【完全図解】ドボネックス軟膏って何に効く?どのような仕組み?注意点は?【医師監修】
乾癬による皮膚の赤みや厚み、かゆみといった症状に悩んでいませんか。治療を続けてもなかなか改善せず、不安を抱えている方もいるかもしれません。
この記事では、乾癬治療に用いられるドボネックス軟膏について、医師監修のもと解説します。作用の仕組み、期待できる効果、正しい使い方、副作用、他の治療法との組み合わせまで紹介します。
ご自身の症状と照らし合わせながら読み進めることで、ドボネックス軟膏への理解が深まり、乾癬治療を前向きに進めるためのヒントが得られるでしょう。
ドボネックス軟膏とは?作用の仕組みと期待できる効果
ドボネックス軟膏は、乾癬のつらい皮膚症状を改善するために開発された塗り薬です。この薬の主成分である「カルシポトリオール」は、私たちの体内で作られるビタミンD3に構造が似ています。乾癬は、皮膚の細胞が異常な速さで増え、厚くなったり赤くなったり、フケのような白いカサブタが大量に生じたりする病気です。ドボネックス軟膏は、この異常な細胞の増殖を穏やかにし、皮膚が本来持つ正常な状態へと近づける働きが期待できます。具体的には、皮膚細胞の増殖を抑えるだけでなく、細胞の成熟を促し、さらには皮膚の免疫機能を調整することで、炎症を和らげる作用があります※※。
乾癬の症状を和らげるビタミンD3誘導体
ドボネックス軟膏は、ビタミンD3誘導体という種類の薬剤に分類されます。その有効成分であるカルシポトリオールは、体内に存在するビタミンD3とよく似た化学構造と作用を持ちます※。この成分が、乾癬によって引き起こされる皮膚の炎症や異常な厚みを和らげるように作用するのです。
具体的には、皮膚の細胞に直接働きかけ、細胞が過剰に増えるのを防ぎます。また、未熟な皮膚細胞が正常な成熟した皮膚細胞へと成長する「細胞分化」を促す働きも備えています※。さらに、乾癬の病態で過剰になっている皮膚の免疫システムを穏やかに調整する作用も持つため、炎症の悪化を抑えることにつながると考えられています※。
ケラチノサイトの過剰な増殖を抑える作用
ドボネックス軟膏は、乾癬で異常に増えすぎてしまう皮膚の細胞「ケラチノサイト」の過剰な増殖を効果的に抑えることで、皮膚の赤みや厚みを改善へと導きます。乾癬の皮膚では、ケラチノサイトという表皮を構成する細胞が、通常よりもはるかに速いサイクルで分裂・増殖します。これにより、未熟な細胞が積み重なり、皮膚が厚くなる原因となります。
ドボネックス軟膏の有効成分は、このケラチノサイトに対して、細胞の異常な増殖を止める特別な仕組み「フェロトーシス」を活性化させることが研究で示唆されています※。フェロトーシスとは、細胞が自ら死滅していくプログラムされた細胞死の一種で、鉄の代謝異常と酸化ストレスが関与することが特徴です。カルシポトリオールは、細胞内の酸化ストレスを高め、細胞の増殖を促す物質の働きを抑えることで、皮膚細胞の異常な活動を正常な状態に近づけていきます※。これにより、乾癬特有の皮膚の盛り上がりや白いフケのようなものが減少していくことが期待されます。
主に軽度から中等度の乾癬に効果を発揮
ドボネックス軟膏は、軽度から中等度の乾癬に対して特に効果を発揮し、治療の初期段階から選択肢となることの多い薬剤です。乾癬の症状の範囲や重症度は患者さん一人ひとりで異なりますが、ドボボネックス軟膏は、全身のごく一部に限られた症状や、皮膚の赤み・厚みが比較的軽度な場合にその有効性が認められています※。
多くの塗り薬と比較しても、同等かそれ以上の効果が期待できるとされています。また、症状がより重度な場合や広範囲に及ぶ場合でも、ドボネックス軟膏は他の治療法と組み合わせることで、その効果を強力にサポートできる場合があります。例えば、ステロイド外用薬や光線療法、内服薬などと併用することで、それぞれの薬剤の必要量を減らしたり、治療期間を短縮したりする効果も期待でき、全体の治療のバランスを良くする可能性もあると考えられています※。
ドボネックス軟膏の正しい使い方と効果を高める3つのポイント
ドボネックス軟膏の正しい使い方を理解し、実践することは、その効果を最大限に引き出し、安全に治療を進める上で欠かせません。ご自身の乾癬の症状に合わせて、適切な方法で使いこなしましょう。
塗布量と塗布回数の守り方
ドボネックス軟膏の効果を十分に得るためには、医師の指示通りの塗布量と回数を守ることが極めて重要です。塗り薬の量を測る目安として、「フィンガーチップユニット(FTU)」という考え方があります。これは、人差し指の先端から第一関節まで軟膏を絞り出した量で、おおよそ大人の手のひら2枚分の面積に塗る目安です。
多くの場合、1日1回、患部に薄く伸ばして塗るように指示されます。治療指示をしっかり守ることは、良好な治療結果に直結するといえます。ランダム化比較試験や実臨床データでも、治療指示への高いアドヒアランス(指示通りに治療を続けること)が、治療効果を高めることが示されています※※。例えば、乾癬治療で用いられるCalcipotriol/betamethasone dipropionate (Cal/BD) エアゾールフォームに関するレビューでは、82~93%という高いアドヒアランスが確認されています※。
必要以上に塗りすぎると、皮膚刺激などの副作用のリスクが高まる可能性があります。反対に量が少なすぎたり、回数が不十分だったりすると、十分な効果が得られないこともあります。自己判断で塗る量や回数を変更せず、必ず医師の指示に従うようにしてください。
顔や広範囲への塗布を避けるべき理由
ドボネックス軟膏を塗るときは、顔や首、および広範囲への塗布は避けるべきです。なぜなら、特定の部位への塗布にはリスクが伴うためです。
- 顔や首の皮膚が薄く敏感であるため:顔の皮膚は他の部位に比べて薄く、刺激を受けやすい特徴があります。そのため、皮膚炎やかぶれといった副作用が起こりやすくなります。特に目の周りは粘膜に近く、薬が目に入ると強い刺激になることがあるため、細心の注意が必要です。
- 高カルシウム血症のリスクを避けるため:軟膏の成分が体内に吸収されすぎると、ごくまれに「高カルシウム血症」という全身性の副作用が起こる可能性があります。広範囲にわたって一度に多くの量を塗布すると、成分の吸収量が増え、このリスクが高まります。
いくつかの研究では、Calcipotriol/betamethasone dipropionate (Cal/BD) 配合剤の全身性の重篤な影響(カルシウムの恒常性や、体内のホルモンバランスを調整する視床下部-下垂体-副腎軸への影響)はほとんど報告されていないとされています※。しかし、安全のためにも、医師から指示された塗布範囲と量を厳守することが大切です。指示された部位以外への使用は控えましょう。
継続使用で期待できる効果と期間
ドボネックス軟膏は、継続して使用することで徐々に効果が現れ、乾癬の症状改善と良好な状態維持が期待できます。塗布を開始してすぐに症状が劇的に改善するわけではありません。しかし、多くの場合は数週間から1カ月程度で効果を実感し始められます。
具体的な効果の目安は次のとおりです。
- ある臨床試験のレビューでは、Calcipotriol/betamethasone dipropionate foamを4週間使用することで、プラセボ(偽薬)よりも高い治療成功率が示されています※。
- 実臨床のデータでも、Cal/BDエアゾールフォームを使用する患者さんの約50%が、4週間後には症状が完全に、またはほぼ完全に改善したことが報告されています※。
症状が改善した後も、再発を防ぎ、良い状態を維持するためには、医師の指示に従って継続して塗布することが大切です。ドボネックス軟膏は、長期的な使用においても、適用部位での軽度から中程度の副作用が主であり、全身性の副作用はまれであることが報告されています※。このため、継続的な治療選択肢としても有用性が高いといえます。定期的に医師の診察を受け、ご自身の状態に合わせた最適な治療を続けていきましょう。
知っておきたいドボボネックス軟膏の副作用と3つの注意点
ドボネックス軟膏の使用にあたっては、効果とともに副作用と注意点を理解しておくことが重要です。お肌に直接塗る薬であるため、正しい使用方法を守り、もしもの時の対処法をあらかじめ知っておくことは、安全な治療につながります。副作用は、塗った場所に起こる皮膚刺激が最も多くみられますが、ごくまれに全身への影響が起こる可能性もあります。
皮膚刺激(かゆみ、赤み、ひりつき)が起きた時の対処法
ドボネックス軟膏の使用中に、塗った部分に皮膚刺激を感じることがあります。乾癬治療におけるドボネックス軟膏で最も頻繁に報告されるのは、塗布部位での皮膚刺激です。具体的には、かゆみ、赤み、ひりつきといった症状で、約20%の患者さんにみられるとされています※。これは、有効成分であるカルシポトリオールが持つ刺激性によるものと考えられています。
多くの場合、これらの症状は軽度で一時的であり、継続して使用するうちに落ち着く傾向にあります※。成人だけでなく、小児患者さんでも同様に忍容性は良好だと報告されています※。
もし、皮膚刺激が強く現れてつらいと感じる場合は、自己判断で中断せず、すぐに医師や薬剤師へ相談しましょう。薬の塗布量を調整したり、回数を減らしたり、あるいは保湿剤を併用したりすることで、症状を軽減できる可能性があります。
まれな全身性副作用(高カルシウム血症)とその徴候
ドボネックス軟膏の使用において、高カルシウム血症は非常にまれな全身性の副作用です。有効成分のカルシポトリオールは、ビタミンD3と似た作用を持ち、体内のカルシウム吸収を助ける働きがあるため、ごくまれに高カルシウム血症を引き起こす可能性があります。しかし、推奨される使用量である週100g以下を守って使用すれば、体内のリンやカルシウムのバランスに影響が及ぶことは極めてまれだと考えられています※。実際、臨床試験ではカルシウム恒常性への臨床的に関連する影響はほとんど報告されていません※。
この副作用は、主に推奨量を超えて広範囲に塗布した場合に発生しやすいことが報告されています※。体内で作られる活性型ビタミンD3であるカルシトリオールと比較しても、ドボネックス軟膏のカルシポトリオールはリン・カルシウム代謝への影響が著しく低いことが示されています※。
もし、次のような高カルシウム血症の兆候に気づいたら、すぐに薬の使用を中止し、医師へ連絡してください。
- 吐き気や食欲不振
- 全身のだるさ
- 尿量の増加、のどの渇き
妊娠・授乳中や小児の使用における注意
ドボネックス軟膏は、妊娠中や授乳中の女性、そして小児への使用には特別な注意が必要です。妊娠中の方や授乳中の方は、ドボネックス軟膏の使用が禁忌とされており、原則として使用できません※。これは、胎児や乳児への安全性に関する十分なデータが不足しているため、リスクを避けるための慎重な判断が必要となるためです。治療の必要性と赤ちゃんへの影響について、必ず事前に医師と十分に相談し、納得した上で治療方針を決定することが大切です。
小さなお子さんへの使用も、大人の場合とは異なる注意が必要です。お子さんの皮膚は大人よりも薄く、薬の成分が体内に吸収されやすい傾向があるため、副作用のリスクが若干高まる可能性が考えられます。ただし、小児患者さんにおいても一般的に忍容性は良好であるとの報告もあります※。使用する際は、医師の指示を厳守し、塗る量や範囲に細心の注意を払いながら進めるようにしましょう。
ドボネックス軟膏を最大限に活かす併用療法と治療の選択肢
ドボネックス軟膏は、乾癬の治療において単独でも効果を発揮します。しかし、他の治療法と組み合わせることで、より高い治療効果が期待でき、中等症から重症の乾癬にも対応できる可能性があります。乾癬の症状は患者さん一人ひとりで異なるため、一つの薬だけですべての症状に対応するのは難しい場合があります。ドボネックス軟膏は、その作用メカニズムから、他の治療薬と組み合わせることで相乗効果を生み出し、治療の選択肢を広げることが可能です。特に、ステロイド外用薬との併用は、多くの患者さんで効果的な選択肢の一つとされています※。症状の重さに応じて、光線療法や内服薬と組み合わせることで、より満足のいく治療結果を目指すこともできます。ドボネックス軟膏で十分な効果が得られない場合でも、次の治療ステップが用意されているため、ご安心ください。
ステロイド外用薬との併用による相乗効果
ステロイド外用薬とドボネックス軟膏の併用は、乾癬の症状を効率よく改善し、治療効果をさらに高めることが期待できる治療法です。乾癬の治療では、ドボネックス軟膏の有効成分であるカルシポトリオールとステロイド外用薬を同時に使うことが一般的です※。
- ドボネックス軟膏(カルシポトリオール): 皮膚細胞の異常な増殖を抑え、正常な細胞への分化を促すほか、皮膚の免疫機能を調整します※。
- ステロイド外用薬: 乾癬の主な症状である炎症や赤みを強力に抑える働きがあります。
これらを組み合わせることで、それぞれの薬が異なる角度から作用し、単独で使うよりも高い相乗効果を発揮することがわかっています※。特に、カルシポトリオールとベタメタゾンジプロピオン酸エステル(強力なステロイドの一種)を配合した製剤は、単剤でそれぞれを使用するよりも高い有効性を示すことが報告されています※。
併用療法によって、治療期間の短縮や、それぞれの薬の使用量を減らすことが可能になり、副作用のリスクを抑えながら治療を進められる場合があります※。さらに、ドボネックス軟膏の成分とステロイドが一つになった配合剤は、塗布の手間を減らすことにもつながり、治療を継続しやすくなる効果も期待できます。
光線療法や内服薬との組み合わせで重症乾癬にも対応
ドボネックス軟膏は、光線療法や内服薬と組み合わせることで、中等症から重症の乾癬に対しても有効な治療戦略を組み立てられます。乾癬の症状が広範囲に及ぶ場合や、塗り薬だけでは十分な効果が得られない中等症から重症の乾癬では、全身的な治療が検討されます。
以下の治療法とドボネックス軟膏の併用は、全身療法の効果を高める役割を果たすことが知られています。
- 光線療法(紫外線治療): 患部に紫外線を当てることで、皮膚の炎症を抑えたり、異常な細胞の増殖を抑制したりします。ドボネックス軟膏と併用することで、炎症をより効果的に抑え、必要な光線の量を減らせる可能性があります※。
- 内服薬: 免疫抑制剤、レチノイド、生物学的製剤など、さまざまな種類があります。ドボネックス軟膏を併用することで、内服薬の量を減らし、長期的な副作用のリスク軽減にもつながると考えられています※。
このように、ドボネックス軟膏を治療の軸に据えながら、他の治療法と柔軟に組み合わせることで、患者さん一人ひとりの乾癬の重症度やライフスタイルに合わせた最適な治療計画を立てることができます※。特に、カルシポトリオールとステロイドの配合剤は、軽症から中等症の乾癬だけでなく、全身療法と併用する重症例においても有効な選択肢として注目されています※。
ドボネックス軟膏で効果がない場合の次の治療ステップ
ドボネックス軟膏を正しく使っても、残念ながらすべての方に十分な効果があるとは限りません。治療効果が期待通りに得られない場合や、副作用が強く出てしまう場合でも、乾癬の治療法は多岐にわたるため、ご自身の症状に合わせた次の治療ステップへ移行することで症状の改善を目指せます。
ドボネックス軟膏で効果が不十分な場合や、より重度の乾癬に対しては、以下の選択肢が検討されます。
| 治療の選択肢 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 別の外用薬 | ・ステロイド外用薬単独 |
| ・タール剤 | |
| ・PDE4阻害薬(コレクチム軟膏など) | |
| 配合剤 | ・ドボネックスの成分とステロイドが一つになった配合剤(ドボベット軟膏など)への変更 |
| 光線療法 | ・紫外線を用いる治療法。全身または特定の部位に照射します。 |
| 内服薬 | ・免疫抑制剤 |
| ・レチノイド | |
| ・PDE4阻害薬 | |
| 生物学的製剤 | ・乾癬の原因となる特定の物質をピンポイントで抑える注射薬。特に重症の乾癬に高い効果を発揮します。 |
これらの治療法は、現在の症状の程度、乾癬の範囲、患者さんの生活スタイル、他の持病の有無などを総合的に評価した上で、医師が患者さんと十分に話し合いながら最適なものを提案します。ドボネックス軟膏で期待通りの効果が得られなかったとしても、決して諦めずに、医師とともに次の治療ステップを検討することが大切です。実臨床では、4週間の治療で約50%の患者さんが症状の完全またはほぼ完全な改善を達成していますが、効果が見られない場合でも、多様な選択肢があることを知っておきましょう※。
ドボネックス軟膏に関する患者の3つのギモンを解決
乾癬治療を続ける上で、患者さんが抱くことが多い「治療費」「長期使用の安全性」「日常生活での工夫」という3つの疑問に、医師が詳しくお答えします。これらの疑問を解消することは、安心して乾癬治療を継続するために大切なステップです。
治療費とジェネリック医薬品について
ドボネックス軟膏の治療費は、日本の公的医療保険が適用されるため、患者さんの自己負担割合に応じて金額が決まります。乾癬は長く付き合っていく必要のある病気であり、治療費が負担にならないかという点は、多くの患者さんが心配されることでしょう。ドボネックス軟膏は、国が薬価(薬剤の価格)を定めているため、全国どの医療機関で処方されても同じ薬価です。患者さんの年齢や収入によって、1割、2割、3割といった自己負担割合が適用され、その割合に応じた費用をお支払いいただきます。
残念ながら、現在(執筆時点)ではドボネックス軟膏のジェネリック医薬品は発売されていません。ジェネリック医薬品は、新薬の特許期間が満了した後に、同じ有効成分・同じ効果で製造・販売される薬のことで、一般的に価格が抑えられています。そのため、ジェネリック医薬品がない場合、薬代の自己負担額が比較的大きくなる傾向があります。
しかし、医療費の負担を軽減するための公的な制度がいくつか用意されています。これらを活用することで、経済的な心配を減らし、治療に専念できるようになる可能性があります。代表的な制度は以下のとおりです。
- 高額療養費制度: ひと月(同じ月内)の医療費の自己負担額が上限額を超えた場合、その超えた分の医療費が払い戻される制度です。上限額は所得や年齢によって異なります。
- 自立支援医療制度(精神通院医療): 精神疾患の治療に限定されますが、所得に応じて医療費の自己負担額が1割になるなど、軽減される制度です。乾癬自体には適用されませんが、乾癬による精神的な負担が大きい場合に、関連する治療で利用できる可能性があります。
- 各自治体独自の医療費助成制度: お住まいの市区町村によっては、特定の疾患や年齢層を対象とした医療費助成を行っている場合があります。
これらの制度については、必ず担当の医師や医療機関の相談窓口、またはお住まいの市区町村の窓口に相談し、ご自身の状況に合った制度があるかをご確認ください。
長期使用における安全性とQOL向上への期待
ドボネックス軟膏は、医師の指示に従って適切な量と頻度で使えば、長期間にわたって使用しても安全性が高いことが確認されています※。この薬は、乾癬の病態に関わる皮膚細胞の異常な増殖を抑え、正常な細胞への分化を促すほか、皮膚の免疫機能を調整するビタミンD3アナログという種類の薬です※。
最もよくみられる副作用は、薬を塗った場所に起きる皮膚刺激です。具体的には、かゆみ、赤み、ひりつきといった症状で、約20%の患者さんにみられるという報告があります※。これらの症状は、薬の有効成分であるカルシポトリオールが持つ刺激性によるものと考えられています。しかし、ほとんどの場合は軽度で一時的であり、使い続けるうちに落ち着く傾向にあります※。大人だけでなく、小さなお子さんへの使用でも、一般的に問題なく使用できるとされています※。
全身に影響を及ぼすような重い副作用、例えば「高カルシウム血症」は非常にまれです。有効成分のカルシポトリオールは体内のカルシウム吸収を助ける働きがあるため、推奨される使用量である週100g以下を守って使用すれば、体内のリンやカルシウムのバランスに影響が及ぶことは極めてまれと考えられています※。これは、体内で作られる活性型ビタミンD3と比べて、カルシポトリオールはリン・カルシウム代謝への影響が著しく低いことが示されているためです※。臨床試験でも、高カルシウム血症の報告は推奨用量を超えて広範囲に塗布した場合にまれにみられた程度です※。
乾癬の症状が長期にわたり良好な状態に保たれることは、見た目の改善だけでなく、患者さんの心の負担を大きく減らすことにつながります。皮膚症状が落ち着くことで、外出や人との交流がしやすくなり、精神的なストレスが軽減されます。その結果、自分らしく、前向きな気持ちで日常生活を送れるようになり、生活の質(QOL)の向上が期待できます。
日常生活での工夫と再発予防のヒント
ドボネックス軟膏による治療効果を最大限に引き出し、乾癬の症状が悪化したり再発したりするのを防ぐためには、日々の生活習慣を見直すことが重要です。乾癬の症状は、ストレス、皮膚の乾燥、物理的な刺激などがきっかけで悪くなることがあります。薬での治療と合わせて、以下の点に気を配りましょう。
- 保湿ケアの徹底: 乾癬の皮膚はバリア機能が低下し、乾燥しやすい状態です。皮膚が乾燥すると、外部からの刺激を受けやすくなり、かゆみや炎症が悪化する可能性があります。お風呂上がりなどには、保湿剤をたっぷり塗って肌の潤いを保つことが大切ですし、治療効果の維持にもつながります。
- ストレスを上手に管理する: ストレスは免疫機能に影響を与え、乾癬の症状を悪化させる大きな要因の一つとして知られています。適度な運動や十分な睡眠、趣味の時間を持つなど、自分に合った方法で心身のリラックスを心がけましょう。
- バランスの取れた食事を心がける: 特定の食品だけを食べれば乾癬が治るという科学的な根拠は確立されていませんが、栄養バランスの取れた食事は、体全体の健康を維持し、免疫機能を正常に保つ上で非常に重要です。偏りのない食事を意識しましょう。
- 皮膚への刺激を避ける: 衣服や入浴方法によって皮膚に余計な刺激を与えないことが、乾癬の症状悪化を防ぐ上で役立ちます。具体的には、次のとおりです。
- 肌に直接触れる衣類は、締め付けの少ない綿などの肌に優しい素材を選びましょう。
- 入浴時には、ナイロンタオルなどで皮膚をゴシゴシと強く洗うことは避け、刺激の少ない石鹸で優しく洗うようにします。
- 熱すぎるお湯や長時間の入浴も、皮膚の乾燥を招くことがあるため注意が必要です。
これらの日常生活での工夫は、ドボネックス軟膏の治療効果を後押しし、症状が落ち着いた状態(寛解)をできるだけ長く維持するために役立ちます。治療が順調に進んでいても、自己判断で薬の使用をやめたりせず、定期的に医師の診察を受けて、再発予防に努めましょう。
まとめ
ドボネックス軟膏は、乾癬による皮膚の異常な増殖を穏やかにし、炎症を和らげる働きが期待できる塗り薬です。ビタミンD3誘導体である主成分カルシポトリオールが、皮膚細胞の正常なサイクルを取り戻すように作用します。軽度から中等度の乾癬に効果的ですが、ステロイド外用薬や光線療法などとの併用で、より重い症状にも対応できる可能性を秘めています。
この軟膏の効果を最大限に引き出すには、医師の指示通りの塗布量と回数を守り、顔など敏感な部位への使用は避けることが重要です。皮膚刺激などの副作用が出ることもありますが、多くは一時的なものだと考えられます。妊娠中や授乳中、小児への使用は注意が必要なので、必ず医師に相談しましょう。治療費の負担を減らすための制度もあり、長期使用の安全性も確認されています。
乾癬の治療は継続が大切であり、薬を使うだけでなく保湿ケアやストレス管理といった日々の工夫も有効です。疑問や不安があれば、一人で抱え込まずに、必ず医師や薬剤師に相談して、ご自身に合った治療計画を一緒に見つけていきましょう。
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