名古屋市「新瑞橋」美容外科・美容皮膚科・形成外科・一般皮膚科

ブログ
Blog

【医師監修】ピアスケロイドの最新治療法まとめ

鏡を見るたびに気になる、ピアスホールのしこり。「いつか治るだろう」と自己判断で放置していませんか?その正体は、自然治癒せずに徐々に大きくなる「ピアスケロイド」かもしれません。

ピアスケロイドは体質が原因で、安易に手術で切除しただけでは再発率が80%を超えるというデータもあるほど、非常に厄介な存在です。似ているけれど原因が全く違う「ピアス肉芽腫」との見分けを誤ると、治療が遠回りになってしまうこともあります。

この記事では、医師の監修のもと、ご自身の症状を正しく見極めるセルフチェックから、保険適用で受けられる最新の治療法までを徹底解説。後悔しないための正しい知識を身につけ、長年の悩みを解消する第一歩を踏み出しましょう。

そのしこり、本当にピアスケロイド?ピアス肉芽腫との見分け方

ピアスホールにできたしこり。「これって何だろう…」と鏡を見るたびに不安な気持ちになっていませんか?

そのしこりの正体は、「ピアスケロイド」か「ピアス肉芽腫」のどちらかである可能性が高いです。

この二つは見た目が似ているため混同されがちですが、しこりができる原因や性質は全く異なります。ご自身の症状を正しく見極めることが、適切な治療への大切な第一歩です。それぞれの特徴を知り、不安を解消していきましょう。

ピアスケロイドの見た目と症状の特徴

ピアスケロイドは、ピアスによる小さな傷に対して、皮膚の細胞が過剰に反応してしまうことで起こります。傷を治そうとする働きが暴走し、コラーゲンなどが異常に増え続けることで、元の傷跡の範囲を越えて大きく硬く盛り上がってしまうのです。

これは体質的な要因が大きく、一度できると自然に治ることはありません。

《見た目の特徴》

  • 赤みや茶褐色を帯びている
  • 表面はなめらかでツルツルしている
  • 触るとゴムのような弾力のある硬さを感じる
  • 耳の前面と後面の両方にでき、鉄アレイのような形になることも

《症状の特徴》

  • かゆみや、チクチクとした痛みを感じることがある
  • 時間とともに少しずつ大きくなる傾向がある

特に、耳の後ろ側にできやすいという特徴があります。これは、ピアスの留め具(キャッチ)による慢性的な刺激が、局所的な炎症を悪化させている可能性が研究で指摘されています。

ピアス肉芽腫の見た目と症状の特徴

ピアス肉芽腫は、ピアスホールがまだ不安定な時期に、刺激や感染が加わることで発生します。傷を修復するために作られる「肉芽組織」という、いわば”かさぶたのなりかけ”のようなものが過剰にできてしまった状態です。

ピアスの頻繁な付け外しや、不衛生な状態が引き金となることがあります。

《見た目の特徴》

  • 赤く、プクッとしたイボのような見た目
  • ケロイドに比べてやわらかい
  • じゅくじゅくしたり、少し触れただけで出血しやすい
  • 盛り上がりはピアスホールの周囲にとどまることが多い

《症状の特徴》

  • 触ると痛みを感じることがある
  • ピアスを開ける際の不適切な処置や、その後の衛生管理の不備が原因で起こりやすい合併症の一つです。

適切なケアで改善することもありますが、気になって触りすぎるとかえって悪化させてしまうため注意が必要です。

自分でできる簡単セルフチェックリスト

ご自身のしこりがどちらのタイプに近いか、以下の項目で確認してみましょう。 これはあくまでセルフチェックであり、正確な診断は必ず医師が行います。

【しこりの見た目・感触】

  • □ 表面はツルツルして硬い(→ケロイドの可能性)
  • □ 赤くプクッとしていて、やわらかい(→肉芽腫の可能性)
  • □ 触ると簡単に出血したり、液体が出たりする(→肉芽腫の可能性)

【自覚症状】

  • □ 強いかゆみや、皮膚が引っ張られるような感覚がある(→ケロイドの可能性)
  • □ 触ったときに痛みがある(→肉芽腫の可能性)

【大きさの変化】

  • □ もとのピアスホールの範囲を越えて大きくなっている(→ケロイドの可能性)
  • □ 盛り上がりはピアスホールの周りだけ(→肉芽腫の可能性)

【期間】

  • □ 症状が1週間以上続いている

もし、これらの項目に一つでも当てはまるようなら、自己判断で市販薬を塗ったりせず、できるだけ早く皮膚科や形成外科を受診してください。

ピアスケロイドの治療法 全6種類を徹底比較

ピアスケロイドの治療には、確立された「これだけやっておけば大丈夫」という単一の方法は存在しません。ケロイドができた場所、大きさや硬さ、症状が出てからの期間などを総合的に判断し、いくつかの治療法を組み合わせていくのが基本です。

最適な治療は、まさに十人十色。それぞれの治療法の特徴を正しく理解し、あなたにとって最善の道を一緒に探していきましょう。

保存的治療(塗り薬・貼り薬・圧迫療法)

手術以外の方法で、体に負担をかけずに症状を和らげる治療法です。主に、でき始めの小さなケロイドや、手術後の再発を防ぐ目的で行われます。

ただし、これらの治療だけで、ある程度大きくなったケロイドを完全に消し去るのは難しいのが現実です。

  • 塗り薬・貼り薬(ステロイド外用薬) ステロイド成分には、ケロイド内部で異常に活発になっている細胞の働きを鎮め、赤みやかゆみ、盛り上がりを抑える作用があります。テープ剤や塗り薬を毎日使うことで、症状の悪化を防ぎます。

  • 飲み薬(抗アレルギー薬) 「リザベン」という薬を内服する治療法です。この薬は、かゆみを抑えるだけでなく、ケロイドの主成分であるコラーゲンが過剰に作られるのを防ぐ働きがあり、ケロイドが硬く大きくなるのを食い止める効果が期待できます。

  • 圧迫療法 ケロイド部分をスポンジやシリコンシートなどで持続的に圧迫し、血流を意図的に乏しくさせることで、細胞の増殖を抑え込む方法です。耳たぶにできたケロイドには、専用の圧迫器具を用いることもあります。

注射治療(ステロイド注射)

盛り上がったケロイドに、直接ステロイド薬(ケナコルト)を注射する、非常に効果的な治療法です。

ケロイド内部でコラーゲンを過剰に生み出している「線維芽細胞」という細胞の働きを、注射によって強力に抑制。これにより、しこりは徐々にやわらかく、平らになっていきます。かゆみや痛みを和らげる効果も高いのが特徴です。

治療は月に1回程度のペースで、しこりの状態を見ながら数回繰り返します。注射の際にはチクッとした痛みを伴いますが、多くのクリニックで採用されている標準的な治療法です。

ただし、効果が強く出すぎると皮膚がへこんだり、血管が浮き出て見えたりする副作用のリスクもあるため、医師が薬の量や注射の間隔を慎重に調整しながら治療を進めます。

外科的治療(切除手術・術後電子線照射)

保存的治療や注射治療で十分な改善が見られない場合や、ケロイドがかなり大きい場合に選択されるのが手術です。特に耳にできたケロイドは、他の部位のケロイドと比べて手術が有効な選択肢となりやすい特徴があります。

手術では、ケロイド本体をメスで丁寧に取り除き、傷跡が極力目立たないように縫い合わせる形成外科の専門技術が求められます。

しかし、最も注意すべきは「再発」のリスクです。 ケロイド体質の方が手術を受けると、その手術の傷が新たな引き金となり、再びケロイドができてしまうことがあります。手術だけで治療を終えた場合の再発率は80%を超えるという報告もあるほどです。

この高い再発率を抑えるために、手術後の補助療法が極めて重要になります。術後にステロイド注射や圧迫療法、内服薬などを組み合わせ、継続的な経過観察を行うことで、再発のリスクを大幅に下げることが可能です。

当院では、患者さんのご希望に応じて、ピアスホールを残したままケロイドを切除する特殊な手術にも対応しています。

術後の再発予防として放射線の一種である電子線を照射することもあります。

レーザー治療

この治療は、ケロイドの「盛り上がり」ではなく、主に「赤み」を改善するために行われます。

ケロイドが赤く見えるのは、内部で異常に増えた毛細血管が透けて見えているためです。赤みに反応する特殊なレーザーを照射することで、この余分な血管にダメージを与え、色味を薄くしていきます。

メスを使わないため体への負担は少ないですが、しこりの盛り上がり自体を小さくする効果は限定的です。そのため、レーザー単独でケロイドを治すというよりは、注射治療や手術後の補助的な治療として、見た目の仕上がりをより良くするために用いられることが多いです。

治療は複数回必要になることがほとんどで、保険が適用されない自費診療となる場合があります。

治療にかかる費用と保険適用の範囲

治療を決める上で、費用のことは避けて通れない大切な問題です。

「治療したいけど、いくらかかるんだろう…」 そんな不安を解消できるよう、ここではピアスケロイド治療の費用について具体的に解説します。

結論からお伝えすると、ピアスケロイドの治療は原則として健康保険が適用されます。ただし、一部の治療では自費診療となるケースもありますので、その違いをしっかり理解しておきましょう。

保険が使える治療と自己負担額の目安

ピアスケロイドは、単なる見た目のコンプレックスだけでなく、かゆみやチクチクとした痛みといった不快な症状を伴う「病気」として扱われます。

そのため、症状を改善するための以下の治療は、健康保険を使って受けることができます。

  • 手術(切除術) ケロイド本体をメスで切除し、丁寧に縫い合わせる治療です。当院では、ピアスホールを残しながらしこりを取り除く特殊な手術も保険適用で行っています。
  • 注射治療(ステロイド局所注射) しこりに直接ステロイド薬(ケナコルト)を注射し、硬さや盛り上がり、かゆみを抑えます。
  • 飲み薬(抗アレルギー薬) 「リザベン」という薬を服用し、ケロイドの成長を内側から抑制します。

自己負担額の目安は、加入している健康保険の負担割合によって変わります。

例えば、手術を受ける場合、3割負担の方で片側の耳につき3万円弱が一般的な自己負担額です。この他に、初診料や再診料、お薬代などが別途必要となります。

自費診療になる治療と費用の相場

ピアスケロイドの治療で、はじめから自費診療となることは稀です。

ただし、治療の目的によっては保険が適用されないケースも存在します。代表的なのは、ケロイドの「盛り上がり」ではなく、主に「赤み」の改善を目的としたレーザー治療などです。

このように、痛みやかゆみといった症状の改善よりも、美容的な見た目の改善を主目的とする治療は、自費診療と判断されることがあります。

自費診療の場合の費用は治療内容によって異なりますが、1回あたり5,000円から20,000円程度が一般的な相場です。

当院では、まず保険診療を基本として、患者さんの症状やご希望に合わせた最適な治療計画をご提案します。費用面でご不明な点があれば、診察の際に気兼ねなくお尋ねください。

ピアスケロイド治療で後悔しないためのQ&A

ピアスケロイドの治療を考えるとき、痛みや費用の話だけでなく、治療を終えたあとの生活がどうなるのか、想像がつかずに一歩を踏み出せない方も少なくありません。

「またピアスを楽しめる日は来るの?」 「どうすれば再発を防げるの?」

ここでは、診察で特によくいただく質問にお答えし、あなたの不安を少しでも軽くするためのお手伝いをします。

ピアスケロイド治療で後悔しないためのQ&A
ピアスケロイド治療で後悔しないためのQ&A

治療後、いつからピアスを再開できる?

当院ではピアスホールを温存しながらケロイドを切除する特殊な手術にも対応しており、この方法であれば治療後もピアスを続けられます。

一方、ピアス穴を残さない一般的な切除手術を受けた場合は、最低でも半年待って傷跡が安定し、赤みや硬さといった再発の兆候が全く見られないことを医師が確認してからピアッシングを行います。

自己判断でピアスを開けてしまうと、これまでの治療が無駄になりかねません。再開のタイミングは、必ず担当医と相談して決めましょう。再発リスクについて十分理解し、綿密な経過観察を続けることが何より大切です。

再発を防ぐための日常生活での注意点

手術や注射でケロイドがきれいになっても、それで終わりではありません。本当のゴールは、その状態を長く維持することです。

治療後の丁寧なケアと生活習慣が、再発を防ぐための鍵となります。特に以下の点を意識してみてください。

  • 無意識のクセに気をつける 考え事をしている時などに、つい耳を触っていませんか?かゆくても掻かない、気になっても触らない。この徹底が何より重要です。タートルネックの服やマフラー、硬い枕カバーによる摩擦にも注意しましょう。

  • 処方された薬を続ける 医師から処方された内服薬(リザベンなど)や、指示された圧迫療法は、ケロイドが大きくなるのを内側と外側から抑えるための大切なお守りのようなものです。自己判断で中断しないようにしてください。

  • 体調を整える 体調管理と傷の治りは密接に関係しています。十分な睡眠やバランスの取れた食事は、皮膚の再生能力を正常に保つための土台となります。

  • 他の場所へのピアッシングは慎重に もし他の場所にピアスを開ける場合、ピアッサーを使ったセルフピアッシングや衛生管理が不十分な場所での施術は絶対に避けてください。不適切な処置は、感染症だけでなく、新たなケロイドや合併症の引き金になりかねません。 必ず医療機関で、医師に相談の上で行いましょう。

何科を受診すればいい?皮膚科と形成外科の違い

ピアスホールにできたしこり。いざ病院に行こうと思っても、「皮膚科?それとも形成外科?」と、入り口で迷ってしまう方は少なくありません。

結論から言うと、どちらを受診しても間違いではありません。それぞれの科の得意分野を理解し、ご自身の状況に合わせて選ぶのが良いでしょう。

 皮膚科形成外科
得意なこと皮膚の病気全般の診断
しこりの正体を見極める
傷や変形をきれいに治す
手術で形を整える
主な治療法塗り薬、貼り薬、飲み薬
ステロイド注射
切除手術
術後の傷跡ケア
こんな人におすすめまずはしこりの原因を正確に知りたい
手術以外の治療から始めたい
しこりが大きく、手術を考えている
傷跡をできるだけ目立たせたくない

もし、手術による切除を少しでも視野に入れているのであれば、最初から形成外科を受診するのがスムーズです。

形成外科では、ケロイドを切除するだけでなく、その後の再発予防までを見据えたトータルケアを行います。手術で形を整え、術後のステロイド注射や圧迫療法といった補助的な治療を組み合わせることで、より良い治療結果を目指します。

どちらの科に行くべきか迷ったら、まずは相談しやすいクリニックを受診し、必要に応じて専門の科を紹介してもらうのも一つの方法です。

当院は形成外科・皮膚科両方に対応しています。非手術療法から手術療法まで、幅広く対応できるのが特徴です。

まとめ

今回は、ピアスケロイドの症状の見分け方から最新の治療法まで、詳しくご紹介しました。

ピアスホールにできたしこり。「どうすればいいんだろう…」と、鏡を見るたびに不安になったり、治療法が多くて迷ってしまったりするかもしれません。

ピアスケロイドは、自然に治ることはなく、かゆみや痛みを伴うこともある「病気」です。しかし、けっして治らないものではありません。塗り薬や注射、手術など、あなたの症状や体質に合わせた様々な治療法があります。

大切なのは、自己判断で放置せず、まずは専門の医師に相談することです。一人で悩まず、皮膚科や形成外科で話を聞いてもらうことから始めてみませんか。きっと、あなたに合った解決策が見つかるはずです。

参考文献

  1. Kim HD, et al. Clinical Analysis of Lobular Keloid after Ear Piercing.
  2. Prasad BRH, et al. Easing the Excision of Earlobe Keloid.
  3. Hochman B, et al. Does ear keloid formation depend on the type of earrings or piercing jewellery?
  4. Kim MM, Goldman RD. Ear-piercing complications in children and adolescents.
  5. Liu K, Wu XL, Wang PH. Advances in therapy of auricular keloid.
  6. Zuber TJ, DeWitt DE. Earlobe keloids.
  7. Téot L, Mustoe TA, Middelkoop E, Gauglitz GG. Clinical Case: Earlobe Keloid.
このブログをSNSでシェアする!
Dr.ゴノに直接質問
LINEオープンチャット