名古屋市「新瑞橋」美容外科・美容皮膚科・形成外科・一般皮膚科

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腕や足に赤い線が…急性リンパ管炎の見分け方と治療

(MSDマニュアルより引用)

腕や足に見慣れない赤い線が一本、すっと伸びているのを見つけ、不安に感じていませんか。それは「急性リンパ管炎」という、細菌感染症の危険なサインかもしれません。

原因は、虫刺されの掻き壊しや、ささくれといった日常の些細な傷であることがほとんどです。しかし、「たかが傷」と甘く見て放置すると、細菌が全身に回る「敗血症」に至ることもあり、命に関わるケースも少なくありません。特に38度以上の高熱や悪寒を伴う場合は、緊急の対応が必要です。

この記事では、形成外科の専門医が、急性リンパ管炎の正しい見分け方から、病院へ行くべき危険なサイン、そして再発を防ぐ方法までを徹底解説します。手遅れになる前に、ご自身の症状と照らし合わせてみてください。

その赤い線は病気のサイン?急性リンパ管炎の症状と原因

監修:医師(形成外科専門医・美容外科専門医 Re:Birth Clinic NAGOYA 院長)

腕や足に、これまでなかった赤い線がすっと伸びているのを見つけ、不安に感じていらっしゃいませんか。その症状は、もしかすると「急性リンパ管炎」という病気のサインかもしれません。

急性リンパ管炎は、皮膚の小さな傷から細菌が入り込むことで起こる感染症です。放置すると症状が悪化し、重篤な状態に至ることもあるため、正しい知識を持って早めに対処することが非常に大切です。

ここでは、急性リンパ管炎に特徴的な症状や、その原因について、形成外科・美容外科の専門医が詳しく解説します。

血管に沿って現れる赤い線の正体

腕や足に現れる赤い線を、血管が浮き出ているように感じる方もいるかもしれません。しかし、この赤い線の正体は血管ではなく、細菌感染によって炎症を起こした「リンパ管」です。

リンパ管は、血液が流れる血管とは別に、全身に網の目のように張り巡らされています。リンパ管の中を流れるリンパ液は、体の老廃物を回収したり、細菌やウイルスから体を守る免疫機能の最前線を担っています。

この重要なリンパ管が細菌感染を起こすと、炎症反応によって赤く腫れ上がります。その状態が、皮膚の上から線状に透けて見えるのが、急性リンパ管炎の特徴的な赤い線です。多くの場合、腕や脚に現れ、ケガをした場所から体の中心部に向かって伸びていきます。
   (リンパ管の走行)

痛み・腫れ・発熱など付随する具体的な症状

急性リンパ管炎は、皮膚に現れる赤い線だけでなく、さまざまな全身症状を引き起こします。ご自身の状態と照らし合わせ、一つでも当てはまる場合は注意が必要です。

【急性リンパ管炎の主な症状チェックリスト】

  • 皮膚の症状
    • ☐ 腕や足に、不規則な赤い線が現れる
    • ☐ 赤い線に沿ってズキズキとした痛みがある
    • ☐ 赤い線の周りが熱を持っている
    • ☐ もともとの傷口の周りが赤く腫れている
    • ☐ 水ぶくれ(水疱)ができることがある
  • 全身の症状
    • ☐ 悪寒や体の震えを伴う38度以上の高熱
    • ☐ 体が重く感じる強いだるさ(倦怠感)
    • ☐ 頭痛や筋肉痛、関節痛がある
    • ☐ 食欲がない
  • リンパ節の症状
    • ☐ 脇の下や足の付け根(鼠径部)のリンパ節が腫れて痛む

特に、悪寒や発熱、だるさといった全身症状が、皮膚の赤い線より先に現れることも少なくありません。風邪だと思っていたら、数時間後から半日後に腕や足に赤い線が出てきて、そこで初めて皮膚の感染症に気づくというケースも珍しくないのです。

なぜ赤い線が伸びるのか?リンパの流れと感染のメカニズム

では、なぜ細菌に感染すると、リンパ管に沿って赤い線が伸びていくのでしょうか。その理由は、私たちの体に備わっている防御システムである「リンパ系」の仕組みと深く関係しています。

リンパ管は、体内に侵入した細菌などを捕獲し、免疫細胞が集まる「リンパ節」という関所のような場所へと運びます。リンパ節は脇の下や足の付け根などにあり、ここで細菌を食い止め、全身に広がらないように防いでいます。

しかし、傷口から侵入した細菌の毒性や勢いが強い場合、リンパ管の中をリンパの流れに乗って移動しながら増殖していきます。この細菌の侵攻を食い止めるため、体の免疫細胞がリンパ管に集まって激しい戦いを始めます。

この戦いによって起こる「炎症」こそが、皮膚を通して赤い線として私たちの目に見えているのです。赤い線が体の中心に向かって伸びていくのは、細菌がリンパの流れに乗り、リンパ節へと運ばれていく過程で感染が拡大していることを示しています。

多くの場合は小さな傷から細菌が侵入して発症する

急性リンパ管炎は、皮膚にできたごく小さな傷が原因で発症することがほとんどです。原因菌の多くは「A群β溶血性レンサ球菌」や「黄色ブドウ球菌」などで、私たちの皮膚の表面や身の回りに常に存在している、ごくありふれた細菌です。

【感染の入り口になりやすい傷の例】

  • 切り傷、すり傷
  • 虫刺されを掻き壊した跡
  • 水虫(足白癬)による皮膚の亀裂やひび割れ
  • ささくれ、深爪
  • 庭仕事などで植物のトゲが刺さった傷
  • 猫や犬などペットによるひっかき傷
  • 調理中に魚のヒレやエラでできた傷

このように、日常生活で誰もが経験するような些細な傷が、感染のきっかけとなり得ます。特に、疲労やストレス、他の病気(例えば糖尿病や、ステロイド治療を受けている方など)で体の抵抗力(免疫力)が落ちているときは注意が必要です。普段なら問題にならないような細菌でも感染を起こしやすくなります。


Q&A

Q. 目に見えるような傷がないのに赤い線が出ました。なぜでしょうか? A. ご自身では気づかないほどの小さな傷、例えば毛穴や、乾燥による微細な皮膚の亀裂などから細菌が侵入することがあります。原因となる傷がはっきりしない場合でも、急性リンパ管炎を疑う症状がみられる場合は、感染が広がっている可能性があるため、速やかな医療機関の受診が重要です。


腕や足の赤い線に気づいたら、自己判断で様子を見るのは危険です。お早めに当院の形成外科・皮膚科へご相談ください。適切な診断と早期治療で、症状の悪化を防ぎ、合併症のリスクを下げることができます。

急性リンパ管炎の正しい治療法と放置するリスク

腕や足に突然現れた赤い線。ズキズキとした痛みや熱も伴うと、「このまま放っておいて大丈夫だろうか」「どうすれば治るのだろう」と不安になりますよね。

急性リンパ管炎は、細菌による感染症であり、正しい治療を受ければきちんと治すことができます。しかし、適切な処置をせずに放置してしまうと、症状が全身に広がり、命に関わる危険な状態につながることもあります。

ここでは、急性リンパ管炎の正しい治療法、完治までの目安、そして放置した場合のリスクについて、形成外科・美容外科の専門医が詳しく解説します。

基本は抗生物質の内服または点滴による治療

急性リンパ管炎の治療の柱は、原因となっている細菌を攻撃するための「抗生物質(抗菌薬)」の使用です。

原因菌の多くは「レンサ球菌」や「ブドウ球菌」であるため、これらの菌に効果の高いペニシリン系やセフェム系の抗生物質が第一選択薬として用いられます。治療法は、症状の重さによって大きく2つに分けられます。

  • 軽症の場合  飲み薬(内服薬)の抗生物質が処方されます。ご自宅で安静にしながら、医師の指示通りに薬を服用することで、多くは快方に向かいます。
  • 重症の場合  38度以上の高熱が出ている、痛みが非常に強い、赤い線が急速に広がっているといった場合は、入院が必要です。点滴で抗生物質を直接血管に投与する治療(静脈内投与)を行います。点滴は、薬の成分を血流に直接送り込むため、飲み薬よりも早く、そして確実に体内の細菌を攻撃できるという利点があります。

薬による治療と同時に、炎症を早く鎮めるための患部のケアも非常に重要です。

  • 安静を保つ  患部をなるべく動かさないように心がけましょう。
  • 患部を高く保つ(挙上)  腕や足の下にクッションや枕を置き、心臓より高い位置に保ちます。リンパ液の流れを助け、腫れや痛みを和らげる効果が期待できます。

適切な薬物治療と患部のケアを組み合わせることで、症状は着実に改善していきます。


【Q&A】

Q. どんな薬が使われますか?市販の薬ではダメですか? 
A. 原因菌として最も多いレンサ球菌に有効なペニシリン系の抗生物質(アモキシシリンなど)がよく使われます。痛みが強い場合には、解熱鎮痛剤をあわせて処方することもあります。自己判断で市販の塗り薬などを使うと、原因菌に合わないばかりか、かぶれなどを起こして症状を悪化させる可能性があります。必ず医療機関で診察を受け、処方された薬を使用してください。

完治までにかかる治療期間の目安と回復過程

急性リンパ管炎の治療期間は、症状の重さや治療を始めたタイミングによって異なりますが、一般的な回復過程の目安は以下の通りです。

【治療期間の目安】

  • 抗生物質の内服・点滴期間  5日〜10日間程度
  • 症状が完全に消えるまで  1週間〜数週間

治療を始めると、体の中では次のようなステップで回復が進んでいきます。

【回復までのステップ】

  1. 治療開始〜3日目  抗生物質が効き始め、高熱や悪寒、体の痛みといった全身のつらい症状が和らいできます。
  2. 3日目〜1週間  腕や足の赤い線が徐々に薄くなり始め、腫れや痛みも少しずつ引いていきます。
  3. 1週間〜  ほとんどの症状がなくなり、普段の生活に支障がない状態まで回復します。

ここで最も大切なのは、「症状が良くなった」と感じても、医師から指示された期間、必ず抗生物質を飲みきることです。途中で薬をやめてしまうと、体内で生き残っていたわずかな細菌が再び増殖し、再発してしまう可能性があります。

急性リンパ管炎は再発を繰り返しやすいという特徴もあるため、最初の治療で完全に治しきることが、その後の再発を防ぐ上で非常に重要になります。

放置は危険!敗血症など命に関わる合併症の可能性

「ただの傷だから」「そのうち治るだろう」と軽く考え、急性リンパ管炎を放置することは非常に危険です。リンパ管の中だけの感染が、より深刻な状態へと進行してしまう可能性があります。

【放置した場合に起こりうる合併症】

  • 蜂窩織炎(ほうかしきえん)  感染がリンパ管という「線」から、周辺の皮膚や皮下脂肪といった「面」へと広範囲に広がった状態です。より強い痛みや腫れ、熱感を伴います。
  • 膿瘍(のうよう)形成  感染した場所に細菌の死骸や白血球が集まり、膿がたまってしまう状態です。抗生物質だけでは治らず、皮膚を小さく切開して膿を出す処置が必要になることもあります。
  • 敗血症(はいけつしょう)  最も危険な合併症です。細菌がリンパ管の壁を破って血液の中に侵入し、血流に乗って全身に回ってしまう状態を指します。血圧の急激な低下や意識の混濁など、命に関わるショック状態に陥ることがあり、緊急の集中治療が必要となります。

これらの重い合併症は、適切な初期治療で防ぐことが可能です。腕や足にできた傷の周りから赤い線が伸びてきたり、強い痛みや発熱を伴ったりした場合は、決して自己判断で様子を見ずに、できるだけ早く医療機関を受診してください。ご自身の症状に不安を感じる方は、お早めに当院の形成外科へご相談ください。

治療中の飲酒・入浴・運動など日常生活での注意点

急性リンパ管炎の治療中は、薬をきちんと飲むだけでなく、日常生活での過ごし方も回復を早めるためにとても重要です。特に注意していただきたい点をまとめました。

  • 安静を保つ  治療の基本です。患部を安静にし、心臓より高く上げる「挙上」をできるだけ意識してください。血流が穏やかになり、炎症が広がるのを防ぎ、腫れを早く引かせる効果があります。
  • 飲酒は厳禁  アルコールは血管を拡張させ、血行を促進する作用があります。これにより炎症が悪化し、痛みや腫れが強くなる可能性があるため、治療中は必ず禁酒してください。また、薬の効果に影響を与えたり、副作用を強めたりすることもあります。
  • 入浴はシャワーで済ませる  湯船に浸かって体を温めると、血行が良くなりすぎるため、炎症が悪化する可能性があります。治療の初期は、ぬるめのシャワーで短時間で済ませるのがよいでしょう。患部は清潔に保つことが大切ですが、石鹸でゴシゴシこすらず、優しく泡で洗い流すようにしてください。
  • 運動は完全に中止する  ウォーキングや筋力トレーニングなどの運動は、血行を促進し、患部に負担をかけるため、症状が完全に治まるまではお休みしてください。医師の許可が出るまでは、無理は禁物です。

Q&A

Q. 治療中、食事で気をつけることはありますか? 
A. 特別な食事制限はありませんが、体の免疫力を高め、回復を後押しするために、栄養バランスの取れた食事を心がけることが大切です。特に、皮膚や筋肉の材料となるタンパク質や、体の調子を整えるビタミン、ミネラルを意識して摂取するとよいでしょう。また、発熱などによる脱水を防ぐためにも、水分補給はこまめに行ってください。

何科を受診?病院へ行くべきサインと再発予防策

腕や足に突然赤い線が伸びてきたら、誰でも驚き、不安になりますよね。その症状は「急性リンパ管炎」という、細菌感染によって起こる病気のサインかもしれません。

この病気は基本的に医療機関での治療が必要ですが、「何科に行けばいいの?」「このまま様子を見ても大丈夫?」と迷う方も多いでしょう。

ここでは、受診すべき診療科の選び方から、一刻も早く病院へ行くべき危険な症状、そして治療後に大切な再発予防策まで、形成外科の専門医が具体的に解説します。適切な対応で症状の悪化を防ぎ、きちんと治して再発を防ぎましょう。

皮膚科か内科か外科か、迷った際の診療科の選び方

急性リンパ管炎が疑われる場合、原因や症状によって適した診療科が異なります。以下のポイントを参考に、ご自身の状況に最も近い科を選びましょう。

  • 皮膚科  虫刺されを掻き壊した、水虫(足白癬)で皮膚がジュクジュクしているなど、はっきりとした皮膚のトラブルが原因で赤い線が出てきた場合に適しています。
  • 内科・感染症内科  皮膚の症状よりも、38度以上の高熱や悪寒、体のだるさといった全身の症状が強く出ている場合に適しています。体の中で起きている感染症を総合的に診療します。
  • 外科・形成外科  ガラスで深く切った、調理中に魚のヒレが刺さったなど、外科的な処置が必要な傷が原因の場合に適しています。傷の処置と感染症治療を同時に行えるのが特徴です。

【医師からのアドバイス】 もしどの科を受診すべきか迷った場合は、まずは原因となった傷の治療を専門とする形成外科皮膚科を受診することをお勧めします。特に形成外科は、傷をきれいに治すプロフェッショナルであり、感染症の管理まで一貫して行うことができます。

当院の形成外科では、原因となる傷の専門的な処置から皮膚症状の診断、全身状態の管理まで総合的に診療いたします。何科に行けばよいか迷われた際は、まずはお気軽にご相談ください。


Q&A

Q. 赤い線は、すべて細菌感染が原因なのでしょうか? A. いいえ、そうとは限りません。非常にまれですが、虫刺されなどがきっかけで起こる「アレルギー性リンパ管炎」の可能性もあります。この場合、赤い線は現れますが、高熱や強い痛みといった感染症特有の症状はみられないことが多いです。アレルギーが原因のため、抗菌薬(抗生物質)は効かず、抗アレルギー薬による治療が必要です。自己判断はせず、医師の診断を受けることが重要です。


すぐに病院へ行くべき危険な症状のチェックリスト

急性リンパ管炎は、治療が遅れると細菌が血液にのって全身に広がる「敗血症」という、命に関わる状態に陥る可能性があります。

以下の症状が一つでも当てはまる場合は、放置せず、夜間や休日であっても救急外来を受診してください。

【危険な症状セルフチェック】

  • ☐ 赤い線が急速に(数時間単位で)体の中心に向かって伸びている
  • ☐ 38℃以上の高熱が出て、市販の解熱剤が効きにくい
  • ☐ 悪寒がして、ガタガタと体が震える
  • ☐ ズキズキとした痛みが我慢できないほど強い
  • ☐ 赤い線の周りも広範囲に赤く腫れ、熱を持っている(蜂窩織炎の合併)
  • ☐ 意識がぼんやりする、ぐったりして動けない
  • ☐ 呼吸が速い、息苦しさを感じる

これらの症状は、体が細菌と激しく戦っているサインであり、緊急の治療が必要です。特に、糖尿病の持病がある方や、他の病気の治療でステロイドや免疫抑制薬を使用している方は、感染症が重症化しやすいため、より一層の注意が求められます。

自宅でできる応急処置と絶対にやってはいけないこと

医療機関を受診するまでの間、症状を悪化させないためにご自宅でできることと、逆にやってはいけないことがあります。正しく対処して、速やかに専門医の診察を受けましょう。

【受診前にできる応急処置】

  • 安静にする  体を休ませ、免疫力が細菌と戦うのを助けます。
  • 患部を高く保つ(挙上)  赤い線が出ている腕や足を、クッションや枕を使って心臓より高い位置に保ちます。リンパの流れがスムーズになり、腫れや痛みの軽減が期待できます。
  • 患部を冷やす  痛みや熱感が強い場合、清潔なタオルで包んだ保冷剤などで15分程度を目安に優しく冷やします。冷やしすぎると血行不良になるため注意してください。

【絶対にやってはいけないNG行動】

  • 患部を温める  カイロを貼ったり、熱いお風呂に長く浸かったりすると血行が促進され、かえって炎症や感染が広がる可能性があります。
  • 患部をマッサージする  痛いからといって揉んだり押したりすると、リンパの流れに乗って細菌をさらに奥へ広げてしまう恐れがあります。絶対にやめましょう。
  • 自己判断で薬を塗る・飲む  原因が細菌感染かアレルギーかによって治療薬は全く異なります。もし感染症にステロイド軟膏を塗ると、細菌の増殖を助けてしまい、症状を悪化させる危険があります。

繰り返さないために重要な傷の正しい手当てとスキンケア

急性リンパ管炎は、一度治っても、皮膚のバリア機能が低下していると再発を繰り返しやすいという特徴があります。

ある海外の研究では、抗生物質による治療だけでなく、患部のスキンケアを日常的にしっかり行うだけでも、急性リンパ管炎の再発率が有意に低下したことが報告されています。つまり、皮膚を健康な状態に保つことが、最大の予防策なのです。

【再発予防のための2大原則】

  1. 原則1:細菌の侵入路を断つ「正しい創傷ケア」
    • すぐに洗浄する  小さな切り傷、すり傷、ささくれでも放置せず、すぐに水道の流水で十分に洗い流し、泥などの異物を落とします。消毒液は正常な細胞も傷つけることがあるため、基本的には不要です。
    • 清潔に保護する  洗浄後は、清潔なガーゼや絆創膏で傷口を保護し、外部からの刺激や細菌の侵入を防ぎましょう。
  2. 原則2:皮膚のバリア機能を守る「毎日のスキンケア」
    • 保湿を徹底する  皮膚が乾燥すると、目に見えない無数の亀裂が生じ、そこから細菌が侵入しやすくなります。特に入浴後は、保湿クリームを優しく塗って皮膚の潤いを保ちましょう。
    • 清潔を保つ  足や手、特に細菌がたまりやすい指の間などを毎日丁寧に洗い、清潔を心がけることが大切です。

Q&A

Q. 一度かかると癖になる、と聞きました。本当ですか? A. 急性リンパ管炎そのものが「癖になる」わけではありません。しかし、足のむくみ(リンパ浮腫)や血行障害などの基礎疾患がある方、あるいは水虫や乾燥肌のケアを怠っている方は、細菌の侵入を許す「入り口」が常に存在するため、再発のリスクが高まります。適切な治療と日々の正しいケアを続けることで、再発は十分に防ぐことができます。


腕や足の赤い線に気づいたら、決して自己判断せず、お早めに当院の形成外科へご相談ください。早期の的確な診断と治療が、重症化を防ぐ鍵となります。

まとめ

今回は、腕や足に現れる赤い線の正体である「急性リンパ管炎」の症状や治療法について詳しく解説しました。

この症状は、皮膚の些細な傷から細菌が侵入することで起こる感染症です。「ただの傷」と軽く考えがちですが、放置すると敗血症など命に関わる危険な状態に進行する可能性があります。

最も大切なのは、赤い線や腫れ、痛み、発熱などのサインに気づいたら、自己判断で様子を見ずに、できるだけ早く皮膚科や形成外科を受診することです。早期に適切な抗生物質で治療すれば、きちんと治せる病気です。この記事を参考に、ご自身の体を守るための正しい一歩を踏み出してくださいね。

参考文献

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