名古屋市「新瑞橋」美容外科・美容皮膚科・形成外科・一般皮膚科

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【形成外科専門医監修】ピアス肉芽腫の正しい治療ガイド

ピアスホールの近くに見つけた、ぷくっとした赤い「しこり」。鏡を見るたびに気になり、「悪い病気だったらどうしよう…」と不安な気持ちになっていませんか?その正体は、ピアスが原因で起こる「肉芽腫(にくげしゅ)」という良性のできものかもしれません。

しかし、それを単なる肌荒れと侮るのは危険です。そのしこりの裏には、金属アレルギーや無意識の刺激といった複数の原因が隠れていることが多く、放置すれば悪化し、治療が困難になるケースも。この記事では形成外科専門医が、しこりの正しい見分け方から最新の治療選択肢、保険適用の費用まで、あなたの不安を解消する情報を徹底的に解説します。

これってピアス肉芽腫?症状セルフチェックと似ている病気

ピアスホールの近くに、ぷくっとした赤いできものや「しこり」を見つけると、ドキッとしますよね。「悪い病気だったらどうしよう」と不安になるかもしれません。

それは「ピアス肉芽腫(にくげしゅ)」という、ピアスが原因で起こる良性のできものの可能性があります。しかし、見た目が似ている別の病気の可能性もあるため、自己判断は禁物です。まずはご自身の症状を鏡でよく観察し、落ち着いてチェックしてみましょう。

これってピアス肉芽腫?症状セルフチェックと似ている病気
これってピアス肉芽腫?症状セルフチェックと似ている病気

赤い盛り上がりや「しこり」はないか

ピアス肉芽腫の代表的なサインは、ピアスホール周辺の見た目の変化です。ご自身の耳を鏡でじっくりと見て、以下のような特徴がないか確認してください。

<ピアス肉芽腫の主な見た目の特徴>

  • 見た目: 赤色やピンク色で、表面がツヤツヤしていることも。ぷくっとした水ぶくれや、できもののように見えます。
  • 感触: 指でそっと触れると、少し硬い「しこり」のように感じられます。
  • 経過: 最初は小さく、痛みやかゆみがない場合も多いです。

このようなしこり(医学的には結節性病変といいます)は、ピアスがきっかけでできる肉芽腫の典型的な症状です。お子様のピアスが原因で、アレルギー性の肉芽腫ができたという海外の報告もあります

また、ピアスを開けてすぐではなく、数週間から数年経ってから目立ってくるケースも珍しくありません

痛みやじゅくじゅくした滲出液はないか

はじめはただの「できもの」でも、炎症が進むとやっかいな症状が現れます。細菌が入り込んで感染したり、アレルギー反応が強くなったりすると、体はそれを異物とみなして攻撃を始めます。これが「炎症」の正体です。

<見逃したくない炎症のサイン>

  • ズキズキする、または押すと痛い(圧痛)
  • しこりが赤く腫れ、熱を持っている感じがする
  • 黄色っぽい膿や、透明でじゅくじゅくした液体(滲出液)が出てくる
  • 以前よりもしこりが大きくなってきた

これらのサインは、状態が悪化している証拠です。特に、ピアスの金属に対するアレルギーが原因の場合、ステロイドの塗り薬や注射といった一般的な治療が効きにくい、頑固な肉芽腫になることも報告されています。放置して自然に治ることは難しいため、早めに専門医へ相談しましょう。

間違いやすい「粉瘤」「ケロイド」との違い

ピアスホールにできる「しこり」が、すべてピアス肉芽腫とは限りません。見た目がそっくりで間違いやすい病気に「粉瘤(ふんりゅう)」と「ケロイド」があります。治療法が全く異なるため、違いを知っておくことが大切です。

病名特徴
ピアス肉芽腫・ピアスホール周辺にできる、赤〜ピンク色のやわらかい盛り上がり
・ピアスに使われる金属(金、パラジウム、ニッケルなど)へのアレルギー反応が引き金となり、特殊な肉芽腫(サルコイド型肉芽腫)を形成することがある
粉瘤(アテローム)・皮膚の下に袋ができ、その中に垢や皮脂がたまったもの。
・盛り上がりの真ん中に、**黒い点(開口部)**が見えることがある。
・強く圧迫すると、独特の臭いを伴うお粥のような老廃物が出てくることがある。
ケロイド・傷跡が赤く盛り上がり、もとの傷の範囲を越えてどんどん広がっていく。
・ヒリヒリとした痛みや、引きつるような強いかゆみを伴うことが多い。
・「ケロイド体質」という遺伝的な要因が大きく関わっている。

ピアスケロイド

耳の粉瘤

このように、原因も性質も全く異なります。特にピアス肉芽腫は、金属アレルギーが原因の場合、体質に合わないピアスを着け続ける限り、悪化を繰り返す可能性があります。正確な診断と適切な治療のためにも、気になる症状があれば自己判断で様子を見ず、形成外科や皮膚科を受診してください。

ピアス肉芽腫ができる原因と悪化させないための注意点

ピアスホールにできた赤い「しこり」。その正体であるピアス肉芽腫は、決して一つの原因だけでできるわけではありません。

多くの場合、「アレルギー」「物理的な刺激」「感染」といった複数の要因が、まるで悪条件のパズルのように組み合わさって発症します。

なぜ肉芽腫ができてしまったのか、ご自身の生活習慣と照らし合わせながら原因を探ることは、悪化を防ぎ、適切な治療への第一歩となります。

金属アレルギーによる炎症

ピアスの素材があなたの体質に合っていない場合、体はそれを「異物」とみなし、免疫システムが過剰に攻撃を始めます。このアレルギー反応が、肉芽腫を引き起こす主な原因の一つです。

アレルギーは安価なピアスだけで起こるわけではありません。金やパラジウム、ニッケルといった金属は、アレルギー性肉芽腫の原因として特に報告が多く、注意が必要です

こうした金属アレルギーが引き起こす肉芽腫の中には、「サルコイド型」と呼ばれる特殊なタイプが存在します。このタイプは、ステロイドの塗り薬や注射といった一般的な治療が効きにくい「治療抵抗性」を示すことがあり、非常に厄介です

もちろん、大人だけでなくお子様のピアスであっても、アレルギーによる肉芽腫ができる可能性は十分にあります。特定のピアスを着けたときだけ症状が悪化するなら、その素材が原因かもしれません。

アレルギーが疑われる場合は、まずピアスを外し、アレルギー反応のリスクが低いチタンやサージカルステンレス製のピアスに替えてみることを検討しましょう。

ピアスによる継続的な物理的刺激

開けたばかりのピアスホールは、完全に皮膚が完成するまで、とてもデリケートな「傷」と同じ状態です。この未完成の傷に、繰り返し物理的な刺激が加わることで、体を守ろうとする防御反応が暴走し、組織を過剰に作り出して肉芽腫となってしまうのです。

<こんな行動、無意識にしていませんか?>

  • 就寝中に枕や布団にピアスを引っかけてしまう
  • 着替えや髪をとかす際に、うっかり引っかけてしまう
  • 大きくて重い、揺れるデザインのピアスを長時間着けている
  • 気になってしまい、ピアスを頻繁にクルクル回したり、抜き差ししたりする

特にピアスホールが安定するまでの期間は、ささいな刺激が大きなトラブルにつながります。ホールが完成するまでは、できるだけ飾り気のないシンプルなピアスを選び、むやみに触らないよう意識することが、何よりの予防策です。

不衛生な状態による感染

ピアスホールという傷口は、細菌にとって格好の侵入口です。清潔でない手でピアスやその周辺を触る習慣があると、そこから細菌が入り込み、感染を引き起こすことがあります。

感染による炎症が長引くと、傷を治そうとする体のプロセスに異常が生じ、結果として組織が過剰に盛り上がり、肉芽腫の引き金となるのです。

特にご自身でピアッサーなどを使って開けた場合、消毒が不十分で感染トラブルを起こすケースは少なくありません。

ピアスホールを清潔に保つことは重要ですが、消毒液を毎日使うような過剰なケアは逆効果です。肌を守るための常在菌まで殺してしまい、かえって皮膚のバリア機能を弱めてしまいます。

普段のケアは、お風呂に入ったときに石鹸やボディソープの泡で優しく洗い、シャワーで念入りにすすぐだけで十分です。

やってはいけない自己流ケア

ぷくっとした肉芽腫は、どうしても気になって触りたくなってしまうものです。しかし、自分で治そうとする安易なケアは、症状を悪化させるだけでなく、取り返しのつかない事態を招く可能性があり、絶対にやめてください。

<特に危険なセルフケア>

  • 肉芽腫を潰す・針で刺す 膿を出そうとすると、かえって細菌を皮膚の奥深くに押し込んでしまい、感染を広げるだけです。最悪の場合、蜂窩織炎(ほうかしきえん)など深刻な皮膚感染症につながる恐れがあります。

  • ハサミやカッターで切り取る 動画サイトなどで見かけることがありますが、自殺行為に等しい大変危険な行為です。大量出血や、傷口からの感染で皮膚が壊死するリスクさえあります。

これらの行為は、治らないばかりか、ケロイドのようなひどい傷跡が残る原因になります。市販薬を自己判断で塗ることも、症状に合っていなければ悪化させるだけです。

しこりができたり、痛みや膿が出たりした場合は、自分で解決しようとせず、速やかに形成外科や皮膚科を受診してください。

【症状別】ピアス肉芽腫の治療法を徹底比較

ピアスホールのしこりを見つけ、「手術しないと治らないのでは?」と心配になるかもしれません。ご安心ください。ピアス肉芽腫の治療は一つではなく、しこりの大きさや炎症の度合いによって選択肢が変わります。

塗り薬や注射で対処できるケースもあれば、外科的な切除が望ましい場合もあります。ここでは、それぞれの治療法がどのような症状に適しているのか、その特徴と根拠を詳しく解説します。ご自身に合った治療法を理解するための参考にしてください。

【症状別】ピアス肉芽腫の治療法を徹底比較
【症状別】ピアス肉芽腫の治療法を徹底比較

保存的治療(ステロイド外用薬・注射)

しこりがまだ小さく、炎症が始まったばかりの段階であれば、メスを使わない「保存的治療」から始めるのが一般的です。

中心となるのは、炎症を強力に抑える作用を持つ「ステロイド」です。まずは塗り薬(外用薬)から開始し、効果が不十分な場合は、しこりの内部に直接ステロイドを注射(局所注射)することで、より積極的に盛り上がりを小さくしていきます。

近年では、ステロイドの効果をさらに高めるための併用療法も注目されています。その一つが、細胞の増殖を抑える「5-フルオロウラシル(5-FU)」という薬剤をステロイドと一緒に注射する方法です。

実際に、ステロイド単独で治療するよりも、5-FUを併用した方がしこりの改善度が高く、治療後の再発率も有意に低かったという研究結果が報告されています

この方法は、ピアス肉芽腫と似た性質を持つケロイドの治療においても、手術後の放射線療法より効果的であったという報告もあり、有力な選択肢の一つです

外科的治療(手術による切除)

薬の治療で改善が見られない、あるいはしこりがすでに大きく硬くなってしまった場合は、手術で根本原因を取り除く「外科的治療」が検討されます。ほとんどの場合、局所麻酔による日帰り手術で対応可能です。

ただし、ピアス肉芽腫やケロイドは、ただ切り取るだけでは再発しやすい厄介な性質を持っています。そのため、手術後の再発予防策こそが治療成功のカギを握ります。

現在の標準的な治療は、手術と他の治療を組み合わせる「複合療法(コンビネーションセラピー)」です。

【手術+ステロイド注射】 手術でしこりを切除した直後に、傷口にステロイドを注射し、再発の芽を摘みます。興味深いことに、手術後に複数回注射するよりも、手術中に1回だけ注射した方が、再発率に大きな差はなく、むしろ副作用のリスクを抑えられる可能性が示唆されています

その他の治療法(液体窒素・レーザー)

手術や注射以外にも、症状に応じてさまざまな治療法が選択肢となります。これらは単独で行うよりも、他の治療と組み合わせて効果を高める目的で用いられることが多いです

治療法どのような治療か?
液体窒素療法マイナス196℃という超低温の液体窒素をしこりにあて、異常な組織を凍らせて壊す治療法です。主にイボの治療で有名ですが、肉芽腫にも応用されます。
レーザー治療特定の波長のレーザー光を照射することで、しこりの赤みの原因となっている血管を壊したり、盛り上がった組織を削って平らにしたりします。
放射線療法手術後に、傷跡へ放射線を照射する治療法です。細胞が過剰に増えるのを抑える働きがあり、再発予防に高い効果が期待できます。耳のケロイドにおいては、手術後の放射線療法はステロイド注射と同等の再発予防効果があると報告されています

どの治療法があなたの症状にとってベストなのかは、しこりの状態やこれまでの治療歴などを総合的にみて、専門医が判断します。気になる症状があれば、まずは気軽に相談してみてください。

形成外科専門医が解説するピアス肉芽腫の手術(切除術)

塗り薬や注射でしこりが改善しない場合や、すでに大きく硬くなってしまった際には、手術でしこりそのものを切除する方法が選択肢となります。

「手術」と聞くと、身構えてしまうかもしれません。しかし、ほとんどのケースは局所麻酔を使った日帰り手術で完了します。

形成外科では、しこりを確実に取り除くことはもちろん、将来的に傷跡ができるだけ目立たなくなるよう、皮膚の切り方や縫い方に工夫を凝らし、見た目の美しさにもこだわって治療を進めます。

手術の具体的な流れと所要時間

ピアス肉芽腫の手術は、クリニックで短時間のうちに行うことができます。当日の大まかな流れは、以下の通りです。

  1. 診察と手術方針の決定 医師がしこりの状態を丁寧に診察し、どのような方法で切除するのが最適かをご説明します。
  2. デザインとマーキング 手術内容にご納得いただけたら、切除する範囲を正確に決めるため、皮膚にペンで印をつけます(デザイン)。
  3. 局所麻酔 手術部位の痛みを取り除くため、麻酔の注射を行います。
  4. 肉芽腫の切除と縫合 麻酔が効いていることをしっかり確認してから、メスで肉芽腫を丁寧に取り除き、傷跡がきれいになるように縫い合わせます。
  5. 術後のご説明 ご自宅での傷のケア方法や、次回の診察日などをお伝えして終了です。

手術そのものにかかる時間は、肉芽腫の大きさや場所にもよりますが、20分から30分ほどが目安です。診察や準備の時間を含めても、通常は1時間程度でご帰宅いただけます。

局所麻酔の方法と手術中の痛み

手術を受ける上で、何よりも心配なのは「痛み」ではないでしょうか。ご安心ください。手術は、痛みを感じなくさせる「局所麻酔」の注射をしてから行います。

麻酔の注射には、とても細い針を使います。耳たぶにチクッとした痛みを感じますが、これは一瞬で終わります。

その後、数分で麻酔薬が効いてくると、手術中にメスで皮膚を切ったり、糸で縫ったりする痛みを感じることはほぼありません。万が一、途中で痛みや違和感があれば、すぐに追加の麻酔ができますので、遠慮なく医師や看護師にお知らせください。

手術後2〜3時間ほどで麻酔が切れてくると、少しジンジンとした痛みが出てくることがあります。その場合は、処方された痛み止めを服用すれば、十分に和らげることができます。

術後の傷跡とダウンタイムについて

ピアスが原因でできるしこりは、傷跡が盛り上がって広がる「ケロイド」と似た性質を持つことがあり、ただ切除するだけでは再発しやすいという厄介な特徴があります

そのため、治療で最も重要なのは、手術後の再発をいかに防ぐかという点です。

現在では、手術と他の治療を組み合わせる「複合療法」が標準的なアプローチとなっており、手術と同時にステロイド(トリアムシノロン)の注射を併用する方法がよく行われます。この方法により、再発率を15%程度まで抑えられることが報告されています

興味深いことに、手術後に何度も注射するよりも、手術中に1回だけ注射する方が、再発予防の効果に大きな差はなく、むしろ副作用のリスクを減らせる可能性も示されています

さらに、細胞の異常な増殖を抑える「5-フルオロウラシル(5-FU)」という薬剤を併用することで、再発率がさらに低くなったという研究結果もあります

手術後、抜糸を行うまでの約1週間が、主なダウンタイムの目安です。この間は傷口を濡らさない注意が必要ですが、首から下のシャワーは当日から浴びられます。デスクワークなどのお仕事であれば、翌日から復帰される方がほとんどです。

ピアスホールを温存する手術は可能か

「手術をしても、またピアスのおしゃれを楽しみたい」そのお気持ちは、非常によくわかります。

しかし、ピアス肉芽腫を根本から治し、傷跡をできるだけきれいに仕上げるためには、原因となったピアスホールごと切除し、一度完全に穴を塞いでしまうのが最も確実な治療法です。

もちろん、症状が軽い場合やクリニックの方針によっては、シリコン製の細いチューブなどをピアスホールに通し、穴を残しながら治療を進められるケースもあります。

どうしてもピアスホールを残したいという強いご希望があれば、どのような選択肢があるか、診察の際に一度医師に相談してみるのがよいでしょう。

一度ホールを塞いだとしても、傷跡が十分に落ち着けば、同じ場所に再びピアスを開けることは可能です。個人差はありますが、手術から3ヶ月〜半年ほど経ってから、医師に傷の状態を確認してもらった上で検討することをおすすめします。

ピアス肉芽腫の治療費用|保険適用と自己負担額の目安

ピアス肉芽腫の治療を考えたとき、真っ先に気になるのが費用ではないでしょうか。「手術となると高額になるのでは…」と心配されるかもしれません。

ですが、ピアス肉芽腫の治療は原則として健康保険が使えます。そのため、多くの場合、ご自身の負担を抑えながら専門的な治療を受けることが可能です。

ここでは、保険が適用される条件や自己負担額のリアルな目安について、わかりやすく解説します。

ピアス肉芽腫の治療費用|保険適用と自己負担額の目安
ピアス肉芽腫の治療費用|保険適用と自己負担額の目安

保険が使える条件とは?

ピアス肉芽腫の治療で健康保険が使えるのは、医師が「美容目的」ではなく「病気の治療」として必要だと診断した場合です。

具体的には、見た目の問題だけでなく、以下のような症状や生活上の支障があるかどうかが判断の基準となります。

  • しこりが赤く腫れて、炎症を起こしている
  • ズキズキとした痛みや、かゆみがある
  • じゅくじゅくして膿や液体(滲出液)が出てくる
  • しこりが徐々に大きくなり、悪化する傾向にある
  • 着替えや就寝時に引っかけてしまい、出血や痛みの原因になる

ピアスが原因でできた耳のしこり、特に「耳介ケロイド」と呼ばれるものは再発しやすく、治療が難しいという特徴があります

このような医学的な治療の必要性が認められれば、健康保険を使い、経済的な負担を軽くしながら治療に専念することができます。

3割負担の場合の手術費用の概算

健康保険が適用される場合、窓口で支払う自己負担額は、かかった医療費の3割(年齢や所得によっては1〜2割)です。

ピアス肉芽腫の手術費用は、しこりの大きさや切除の難易度によって変動しますが、ひとつの目安として参考にしてください。

【手術費用の目安(3割負担の場合)】

  • 露出部皮膚・皮下腫瘍摘出術(しこりの直径が2cm未満): 約10,000円〜20,000円

これは手術そのものにかかる「手技料」の概算です。実際のお会計では、この他に初診料や再診料、検査を行った場合はその費用、処方されたお薬代などが加わります。

また、ピアス肉芽腫の治療で最も重要なのは「再発を防ぐこと」です。そのため、手術と同時にステロイド注射を併用し、再発の芽を摘む治療が推奨されることが多くあります。

こうした補助療法を組み合わせることで、再発率を15%程度まで抑えられることが研究で示されています。興味深いことに、手術後に何度も注射するより、手術中に1回だけ注射する方が、再発予防効果に大きな差はなく副作用のリスクを減らせる可能性も報告されています

このような追加治療を行う場合、その分の費用も加算されます。治療計画をご説明する際に、費用の総額についても詳しくお伝えしますのでご安心ください。

自費診療になるケースと料金

痛みや腫れといった症状が全くなく、純粋に「見た目を整えたい」という美容的なご希望が強い場合、健康保険が使えず自費診療(自由診療)となることがあります。

<自費診療となる可能性のあるケース>

  • 炎症などの症状がなく、整容的な目的での切除を希望する場合
  • 保険適用外の先進的な治療(特殊なレーザー治療など)を希望する場合
  • ピアスホールを温存するための特殊な処置を行う場合(クリニックの方針によります)

自費診療の料金は、クリニックが独自に設定するため、数万円から十数万円以上と施設によって大きく異なります。

近年では、手術後にステロイドと「5-FU」という薬剤を併用する注射療法など、より効果的で再発率の低い治療法も報告されています。こうした治療が保険適用となるかは、症状やクリニックの方針次第です。

自費診療を検討する際は、必ず事前に治療内容と費用の総額について詳しい説明を受け、十分に納得した上で治療法を選択することが大切です。

治療後のよくある質問

手術が終わってひと安心。でも、ここからの生活が、傷跡をきれいに治し、やっかいな再発を防ぐための本番です。

ここでは、患者さんから特によくいただく治療後の疑問に、一つひとつ丁寧にお答えしていきます。

治療期間と通院回数はどのくらい?

治療法やしこりの状態によって通院ペースは変わりますが、一般的な目安は以下の通りです。

▼手術(切除術)の場合 手術から約1〜2週間後に、傷の状態のチェックと抜糸のためにご来院いただきます。

ピアスが原因でできる耳のしこり(耳介ケロイド)は再発しやすいため、治療はここで終わりではありません。傷跡が落ち着くまで、1ヶ月後、3ヶ月後…と定期的に経過を診させていただくことが、再発の早期発見につながります。

▼お薬や注射での治療の場合 しこりの反応を見ながら、数週間から1ヶ月に1回のペースで通院し、ステロイドの注射などを行います。

なお、手術後の再発予防としてステロイド注射を追加する場合、手術中に1回だけ注射する方法でも、術後に複数回注射する場合と再発率に大きな差はなく、むしろ副作用のリスクを減らせる可能性があるという報告もあります。お一人おひとりの状態に合わせて、最適な治療計画をご提案します。

入浴や洗髪はいつから可能?

手術後の傷はとてもデリケートですが、日常生活への影響は最小限に抑えられるよう配慮しています。

  • 手術当日: 首から下のシャワーは可能です。ただし、傷口は絶対に濡らさないでください。
  • 手術翌日以降: クリニックでお渡しする防水テープなどで傷口をしっかり保護すれば、洗髪もシャワーも問題ありません。
  • 抜糸後(手術から約1〜2週間後): 抜糸が済めば、普段通りに入浴や洗髪ができます。ただ、傷が完全に安定するまでは、ゴシゴシこするような強い刺激は避け、優しく洗うように心がけてください。

これらはあくまで目安です。傷の状態によっては対応が変わることもあるため、必ず医師の指示に従いましょう。万が一、傷口に強い赤みや痛み、腫れといった感染のサインが見られた場合は、すぐにクリニックへご連絡ください。

治療後にピアスを再開できる時期

治療でピアスホールを一度閉じたとしても、多くの場合、再びおしゃれを楽しむことは可能です。ただし、焦りは禁物です。

ピアスを再開するタイミングは、手術の傷跡が完全に落ち着いてから。個人差はありますが、少なくとも手術後3ヶ月〜半年は期間を空けるのが望ましいでしょう。

<再開を検討できるサイン>

  • 傷跡の赤みが引いている
  • 触ったときの硬さやしこり感がない
  • ヒリヒリやかゆみなどの違和感がない

耳はもともとケロイドができやすい部位であり、同じ場所に開けると再発のリスクはゼロではありません。自己判断で開けずに、まずは一度、医師に相談してください。皮膚の状態を診察し、安全に再開できる最適なタイミングと位置をアドバイスします。

再発させないためのアフターケア

ピアス肉芽腫はやっかいなことに再発しやすいため、治療後のケアが何よりも重要です。ご自身でのケアとクリニックでの治療を両輪で進めていきましょう。

【ご自身でできるセルフケア】

  • **素材選び:**金属アレルギーが原因だった方は、チタンやサージカルステンレスなど、アレルギー反応のリスクが低い素材を選ぶ。
  • **デザイン選び:**重いピアスや、髪・衣類に引っかかりやすい大ぶりのデザインは避ける。
  • **清潔を保つ:**普段の入浴時に、石鹸の泡で優しく洗い、シャワーでしっかりすすぐ。

【医療機関でのアフターケア】 手術後の再発予防として、補助的な治療を組み合わせることで、再発のリスクを大きく下げることができます。

例えば、手術とステロイド(トリアムシノロン)注射や放射線療法を組み合わせることで、再発率を約15%まで抑えられることが報告されています

さらに近年では、ステロイドに「5-フルオロウラシル(5-FU)」という薬剤を併用する注射療法も有効な選択肢となっています。この方法は、ステロイド単独よりも再発率が低く、手術後の放射線療法よりも効果が高い可能性も示唆されています

治療後も、傷跡に赤みや盛り上がり、かゆみなどの変化を感じたら、「またかな?」と放置せず、すぐに受診してください。早期に対処することが、きれいに治すための最大の秘訣です。

まとめ

今回は、ピアス肉芽腫の原因からご自身でできるケア、専門的な治療法まで詳しく解説しました。

ピアスホールにできた赤いしこりを見つけると、「悪い病気かも」と不安になってしまいますよね。しかし、ピアス肉芽腫は良性のできものであり、適切な治療で治すことができます。何より大切なのは、自己判断で潰したりせず、速やかに専門医に相談することです。

治療法は塗り薬から日帰り手術まで様々で、多くは保険適用で受けられます。再発を防ぎ、きれいな耳で再びおしゃれを楽しむためにも、気になる症状があれば一人で悩まず、まずは形成外科や皮膚科のクリニックへ気軽に相談してみてくださいね。

参考文献

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