皮膚科医が教える|ニキビの抗生物質飲み薬の種類と効果と副作用

なかなか治らないニキビに、鏡を見るたび憂鬱な気持ちになっていませんか?ニキビは多くの方が悩む皮膚疾患であり、炎症が強い場合は、治った後にクレーターのようなニキビ跡として残ってしまうことがあります。当院は形成外科・美容外科の専門クリニックとして、ニキビ跡を残さない治療を非常に重視しています。
この記事では、そんなつらいニキビの治療法の一つである「抗生物質飲み薬」に焦点を当て、皮膚科医がその種類や効果、そして気になる副作用や服用上の大切な注意点まで詳しく解説します。適切な治療で、ニキビの悩みから解放され、自信あふれる肌を取り戻すための一歩を踏み出しましょう。
ニキビ抗生物質飲み薬の種類と効果:なぜ効くのか
ニキビは、多くの方が悩む皮膚疾患です。 顔や体に出ると、見た目の問題だけでなく、痛みやかゆみ、ひいては心にも大きな負担をかけます。 特に炎症が強いニキビは、適切な治療をしないと、治った後にニキビ跡として残ってしまうことがあります。 当院は形成外科・美容外科の専門クリニックとして、ニキビ跡を残さない治療を非常に重視しています。 患者さん一人ひとりのニキビの状態に合わせ、最適な治療法をご提案しています。 その選択肢の一つに、抗生物質の内服薬があります。 抗生物質の内服薬は、炎症を早く抑え、つらい症状を和らげる効果が期待できます。 しかし、「なぜ抗生物質を飲むのか」「どのような種類があるのか」と疑問に感じる方もいらっしゃるかもしれません。 この章では、ニキビ治療における抗生物質飲み薬について詳しく解説していきます。

主に処方される抗生物質飲み薬の種類
ニキビ治療で処方される抗生物質飲み薬には、いくつかの種類があります。 これらの薬は、ニキビの原因菌の増殖を抑えたり、炎症を和らげたりする目的で用いられます。 特に、赤ニキビや化膿したニキビ、深く広がるしこり状のニキビなど、炎症が強い中等症から重症のニキビに効果が期待できます。 日本皮膚科学会の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」でも、内服抗菌薬が推奨されています。 主に以下の抗生物質がニキビ治療に用いられます。
ビブラマイシン(ドキシサイクリン) テトラサイクリン系の抗生物質です。 アクネ菌への抗菌作用に加え、炎症を抑える働きも持ちます。 幅広いタイプのニキビに処方されることが多い薬です。

ミノマイシン(ミノサイクリン) こちらもテトラサイクリン系の抗生物質に分類されます。 ドキシサイクリンと同様に、アクネ菌への抗菌作用と抗炎症作用が期待できます。 ニキビ治療でよく使用される薬の一つです。

ルリッド(ロキシスロマイシン) マクロライド系の抗生物質です。 テトラサイクリン系の薬が体に合わない場合や、他の薬で効果が不十分な場合に検討されることがあります。

ファロム(ファロペネム) ペネム系の抗生物質です。 他の薬剤では改善が難しい、より重いニキビの治療で検討されることがあります。 重症ニキビに対して全身療法として有効であると、「Management of Acne Vulgaris: A Review」でも報告されています。

これらの抗生物質は、薬ごとに作用の仕方や副作用の傾向が異なります。 当院の形成外科専門医は、患者さんのニキビの状態、体質、服用中の他の薬との兼ね合いを考慮し、最適な薬を選びます。
ニキビに効くメカニズム:アクネ菌への抗菌作用
ニキビができる根本的な原因の一つは、毛穴の中に「アクネ菌」という菌が増えすぎることです。 アクネ菌は普段から皮膚にいる常在菌ですが、皮脂が過剰に出たり、毛穴が詰まったりすると、毛穴の中で異常に増殖します。 このアクネ菌が増殖すると、炎症を引き起こし、赤く腫れて痛いニキビになってしまうのです。 抗生物質飲み薬は、このアクネ菌に直接作用し、その増殖を抑えることでニキビの悪化を防ぎます。 具体的には、抗生物質はアクネ菌が細胞を作るために必要なタンパク質の合成を邪魔したり、アクネ菌の壁(細胞壁)を作るのを妨げたりします。 これにより、アクネ菌が分裂・増殖できなくなり、数が減っていきます。 アクネ菌の数が減ると、毛穴の周りの炎症が治まりやすくなり、ニキビの症状が改善へと向かいます。 ただし、抗生物質を必要以上に使ったり、正しい方法で飲まなかったりすると、アクネ菌が薬に対して効かなくなる「薬剤耐性」を持つようになるリスクがあります。 薬剤耐性菌が増えると、いざという時に薬が効かなくなり、ニキビの治療が難しくなる可能性があります。 これは世界的に問題視されており、「Antibiotic use and bacterial resistance in patients with acne vulgaris」などの論文でも指摘されています。 そのため、「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」でも、抗菌薬の長期連用は控えるべきと明記されています。 当院では、薬剤耐性菌の出現を最小限に抑えつつ、最大限の治療効果が得られるよう、最新の医学的知見に基づいた適正な処方と治療計画をご提案しています。
炎症を抑えて赤み・痛みを改善する効果
ニキビのつらい症状は、アクネ菌の増殖だけでなく、その結果として周囲の皮膚組織に起こる「炎症」が原因です。 この炎症が、ニキビの赤みや腫れ、痛みを引き起こします。 抗生物質飲み薬の中には、アクネ菌を減らす「抗菌作用」だけでなく、ニキビの「炎症」そのものを抑える働きを持つものがあります。 特にテトラサイクリン系の抗生物質の一部は、免疫細胞の働きを調整し、炎症を引き起こす物質の産生を抑えることで、ニキビの赤みや腫れ、痛みを直接的に改善すると考えられています。 「炎症がひどいニキビは跡になりやすい」と聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。 実際に、炎症が強いニキビは、治った後に色素沈着(茶色いシミ)や、凸凹としたニキビ跡(瘢痕)として残りやすい傾向があります。 形成外科専門医、美容外科専門医として、ニキビ跡を残さないことは治療の重要な目標です。 炎症を早期に鎮めることは、ニキビ跡のリスクを大きく減らすことにつながります。 例えば、赤みが強く、触ると痛いニキビがある場合、抗生物質を適切に用いて炎症を早めに鎮めることで、後のニキビ跡のリスクを減らし、より美しい肌へと導くことが期待できるのです。 このような炎症が強いニキビには、抗生物質の飲み薬が有効な選択肢となります。
効果を実感するまでの期間と服用期間の目安
「薬を飲んですぐに効果が出る」と期待される方もいらっしゃるかもしれません。 しかし、抗生物質の飲み薬は、服用を開始してすぐに劇的な効果が現れるわけではありません。 個人差はありますが、通常、効果を実感できるようになるまでには、およそ2週間ほどの時間が必要です。 これは、薬が体内でアクネ菌の数を十分に減らし、炎症が治まるまでに時間がかかるためです。 そのため、「すぐに効かないから」といって、自己判断で服用を中断したり、薬の量を減らしたりすることは絶対に避けてください。 途中で飲むのをやめてしまうと、十分な効果が得られないだけでなく、薬が効きにくくなる「薬剤耐性菌」が発生しやすくなるリスクが高まります。 ニキビ治療における抗生物質飲み薬の服用期間は、一般的に短期間に限定されることが推奨されています。 「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」でも、薬剤耐性菌の増加を避けるため、抗菌薬の長期連用は控えるべきと明確に記されています。 通常、数週間から最長で3ヶ月程度を目安とし、ニキビの炎症が落ち着いてきたら、飲み薬を終了し、外用薬(塗り薬)や他の治療法に切り替えて維持療法を行います。 患者さんのニキビの状態は一人ひとり異なりますので、当院では定期的な診察で効果と副作用のバランスを考慮しながら、最適な服用期間を決定します。 必ず医師の指示に従って服用を続けていただくことが、安全で効果的な治療のために非常に重要です。
重症度別に抗生物質飲み薬が必要になるケース
ニキビの重症度は、症状の種類、数、炎症の程度によって異なります。 治療法も、その重症度に合わせて選択することが重要です。 抗生物質の飲み薬は、特に炎症が強く、広範囲にわたるニキビや、塗り薬だけでは改善が難しい場合に検討される治療法です。 具体的には、以下のような場合に抗生物質飲み薬が必要になると判断されることが多いです。
炎症性丘疹や膿疱(赤ニキビ、膿を持ったニキビ)が多数ある場合 顔だけでなく、胸や背中など広い範囲に炎症性のニキビが多数見られる場合です。 「Management of Acne Vulgaris: A Review」でも、重症なニキビに対しては経口抗生物質などの全身療法が効果的であると報告されています。

結節や嚢腫(しこり状のニキビ)がある場合 皮膚の深いところに炎症が及んで、硬いしこりや膿がたまった袋状の病変が見られるニキビです。 これらの深いニキビは、ニキビ跡として残りやすく、早期の適切な治療が特に重要となります。 放置すると、クレーターのような跡や色素沈着が残りやすくなります。

外用薬(塗り薬)だけでは効果が不十分な場合 数週間から数ヶ月間、外用薬を医師の指示通りきちんと使っても、なかなかニキビの改善が見られない時です。 この場合、体の内側から作用する飲み薬の併用を検討します。
ニキビが原因で日常生活に支障をきたしている場合 ニキビの痛みで勉強や仕事に集中できない、見た目を気にして外出や人との交流を避けるなど、精神的な苦痛が大きい場合も、飲み薬による早期の改善が望ましいと判断されることがあります。 ニキビは「世界人口の約9%に影響を及ぼす一般的な炎症性皮膚疾患であり、身体的瘢痕、生活の質の低下、不安、うつ病、自殺念慮などの深刻な影響を伴う」と「Management of Acne Vulgaris: A Review」は指摘しています。
当院の形成外科専門医は、患者さんのニキビの重症度を正確に診断します。 そして、最新の医学的知見と治療ガイドラインに基づき、抗生物質の内服治療が必要かどうかを慎重に判断いたします。 ニキビは放置するとニキビ跡になる可能性が高まるため、重症化する前にぜひ専門医にご相談ください。 早めの治療が、ニキビ跡を残さず、美しい肌を保つために非常に大切です。
Q&A:ニキビの抗生物質飲み薬について
Q1: なぜニキビに抗生物質を飲むのですか? A: ニキビは、毛穴にいるアクネ菌が増えすぎて炎症を起こすことで悪化します。 飲み薬の抗生物質は、このアクネ菌を直接減らす作用(抗菌作用)と、ニキビの赤みや腫れを抑える作用(抗炎症作用)があります。 特に、炎症が強い中等症から重症のニキビに対して、体の内側から効率良くニキビを改善するために処方されます。
Q2: 抗生物質はいつまで飲み続ける必要がありますか? A: 抗生物質飲み薬は、薬剤耐性菌の出現を防ぐため、服用期間が短期間に限定されます。 通常は数週間から、長くても3ヶ月程度が目安です。 ニキビの炎症が落ち着いてきたら、飲み薬を終了し、外用薬(塗り薬)や他の治療法に切り替えることが一般的です。 医師の指示に従い、勝手に飲むのをやめたり、飲み続けたりしないようにしてください。
Q3: 飲み忘れてしまったらどうすれば良いですか? A: 飲み忘れた場合は、気がついた時点で早めに服用してください。 ただし、次の服用時間が近い場合は、忘れた分は飲まずに、次の服用時間から通常の量を飲んでください。 決して2回分を一度に飲むことは避けてください。 不安な場合は、当院にご相談ください。
Q4: 飲み薬だけでニキビは完全に治りますか? A: 抗生物質飲み薬は、炎症性のニキビを効果的に改善しますが、ニキビの根本的な原因(皮脂の過剰分泌、毛穴の詰まりなど)に直接作用するわけではありません。 そのため、飲み薬だけでニキビが完全に治り、再発しなくなるわけではありません。 多くの場合、飲み薬と並行して、毛穴の詰まりを防ぐ外用薬やスキンケア指導、生活習慣の改善などを組み合わせた総合的な治療が必要です。 当院では、患者さんのニキビの状態に合わせた最適な治療プランをご提案いたします。
まとめ:形成外科医に相談してニキビ跡を残さない治療を
ニキビは単なる肌荒れではなく、適切な治療が必要な皮膚疾患です。 特に炎症が強いニキビには、抗生物質の内服薬が有効な治療選択肢の一つとなります。 抗生物質はアクネ菌の増殖を抑え、炎症を鎮めることで、赤みや痛みを改善し、ニキビ跡のリスクを減らす効果が期待できます。 しかし、その効果を最大限に引き出し、薬剤耐性菌のリスクを避けるためには、医師の正確な診断と指示のもと、正しい種類と期間で服用することが非常に重要です。
当院は形成外科専門医、美容外科専門医として、ニキビの症状改善はもちろんのこと、患者さんの「ニキビ跡を残したくない」という想いを大切にしています。 ニキビは早期に適切に治療することで、その後の肌の状態が大きく変わります。 「これはどのくらいの重症度なのだろう」「飲み薬が必要なのだろうか」と少しでも不安に感じたら、どうぞ一人で悩まずに当院にご相談ください。 患者さん一人ひとりのニキビの状態を丁寧に診察し、将来の肌を見据えた最適な治療プランをご提案いたします。
ニキビ抗生物質飲み薬の副作用と注意点6選
ニキビの治療で抗生物質の飲み薬が処方されたとき、その効果とともに、「副作用は大丈夫かな」「飲む上で気を付けることはないかな」と不安に感じるのは自然なことです。特に初めて服用される方は、どんな症状が出る可能性があるのか、いつまで飲み続けるのかなど、多くの疑問を抱えることでしょう。当院では、形成外科専門医、美容外科専門医として、ニキビ跡を残さない治療を非常に重視しており、そのためには、副作用を適切に管理し、安心して治療を継続できる環境を整えることが大切だと考えています。
この章では、ニキビ治療における抗生物質飲み薬の副作用と、服用上の大切な注意点について、具体的にわかりやすく解説します。ご自身の体の変化に注意を払い、気になることがあればいつでもご相談ください。

胃腸症状(吐き気・下痢など)
ニキビ治療で処方される抗生物質飲み薬の中には、胃腸に負担をかける種類があります。具体的には、以下のような症状が現れることがあります。
- 吐き気
- 胃の不快感
- 食欲不振
- 下痢
このような胃腸の症状は、抗生物質が体内の細菌を減らす作用を持つため、腸の中にいる良い菌、いわゆる「善玉菌」にも影響を与えてしまうことが主な原因です。腸内環境のバランスが一時的に崩れることで、消化器系の不調を感じることがあります。特に、空腹時に服用したり、一度にたくさんの量を飲んだりすると、これらの症状が出やすくなる傾向があります。
胃腸症状への対策:
- 食後に服用する: 胃への刺激を和らげることができます。
- 腸内環境を整える食品を摂る: ヨーグルトや乳酸菌飲料など、腸内環境をサポートする食品を試してみるのも良いでしょう。
- 症状が続く場合は相談する: もし、つらい症状が続くようでしたら、我慢せずに早めに医師や薬剤師にご相談ください。自己判断で服用を中止すると、治療効果が得られなかったり、ニキビが悪化したりする可能性があります。薬の種類や飲み方を調整したり、胃腸薬を併用したりすることで、症状を軽減できることがあります。
光線過敏症(日焼けしやすさ)
ニキビの治療に使われる抗生物質飲み薬の一部、特にドキシサイクリンやミノサイクリンといった「テトラサイクリン系の薬」を服用している期間は、「光線過敏症」という副作用に注意が必要です。光線過敏症とは、通常では問題にならないような日光(紫外線)に当たっただけでも、皮膚が過剰に反応して、まるで重度の「日焼け」のような症状が出ることです。
具体的な症状:
- 赤み
- かゆみ
- 腫れ
- 水ぶくれ
この症状は、薬の成分が紫外線と体内で反応し、皮膚に炎症を引き起こすために起こります。そのため、抗生物質を服用している間は、普段以上に紫外線対策をしっかり行うことが大切です。
紫外線対策のポイント:
- 日焼け止めクリームの塗布: SPFとPAが高いものを選び、こまめに塗り直しましょう。
- 帽子や日傘の活用: 顔や首を直接日光から守ります。
- 長袖の衣服: 腕や体を覆い、直接日光が当たらないように心がけましょう。
もし、薬を飲んでいていつもより肌が日焼けしやすいと感じたり、強い赤みや痛みが出たりした場合は、すぐに薬の服用を中止し、当院までご連絡ください。症状の程度に応じて、適切な対処法をご案内いたします。
薬疹やアレルギー反応の可能性
どのような薬にも共通することですが、抗生物質の飲み薬でも「薬疹(やくしん)」と呼ばれるアレルギー反応が起こる可能性があります。薬疹とは、薬の成分が原因となって皮膚に発疹やかゆみ、赤み、水ぶくれなどの症状が現れることです。
症状の範囲:
- 軽度: 軽いかゆみや、蚊に刺されたようなじんましん程度で治まることもあります。
- 重篤: 稀に、全身に広がり、発熱や関節の痛み、リンパ節の腫れなどを伴う重篤な状態になることもあります。
特に、過去に他の薬でアレルギー反応が出たことがある方は、薬疹のリスクが少し高くなる傾向があります。薬を飲み始めてから数日〜数週間後に症状が出ることが多いため、服用中はご自身の体の変化に注意を払うようにしてください。
もし、皮膚に異常を感じたり、いつもと違う体調の変化があったりした場合は、決して自己判断で服用を続けたりせず、すぐに薬の服用を中止して当院にご連絡いただくか、医療機関を受診してください。症状の程度によっては、別の種類の抗生物質に変更したり、アレルギーを抑える薬を処方したりするなど、速やかな対応が必要です。
薬剤耐性菌のリスクと適正な服用方法
ニキビ治療における抗生物質飲み薬の最大の注意点の一つは、「薬剤耐性菌」の出現リスクです。薬剤耐性菌とは、抗生物質が効かなくなってしまった細菌のことで、これが増えると、いざという時に抗生物質が効かなくなり、ニキビだけでなく他の感染症の治療も難しくなることがあります。
「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」でも、抗菌薬耐性菌の増加が世界的課題として指摘されており、抗菌薬の適正な使用が強く推奨されています
抗生物質以外のニキビ飲み薬と根本治療
抗生物質によるニキビ治療は、炎症を抑える上で非常に有効な手段の一つです。しかし、繰り返しの使用は効果が薄れる可能性や、細菌に薬剤耐性が生じるリスクも指摘されています。そのため、当院では抗生物質だけに頼るのではなく、ニキビの根本的な改善を目指す治療法も積極的にご提案しています。
ニキビは肌の表面だけでなく、体の内側の状態や日々の生活習慣と深く関わっています。形成外科専門医、美容外科専門医として、多角的なアプローチで美しく健康な肌を取り戻すサポートをいたします。

ホルモン療法(低用量ピル、スピロノラクトン)の種類と効果
特に女性の場合、生理周期やストレスなどによるホルモンバランスの乱れが、ニキビの大きな原因となることがあります。このようなホルモンが関与するニキビには、ホルモン療法が有効な選択肢の一つです。
低用量ピル
- 女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)を配合した内服薬です。
- 体内のホルモンバランスを穏やかに整える働きがあります。
- 男性ホルモンの影響で増えやすい皮脂の分泌を抑えることで、ニキビの発生を抑制します。
- 特に、生理前に悪化しやすいニキビや、顎(あご)やフェイスラインにできやすいニキビに効果が期待できます。
- メタアナリシスでは、複合経口避妊薬(低用量ピル)が炎症性病変を62%減少させることが報告されています。
- 服用開始時に、吐き気や頭痛などの軽い副作用が現れることがありますが、通常は一時的なものです。
- 血栓症(血管の中に血の塊ができること)のリスクもゼロではないため、服用前には医師との十分な相談が不可欠です。

スピロノラクトン
- 男性ホルモンの働きを抑える作用がある内服薬です。
- 女性の難治性ニキビ治療に用いられることがあります。
- 皮脂の過剰な分泌を抑え、ホルモンバランスの乱れが原因で起こるニキビの改善に効果を発揮します。
- 持続的なニキビを持つ女性に対するスピロノラクトンの使用に関するエビデンスが増加しています。
- 電解質バランスの乱れや生理不順などの副作用が考えられます。
- 妊娠中や妊娠の可能性がある方は服用できません。
- 服用前には、適切な検査と医師との詳細な相談が必要です。

重症ニキビへの切り札「イソトレチノイン」
他の治療法ではなかなか改善しない重症ニキビや、繰り返し発生する難治性のニキビには、「イソトレチノイン」が非常に効果的な飲み薬です。ニキビの根本的な原因に直接働きかけ、治療効果が期待できることから「切り札」とも呼ばれています。中等度から重度のニキビに対する皮膚科医の選択薬として広く利用されており、米国FDAにも承認されています。
作用メカニズム
- 皮脂腺の活動抑制
- 皮脂腺(皮脂を分泌する腺)を縮小させ、皮脂の分泌を大幅に減少させます。
- ニキビの発生源を根本から断つ効果が期待できます。
- 毛穴の詰まり改善
- 毛穴の角化異常(毛穴の出口が硬くなって詰まりやすくなる状態)を正常化します。
- 毛穴が詰まるのを防ぎ、新たなニキビができにくい肌へと導きます。
- 抗炎症作用
- ニキビの炎症自体を抑え、赤みや腫れを軽減する効果があります。
- 炎症が強いニキビの悪化を防ぎ、ニキビ跡のリスクを低減します。
- イソトレチノインは、これら複数の作用により、重度の炎症性ニキビや結節・嚢腫性ニキビを劇的に改善させることが期待できます。
- 皮脂腺の活動抑制
主な副作用と注意点
- 催奇形性(胎児への影響)
- 妊娠中の女性が服用すると、胎児に重篤な先天異常を引き起こす可能性があります。
- そのため、服用期間中および服用後一定期間は、厳重な避妊が必須となります。
- 皮膚や粘膜の乾燥
- 唇の荒れ、鼻血、目の乾燥、肌全体の乾燥などが高頻度で見られます。
- これらは、薬の作用によって皮脂腺の機能が抑制されるために起こります。
- 肝機能異常、脂質異常
- 肝臓の機能や血液中の脂質の数値に影響を与えることがあります。
- 定期的な血液検査でこれらの項目を確認し、安全に服用を継続できるかチェックします。
- 精神状態への影響
- 稀に気分の落ち込みなどが報告されており、これについては引き続き議論の的となっています。
- 服用中はご自身の体調や精神状態の変化に注意し、気になることがあればすぐに医師に相談してください。
- イソトレチノインは非常に効果が高い一方で、形成外科専門医、美容外科専門医による厳重な管理のもとで慎重に服用する必要があります。重症ニキビでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
- 催奇形性(胎児への影響)
市販薬と処方薬の違い:効果的な選び方
ニキビに悩んだとき、薬局で市販薬を手に取る方も多いかもしれません。しかし、市販薬と皮膚科で処方される薬には、効果の強さや作用のメカニズムに大きな違いがあります。
市販薬の特徴
- 軽度のニキビや一時的な肌荒れに対して、炎症を抑えたり、殺菌したりする成分が配合されています。
- 医療用医薬品に比べて有効成分の濃度が低い場合が多く、ニキビの根本的な原因にまで働きかけることは難しいことがあります。
- ドラッグストアなどで手軽に購入できる反面、自己判断で症状が悪化するリスクもあります。
処方薬の特徴
- 形成外科専門医、美容外科専門医が患者さんのニキビの状態や肌質を診察し、それに合わせて選択されます。
- より高い効果が期待できる医療用医薬品が中心です。
- 外用薬
- 日本皮膚科学会のガイドラインでは第一選択薬とされています。
- 特に「アダパレン」(毛穴の詰まりを改善)や「過酸化ベンゾイル」(アクネ菌殺菌、炎症抑制、ピーリング作用)は、ニキビの発生を抑える効果が高いです。
- これらを組み合わせた配合剤も利用されます。
- 効果発現には6~8週間かかることがあり、治療を継続することが非常に重要です。
- 患者さんへのカウンセリングでは、治療開始時の皮膚刺激回避と治療アドヒアランス(治療の継続)の重要性が強調されています。
- 内服薬
- 炎症が強い場合や広範囲にニキビがある場合は、抗生物質飲み薬が処方されますが、薬剤耐性菌のリスクがあるため、長期連用は避けるべきとされています。
- 抗生物質以外の内服薬として、上で解説したホルモン療法やイソトレチノインがあります。
効果的な選び方
- 軽度なニキビであれば市販薬を試すのも良いでしょう。
- しかし、数週間使用しても改善が見られない場合や、炎症が強い、痛みを伴う、広範囲に広がっている、繰り返しできるニキビ、ニキビ跡が気になる場合は、自己判断せずに必ず専門医を受診してください。
- ニキビは放置すると跡になりやすいので、早めの専門的な治療が大切です。
- 当院では、患者さん一人ひとりに最適な治療法を形成外科専門医、美容外科専門医が丁寧にご提案いたします。
根本的なニキビ改善のためのスキンケアと生活習慣
ニキビの再発を防ぎ、根本的に美しい肌を保つためには、日々のスキンケアと生活習慣の見直しが欠かせません。これらは、医療機関での治療効果を最大限に引き出し、健やかな肌を維持するための大切な土台となります。
適切なスキンケア
- 優しく洗顔する
- 肌に刺激を与えないよう、たっぷりの泡で優しく洗いましょう。
- ごしごし擦る洗い方は、肌に負担をかけ、ニキビを悪化させる原因になります。
- 洗顔後は、清潔なタオルで軽く押さえるように水分を拭き取ってください。

- 十分に保湿する
- 乾燥した肌は、皮脂の過剰分泌を招き、ニキビを悪化させることもあります。
- 洗顔後は化粧水でしっかり潤いを補い、乳液やクリームで蓋をすることが重要です。
- 保湿は肌のバリア機能を保ち、外部刺激から肌を守る働きもあります。

- 紫外線対策を徹底する
- 紫外線は肌に炎症を引き起こし、ニキビを悪化させたり、ニキビ跡の色素沈着を濃くしたりする原因になります。
- 外出時は、季節や天候に関わらず日焼け止めを塗る習慣をつけましょう。
- 帽子や日傘なども活用し、物理的に紫外線を避ける工夫も大切です。

- 優しく洗顔する
生活習慣の見直し
- バランスの取れた食事
- 過剰な糖質や脂質の摂取は、皮脂の分泌を促しニキビを悪化させる可能性があります。
- 野菜や果物を多く摂り、ビタミンやミネラルが豊富なバランスの良い食事を心がけましょう。

- 十分な睡眠
- 睡眠不足はホルモンバランスを乱し、肌のターンオーバー(新しい肌への生まれ変わり)を妨げます。
- 質の良い睡眠を確保することで、肌の回復力を高め、ニキビの改善につながります。

- ストレスの管理
- ストレスはホルモンバランスに影響を与え、ニキビを悪化させる要因となります。
- 適度な運動や趣味の時間を取り入れ、自分なりのリラックス方法を見つけることが大切です。
- 清潔な環境を保つ
- 枕カバーやシーツ、スマートフォンなど、肌に触れるものは清潔に保ちましょう。
- これらに付着した細菌や汚れが、ニキビの悪化につながることがあります。
- これらの日々のケアは、ニキビの根本的な改善だけでなく、将来の肌の健康にもつながります。当院では、患者さん一人ひとりの肌質やライフスタイルに合わせたスキンケアや生活習慣のアドバイスも丁寧に行っています。
- バランスの取れた食事
治療で改善しない時の次のステップと医師への相談ポイント
ニキビ治療を続けているにもかかわらず、なかなか改善が見られない場合や、一度改善したもののすぐに再発してしまう場合は、現在の治療方法を見直す時期かもしれません。ニキビは多様な原因で発生し、症状も個人差が大きいため、一人ひとりに合った治療を見つけることが重要です。
次のステップ
- 治療計画の見直し
- 現在の治療が効果的でない場合、使用している薬の種類や量を変更したり、複数の治療法を組み合わせたりするなど、治療計画を再検討します。
- ホルモン療法やイソトレチノインへの移行を検討するなど、より専門的で集中的な治療が必要になることもあります。
- 専門医への相談・セカンドオピニオン
- もし現在の主治医との相談で不安が残る場合や、他の治療選択肢について知りたい場合は、セカンドオピニオンを求めるのも一つの方法です。
- 形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)である当院では、ニキビの治療はもちろん、ニキビ跡の改善や、より美しい肌を目指すための総合的なアプローチをご提案できます。
- 詳細な検査
- ホルモンバランスの乱れが疑われる場合など、血液検査などの詳細な検査を行うことで、ニキビの根本原因を特定できることもあります。
- 見た目だけでは分からない体内の状態を把握し、より的確な治療につなげます。
- 治療計画の見直し
医師への相談ポイント
- 効果的な治療を受けるためには、医師に正確な情報を伝えることが大切です。
- これまでの治療歴を伝える
- これまでにどのような治療を試してきたか、使用した薬の名前、治療期間、その効果や副作用について具体的に伝えましょう。
- 治療の経緯を正確に把握することが、次のステップを見つける上で非常に重要です。
- ニキビの状態の変化を詳しく話す
- いつ頃からニキビができたのか、どの部位にできやすいか、生理周期との関連性はあるかなど、詳しく話してください。
- 痛みやかゆみの有無、悪化する要因(ストレス、食事、睡眠不足など)についても具体的に伝えると良いでしょう。
- 気になること、不安なことを遠慮なく話す
- 薬の副作用への懸念、治療にかかる費用、治療期間の目安、ニキビ跡への心配、精神的な落ち込みなど、どんな些細なことでも遠慮なく伝えましょう。
- 患者さんの抱える精神的な負担は、ニキビ治療において非常に重要な側面です。
- 期待する治療ゴールを共有する
- どのような肌の状態を目指したいか、医師と共有することで、より患者さんに寄り添った治療計画を立てることができます。
- ニキビは見た目だけでなく、心にも大きな影響を与えることがあります。一人で悩まず、信頼できる形成外科専門医、美容外科専門医と共に最適な解決策を見つけていきましょう。
Q&A
Q1: 抗生物質以外のニキビ飲み薬は、どのくらいで効果が出ますか?
A1: ホルモン療法は効果を実感するまでに数ヶ月程度かかることが多いです。イソトレチノインは比較的早く、数週間で効果が現れ始めることが一般的です。個人差はありますが、効果を最大限に引き出すためには、医師の指示通りに継続して服用することが大切です。
Q2: 抗生物質以外の飲み薬は、ニキビ跡にも効果がありますか?
A2: これらの飲み薬は、新たなニキビの発生を抑え、炎症を軽減することで、ニキビ跡が悪化するのを防ぐ効果があります。しかし、既にできてしまったニキビ跡(クレーター状の凹みや色素沈着など)に対しては、飲み薬だけでの改善は難しい場合があります。その場合は、レーザー治療やピーリングなどの専門的な治療を併用することが推奨されます。
Q3: 妊娠中でも服用できるニキビの飲み薬はありますか?
A3: 妊娠中や授乳中は、胎児や赤ちゃんへの影響を考慮し、服用できる薬が非常に限られます。特にイソトレチノインや低用量ピルは服用できません。妊娠の可能性がある場合も必ず医師に伝え、安全性を確認した上で治療を受けてください。当院では、妊娠中の方にも安心して治療を受けていただけるよう、適切な外用薬やスキンケアのアドバイスなども行っています。
まとめ:形成外科専門医に相談してニキビ跡を残さない治療を
ニキビは単なる肌荒れではなく、放置すると永続的なニキビ跡として残ってしまう可能性のある皮膚疾患です。当院は形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)として、ニキビの症状改善はもちろんのこと、「ニキビ跡を残したくない」という患者さんの想いを何よりも大切にしています。
抗生物質だけに頼らない、ホルモン療法やイソトレチノインといった効果的な飲み薬、そして一人ひとりに合わせたスキンケアや生活習慣の改善を通じて、ニキビのできにくい健やかな肌を目指します。重症ニキビでお悩みの方、他院で治療を受けてもなかなか改善しない方も、どうぞご安心ください。
ニキビは適切な治療で必ず改善できます。まずは現在の肌の状態を詳しく拝見し、将来の肌を見据えた最適な治療プランを一緒に見つけていきましょう。美しい肌と自信を取り戻すために、ぜひ一度当クリニックへご相談ください。私たちは、あなたの肌の悩みに真摯に向き合い、専門知識と経験をもってサポートさせていただきます。
まとめ
ニキビは放置するとニキビ跡として残る皮膚疾患です。炎症が強いニキビには、抗生物質の飲み薬がアクネ菌の増殖を抑え、炎症を鎮めることで、ニキビ跡のリスクを減らす効果が期待できます。しかし、薬剤耐性菌のリスクを避け、効果を最大限に引き出すためには、医師の診断と指示のもと、正しい種類と期間で服用することが非常に重要です。
当院では形成外科専門医として、抗生物質だけに頼らないホルモン療法やイソトレチノイン、スキンケアや生活習慣改善など、多角的なアプローチで健やかな肌を目指します。ニキビでお悩みの方は、どうぞ一人で悩まずご相談ください。現在の肌の状態を拝見し、将来を見据えた最適な治療プランを一緒に見つけていきましょう。
参考文献
- Lemiesz P, Nowowiejska-Purpurowicz J, Flisiak I. The molecular mechanism of the adverse effects of the biological and small molecular drugs in the therapy of inflammatory skin diseases – psoriasis and atopic dermatitis. Annals of medicine 58, no. 1 (2026): 2611461.
- 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 202