身やご家族が知っておくべき重要なポイントがいくつかあります。私たちは、皆さんが安心して治療を継続できるよう、精一杯サポートさせていただきますので、不安なことや疑問なことがあれば、いつでもご相談ください。
マンジャロの治療費用と保険適用の最新情報
マンジャロは、2型糖尿病の治療薬として国の承認を受けています。そのため、私たち医師が診察して治療に必要であると判断した場合、保険適用で処方されます。これにより、高額になりがちな治療費の一部が国や健康保険組合によって補助されます。
患者さんの自己負担割合は、年齢や所得によって異なります。ご自身の健康保険証に記載されている負担割合が適用されます。
- 一般的に、70歳未満の方は3割負担です。
- 70歳以上の方は、所得に応じて1割、2割、または現役並みの所得がある場合は3割負担となります。
例えば、月に一度の診察でマンジャロの処方があった場合、薬剤費に加えて診察料や検査料などがかかります。具体的な費用は、用量や通院頻度、必要な検査内容によって変動しますが、一例として3割負担の方の場合、月に数千円から1万円を超える可能性もあります。
もし医療費の負担が重いと感じる場合には、次のような公的な制度を利用できる場合があります。
- 高額療養費制度(こうがくりょうようひせいど)
- 医療機関や薬局の窓口で支払う自己負担額が、ご自身の所得に応じた一定額を超えた場合に、その超過分が払い戻される仕組みです。
- 事前に申請しておけば、窓口での支払いを上限額までに抑えることも可能です。
- ご自身の負担額が上限を超えそうであれば、加入している健康保険組合や市区町村の窓口にご相談ください。
- 特定疾患医療費助成制度(とくていしっかんいりょうひじょせいせいど)
- 特定の難病患者さんに対する医療費助成制度ですが、糖尿病の重篤な合併症で適用されるケースもあります。
- 詳しい情報については、当院でも費用に関するご相談を承っておりますので、お気軽にお声がけください。
当院は形成外科専門医・美容外科専門医(JSAPS)監修です。患者さんの健康だけでなく、経済的な負担も考慮した治療計画をご提案いたします。
重篤な副作用の兆候と受診の目安
マンジャロは安全性に配慮して開発されたお薬ですが、いくつか注意しておきたい副作用があります。特に、吐き気や下痢、嘔吐といった消化器系の症状は比較的よく見られ、複数の臨床試験でも報告されています([Rosenstock J et al. Lancet. 2021])。
しかし、ほとんどの場合、これらの症状は軽度から中等度であり、お薬の量を増やし始めた頃に一時的に現れることが多いです。多くの場合、体が薬に慣れるとともに徐々に軽減していきます。もし、これらの症状が強く出たり、長く続いたりする場合は、決して我慢せずに私たち医師や薬剤師にご相談ください。
より稀ですが、私たち医師が特に注意している重篤な副作用もあります。これらの病気の兆候を早期に発見し、適切に対処することが非常に重要です。
- 急性膵炎(きゅうせいすいえん)の兆候
- 膵臓が炎症を起こす病気で、激しい腹痛(特にみぞおちから背中にかけて広がる痛み)、吐き気、嘔吐、発熱などが現れた場合。
- 胆のう炎(たんのうえん)の兆候
- 胆のうが炎症を起こす病気で、右上腹部の痛み、発熱、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる症状)などが現れた場合。
- 急性腎障害(きゅうせいじんしょうがい)の兆候
- 急激に腎臓の機能が悪化する状態です。尿量の減少、むくみ、だるさ、食欲不振などが見られることがあります。
- GLP-1受容体作動薬全般で報告されることがあり、マンジャロについても注意が必要です([Galindo RJ et al. Diabetes therapy. 2026])。
これらの兆候が見られた場合は、すぐにマンジャロの使用を中止してください。そして、速やかに医療機関を受診することが、重篤な合併症を防ぐ上で非常に重要です。体調に異変を感じたら、ためらわずに私たち医師や薬剤師にご連絡ください。早めの対応が大切です。
妊娠・授乳中、他の持病がある場合の注意点
マンジャロは、妊娠を希望している方、現在妊娠中の方、授乳中の方への使用は推奨されておりません。動物実験では胎児への影響が報告されているため、十分な安全性が確認されていないためです。もし妊娠の可能性がある場合は、必ず事前に医師にその旨をお伝えください。お薬の種類を変更したり、治療計画を再検討したりする必要があります。安心して治療を継続できるよう、私たち医師にご相談ください。
また、マンジャロは2型糖尿病や肥満の治療薬として効果が確認されています。しかし、患者さんの他の持病によっては、使用に際して特別な注意が必要になる場合があります。
- 特に慎重な検討が必要なケース
- 重度の腎機能障害や肝機能障害がある方
- 甲状腺髄様がんの既往がある方や、ご家族に甲状腺髄様がんの患者さんがいる場合
- 複数の内分泌腫瘍を伴う症候群(多発性内分泌腫瘍症2型:MEN2型)の患者さん
これらの病気をお持ちの方への使用については、私たち医師が患者さんの全身の状態を詳しく評価し、マンジャロを使用するメリットとデメリットを慎重に判断する必要があります。
一方で、マンジャロの有効成分であるチルゼパチドは、心不全や代謝機能不全に伴う脂肪性肝炎に対して良い影響をもたらす可能性も研究で報告されています([Galindo RJ et al. Diabetes therapy. 2026])。さらに、心血管疾患のリスク低減に寄与することも示唆されています([Mondoh A et al. Expert Opin Pharmacother. 2025])。
ご自身の判断でマンジャロの治療を始めることや中止することは、大変危険です。必ず主治医に、現在抱えている全ての持病や服用中のお薬について詳しくお話しください。私たち形成外科専門医・美容外科専門医(JSAPS)監修のクリニックでは、患者さんの全身の状態を総合的に評価し、安全かつ効果的な治療を目指します。
糖尿病合併症の予防と健康的な生活習慣の継続
マンジャロは、2型糖尿病の血糖コントロール改善や体重減少に大変効果的なお薬であり、糖尿病に伴う合併症のリスクを減らす上でも大きな期待が寄せられています。特に、肥満と糖尿病予備群の方を対象とした研究では、マンジャロの使用が心血管疾患の将来的な発症リスクを長期的に低下させる可能性が示されています([Hankosky ER et al. Diabetes Obes Metab. 2025])。
具体的には、心筋梗塞や脳卒中といったアテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)や、心不全(HF)のリスク低下に関連することが報告されています。さらに、本格的な2型糖尿病の発症リスクも低下させることが示唆されています([Hankosky ER et al. Diabetes Obes Metab. 2025])。これらのデータは、マンジャロが単に現在の症状を改善するだけでなく、全身の健康を長期的にサポートする役割も担っていることを示しています。
しかし、お薬だけに頼るのではなく、日々の生活習慣を整えることが、マンジャロの効果を最大限に引き出し、合併症を予防するためには不可欠です。バランスの取れた食事や適度な運動を続けることは、血糖値や体重の管理だけでなく、全身の健康を保つ上で非常に重要です。
- 健康的な生活習慣のポイント
- バランスの取れた食事
- 血糖値や体重の管理の基本となります。管理栄養士が患者さんに合わせた食事計画をサポートします。
- 適度な運動の継続
- 血糖コントロールや体重減少を促進します。無理なく続けられる運動習慣を一緒に見つけましょう。
- バランスの取れた食事
当院では管理栄養士による栄養指導や運動指導も行っています。皆さんが無理なく健康的な生活習慣を続けられるよう、個別のサポートを提供しています。
また、定期的に受診し、血糖値や血圧、脂質などの検査を受けることも忘れないでください。糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害といった合併症の早期発見に努めることが大切です。これらの合併症は、早期に発見し対処することで、進行を遅らせることができます。マンジャロは体重減少効果も期待でき、見た目の改善や活動量の増加につながります。形成外科専門医・美容外科専門医(JSAPS)として、私たちは患者さんの生活の質の向上を重視しています。お薬と生活習慣の両面から、一緒に健康で充実した未来を目指しましょう。
Q&A:マンジャロに関するよくあるご質問
Q1: マンジャロを一度使い始めたら、一生使い続ける必要がありますか?
A1: マンジャロの治療期間は、患者さんの病状や治療目標によって異なります。私たち医師が効果や安全性を定期的に評価しながら、最適な治療計画を立てていきます。自己判断で治療を中止することは、病状の悪化につながる可能性があるため、必ず医師と相談してください。
Q2: マンジャロ以外に、糖尿病や肥満の新しい治療法はありますか?
A2: 糖尿病や肥満の治療は日々進歩しており、マンジャロ以外にも様々な新しいお薬や治療法が開発されています。当院では、患者さんの状態やライフスタイル、治療目標に合わせて、最新の情報に基づいた最適な治療法を医師が提案いたします。ご自身の健康状態に適した治療選択肢について、お気軽にご相談ください。
当院では、糖尿病や肥満症の専門医が、患者さん一人ひとりに合わせた丁寧なカウンセリングと治療計画を提供しています。マンジャロに関する疑問や不安、ご自身の健康状態について、お気軽にご相談ください。形成外科専門医・美容外科専門医(JSAPS)としての視点も踏まえ、患者さんの長期的な健康と生活の質の向上を全力でサポートいたします。
まとめ
マンジャロは、2型糖尿病の新しい治療薬として注目されていますね。GIPとGLP-1という二つのホルモンに同時に働きかける「デュアル作用」によって、優れた血糖コントロールだけでなく、これまでの薬では難しかった顕著な体重減少効果も期待できます。肥満症や睡眠時無呼吸の改善、心血管疾患リスクの低減など、幅広い効果が研究で示されていますよ。
安全に効果を最大限に引き出すためには、正しい使い方や注意点を理解し、食事や運動といった生活習慣の改善も大切です。もし、ご自身の体調や治療についてご不安があれば、専門医に相談して、あなたに合った治療計画を見つけることが、健康な未来への第一歩となります。
参考文献
- Hankosky ER, Lebrec J, Lee CJ, Dimitriadis GK, Jouravskaya I, Stefanski A, Garvey WT. “Tirzepatide and the 10-year predicted risk of cardiovascular disease and type 2 diabetes in adults with obesity and prediabetes: A post hoc analysis from the three-year SURMOUNT-1 trial.” Diabetes, obesity & metabolism 27, no. 12 (2025): 7385-7394.
- Mondoh A, Crotty M, le Roux CW. “Tirzepatide vs. semaglutide: clinical decision-making in the GLP-1 landscape.” Expert opinion on pharmacotherapy 26, no. 17 (2025): 1841-1854.
- Galindo RJ, Cheng AYY, Longuet C, Ai M, Coskun T, Malik R, Peleshok J, Levine JA, Dunn JP. “Insights into the Mechanism of Action of Tirzepatide: A Narrative Review.” Diabetes therapy : research, treatment and education of diabetes and related disorders 17, no. 1 (2026): 19-40.
- Rosenstock J, Wysham C, Frías JP, Kaneko S, Lee CJ, Fernández Landó L, Mao H, Cui X, Karanikas CA, Thieu VT. “Efficacy and safety of a novel dual GIP and GLP-1 receptor agonist tirzepatide in patients with type 2 diabetes (SURPASS-1): a double-blind, randomised, phase 3 trial.” Lancet (London, England) 398, no. 10295 (2021): 143-155.
- 新薬:チルゼパチド (マンジャロ(™))