名古屋市「新瑞橋」美容外科・美容皮膚科・形成外科・一般皮膚科

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冬場のいや〜な皮膚の乾燥を治したい…〜保険診療でできること〜

冬場のいや〜な皮膚の乾燥を治したい…〜保険診療でできること〜

 

冬になると、肌のカサつきや粉吹き、かゆみや痛みに悩まされていませんか?お風呂上がりのつっぱり感やメイクのノリの悪さなど、冬の肌トラブルは尽きませんよね。実は、この乾燥は単なる「肌質」の問題ではなく、肌の防御機能が低下しているサインかもしれません。岐阜工業高等専門学校の調査では、冬場の保育施設の子どもの皮膚水分率が常に37%以下と報告されており、低湿度環境が皮膚乾燥の一因であることが示唆されています。放置すると「かゆいから掻く、掻くからもっとかゆくなる」という悪循環に陥る可能性も。しかし、ご安心ください。適切な知識と保険診療による専門的なケアで、つらい冬の乾燥肌は改善できます。この記事では、その原因と具体的な対策を詳しくご紹介します。

皮膚の乾燥で悩む人必見!冬に悪化する原因と症状の仕組み

冬になると、皮膚がカサカサしたり、粉を吹いたり、時にはかゆみや痛みを伴ったりして、つらい思いをしている方も多いのではないでしょうか。特に、お風呂上がりや洗顔後のつっぱり感、洋服の摩擦による不快感、メイクのノリが悪くなるなど、日常生活での悩みは尽きませんね。皮膚の乾燥は、単なる見た目の問題だけでなく、肌の防御機能が低下しているサインです。この状態を放置すると、さらなる肌トラブルにつながることもあります。しかし、原因と仕組みを正しく理解し、適切な対策を行うことで、多くの場合、症状は改善に向かいます。私たちは皮膚の専門家として、皆さんが健康な肌を取り戻せるよう、お手伝いしたいと考えています。

保険診療で治す!乾燥肌のセルフケアと専門治療薬の種類 - 画像 1

冬の乾燥が肌を直撃!バリア機能が低下する3つのメカニズム

冬に皮膚の乾燥が悪化するのには、いくつかの明確な理由があります。私たちの肌は常に外部環境にさらされており、特に冬の環境は肌にとって厳しいものです。

  1. 低湿度による水分蒸散の増加
    • 冬は一年で最も空気が乾燥する季節です。
    • 暖房を使うことで、室内の湿度はさらに低下しがちです。
    • 岐阜工業高等専門学校の青木哲先生の研究では、 乾燥した環境に短時間さらされるだけでも、 皮膚から水分が失われる量が増え、 皮膚の最も外側にある角質層の水分量が減ることが示されています。
    • 肌は常に空気と接していますから、乾燥した空気に長時間いると、 皮膚の内側からどんどん水分が奪われてしまい、 カサカサした状態になってしまうのです。
    • また、青木先生の実測調査では、冬場の保育施設の子どもたちは、 室内外の移動や換気によって、一日のうちに大幅な温度・湿度の変動に さらされていることが明らかになっています。
    • 子どもの皮膚はバリア機能が未熟で乾燥しやすい特性を持つため、 このような環境は皮膚乾燥の一因と考えられます。
  2. 皮脂分泌の低下
    • 皮膚の表面は、「皮脂膜」という薄い膜で覆われています。
    • この皮脂膜は、天然のクリームのように肌を保護し、 水分が蒸発するのを防ぐ大切な役割を担っています。
    • しかし、冬になって気温が低くなると、皮脂腺の働きが鈍り、 皮脂の分泌量が減少します。
    • 皮脂膜が十分に作られないと、肌を保護し、 水分を守る力が弱まってしまうのです。
    • その結果、肌は乾燥しやすくなり、外部からの刺激も受けやすくなってしまいます。
  3. 角質層の乱れと水分保持成分の不足
    • 皮膚の最も外側にある「角質層」は、外部からの刺激を防ぎ、 内部の水分を保つ「バリア機能」の中心です。
    • 例えるなら、レンガ(角質細胞)とセメント(細胞間脂質であるセラミドなど)が 何層にも重なり合ってできた頑丈な壁のような構造です。
    • この壁には、水分を抱え込む「天然保湿因子(NMF)」も含まれています。
    • 乾燥や加齢、あるいは肌に負担をかける過度な洗浄によって、 この角質層を構成する細胞間脂質やNMFが不足すると、 壁の構造が乱れてバリア機能が低下してしまいます。
    • 千葉科学大学の平尾哲二教授も、加齢による皮膚の生まれ変わり (ターンオーバー)の遅延やNMFの低下が、 カサカサした肌やかゆみの原因となると指摘しています。
    • バリア機能が低下した肌は、外部からの刺激に敏感になり、 さらに乾燥しやすい悪循環に陥ってしまうのです。

「乾燥性敏感肌」とは?かゆみ・粉吹き・皮剥けが止まらない症状

「乾燥性敏感肌」とは、皮膚のバリア機能が低下し、少しの刺激にも過敏に反応してしまう状態を指します。いわば、皮膚の防御壁が壊れてしまい、本来ならブロックされるはずの外部からの刺激が肌の内部に届きやすくなっている状態です。

このような状態になると、次のような不快な症状が次々に現れ、日々の生活の質を低下させます。

  • かゆみ
    • 特に乾燥がひどい部分に、むずかゆさや チクチクとしたかゆみを感じます。
    • 川崎医科大学附属病院の青山裕美部長の解説では、 乾燥した皮膚では、かゆみを感じる神経が皮膚の表面近くまで伸び、 わずかな刺激でもかゆみが起こりやすくなるとされています。
    • このタイプのかゆみは、一般的なアレルギーに効く抗ヒスタミン薬だけでは 効きにくい場合もあります。
  • 粉吹き・皮剥け
    • 角質層がめくれ上がり、白い粉のように見えたり、 薄い皮が剥がれたりします。
    • これは、肌の水分が極端に不足し、皮膚の生まれ変わり (ターンオーバー)が乱れているサインです。
  • ひび割れ・赤み
    • 乾燥がさらに進むと、皮膚の表面に細かいひび割れが生じたり、 炎症を起こして赤くなったりすることがあります。
    • ひび割れから出血することもあり、痛みを伴う場合もあります。
  • ひりつき・つっぱり感
    • 洗顔後や入浴後に皮膚が強くつっぱったり、 化粧品や衣類が触れただけでピリピリとした刺激を感じたりします。
    • 健康な肌であれば感じないような刺激にも、 過敏に反応してしまう状態です。

これらの症状に心当たりがある場合、ご自身の肌が「乾燥性敏感肌」の状態にある可能性があります。早めに適切な対策を始めることが、症状の悪化を防ぎ、快適な肌を取り戻すために非常に大切です。

「乾燥だけじゃない?」アトピーや湿疹との違いと見分け方

肌の乾燥とかゆみがある場合、「ただの乾燥肌なのか」「アトピー性皮膚炎や湿疹なのか」と不安になる方は少なくありません。見た目や症状が似ていても、それぞれ原因や治療法が異なるため、正しく見分けることが大切です。自己判断が難しい場合は、皮膚科専門医にご相談ください。

  • 乾燥肌(皮脂欠乏症)
    • 肌の水分や皮脂が不足することで、バリア機能が低下している状態です。
    • 主に冬場の空気の乾燥や加齢、過度な洗浄が原因で起こります。
    • かゆみ、カサカサ、粉吹きなどが主な症状で、 適切な保湿ケアで比較的早く改善が期待できます。
    • 多くの場合、炎症は軽度か、一時的なものです。
    • 青山裕美部長も、空気乾燥によるドライスキンには 保湿剤によるスキンケアが有効と述べています。
  • アトピー性皮膚炎
    • アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能障害に加えて、 遺伝的なアレルギー体質などが複雑に絡み合って発症する 慢性的な炎症性の皮膚疾患です。
    • 特徴は、強いかゆみのある湿疹が、良くなったり悪くなったりを 繰り返すことです。
    • 肘の内側や膝の裏、首、顔などに湿疹ができやすく、 皮膚が厚くなったり、色素沈着を起こしたりすることもあります。
    • 平尾哲二教授も、アトピー性皮膚炎の補完療法としてスキンケアが有効で、 乳児の発症リスクを低減する可能性も示唆しています。
    • 単なる乾燥肌とは異なり、専門的な治療と継続的なケアが必要です。
  • 湿疹(皮膚炎)
    • 湿疹は、皮膚に炎症が起こり、赤み、ブツブツ、水ぶくれ、 かゆみなどが現れる状態の総称です。
    • 特定の物質に触れて起こる「接触皮膚炎(かぶれ)」や、 細菌や真菌(カビ)が原因で起こるものなど、さまざまな種類があります。
    • 乾燥肌やアトピー性皮膚炎も湿疹の一種と考えることもできますが、 一般的に「湿疹」という場合は、特定の原因によって生じる 皮膚の炎症を指すことが多いです。
    • 青山裕美部長の解説にあるように、基礎疾患がある場合や 慢性的な皮膚炎を伴う場合は、皮膚科での専門的な治療と スキンケアの併用が重要となります。

ご自身の症状が、ただの乾燥なのか、それともアトピー性皮膚炎や他の湿疹なのかを自己判断するのは非常に難しいことです。症状が長引いたり、市販薬で改善しない場合は、皮膚の専門医にご相談いただくことを強くお勧めします。

かゆみが止まらない悪循環:イッチスクラッチサイクルとその影響

乾燥肌で特に厄介なのが、「かゆみ」です。このかゆみが、さらなる肌トラブルを招く悪循環を生み出すことがあります。それが「イッチスクラッチサイクル」と呼ばれるものです。

このサイクルは、皮膚の状態を段階的に悪化させてしまいます。

  1. かゆみが起こる
    • 乾燥によって肌のバリア機能が低下すると、 外部からの刺激が肌の内部に伝わりやすくなり、 かゆみを感じやすくなります。
    • 青山裕美部長の研究でも、乾燥した皮膚では神経線維が 皮膚の表面近くまで伸びてしまい、 わずかな刺激でもかゆみを増強させることが示されています。
  2. 掻きむしる
    • かゆみに耐えきれず、つい肌を掻いてしまいます。
    • これは一時的な解放感をもたらしますが、肌には大きなダメージを与えています。
  3. 皮膚が傷つく
    • 掻くという行為は、爪で知らず知らずのうちに皮膚を傷つけ、 肌の防御壁である角質層を物理的に破壊してしまいます。
  4. バリア機能がさらに低下
    • 皮膚が傷つくことで、肌の防御機能であるバリア機能がさらに壊れてしまいます。
    • 平尾哲二教授も、炎症に伴うターンオーバーの加速やNMFの低下が、 かゆみの原因となると述べており、掻きむしることでこの状態が悪化します。
  5. 水分が蒸散し、刺激が侵入
    • バリア機能が低下すると、肌の水分がさらに蒸発しやすくなり、 外部からの刺激物質(アレルゲンや化学物質など)が 皮膚の奥深くへ侵入しやすくなります。
  6. 炎症とかゆみが悪化
    • 侵入した刺激物質によって皮膚の内部で炎症が起こり、 神経が過敏に刺激されて、さらに強いかゆみを感じるようになります。
    • 青木哲先生の研究でも、皮膚の乾燥とかゆみが、 皮膚を掻くことでバリア機能が破壊され、 さらにかゆみを増強する悪循環を引き起こすことが示されています。

このように、「かゆいから掻く、掻くからもっとかゆくなる」という負のループが「イッチスクラッチサイクル」です。このサイクルが続くと、皮膚はどんどんダメージを受け、湿疹化したり、かゆみで夜眠れなくなったり、色素沈着を起こして肌の色が黒ずんだり、皮膚が厚くゴワゴワになったりすることもあります。

この悪循環を断ち切ることが、乾燥肌の改善には非常に重要です。かゆみが止まらない時は、無理に我慢せず、専門的な対策を取ることが大切です。自己判断で市販薬を使い続けるよりも、皮膚科を受診し、適切な治療を受けることで、かゆみから解放され、健やかな肌を取り戻すことができます。


ここまで、皮膚の乾燥が悪化する原因と、それに伴う様々な症状について解説してきました。冬の乾燥は誰にでも起こりうる皮膚トラブルですが、その原因と仕組みを知り、早めに適切な対策を取ることが何よりも大切です。

「ただの乾燥だろう」と自己判断して放置したり、間違ったセルフケアを続けてしまうと、症状が悪化し、かゆみの悪循環に陥ってしまうこともあります。特に、かゆみが強い、市販の保湿剤では改善しない、皮膚が赤くなったりひび割れたりしている、といった場合は、ぜひ一度専門医にご相談ください。

当クリニックでは、患者さんの皮膚の状態を詳しく診察し、一人ひとりに合った最適な治療法をご提案しています。保険診療で受けられる保湿剤や塗り薬を適切に使うことで、つらい症状を和らげ、皮膚のバリア機能を回復させることが可能です。乾燥肌は適切なケアで必ず良くなります。

保湿剤に関するQ&A

Q1: 市販の保湿剤と皮膚科で処方される保湿剤は何が違うのですか?

  • 市販の保湿剤は、化粧品や医薬部外品として、肌の保護や保湿を目的として作られています。
  • 一方、皮膚科で処方される保湿剤は「医療用医薬品」として、有効成分の種類や濃度が管理されています。
  • 症状や肌質に合わせて、医師が最適なものを選び、保険適用で処方できる点が大きな違いです。
  • 特に、乾燥がひどく炎症を伴う場合や、アトピー性皮膚炎などの疾患がある場合には、医療用の保湿剤が効果を発揮します。

Q2: 保湿剤はどのタイミングで塗るのが最も効果的ですか?

  • 保湿剤は、皮膚の水分が蒸発しやすい入浴後や洗顔後、なるべく早く塗ることが大切です。
  • 具体的には、お風呂から上がってタオルで軽く水分を拭き取った後、 5分以内を目安に塗布すると効果的です。
  • また、空気が乾燥する外出前や、寝る前にも塗ることで、乾燥から肌を守ることができます。

Q3: 保湿剤はどのくらいの量を塗れば良いのでしょうか?

  • 保湿剤は「少ないかな?」と思うくらいの量では、十分な効果が得られないことが多いです。
  • 一般的な目安として、塗った部分が少しテカる程度、 あるいは皮膚にティッシュがつくくらいの量を推奨しています。
  • 両手のひらを広げた面積に対して、人差し指の先から第一関節まで伸ばした量(約1g)が 適量とされています。
  • この量を「フィンガーチップユニット(FTU)」と呼び、体の部位ごとに必要量が異なります。
  • 例えば、顔全体には1FTU、片腕全体には3FTUが目安です。

Q4: 毎日塗り続ける必要がありますか?

  • はい、乾燥肌の治療や予防には、保湿剤を毎日継続して塗ることが非常に大切です。
  • 特に乾燥しやすい冬の時期だけでなく、一年を通して継続することで、 皮膚のバリア機能を良好に保ち、乾燥の再発を防ぐことができます。
  • 症状が落ち着いたからといって、自己判断で塗るのをやめてしまうと、 再び乾燥が悪化する可能性があるのでご注意ください。

Q5: 保湿剤に副作用はありますか?

  • 医療用の保湿剤は、比較的副作用が少ない薬ですが、 まれに刺激感やかゆみ、赤みなどの症状が出ることがあります。
  • 特に肌が敏感な方や、傷がある部分に塗ると感じやすいことがあります。
  • もし塗布後に気になる症状が現れた場合は、すぐに使用を中止し、 当クリニックにご相談ください。
  • 適切な保湿剤に変更したり、塗り方を調整したりすることで対応できます。

皮膚の乾燥で困っている方は、一人で悩まずに、ぜひ一度当クリニックへご来院ください。専門医がしっかりとサポートいたします。

保険診療で治す!乾燥肌のセルフケアと専門治療薬の種類

乾燥が原因で肌がかゆくなったり、粉を吹いたり、皮がめくれてしまったりする状態は、本当につらいですよね。見た目だけでなく、ひりつきや痛みを感じることもあり、毎日の生活に影響が出てしまうこともあります。私たちは皮膚の専門家として、このつらい症状から皆さんが解放され、健康な肌を取り戻せるよう、お手伝いしたいと考えています。

ご安心ください。乾燥肌は、皮膚科で適切な診断と治療を受ければ、多くの場合、保険診療で改善することができます。セルフケアと専門的な治療薬を上手に組み合わせることで、つらい症状を和らげ、皮膚のバリア機能を回復させることが可能です。

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市販品とどう違う?皮膚科で処方される保湿剤の3タイプ

皮膚の乾燥が気になる時、まず思い浮かぶのが保湿剤ではないでしょうか。ドラッグストアにはたくさんの保湿剤が並んでいますが、皮膚科で処方される保湿剤とはどのような違いがあるのでしょうか。医療用保湿剤は、皮膚の水分を保持する機能や、皮膚を覆って守るバリア機能の破綻によって起こる皮膚の乾燥に対して、その不足を補い、皮膚のバリア機能を回復させる目的で使われます。

そもそも、私たちの皮膚には生まれつき、乾燥から肌を守る「バリア機能」が備わっています。このバリア機能は、主に以下の3つの要素によって維持されています。

  • 皮脂膜
    • 皮膚の表面を覆う薄い油の膜です。
    • 天然のクリームのように働き、水分の蒸発を防ぎます。
  • 角質細胞間脂質(セラミドなど)
    • 角質細胞の間を埋めるレンガの目地のようなものです。
    • 水分を抱え込み、外部刺激の侵入を防ぐ重要な役割を担います。
  • 天然保湿因子(NMF)
    • 角質細胞の中に存在する水分を保持する成分です。
    • アミノ酸や尿素などが含まれています。

これらの因子が不足したり、バランスが崩れたりすると、皮膚のバリア機能が低下し、乾燥肌や皮脂欠乏症といった状態に陥ります。

今日から実践!乾燥肌を遠ざける生活習慣と予防のコツ

冬の乾燥は、多くの方がお悩みの肌トラブルの原因になりますね。カサカサとした乾燥や、ひどくなると皮剥けや粉吹き、かゆみまで出てきて、日々の生活で不快な思いをされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。肌が乾燥すると、見た目の問題だけでなく、かゆみからついつい掻いてしまって、さらに肌の状態が悪化してしまうという悪循環に陥ることもあります。

でもご安心ください。日頃のちょっとした工夫で、乾燥肌は十分に予防し、改善へと導くことができます。皮膚の専門家として、私たちは皆さんがうるおいのある健やかな肌を取り戻し、快適な毎日を送れるよう、今日からすぐに実践できる具体的な生活習慣や予防のヒントをお伝えします。

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乾燥肌を悪化させない!冬に欠かせない室内環境のポイント

冬場は空気が乾燥しやすく、室内でも暖房を使うことでさらに湿度が低下しがちです。このような低湿度の環境は、皮膚の乾燥を大きく引き起こす要因となります。特に小さなお子さんの皮膚は、バリア機能が未熟なため、非常に乾燥しやすい特性を持っています。

岐阜工業高等専門学校の青木哲先生の研究では、冬季の保育施設の子どもたちが、室内外の移動や換気によって、日中に大幅な温度や湿度の変動に日常的にさらされている実態が示されています。さらに、研究結果では園児の皮膚水分率が常に、メーカーが定める乾燥肌基準である37%以下にあり、乾燥肌の状態であることが確認されました。このような低絶対湿度環境への暴露は、子どもの皮膚乾燥の一因と推察されます。

乾燥から肌を守るためには、室内の湿度管理が非常に重要です。

  • 加湿器の活用
    • 適切な加湿器を使い、室内の湿度を50~60%に保つことを目指しましょう。
    • 乾燥しすぎず、結露もしにくい快適な湿度が理想的です。
  • 暖房器具の選び方と使い方
    • エアコンなどの温風が出る暖房器具は、空気を乾燥させやすい傾向があります。
    • 加湿機能付きの暖房器具を選ぶ、または加湿器と併用するのがおすすめです。
    • 設定温度を上げすぎないことも大切です。
  • 換気の工夫
    • 換気は感染症対策にも重要ですが、冬場の換気は室内の湿度を一気に下げてしまいます。
    • 短時間でこまめに行う、加湿器を一時的に強運転にするなどの工夫をしましょう。
  • 濡れタオルの活用
    • 加湿器がない場合は、濡れたタオルを室内に干すだけでも一定の加湿効果が期待できます。

このような工夫で室内環境を整えることは、皮膚のバリア機能を保ち、乾燥肌を遠ざけるための大切な一歩となります。湿度変動の大きさが皮膚に与える影響については、まだ不明な点も多いですが、適切な湿度を保つことが大切です。

年齢別ケアで健康な肌を育む:子供と高齢者の乾燥肌対策

皮膚の乾燥は、年齢によってその特性や原因が異なります。お子さんや高齢の方の皮膚は特にデリケートであるため、それぞれの年齢に合わせた丁寧なケアが、健康な肌を育むために不可欠です。

お子さんの皮膚の乾燥対策 お子さんの皮膚は、大人に比べて角層が薄く、バリア機能が未熟なため、非常に乾燥しやすい傾向があります。先に触れた青木哲先生の研究でも、冬季の低絶対湿度環境が子どもの皮膚を常に乾燥肌の状態にしていることが指摘されています。

  • 洗いすぎに注意
    • 入浴時は、刺激の少ないベビーソープなどを使い、優しく洗いましょう。
    • ゴシゴシ擦ることは避け、泡でなでるように洗うのがポイントです。
  • 保湿は入浴後すぐに
    • 入浴後は水分が蒸発しやすく、急速に乾燥が進みます。
    • お風呂から上がったら5分以内を目安に、たっぷりの保湿剤を塗ってあげてください。
  • 保湿剤の種類
    • お子さんの肌に合う、低刺激性の保湿剤を選びましょう。
    • かかりつけの皮膚科医に相談し、適切な保湿剤を処方してもらうことも可能です。
  • 衣類の工夫
    • 直接肌に触れる衣類は、綿などの刺激の少ない素材を選びましょう。
    • 化繊などは摩擦で肌に負担をかけることがあります。

高齢の方の皮膚の乾燥対策 加齢とともに皮膚の機能は変化し、ドライスキンになりやすくなります。千葉科学大学の平尾哲二教授も、加齢による皮膚の生まれ変わり(ターンオーバー)の遅延や、天然保湿因子(NMF)という肌の水分を保つ成分の低下が、カサカサ肌やかゆみの原因となると指摘しています。

  • 入浴時の工夫
    • 熱すぎるお湯は皮脂を取りすぎてしまうため、38~40度程度のぬるめのお湯に浸かりましょう。
    • 石鹸も刺激の少ないものを選び、洗いすぎに注意が必要です。
  • 保湿を習慣に
    • 入浴後はもちろん、朝晩や乾燥が気になる時にこまめに保湿剤を塗ることが大切です。
    • 尿素やヘパリン類似物質など、高齢の方の乾燥肌に適した保湿成分が含まれたものが有効です。
  • 摩擦を避ける
    • 衣服のこすれや、タオルで体を拭く際にも、優しく行うように心がけてください。
    • 摩擦は皮膚のバリア機能をさらに傷つける可能性があります。

アトピー性皮膚炎のお子さんの場合、適切なスキンケアは発症リスクを低減する可能性も示唆されています。どの年齢においても、日々の正しいスキンケアが、皮膚を健康に保つための鍵となります。

乾燥肌を改善する食生活とストレスケアの重要性

肌の健康は、体の内側からも作られます。食生活の乱れやストレスは、肌のバリア機能を低下させ、乾燥を悪化させる原因となることがあります。皮膚は体の中で最も大きな臓器であり、全身の状態を反映する鏡とも言えます。健やかな肌を保つためには、バランスの取れた食事と、心身のリラックスが欠かせません。

乾燥肌を改善する食生活

  • タンパク質
    • 肌の材料となるタンパク質は、肉、魚、卵、大豆製品などから意識的に摂りましょう。
    • 健康な皮膚細胞を作る上で不可欠な栄養素です。
  • ビタミンA、C、E
    • 肌の新陳代謝を促し、バリア機能をサポートするビタミン類も重要です。
    • ビタミンAは緑黄色野菜やレバーに、ビタミンCは果物や野菜に、ビタミンEはナッツ類やアボカドに多く含まれています。
  • 良質な脂質
    • 細胞膜の構成成分となる不飽和脂肪酸(オメガ3、オメガ6)は、青魚、アマニ油、えごま油などに含まれています。
    • これらは肌の水分保持能力を高めるのに役立ちます。
  • 水分補給
    • 体全体の水分が不足すると、もちろん肌も乾燥しやすくなります。
    • 喉が渇く前にこまめに水分を摂ることを心がけましょう。
    • お茶やコーヒーではなく、水や麦茶がおすすめです。

ストレスケアの重要性 ストレスは、自律神経やホルモンバランスの乱れを引き起こし、皮膚のバリア機能にも悪影響を及ぼすことがあります。平尾哲二教授も、加齢によるホルモンバランスの乱れがドライスキンの要因となると指摘しており、心身のバランスを保つことが大切です。

  • 十分な睡眠
    • 睡眠不足は肌の生まれ変わり(ターンオーバー)を阻害し、乾燥を悪化させます。
    • 質の良い睡眠を7~8時間取ることを目標にしましょう。
    • 睡眠中に成長ホルモンが分泌され、肌の修復が進みます。
  • リラックスタイム
    • 好きな音楽を聴く、アロマを焚く、軽い運動をするなど、自分に合ったリラックス方法を見つけて、日々のストレスを解消することが重要です。
    • ストレスが軽減されると、血行が促進され肌にも良い影響を与えます。
  • 入浴
    • ぬるめのお湯にゆっくり浸かることで、心身のリラックス効果が高まります。
    • 温浴効果で血行が促進され、肌の隅々まで栄養が行き渡りやすくなります。

体の中から肌を育む意識を持ち、食事と心のケアにも目を向けることで、乾燥に負けない強い肌へと導くことができます。

保湿を継続する大切さ:治療後の再発予防と長期的なスキンケア

乾燥肌の改善において、保湿ケアは何よりも継続することが大切です。皮膚の角層は、バリア機能と水分保持という重要な役割を担っています。このバリア機能が壊れてしまうと、さらにかゆみを増強する「イッチスクラッチサイクル(かゆみ-掻破の悪循環)」という状態に陥り、症状が慢性化してしまうことがあります。保湿剤を適切に使い続けることは、この悪循環を断ち切り、皮膚のバリア機能を正常に保つために非常に効果的です。

保湿剤は、皮膚の水分、脂質、天然保湿因子を補う「モイスチャーバランス理論」に基づき、様々なタイプがあります。平尾哲二教授も、ヒューメクタント(例:グリセリン、尿素)、エモリエント(例:ワセリン)、水溶性高分子(例:ヒアルロン酸)などを配合した保湿剤が肌荒れの改善やバリア機能の向上に有効であると述べています。

  • ヒューメクタント
    • 水分を肌に引き込み、角層に保持する成分です。
    • グリセリンや尿素、BGなどが代表的です。
  • エモリエント
    • 肌表面に油膜を作り、水分蒸発を防ぐ成分です。
    • ワセリンやミネラルオイル、スクワランなどがこれにあたります。
  • 水溶性高分子
    • 肌の構成成分に近い働きをし、うるおいを保つ成分です。
    • ヒアルロン酸やコラーゲンなどが挙げられます。

肌の水分補給がしっかり行われると、見た目の改善だけでなく、気持ちの面でも良い影響があると考えられます。ある研究では、肌のケアが自己肯定感の改善につながる可能性も示唆されています。肌のうるおいが保たれることは、自信につながり、日々の生活の質(QOL)の向上にも寄与する可能性があります。保湿は、単に肌を潤すだけでなく、心地よい毎日を送るための大切なケアなのです。

さらに、皮膚のバリア機能は、外部からの刺激から体を守る大切な役割があります。日々の保湿ケアでこのバリア機能を保つことが基本ですが、もし皮膚に大きな負担がかかるような場面では、例えば保護フィルムなどを用いて、バリア機能を補強し、皮膚トラブルを未然に防ぐ研究も進められています。これは一般的な日常ケアではありませんが、皮膚を保護する方法の重要性を示しています。

一度症状が改善しても、保湿を怠ると乾燥肌は再発しやすくなります。長期的な視点を持って、毎日継続して保湿ケアを行うことが、健康で美しい肌を維持するための最も確実な方法と言えるでしょう。

ご自身の乾燥肌の症状や、どの保湿剤を選べば良いか分からない場合は、ぜひ当クリニックにご相談ください。お一人おひとりの肌の状態に合わせた適切なアドバイスと治療をご提案させていただきます。セルフケアで改善が見られない場合や、かゆみや炎症がひどい場合も、我慢せずに早めに受診しましょう。健やかな肌を取り戻すお手伝いをさせていただきます。

まとめ

冬場のいや〜な皮膚の乾燥は、低湿度、皮脂分泌の低下、肌のバリア機能の乱れが原因で起こり、かゆみやひび割れなどのつらい症状を引き起こしますね。このような乾燥肌は、原因を正しく理解し、適切なケアを行うことで改善できます。保湿剤による日々のセルフケアに加え、加湿などの室内環境を整えることも大切です。

もし市販品で改善しなかったり、かゆみが強かったりする場合は、皮膚科で相談してみましょう。専門医による保険診療で、あなたの肌質に合った保湿剤や治療薬が処方され、かゆみの悪循環を断ち切り、健やかな肌を取り戻すことができますよ。一人で悩まず、ぜひ私たち専門家にご相談ください。

参考文献

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