キュアトックスとは?キュアジェット×スキンボトックスによる新しい毛穴・皮脂・小ジワ治療を医学的に解説
美容医療では、毛穴の開きや皮脂の過剰分泌、小ジワなどの肌悩みに対して、さまざまな治療が行われています。
その一つが、ボツリヌストキシン製剤を皮膚の浅い層に細かく注入する「スキンボトックス」です。
従来のスキンボトックスでは、細い注射針を用いて顔全体に多数の注入を行うため、痛みや内出血が負担になることがありました。
そこで注目されるのが、針を使わずに薬剤を皮膚内へ届けるキュアジェット(CureJet)です。
「キュアトックス」は、キュアジェットとスキンボトックスを組み合わせ、針を使わずに毛穴・皮脂・小ジワなどの改善を目指す治療です。
実は、この治療には医学的に興味深い研究があります。2024年には、ボツリヌストキシンをニードルフリーのマイクロジェットで投与し、従来の注射と比較した臨床試験が発表されています。
この記事では、キュアトックスの作用機序、期待できる効果、従来のスキンボトックスとの違い、痛みやダウンタイムについて、医学論文を交えながら解説します。
※「キュアトックス」は本記事で紹介する治療名称です。以下で引用するニードルフリー注入の研究には、CureJetとは異なる機器を用いたものも含まれます。
1. キュアトックスとは?
キュアトックスは、スキンボトックスに使用するボツリヌストキシン製剤を、キュアジェットによって皮膚内へ導入する治療です。
従来のボトックス注射では、表情筋に薬剤を注入して筋肉の収縮を弱め、額や眉間、目尻などの表情ジワを改善します。
一方、スキンボトックスでは、薬剤を主に真皮内などの浅い層に少量ずつ投与し、肌質の改善を目指します。
期待される作用は、皮脂分泌の抑制、毛穴の目立ちの軽減、小ジワや肌のキメの改善などです。
キュアトックスでは、このスキンボトックスを針ではなくジェット流によって行うことで、穿刺による負担の軽減を目指します。
2. キュアジェットの仕組み|なぜ針なしで薬剤を届けられる?
キュアジェットは、電磁力を利用して薬剤を高速の微細なジェット流として射出し、皮膚内へ届ける医療機器です。
通常の注射では針を皮膚に刺して薬剤を注入しますが、キュアジェットでは高速で射出された薬剤が皮膚を通過するため、注射針を使用せずに薬剤を導入できます。
また、キュアジェットの特徴は、単に薬剤を届けるだけではないことです。高速のジェット流が皮膚内部に機械的な刺激を与えるため、薬剤による作用に加えて、皮膚のリモデリング(組織の再構築)を促す可能性があります。
ただし、薬剤の到達深度や分布は、機器の設定、皮膚の厚さ、薬剤の性状などによって異なります。
ジェット注入は本当に効果がある?2023年のシステマティックレビュー
2023年、Bekkersらは、針を使用しないジェット注入治療について、37研究・計1,911名を対象としたシステマティックレビューを発表しました。
この研究では、ニキビ跡、肥厚性瘢痕、ケロイド、円形脱毛症、多汗症、美容治療など、さまざまな皮膚疾患に対する治療効果が検討されました。
その結果、統計解析が行われた15研究のうち13研究で、ジェット注入による有意な治療効果が報告されました。
特に注目されたのが、ニキビ跡のクレーターと肥厚性瘢痕に対する効果です。
比較的質の高いランダム化比較試験では、以下の治療で有効性と良好な忍容性が示されました。
- ニキビ跡のクレーター: 生理食塩水をジェット注入することで、ボックスカー型やローリング型の萎縮性瘢痕に改善が認められました。
- 肥厚性瘢痕: 5-FU(フルオロウラシル)とトリアムシノロンをジェット注入する治療で、瘢痕の改善が認められました。
さらに、ヒアルロン酸を用いたジェット注入でも、萎縮性ニキビ跡の改善を示した研究がありました。
これらの結果は、ジェット注入が薬剤を皮膚内に届ける手段としてだけでなく、ニキビ跡や瘢痕の治療にも応用できる可能性を示しています。
安全性についても、対象研究では重篤な有害反応は報告されず、概ね良好な忍容性が認められました。
ただし、37研究全体では研究の質にばらつきがあり、機器や使用薬剤、治療条件も統一されていませんでした。そのため、すべてのジェット注入機器や治療法で同じ効果が得られると証明されたわけではありません。
つまり、ジェット注入はニキビ跡や瘢痕に対して臨床的な有効性が期待できる治療技術ですが、キュアジェットという個別の機器についても、今後さらなる臨床研究が必要です。
参考文献
Bekkers VZ, et al. Efficacy and safety of needle-free jet injector-assisted intralesional treatments in dermatology—a systematic review. Drug Delivery and Translational Research. 2023;13:1584–1599.
3. スキンボトックスにはどのような効果がある?
「毛穴の開きが気になる」「夕方になると顔がテカる」「肌のキメが粗くなってきた」
そんな肌のお悩みにおすすめしたいのが、スキンボトックスです。
スキンボトックスは、ボツリヌストキシン製剤を皮膚の浅い層に細かく投与することで、皮脂分泌や毛穴の目立ち、小ジワなどの改善を目指す美肌治療です。
通常のボトックスが表情ジワの改善を主な目的とするのに対し、スキンボトックスは肌表面のなめらかさや質感を整えることを目的としています。
2024年に発表されたシステマティックレビュー・メタ解析でも、皮内ボツリヌストキシン投与によって、皮脂分泌、毛穴、赤み、小ジワ、肌の質感などの改善が報告されています。
① 毛穴の開きを改善し、なめらかな肌へ
スキンボトックスで特に期待される効果の一つが、毛穴の目立ちの改善です。
毛穴が目立つ原因にはさまざまなものがありますが、皮脂の分泌量が多いと毛穴が開いて見えたり、肌表面の凹凸が強調されたりすることがあります。
スキンボトックスは、過剰な皮脂分泌を抑えることで、毛穴が目立ちにくい、なめらかな肌を目指します。
こんな方におすすめです。
- 鼻や頬の毛穴が目立つ
- ファンデーションが毛穴落ちしやすい
- 肌の凹凸が気になる
- 皮脂が多く、毛穴が開きやすい
特に、皮脂分泌の多さが関係している毛穴のお悩みと相性のよい治療です。
② 皮脂やテカリを抑え、さらっとした肌へ
「朝はきれいにメイクできたのに、夕方にはTゾーンがテカテカ……」
そんなお悩みにも、スキンボトックスが選択肢になります。
ボツリヌストキシンには、皮脂分泌を抑える作用が報告されています。
皮脂の分泌量が落ち着くことで、顔のテカリやベタつきが軽減し、メイク崩れしにくい肌を目指せます。
特に、額・鼻・頬など、皮脂分泌が多い部分におすすめです。
毛穴と皮脂の両方にアプローチできることが、スキンボトックスの大きな魅力です。
③ 小ジワを目立ちにくくし、自然で若々しい印象へ
スキンボトックスは、肌表面に現れる細かな小ジワの改善にも用いられます。
通常のボトックスは表情筋の動きを抑えることでシワを改善しますが、スキンボトックスは皮膚の浅い層に少量ずつ投与することで、表情への影響をできるだけ抑えながら、細かなシワの改善を目指します。
例えば、頬の細かなシワや、笑ったときに目立つ浅いシワなどが気になる方に適しています。
「シワは改善したいけれど、表情が不自然になるのは避けたい」
そんな方にも検討しやすい治療です。
なお、投与部位や薬剤の広がり方によっては表情筋にも作用するため、適切な注入量と深さの調整が大切です。
④ 肌のキメを整え、つるんとした質感へ
スキンボトックスは、毛穴や皮脂、小ジワなど、肌表面の質感に関わる複数のお悩みにアプローチできる治療です。
皮脂によるベタつきが落ち着き、毛穴や細かなシワが目立ちにくくなることで、肌全体がなめらかに見える効果が期待できます。
特に、肌の表面が粗く見える方や、ファンデーションを塗っても仕上がりが均一になりにくい方におすすめです。
単にシワを減らすだけではなく、肌全体の質感を整え、メイク映えする肌を目指せるのがスキンボトックスの特徴です。
⑤ 赤ら顔や肌の赤みにもアプローチ
スキンボトックスは、顔の赤みを改善する治療としても注目されています。
皮内に投与されたボツリヌストキシンが、皮膚の神経や血管の反応に影響することで、赤みを軽減する可能性が報告されています。
特に、ほてりや炎症に関連する赤みへの応用が研究されています。
ただし、赤ら顔には酒さ、毛細血管拡張、炎症などさまざまな原因があるため、肌の状態に応じてIPLやレーザー治療などを組み合わせることもあります。
キュアトックスなら、針を使わずにスキンボトックスを導入
当院のキュアトックスは、キュアジェットを利用してボツリヌストキシン製剤を皮膚内へ導入する治療です。
通常のスキンボトックスでは、細い注射針を使用して顔全体に少量ずつ薬剤を注入します。
一方、キュアトックスでは、キュアジェットの高速ジェット流を利用するため、注射針を使わずにスキンボトックスの薬剤を導入できることが特徴です。
「毛穴や皮脂を改善したいけれど、顔に何度も注射するのは苦手」という方にも、新しい選択肢となります。
毛穴の開き、テカリ、小ジワ、肌のキメなど、複数のお悩みをまとめてケアしたい方は、ぜひご相談ください。
※スキンボトックスの研究結果は、主に注射針を用いた皮内投与に関するものです。キュアトックスによる効果の程度や持続期間が同等であると確認されたわけではありません。
4. ニードルフリーのボトックス治療は本当に効果がある?
キュアトックスを考えるうえで、特に注目したい研究があります。
2024年に韓国から報告された、ボツリヌストキシンのニードルフリー投与に関するランダム化顔面左右比較試験です。
この研究では、10名の韓国人女性を対象に、目尻のシワに対するボツリヌストキシン投与を、片側は通常の注射針、反対側はニードルフリーのマイクロジェット注入で行いました。
2024年の比較試験の結果
対象人数:10名
平均年齢:50.7歳
評価対象:目尻のシワ
主な結果:両側とも目尻のシワが改善
シワ改善効果に明確な左右差は認められなかった
ニードルフリー側では施術時の痛みが有意に少なかった
総合的な美容改善評価に明確な差は認められなかった
出典:Koh YG, et al. Ann Dermatol. 2024.
この研究は、針を使わずにボツリヌストキシンを投与する方法でも、シワ改善効果が得られる可能性を示しています。
ただし、使用された機器はEr:YAGレーザー駆動のマイクロジェット注入器(Mirajet)であり、電磁式のCureJetとは異なります。
また、対象は目尻のシワであり、顔全体の皮脂や毛穴改善を検証した研究ではありません。
そのため、この研究をもってキュアトックスの有効性が証明されたと判断することはできません。
5. 多汗症の研究でもニードルフリーボトックスの有効性が報告
ボツリヌストキシンのニードルフリー投与は、多汗症治療でも研究されています。
2023年の研究では、手掌多汗症に対し、片手に通常の注射、反対側にニードルフリー投与を行い、その効果が比較されました。
この2023年の研究で使用された機器は、**MEDJET(メドジェット)**です。キュアジェットと同じ噴射式のニードルフリーインジェクターになります。
両側とも投与4週間後から発汗量が減少し、その効果は28週間の観察期間中維持されました。また、ニードルフリー側の方が施術時の痛みが有意に少ないという結果でした。
この結果は、ボツリヌストキシンを針なしで皮膚内へ投与する技術の可能性を支持しています。
一方、手掌多汗症と顔面のスキンボトックスでは、治療部位、薬剤の投与深度、目的が異なるため、結果をそのまま当てはめることはできません。
6. キュアトックスはどのような人におすすめ?
キュアトックスは、次のような肌悩みがある方に検討される治療です。
- 皮脂分泌が多く、顔のテカリが気になる方
- 頬や鼻周囲の毛穴の開きが気になる方
- 肌のキメや質感を整えたい方
- 浅い小ジワが気になる方
- 従来のスキンボトックスで針による痛みが負担だった方
ただし、毛穴の開きには複数の原因があるため、すべての毛穴にスキンボトックスが適しているわけではありません。
例えば、ニキビ跡によるクレーター状の毛穴には、瘢痕の構造を改善する治療が必要です。また、皮膚のたるみに伴う毛穴には、RFやHIFUなどの治療が適している場合もあります。
7. キュアトックスと従来のスキンボトックスの違い
| 比較項目 | 従来のスキンボトックス | キュアトックス |
|---|---|---|
| 薬剤 | ボツリヌストキシン | ボツリヌストキシン |
| 導入方法 | 注射針による皮内注入 | キュアジェットによる導入 |
| 針による穿刺 | あり | なし |
| 痛み | 穿刺痛がある | 痛みの軽減が可能 |
| 内出血 | 起こる場合がある | ほとんど起こらない |
| 投与深度 | 注射手技によって調整 | 機器設定や皮膚の状態に依存 |
| エビデンス | 皮内投与の臨床研究あり | この組み合わせの直接的な臨床研究は限定的 |
キュアトックスの最大の特徴は、注射針を使わずにボツリヌストキシンを導入する点です。
ただし、従来の注射と比べて効果が優れていることや、副作用が少ないことが証明されているわけではありません。
8. キュアトックスの痛みとダウンタイム
キュアトックスは針を使わない治療ですが、完全に痛みがないわけではありません。
薬剤を高速で射出する際に、皮膚を弾かれるような刺激や痛みが生じることがあります。
また、針を使わない場合でも、皮膚内への薬剤導入に伴って赤みや内出血などが生じる可能性があります。
主な副作用としては、以下が考えられます。
| 副作用 | 内容 |
|---|---|
| 赤み | 施術による一時的な炎症 |
| 腫れ・膨疹 | 薬剤導入による局所反応 |
| 点状出血・内出血 | 微細血管の損傷 |
| 痛み・圧痛 | 施術時や施術後の刺激 |
| 表情の違和感 | 薬剤が表情筋へ作用した場合 |
| 眼瞼下垂・口角の左右差 | 意図しない筋肉への作用 |
| 感染・アレルギー反応 | 頻度は不明だが注意が必要 |
特に注意したいのが、ボツリヌストキシンによる意図しない筋肉の麻痺です。
2022年の18名を対象とした皮内ボツリヌストキシンの顔面左右比較試験では、肌の質感や一部のシワに改善が認められた一方、片側の頬に30単位を投与した患者1名に顔面麻痺が報告されています。この研究は通常の皮内注射によるものであり、キュアジェットで同じ頻度の副作用が起こることを意味するものではありません。
ニードルフリーインジェクションでは非常に浅い層に微量のボツリヌストキシンを入れることが可能であるため、表情筋の麻痺が起こることはほとんどありません。
9. キュアトックスの効果はいつから?どのくらい持続する?
ボツリヌストキシンの効果は、一般的に施術後数日から徐々に現れ始め、1〜2週間程度で実感されることが多いです。
スキンボトックスでは、皮脂分泌の抑制や毛穴の目立ちの軽減、小ジワの改善などが期待でき、効果は数か月にわたって持続することがあります。
実際に、2021年に報告された20名を対象とした顔面左右比較試験では、皮内ボツリヌストキシンを投与した側で皮脂分泌量と毛穴の改善が認められ、施術4か月後にもその効果が維持されていたと報告されています。
実際の診療で感じるキュアトックスの効果
当院でも、キュアジェットを用いたスキンボトックス「キュアトックス」を行っています。
これまでの施術経験では、施術後の肌の状態や患者さんから伺う効果の実感について、従来の注射によるスキンボトックスと比べても、遜色のない手応えを感じています。
さらに、キュアトックスには、注射針を使用しないという特徴があります。
当院でのこれまでの経験では、従来の注射によるスキンボトックスで問題となることがある内出血や、薬剤が表情筋に作用することによる不自然な表情の変化が目立たず、患者さんの満足度も高い印象です。
肌質改善の効果だけでなく、施術後のダウンタイムや表情への影響をできるだけ抑えたい方にも、キュアトックスは魅力的な選択肢だと考えています。
なお、これらは当院での臨床経験に基づく評価であり、通常の皮内注射との優劣を直接比較した試験結果ではありません。効果の程度や持続期間には個人差があります。
10. キュアトックスに関するよくある質問
Q. キュアトックスは通常のボトックスと何が違いますか?
通常のボトックスは表情筋への注射によってシワの改善を目指します。キュアトックスは、キュアジェットを用いて皮膚内にボツリヌストキシンを導入し、皮脂や毛穴、小ジワなどへのアプローチを目指す治療です。
Q. キュアトックスは痛くありませんか?
注射針による穿刺痛はありませんが、ジェット流による刺激や痛みは生じる可能性があります。完全な無痛治療ではありませんが、従来の穿刺による投与方法に比べて痛みが少ない方法です。
Q. キュアトックスで毛穴はなくなりますか?
毛穴そのものをなくすことはできませんが目立たなくさせることは可能です。
Q. キュアトックスで表情が不自然になることはありますか?
浅い層に微量のボツリヌストキシンを入れる方法であるため、表情筋麻痺を起こすことはほとんどありません。
Q. キュアトックスはニキビにも効果がありますか?
皮脂分泌を抑える作用から、皮脂の多い肌への応用が考えられます。ただし、活動性ニキビに対するキュアトックスの有効性は確立されておらず、標準的なニキビ治療の代わりになるものではありません。
11. まとめ|キュアトックスは針を使わないスキンボトックスの新しい選択肢
キュアトックスは、キュアジェットとスキンボトックスを組み合わせた、ニードルフリーの肌質改善治療です。
スキンボトックスには、皮脂分泌、毛穴、小ジワ、肌のキメなどを改善する可能性が報告されています。
さらに、ニードルフリーによるボツリヌストキシン投与についても、通常の注射と比較して痛みが少なかったという臨床研究があります。
一方で、キュアジェットを用いたスキンボトックスについては、効果や安全性を直接検証した十分な研究がありません。
従来のスキンボトックスの効果と、ニードルフリー注入技術の利点を組み合わせるという点で、今後の研究が期待される治療です。
参考文献(9報)
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4. Therapeutic Effectiveness of Needle Injection Versus Needle-Free Jet Injector System for Botulinum Toxin Type A in Palmar Hyperhidrosis. (2023).手掌多汗症におけるボツリヌストキシンのニードルフリー投与研究。
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